忘れ去られたもう一柱の神〜IF旅人〜   作:酒蒸

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第一章の名前をどうするか考え中ですが…まぁーじわじわと匂わせていこうかなと(関係ない)

序章も序章だしいっか!(諦め)


第一章 全ての始まり
第22話 お悩み相談


モンドの『龍災』騒ぎから一ヶ月後のある日のこと。

 

ウェンティ改め風神バルバトスは再びモンドの風神として降臨して、今は西風大聖堂にて色々と信徒達のお悩み相談やら祝福やら…まぁとにかく色々やっているらしい。

 

それに付随してトワリンは謎の怪物に操られ、そして風神バルバトスに救われた悲劇の龍としてモンドの民からは崇められるようになっている。今はモンド城の周囲を飛び回っていたり、モンド城の北西辺りに位置する風龍廃墟をねぐらとしているようだ。

 

なんだかんだで俺の計画通りになっているのはご愛嬌だ。

 

さて、そして璃月からはるばるやって来たモラクスだが、俺とはほとんど話さずすぐさっさと帰ってしまった。ただ、彼は『契約』だけでなく、縁や絆なども大切にする人物だ。腐食されているわけではないと思いたいが、何かあると考えるべきだろうな。

 

旅人はモンドで色々やっているみたいだがアレ以来会えていない。それもそのはず、俺は住む場所もないので野宿する生活が続いており、モンド城にすら行っていないというのが現状だった。

 

加えてその間特にすることもないので俺はのほほんと過ごしていたのだが、いい加減何の生産性もないこの生活は良くないと思い始めてきていた。

 

まぁ勿論、モンドでかなり暴れてしまった俺を雇ってくれるところなんか真っ当な職場ではあり得ない。恐らく冒険者協会ぐらいなものだろう。

 

その冒険者協会にも所属していないので俺は完全に無職である。500年前までは民を助けるためにテイワット中を駆け回っていたのだが、今は本当に何もしていない。野生動物を狩ったり、野草を採集していたり、まぁ端的に言えばその日暮らしをしているのだ。

 

正直言って、生きてて俗に言うニートをする日が来るとは全く思っていなかったので、それを自覚した今…俺は圧倒的虚無感と無力感、そしてこのままではいけない、という焦燥感が俺を襲っていたのだ。

 

『龍災』の傷が完全とはいかないまでも癒えたモンド城では民に笑顔が多く戻っている。500年以上前であったなら、モンド城内を通るだけでたちまち人に囲まれ感謝の言葉を伝えられたのだろうが、今の俺は腐食されていたとはいえモンド城を襲ったのだ。それに加えて俺のことを覚えている存在など一握り。

 

好奇や恐怖、そして猜疑の視線で見られはせど、感謝の気持ちを持つ者などいないだろう。

 

そして俺自身も、民の笑顔を見ても昔に比べてあまり嬉しく思えない。嬉しいは嬉しいのだが、自らの身を犠牲にしてまで救う価値が本当にあったのかどうか、と言われれば…今の俺なら否と答えざるを得ないだろうな。

 

今は友人の為に身を捧げたとして無理矢理自分を納得させている。腐食の影響はまだ僅かに残っているのか、はたまた何もすることがないからなのか、どうしてもネガティブな感情ばかり浮かんでしまう。だからこそ、俺は仕事を探すことにしたわけだがな。

 

俺はよしっ、と自分に喝を入れるとモンド城へ向かうのだった。

 

 

「───と、いうことでバルバトス…俺に仕事をくれないか!」

 

「何がということで仕事が欲しいのかはまーったくわからないから、ちょっと落ち着こっかアガレス?」

 

そんなこんなで、俺は西風大聖堂の一室までやってきた。一室、とは言っても普通の部屋よりも多少豪華であるが、バルバトス本人の希望により神の部屋というにしてはかなり質素な部屋である。そのバルバトス本人はかなり理由を告げられずに言われたその言葉に困惑している様子だった。

 

そのバルバトスは少しの間考える様子を見せたので、真面目に考えてくれているのだと思って聞く態勢を整えた。

 

「そうだなー…キミってば何でもできるだけにこの仕事やって!みたいなのがないんだよね。ボク専任の給仕とかどう?」

 

前半は真面目に考えているようだったのだが後半は正直聞いて損をした気がする。バルバトスのまるで普通のことを言っているかのようなスン、とした表情も中々苛立ちポイントが高いし、そもそも給仕とか暫くやっていない。

 

ということでよし帰ろう、とばかりに俺は踵を返したのだが、

 

「───いいのかなぁ〜?」

 

突如背後から向けられたバルバトスの言葉に俺は立ち止まり、首だけ振り返ってバルバトスを見た。勿論、バルバトスはニヤリと笑っており、すぐに見なければよかったと後悔することになった。そしてバルバトスはそのままの表情で、

 

「ボクにあんなこと言ったのに…誠意は見せてくれないのかな?「やります」わかればよろしい!」

 

勿論、俺に拒否する選択肢など元からなかったのだ。バルバトスに頼んだ時点で俺の敗北は確定している。そのため、俺は即答でゴーサインを出すしかなかった。

 

「さ、そうと決まればヴィクトリアに伝えておかなきゃね───」

 

 

 

と、いうことで仕事を貰った俺だったが、仕事的にはすることがないのとほぼ同義だ。バルバトスの仕事は、基本的には幕越しに座って何かを話すだけだったりするだけなためにその分俺もかなり暇だった。時偶バルバトスが俺に水を持ってこさせたりするだけなので、本当にすることがない。

 

ただ、顔の見えない相手の相談事とは結構面白いものだ。俺が暇を持て余している間に、日々の悩みを抱えているモンドの住民が際限なくやって来るのだ。或いは風神と少しでも話してみたい者なんかも偶にやって来ては、なんだか拍子抜けしてたり普通に喜んでいたりと反応は様々だ。

 

ついでに言うと、俺以外の大聖堂のシスター達はホールでお勤めをしているので、この部屋には俺とバルバトスしかいない状況だ。別室で待機していた際はシスターが必死にバルバトスへ抗議していた声が聞こえてきていたのでかなり気不味かったのを覚えている。結果的にバルバトスの意見が尊重されたわけだが、正直気持ちの良いものではない。

 

まぁここ暫くモンドに姿を見せていなかったとは言っても民にしっかり信仰されているバルバトスと忘れ去られた俺とじゃ信用に雲泥の差があることは理解しているけどな。勿論、もう嫉妬や羨望の情などないので、その事を思っても俺の心は寂々としているだけだ。

 

「───次の方どうぞ〜」

 

また一人、悩みを打ち明けにやって来た人物がいた。無論幕越しなので誰かを判断することは難しい。

 

「失礼します」

 

ただ、ドアを開く前のその声で女性である、ということだけはわかった。声質的には然程歳を重ねていない印象だ。その女性はシスターに作法を教わって間もないのか、少しぎこちない様子で跪くと話し始めた。

 

バルバトスは少し笑うと俺の耳に口を近付け口を開いた。

 

(彼女のお悩み相談はキミに任せるよ)

 

思わずはぁ?と声を上げそうになって慌てて口を噤む。俺が返す言葉を考えている間にバルバトスが幕越しの女性ににこやかに告げた。

 

「よく来てくれたね。今日はボクの友人が遠い所からわざわざ足を運んでくれてね。この場にいるんだけれど、キミの悩みはその彼に聞いてもらおうかな」

 

「わかっ…りました…バルバトス…様」

 

バルバトスは面白おかしいとばかりに笑うと、俺の肩を叩いて先程まで俺がいた別室に下がっていった。否定する間もなく、バルバトスもいなくなり女性も了承してしまったので俺がやるしかなくなってしまった。

 

俺は友人と言われて嬉しくなっているのを自覚しつつ、単純だな、とばかりに嘆息するとコホンッと咳払いをしてから口を開いた。

 

「聞いての通り、俺が今回のお悩み相談をすることになった。俺のことは…そうだな…」

 

自分の名前を告げようとして、余り知られないほうが良いことを思い出した俺は咄嗟に名前を考えようとして何も思い浮かばなかったので、

 

「クロ…とでも呼んでくれ。それと敬語も敬称も不要だ。好きに呼ぶと良い」

 

適当にそう呼ばせることにした。女性は幕越しでもかなり驚いているのがわかったが、しっかり言われたとおりにしてくれるようだ。

 

「…それでクロさん、私今悩んでいることがあって聞いてほしいんだけど…」

 

女性はそのまま、かなり悩んでいたのかポツポツと語り始めた。

 

「その…友人、と言って良いのかわからない関係の人が一ヶ月くらい前からいるんだけど、あんまり交流がなくて…」

 

交流がない、ということはあまり話せていないのか。つまりこれは…恋のお悩み相談ということか?だとしたら俺には全く以て良い返事はできないと思うが…などと思って少しバルバトスを恨む。まるで彼女の悩みを見透かしていたかのような対応をしていたバルバトスだったが、本当はわかっていなかったのではないかと思い始めてきていたのだ。

 

そんな俺の焦燥感とは裏腹に女性は続ける。

 

「その人の事情もわかっているだけに私からグイグイ行くこともできなくて…居場所はわかるんだけど、境遇とか色々考えるとあんまり気乗りしないというか…とにかくそんな感じでヤキモキしてて…」

 

ただ引き受けてしまった以上はしっかり彼女の悩みを聞いてアドバイスをせねばならないし、その責任がある。俺は少し考えると、

 

「相手の性別は?それによって少し話が変わってくるんだが…」

 

そう問い掛けた。女性は男性だ、と答える。つまるところ、本当に恋のお悩み相談なような気がしてきた。全く以て嘆かわしい…ここに来て恋愛経験がゼロであることがこんなにも響いてくるとは思わなかった。

 

「そうだな…要するにもっと仲良くなりたいとは思っているものの、親しいかどうかもわからない相手を訪ねるのはどうか、ということか?」

 

幕に映る影で女性が首肯いたのがわかった。なるほど、中々相手も手強そうだな。

 

「私がモンドに来て右も左も分からなかった時に彼が助けてくれたのに、私は彼にあまり何かをしてあげられなくて…お返しがしたいのもあるし、もっと仲良くなりたいのもある、みたいな…」

 

曖昧だが、一貫しているのは交流を深めて仲良くなりたい、という意思だ。恋愛云々抜きにすれば俺でもなんとかなりそうだな、とそう考えていたのだが、

 

「できれば…まずは友人として深く知れたらいいなって…どうやったら仲良くなれるかな?」

 

続く言葉で俺は軽い絶望を覚えた。『まずは』ということはそれ以上も考えているということである。だが問題はない。どうせ彼女とは今日限りだ。だからと言って適当にするつもりもないが…一先ずの助言としては、というところで俺は口を開いた。

 

「仲良くなりたいなら、やはり会話を重ねるしかないだろう。お前を助けたそいつがお前を忘れ去ることは恐らくないだろうから、そいつを訪ねれば普通に迎えてはくれるだろう。そこから仲良くなれるかどうかはお前次第だ」

 

俺は腕を組むと更に続けた。

 

「相手を知るには相手を詳しく知る人物から情報を聞き出したり、或いは相手との会話の中で少しずつ情報を得ていくしかない。加えて、知るだけではなく、相手にも『もっと知りたい』と思わせなければならない」

 

かなり長い話にはなるが、それでも話さねばならない。いつしか、俺の言には少しばかりの熱が籠もっていた。

 

「お前がどのような性格で何をしているのかは俺はわからないが…自分が経験して面白かったこととか、どんなことをしたいだとか…まずは自分から積極的に話題を振ることで興味があることを示せ。相手の反応によって仲良くなれるかどうかは変わってくるだろうが、自分に興味を持ってくれている人を無下にするようなヤツでもなければ問題ないはずだ」

 

長々と話したが、と俺は前置きしてから、

 

「まずは自分から行動を起こしてみるのも大切だ。……受け身だけでは成せないこともあるからな」

 

事実、俺は一ヶ月前にバルバトス達を知ろうと、歩み寄ろうとせず自らの殻に引き籠もって受け身の態勢だった。誰かに見つけてほしい、救ってほしいとばかりにな。

 

だが、そんな俺を救ってくれた人がいる。絶対に忘れないと言ってくれた人がいる。なら、彼女のためにも前を向かねばならないだろう。

 

幕越しの彼女は俺のアドバイスを自分の中で反芻している様子だったが、不意に少し笑って、

 

「うん、そうだよね…まずは私から行動してみる。ありがとうクロさん」

 

「ああ、陰ながらお前の恋路を応援している」

 

「そ、そんなんじゃない…よ?」

 

図星だったのか、彼女はかなり動揺した様子で頭を下げて部屋を出て行った。俺はやりきった、とばかりに大きく溜息を吐くと、その音が聞こえたのかバルバトスがひょっこり別室からしたり顔を出した。

 

「終わったみたいだね、どうだった?」

 

その表情に若干苛立ちつつも問題なく終えたことを告げると、バルバトスは意味有りげに笑った。俺はそんなバルバトスの様子に首を傾げつつもどうせ碌でもない理由であることは明白だったため考えるのをやめた。

 

そんな中、昼休憩になった俺達は先程までバルバトスが入っていた別室で机を囲んでいた。

 

「…それでアガレス、ちゃんと話すのは一ヶ月前以来だね。今なら時間もあるし聞きたいことがあるなら今のうちに沢山聞いてよ」

 

少しの沈黙の後、バルバトスがそう俺へと告げた。確かに結局バルバトスへの謝罪の後ほとんど話せていなかった。それもあって、俺は今日バルバトスの下へとはるばるやって来たのだ。

 

俺はバルバトスに考えを見透かされていたのがわかって少し気恥ずかしくなったが、

 

「わかった、ありがとう。それじゃあ質問攻めといこうか」

 

すぐに真剣な表情を浮かべてそう告げるのだった。




なんだかんだでお休みしてましたが、第一章の内容をどうするか考えていたのとリアルが若干忙しかったんすわ。

やめてー、黄砂の影響で喉も死ぬし具合悪くなるしで死んじゃうからー。

本当は今日も学校に行く予定があったんですが!!具合悪いので休んで小説書いてやったぜ!!カーッハッハッハッハ…ゲホッゲホッ。

コホンっ、まぁてなわけでちょっと間が空きましたが私は(から)元気です。任して下さいよ(?)
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