追記 : 書き忘れてた描写があるってマジ!?
ということで作者のやらかしを御覧下さい。
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ぐーすかぴー
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次の日の夜執筆する
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ウェンティの所用に関しての描写を忘れていたことを思い出す
という流れ…ということで足します!!オラァァァァァァ!!(?)
西風騎士団本部を出た蛍達はアガレスと戦うトワリンとモラクスの姿を見つつ、避難してくるモンドの住民達と一緒に西風大聖堂へとやって来た。
「どうなってるんだ…!?風魔龍は、モンドを襲いに来たんじゃなかったのか!?」
「一体全体何が起きてるんだよ…モンドを襲いに来たと思った風魔龍がモンドを護っているなんて…」
大聖堂内に入ってきた蛍達はそんな住民達の呟きを聞きつつ、以前ウェンティを追い返したシスターを見つけると話しかけた。
「シスター!オイラ達、用があって来たんだけど…」
「貴方達はこの前の…天空のライアーなら貸せないって───って、ディルック様!?」
この前のシスターは蛍達を見るなりこんな時に…という表情を浮かべたが、ディルックを見ると驚いたように目を見開いて仰け反った。ディルックは一頻りシスターの様子を見守った後、懐から書類を取り出しつつ告げる。
「天空のライアーを貸し出して欲しい。既に代理団長には許可を得ているので、この書類を」
そう言われたシスターは恐縮しながら書類を受け取るとすぐに責任者の下へ見せに行くようだった。そうして戻ってきたのだが、シスターは西風騎士を連れて顔を真っ青にして戻ってきたかと思うとディルックに向け告げた。
「その…天空のライアーがつい先程盗まれたようで…」
その言葉にはさしものディルックも驚かざるを得ず、そして咎めるような視線で西風騎士を見た。西風騎士も恐縮しながら状況を説明した。
西風騎士によれば気づいた時には既に天空のライアーは消えており、巡回の目がない僅か十数秒のタイミングで盗まれたと思われるとのことだった。ディルックは冷たい視線を向けつつ礼を告げると下がらせ蛍達の方向へ向き直ると眉を顰めながら腕を組んで口を開いた。
「聞いての通り天空のライアーは何者かによって盗難されたようだ」
「えええ!どうするんだよ!このままじゃ…アガレスを救うどころかオイラ達がやられちゃうぞ!!」
ディルックの言葉を聞いたパイモンが体を震わせながら悲鳴のように叫ぶ。しかし、ディルックはあくまで冷静に告げた。
「犯人は恐らく『ファデュイ』の工作員だろう。現状それが成せるのは彼らくらいのものだ」
そして、と更に続ける。
「つい先程盗まれたばかりであれば恐らく然程遠くには行っていないはずだ。今から追えば見つかるかも知れないな」
ディルックの言葉にパイモンはよしっ、とやる気を取り戻したようですぐに探しに行こうぜ!と告げた。状況証拠からして犯人は既に外にいるだろうことは間違いなかったのだが、念には念を、ということでディルックはとあるアドバイスを蛍達にしてから大聖堂内を少し調べてから外の捜索をするようだった。
ディルックと別れた蛍達は早速周囲を見回してみたが、やはり普通に見るだけでは誰も見つからないようだった。普段は活気のあるモンド城も今は空は曇り、人々の声は聞こえずただ轟音と地響きが聞こえるのみであった。
蛍はそんなモンドの様子を悲しそうに見つめつつ、
「それじゃあ、ディルックさんに教わった『元素視覚』で見つけてみよう」
と早口でそう呟くと蛍は『元素視覚』を使用して周囲を見回した。しかし、うまい具合にいかないのか蛍は苦々しげな表情を浮かべた。そんな蛍をパイモンが心配そうに見る中、蛍は微かに純粋で優しい風元素の力を感じ取っていた。
「色んな元素が入り乱れてるからわかりにくいけど…多分こっち」
「おう!あ、でもディルックの旦那はどうするんだ?」
蛍はゲーテホテルのある方向を指差し、そこに向かおうとしたがパイモンの言葉で足を止めた。だが、蛍はキッとゲーテホテルの方向を睨むと、
「…時間を掛けすぎるとライアーを取り戻せなくなるかも…」
そう呟いてゲーテホテル方向へ向けて走り始めた。パイモンは蛍を呼び止めようとしたが、「ああもう仕方ないな!」と呟くとパイモンも蛍の後を追うのだった。
少し走ってゲーテホテルへと到着した蛍達だったが、ゲーテホテル付近には既にファデュイが展開しており、何かを行っているようだった。しかし、ファデュイの兵士が接近に気が付くと恐らく排除されるだろう、そう考えた蛍は隠密行動を心掛けて監視の目を掻い潜り、なんとかゲーテホテルへ侵入することに成功した。
そのまま探索を続け遂に天空のライアーが保管されている部屋を発見した蛍は安全を確認した後、天空のライアーを手に持った。しかし、その瞬間ビーッと大きな音が鳴り響き、直後沢山のファデュイの兵士が部屋に雪崩込んできた。
蛍は天空のライアーを左手に持ったまま臨戦態勢を整えたが、うなじにデットエージェントの手刀を喰らいくぐもった声を上げながら蹲った。
「どうやらネズミが入り込んでいたようだな…」
「隊長、如何が致しますか?」
そうだな、とデットエージェントは天空のライアーを離す様子がない蛍を見て鼻を鳴らすと、
「殺せ、天空のライアーを我々が盗んだことが周囲に知れ渡っては面倒だからな」
そう言って踵を返して蛍達の前から去ろうとした。パイモンがおい!と声を上げるが、
「御意」
周囲の兵士達が蛍を殺しに動き始めたためにすぐにパイモンも静かになる。しかし、パイモンは小さい体を精一杯動かしてなんとかファデュイの兵士達に抵抗しようとしていた。
そんな絶体絶命の瞬間、ゲーテホテルにアガレスとトワリン、そしてモラクスの戦っている流れ弾が直撃し、ゲーテホテルは一瞬で瓦礫の山に変化した。元々気を失いかけていた蛍はその衝撃で気を失い、パイモンは巻き込まれたもののなんとか無事だった。
パイモンは瓦礫からなんとか脱出すると気を失っている蛍の下へ向かって気遣う様子を見せた。幸いにして周囲にいたファデュイの兵士は瓦礫の下敷きになってしまったようである。
しかし安堵したのも束の間、パイモンは信じられないものを目にすることになってしまった。そのため、すぐにパイモンは誰でもいいから騎士団の人間を呼ぶべく移動を開始するのだった。
一方、大聖堂に残ったディルックは見張りの西風騎士達から更に詳しく話を聞き出し、犯人をある程度絞った所で大聖堂を出た。しかし、外に出て蛍達がいなくなっていたことでどうやら犯人の目星がついていたらしいと勝手に結論づけたディルックは自らも元素視覚を使用して元素の痕跡を追っていく。
少し走って元素の痕跡が途切れている場所まで到着したのだが、その場所は廃墟と化したゲーテホテルの前だった。そしてその付近には少し怪我を負っている蛍がいた。パイモンはどうやら人を呼びに行っていたようで今はこの場にはいなかった。
ディルックは周辺の警戒をしつつ素早く蛍に駆け寄ると抱き起こした。抱き起こされた蛍はすぐに痛みに顔を歪めつつ目を開いてディルックを見た。
「…何があったんだ?」
ディルックは蛍を気遣いつつそう問いかけた。蛍はゆっくり深呼吸しつつなんとか先程起きたことを説明し終えた。そして自分の手に持っている天空のライアーを見て驚いたように目を見開いた。ディルックも蛍を早く助けねばならないと考えていたため彼女が手に持っているモノに気が付いていなかったのだが、蛍の反応によって初めてそれを認識した。
「───おーい旅人〜大丈夫か〜!!」
そんな中、パイモンが数名の西風騎士を連れて戻ってきた。ディルックはチッと舌打ちをすると、蛍を横抱きに抱えて立ち上がった。西風騎士はディルックがいたことに驚いていたようだったが、ディルックにすぐに何があったのかを聞こうとした。
しかし、ディルックは西風騎士の質問を軽く流すと、
「ここで話すことはできない。西風騎士団本部を借りるぞ」
そう言って有無を言わさず西風騎士団本部にやって来た。勿論、西風騎士達も一緒だったがディルックは構わずパイモンと共に状況を説明した。その間、蛍は大団長室のソファに寝かされており、その手に持っていた天空のライアーは現在ディルックが持っていた。
しかしその天空のライアーは───
「…弦が錆びれているんだ。まぁ、何年も放置されていたようだし当然かも知れないが…」
そう、弦が錆びれてこのままでは弾けない状態だった。どうしたものか、と頭を捻っていたパイモンだったが、何も思い付かず空中で首をぶんぶん横に振った。そんな折、大団長室の扉が開き、入って来たのはウェンティだった。ウェンティはソファに横たわる蛍を一瞥してから、
「戻ってきたんだね。ボクもちょっと用事を済ませてきたんだ」
少し微笑んでそう告げた。そんな落ち着いた様子のウェンティへ向けてパイモンがわたわたしながら、
「そ、そんなことよりどうするんだよ!!天空のライアーを折角手に入れたのに弦が錆びててこのままじゃ使えないぞ!?」
そう早口で捲し立てた。そんな剣幕に押されつつ、ウェンティは苦笑を浮かべて口を開いた。
「心配しなくていいよ、超想定内だから!」
「う、なんか不思議と安心できないぞ…」
ウェンティの言葉にパイモンが苦虫を噛み潰したような表情をしながら首を横に振った。ウェンティはムッとした表情をしつつも言葉を流して、
「勿論、ボクは天空のライアーの弦が錆びていることも考えていたよ。ただ、この錆は自然にできたものじゃなくてね」
そう言った。
ウェンティによれば、天空のライアーの弦が錆びてしまったのは風元素に触れなさすぎたことが関係しているようで、これに関しては騎士団側の保存方法にも問題があったため居合わせた西風騎士達は気まずそうに目線を逸らしていた。
「───つまり、天空のライアーに風元素を感じさせてやれば時間はかかるけど弦は元に戻るはずさ!」
ウェンティはやりきった!とばかりに胸を張った。しかし、
「時間かかったら意味ないだろ!?旅人…って旅人は今休んでるんだった…」
パイモンはそう言った。結局の所、弦を直すのに時間をかけている間にトワリンとモラクスがどうなるかわからないため時間を掛けるのは得策ではない。勿論、ウェンティもそれを理解している。
パイモンの言葉に対してウェンティは少し笑って返すと、蛍の下まで行ってゆっくり話しかけた。
「旅人、起きてるかい?」
蛍は目を開いてウェンティを見る。ウェンティはうん、と首肯くと、
「前にキミにトワリンの涙の浄化をお願いしたよね。この前に浄化をお願いした時から、モンド中に散らばったトワリンの涙を集めてきたんだ。これの浄化もお願いできるかい?」
ゆっくり言い聞かせるようにそう言った。蛍はようやく意識がはっきりしてきたのか起き上がってソファに座ると、ウェンティから結晶を幾つか受け取ってそれぞれを浄化していく。蛍は浄化されていく涙の結晶を見ながらウェンティに視線だけでこれを何に使うのかを問いかけた。
それに気が付いたウェンティはこの場にいる全員に聞こえるように声を発した。
「そうだね、この涙の結晶は…アガレスからもボクからも聞いていると思うけどこの上なく純粋な風元素の結晶体なんだ。つまりこの結晶体をライアーに接触させれば───」
ウェンティがそのまま蛍の目の前にライアーを持ってきて涙の結晶を弦へと落とした。するとどうだろうか、天空のライアーの錆びついた弦は少しだけ元に戻ったように見える。加えて天空のライアー自体も少し輝きを取り戻したように見えた。
その様子を見たパイモンと西風騎士達からおおっ、と感嘆の声が上がった。
「これならなんとかなりそうだなっ!!」
「では、自分は団長に報告してきます」
西風騎士は安堵したようにそう言うと敬礼をしてから大団長室を出て行った。西風騎士が出て行ったところでパイモンがウェンティを見て、
「そう言えばお前もいなくなってたよな?その間、何して来たんだよ?」
そう聞いた。ウェンティはふっふっふ〜と肩を揺らして謎の笑い方をすると懐から数本の瓶を取り出した。パイモンとディルックは思わず目を丸くして唖然とした。ウェンティは構わず、
「これ!お酒を取りに行ってました〜!!」
そう言った。モラクスがいたらまず間違いなく拳骨を落とす所だろうが、生憎ウェンティにツッコめる人は誰もいない。そのため、蛍もパイモンもディルックでさえもただただ困惑していた。
しかし、ウェンティには確たる理由があるようで、どうやら自分で飲むものではないらしい。
ウェンティの酒を持ってきた事件は兎も角として、希望ができた蛍達はウェンティを気にしないことにしてそのまま天空のライアーに少しずつ結晶を接触させていくのだった。
というわけで、天空のライアーのお話でした!
本当はぶっ壊そうと思ったんですけど、その場合だとアガレスを治せなくなる可能性があるんで思い留まりました。
アガレス&バルバトス「「バチ当たりが過ぎる」」
と、いう小話でございました。