忘れ去られたもう一柱の神〜IF旅人〜   作:酒蒸

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と、いうことで!サボりにサボったこの小説!!ごめんなさい!!m(_ _)mドゲザ−


第5話 西風騎士団にて

代理団長、と首を傾げているとアンバーと蛍の会話が耳に入ってきた。

 

彼女たちによれば現在西風騎士のほとんどが大団長ファルカという人物に連れられ遠征中らしく、今はポニーテール…こと、ジンが代理団長を務めているとのことだ。遠征の理由は今の所不明だが今の所定期的な連絡が途絶えていないことから大団長達が無事であることはわかっているらしい。

 

さて、蛍とパイモン、そしてアンバーの会話に耳を傾けているとジンが俺を見て目を細めた。何やら疑われているらしい。

 

「さて、旅人とアガレスと言ったな…すまない、現在起きている問題は必ず西風騎士団が解決する。どうかそれまでモンドに留まっていて欲しい」

 

ジンの視線は蛍には向かず、俺のみに向いていた。ガイアの視線ともう一人、魔女のような風貌の女性もこちらへ好奇の視線を向けてきている。俺はちらっとアンバーを見やると何故か目が合ってかつ、すぐに逸らされた。

 

…なるほどな。

 

「現在の状況はそれなりに把握した。それで…俺のことが気になるのだろう」

 

その場にいる全員の視線が俺へと向く。蛍達は俺を見て心配そうな表情を浮かべている。それを横目で流し見た俺はどうしたものかと思案する。

 

現状、取れる選択肢は然程多くない。蛍達、そしてパイモンが俺の存在を知らなかった時点で、そして『八神』が『七神』になっていた時点で俺のことは忘れ去られている、或いは世界から異端だとして排斥される可能性も高いだろう。

 

ということで選択肢としては正体を全て明かすか、一部明かすか、それともこのまま隠し通すか。まぁ一番最後、3つ目の選択肢はありえないな。既にアンバーの目の前で風元素を使用してしまっていることだし誤魔化しは効かないだろう。

 

で、だ。残りの2つに関して言うのであればまぁ勿論2つ目を選ぶことになるだろう。全てを明かして「じゃあ敵対しますね情報提供アザス!」なんてなったら目も当てられないからな。

 

俺は『自身の正体を一部明かしつつ納得させる』という方針を固めて口を開いた。

 

「先ずは自己紹介をすると俺の名前はアガレス。一応聞くがこの名前に聞き覚えはないか?」

 

念の為、俺は全員にそう問い掛けた。だが誰一人として首を縦に振る者はいない。無論、蛍とパイモンは別として、だ。

 

そうなると俺が敵対視されている、という線は消えるか…。

 

「ふむ、まぁいいか…お前達が聞きたいのは一つ…いや、蛍のことも含めると二つ、か。以下のことを約束してくれるのなら答えても良いが…」

 

「聞こう」

 

ジンが鋭い視線で俺を射抜きつつ言う。他の面々も鋭い視線を俺へと向けている。今にも襲いかかってきそうな雰囲気だがまぁそれはないだろうな。

 

「一つ、ここで話したことは他言無用だ。周知するにしても騎士団の上層部のみにしていただきたい。二つ、俺はともかく蛍に危害を加えないこと」

 

「アガレスさん?」

 

蛍が心配そうな声を上げるが俺は無視してジンのみを見据えた。

 

「以上のことを守ってくれるのなら俺は決して危害を加えないと約束しよう。何なら契約でもしてやろうか?」

 

どこぞの頑固者のじいさんとは違い、俺は別に契約に縛られているとかはないが取り敢えず言っておく。実際のところ俺も平和に暮らす人々に危害を加えるつもりは毛頭ないからな。

 

ジンは少しだけ考える素振りを見せて首を縦に振り、条件を飲んでくれた。俺は少しだけ微笑むとにっこりと笑う。

 

「ありがとう。では少し説明に入ろうか」

 

既に元素力が問題なく扱えることは確認している。危険はないが一応その場の全員に注意を促しておいた。

 

先ず、俺は『神の目』を取り出すとテーブルの上に置く。先程とは異なり岩元素の輝きは放っていない。元素の輝きを放っていない神の目は灰色だ。その状態の神の目を見たのは初めてだったのか、ジン達は目を丸くしている様子だった。

 

まぁそもそも、神の目を持っている時点で別の世界から来たっていうのは無理があったからな。タイミング的にはいいのか…?

 

「これは『神の目』だがこの通り俺が元素力を扱っていない時は光を放たない…だが」

 

俺は先程と同じように岩元素を足に纏わせる。まぁ、少し身長が高くなるのはご愛嬌だ。

 

さて、俺の身長はさておいて先程まで灰色だった神の目は岩元素の輝きを浮かべている。ダミーではあるが、しっかりと機能はするのである。

 

輝いている神の目を見ていたジン達の表情に戦慄が走っていた。それを横目で眺めつつ、俺は不覚にも少しだけ面白いな、なんて思ってしまった。

 

「今は岩元素だったが…先程アンバーの前で使ったように───」

 

俺は風元素を使用し室内に風を吹かした。すると…先程まで岩元素の輝きを浮かべていた神の目は、今度は風元素の輝きを浮かべていた。

 

「───風元素を使うとこうなる」

 

紫色の魔女がゆったりと俺を見る。その瞳には若干の畏怖が含まれているように感じられた。

 

「あなた、実は人工的に作られた元素生物とかいうオチはないのよね?」

 

畏怖はあるが、覇気もある。魔女らしき風貌から察するに知識が広いようだ。場合によっては俺を殺すことも視野に入れているからか、元素力の高まりも感じている。まぁ、当然の処置だろう。

 

だが俺は当然首を横に振る。

 

「俺は岩と風の二つの元素を扱えるだけで別に人工生命体とかいうオチは全く無い。不安なら監視でもなんでもするといい」

 

こほんっ、話が逸れたな、ということで。

 

「俺は2つの元素を扱うことができる。まぁ、こうなったのは神の悪戯かなにかなんだろうが───」

 

神が神を語るとは皮肉も良いところだ。ある意味では悪戯しているとも言えるだろうが…。

 

「───結局の所こう生まれてしまったのだから仕方がないのさ。俺自身、こうなった原因はわからないからな」

 

2つの元素を扱えるだけ、というのは嘘だがこうなった原因がわからないというのは嘘ではない。他の神々は一つの元素しか扱えないし、魔神達ですら一つの概念を司っていた。なのに俺だけが7つの元素を扱うことができ、元素の神という二つ名から『元神』と呼ばれていた。

 

「そう…一先ずそれは置いておくわ。それで、その可愛い子ちゃんと貴方が同郷というのは本当かしら?」

 

紫色の魔女───便宜上紫の人と呼ぶことにする───は訝しげな表情を浮かべながら俺にそう問い掛けてきた。まぁ、俺と蛍にはほぼ共通点が見当たらない。あるとすればその身で7つの元素を扱えることだけだろう。まぁ、旅人に関しては憶測でしかないが。

 

「勿論嘘だ。俺が神の目を持っていることからもそれはわかるはずだろう」

 

「ええ、だから確認を取ったのだけれど?」

 

紫の彼女と俺の間で紫電が…いや、物理的に散ってるな。しっかり雷元素纏ってるわ。だがそんな彼女を制したのはジンだった。

 

「…リサ、それくらいでいいだろう。アガレス殿、続けてくれ」

 

意外だな、もっとグイグイ来るのかな、なんて思っていたのだがそんなことはないようだった。むしろ落ち着き払っている。なるほど、これが今の獅牙騎士、といったところか。大昔に存在した獅牙騎士に思いを馳せつつ、俺は口を開く。

 

「リサ、君に問おう。『七神』が『八神』だったと思うことはあったか?」

 

紫の彼女改め、リサにそう問い掛けた。すると難しい表情を浮かべた。そんなリサを見たジンは心配そうな表情を浮かべ気遣う様子を見せる。

 

「いいえ、正式な資料には『七神』の記載しかないわね。けれど、禁書庫エリアの口伝には明らかに『七神』が『八神』だったであろう謎の神の存在を確認しているの。正直なところ口伝なんてあまり信用できないと思っているけれど」

 

リサの話を総合するとやはり俺の存在を知っている者はいなさそうだ。口伝などには記録として残っているようだが残念ながら俺を直接知っている存在はもういないのかもしれない。

 

そう考えると少し…いや、かなり虚無感に打ちひしがれるがまぁこの際それはいいだろう。

 

「そうか、ありがとう。助かった」

 

「?ええ、どう致しまして」

 

ジンが警戒を解いたと判断したからかリサも俺に突っかかってくることはない。ようやく一件落着か、と思ったところでジンは大事なことを伝え忘れていた、とばかりに俺を見る。その視線に気が付いた俺は再び気を引き締めた。

 

「アガレス殿、貴殿には一先ず監視はつけさせてもらう。申し訳ないが…」

 

ジンは本当に申し訳無さそうな顔をするので気にするな、なんて言おうとしたらスッと横槍が入った。

 

「別に構わないんじゃないか?俺だってこのアガレスって男は信用できない。ま、俺が監視につくから心配すんな」

 

横槍を入れたのはガイアだった。どうやらこの男、俺が相当頭が切れると見て余計なことを言わせないようにしたらしい。現にその一挙手一投足からは俺を牽制する動きが見て取れる。

 

それにしても…ふむ、ガイアの瞳には見覚えがあるな。まぁ今はいいだろう。

 

「すまないガイア、よろしく頼む」

 

「おう、後は俺に任せとけ」

 

ガイアとジンはそう言って微笑み合う。ふむふむ、昔の西風騎士団に比べて人員はあまりにも少ないが…良い関係性だ。

 

話し合いはまだ続くようだが一先ず、俺に監視がつくことが決定したのだった。

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