ろっきんがーるに恋する男子   作:詞連

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 きららMAX1月号のぼっち・ざ・ろっく!が尊かった反面、星歌の彼氏創造の難易度が爆上がりした件。

 追記 原作を読み直していた所、3巻のいい加減なブッカーの苗字とシュンの苗字が柳でかぶってるのが判明。伏線にしようかとも思いましたが、結局、柊に修正することとしました。ご了承ください


Chapter4  柊俊太郎と伊地知虹夏 その1

 (ひいらぎ)俊太郎(しゅんたろう)。愛称はシュン。中学三年生。

 彼には伊地知虹夏という2つ上の幼馴染がいる。元々家が近かったというのもあるが、最近では虹夏の姉、星歌がSTARRYというライブハウスを始め、そこがシュンの生家である柊商店の卸先の一つとなったことから、会う頻度も増えている。

 虹夏は明るく前向きだが、よく考えなしに突っ走っては痛い目を見る、危なっかしい女だ。

 

「アイツは、俺がついてなくちゃダメなんだよなあ」

 

 とシュンは思っているが、虹夏もシュンに対してそう思っているという、まあ、似たもの同士の姉弟のような関係だ。

 

 そんな虹夏に関して、とある噂をシュンは聞いた。

 虹夏が念願かなってようやく結成したバンドの初ライブにて

 

「あのイレナンの石塚が、結束バンドってバンドのメンバーに告白したらしい」

 

 ということだ。

 

「聞いてねえぞ、そんなこと!」

 

 あの日、シュンは家の用事でライブにはいけず、その場にいなかった。

 また、ライブはどうなった、というロインの問いかけに対しては

 

『トラブルもあったけどバッチリだったよ!』

 

 というスタンプ付きの返事が虹夏からきただけで、具体的なことはわからない。

 

 噂は本当なのか?あるいは嘘か?事実ではあるが尾ひれ付か?

 事実だとしても告られたのは虹夏か?虹夏だとしたらどう返事をした?

 断った?受けた?それとも?

 

「チッ!俺がついてないとホント危なっかしい奴だ」

 

 などと偉そうなことを独り言ちながらも、ロインでそのことについて問うこともできず、『明後日配達だからその時聞けばいい』という言い訳をしたまま、噂を聞いてからの2日間を、シュンは過ごした。

 

 

 

 そして配達当日

 

「ッシ!」

 

 気合十分。

 ()()()()()()気にしている、他人より()()()()()低い身長をカバーするヘアスタイル。

 中坊と舐められないためのキメキメのピアスとスカジャン。

 

 ―――客観的に見れば、つま先立ちレベルの全力背伸びをした中学生男子ファッションそのままだが、当人的にはバリバリにキマった格好で、STARRYの裏口に、シュンは立った。

 流石に、ここまで来ればもう逃げることはない。配達もあるし。

 

「ウッス」

 

 と、意識的に低音にした声でSTARRYに入ると―――見知らぬ女がいた。

 

 長い髪をしたピンクジャージの猫背の女。年齢はシュンと比べて同じか上か?新しいバイトだろうか?

 ともかく、名乗ろうとしたシュンだったが、それに先んじてその女が

 

 

「ぢ、調゛子゛に゛乗゛っ゛て゛申゛し゛訳゛あ゛り゛ま゛せ゛ん゛で し゛た゛」

 

 

 割と整ってたはずの顔面を崩壊させて、土下座をしてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シュン!ダメでしょ、ぼっちちゃんをイジメちゃ!」

「イジメてねーよ!勝手に泣き出して土下座って来たんだよ!

 つかぼっち呼ばわりとか、アレか!?俺の方こそ今まさに女同士の陰湿なイジメの現場に立ち会ってんのか!?」

 

 謎のピンクの生き物(女から格下げ)に土下座られた数分後。

 崩壊したぼっちを回収した虹夏は、シュンといつもの言い合いをしていた。

 そう、二人にとってはこんな言い合いがいつものやり取りである。ただ、その声量は大きく、ゴミ箱に避難したぼっちにとっては、恐怖以外の何物でもないようで、声が響く度にガタンガタンと揺れていた。

 

「つか、あれが新メンバーってマジかよ」

「マジだよ!っていうか、アレ呼ばわりってなによ?」

「どう見ても深刻なコミュ障だろ、アイツ。ステージの上、よく上がれたな。ギターできんのか?」

「できるよ!あんま上手くないけど。あとステージも上がれたよ!ダンボール箱の中に入ってだけど」

「それが新メンバーってマジかよ

 ――例のいかにもイケてる感じだった逃げたギタボ、あれからどうなった?」

「……連絡つかないまんま。どうしたんだろ」

 

 心配そうにいう虹夏に、震えるボッチを『よーしよしよし』と撫でていたリョウが

 

「これだけ時間が経っても反応がないんだ。もう生きてはおるまい」

「そこ!不吉なこと言わない!」

「けど、まあ薄々そんな気はしてたぜ、俺は。あのねーちゃん、なんかどっか腰ひけてたし」

 

 喜多、とか言ったか。

 いかにもイケてるグループって感じの女だったが、どことなく虹夏やリョウに対して壁のようなものがあると、シュンは傍から見て思っていた。

 

「大方虹夏がグイグイ行き過ぎて、引かれたんじゃねえのか?」

「そんなことないもん!―――仕入れのジュース、仕分けてくる!」

 

 言われて、実は多少は気にしていたのか、虹夏は捨て台詞を遺して、シュンが持ってきた荷物を積んだバックヤードの方に向かう。

 してやったりと笑ったシュンだったが

 

「―――あっ」

 

 と、今日の本題を思い出す。

 

『あのイレナンの石塚が、結束バンドってバンドのメンバーに告白したらしい』

 

 この噂の真偽を問いただすことだ。

 だが、臍を曲げさせてしまった虹夏に今更問うたところで、ちゃんとした答えが返ってくるはずもない。

 しまった、どうするかと悩んだシュンの横から、

 

「……そんな子供っぽい態度をするから、いつまでも弟扱いなんだよ」

「……んだよ、リョウ」

「先輩と呼びなさい」

 

 いつものすまし顔で、リョウが話しかけてきた。

 そういえばこいつもその現場にいたよな、とシュンは思う。

 とはいえ、この女は一癖も二癖もある厄介な女だ。なんかよく道端に生えてる草とか貪ってるし。

 などと考えていたシュンの機先を制するようにリョウが

 

「―――石塚が告ったってのは、嘘だよ」

「!……へ、へえ!そんな噂もあったな、そう言えば!ま、まあ聞いただけで、興味があったわけじゃないがな」

「―――ライブの後、ナンパ仕掛けてきたのは本当だけど」

「!?!?!?!?」

 

 二転三転する感情のままに、リョウの方を見たシュン。

 顔を向けられたリョウは、右手の平をそっと口元に沿えて

 

「ププ」

「っっっ!こんのぉっ……!」

 

 いいようにからかわれている。そのことを自覚したシュンは椅子から腰を浮かせ―――

 

「大丈夫。虹夏が相手じゃないから」

 

 それをそっと押しとどめるようなタイミングで挟まれたリョウの言葉で、中腰のままの姿勢で固まった。

 安心と、動揺と、矛先をそらされた怒りが胸中を空転し―――結局、シュンは再び腰を下ろし

 

「フン、ってこたあ、お前が声かけられたってわけか。モテるじゃん。ま、顔だけは良いからな」

「ううん。ナンパされたのはぼっち」

「流石にもう引っ掛からねえぞ?」

「ホント。いきなり控室に駆け込んできたかと思ったら、わき目もふらずぼっちに向かって熱烈に」

「……石塚って、ヤベエ性癖でも拗らせてんのか?」

 

 シュンは石塚に告白されたらしいピンク色の生命体に目を向ける。

 ゴミ箱を宿主にしたぼっちは

 

「聞いてください。調子に乗って中学生に負けたプランクトンのレクイエム」

 

と、ゴミ箱に嵌りながら、器用にギターを鳴らしていた。

 

「―――ん?意外と上手い」

「……実は、ソロだと結構弾けるんじゃないか、って思い始めてる」

 

 などと言っていると

 

「ちょっとー!リョウもぼっちちゃんも手伝ってよー!」

 

 奥から、虹夏の声がする。

 気が付けば、シュンも結構な時間をSTARRYで過ごしていた。

 休憩にしても長すぎるし、この後も他の配達がある。

 

「ヤッベ!――んじゃ!行くわ!

 ご贔屓に!」

 

 そう言って、裏口から足早に出て行くシュンの背中に

 

 

「シュン。今回は違ったけど、虹夏は人気あるぞ。急げよ」

 

 

 扉が閉まる直前のタイミングで、リョウの言葉が投げかけられた。

 振り向くと、閉まりかけた扉の向こうに薄く笑うリョウの顔が見え、その後すぐ、バタリと扉は閉じた。

 

 

 

「―――わかってんだよ、そんくらい」

 

 

 

 シュンはそう吐き捨てる。

 虹夏は、可愛い。ずっと近くで見てて、憧れていたシュンはそれを嫌というほど知っている。

 だが同時に、自分が背丈も低い中学生で、虹夏が二つ年上の高校生だという現実も知ってる。

 2年の年齢差は、ティーンエイジャーには大きな壁だ。

 

「せめて、身長だけでも追いついてからじゃねえと、格好つかねえっての」

 

 伊地知虹夏 身長160cm

 柊俊太郎 身長153cm

 シュンは最近成長期で、去年1年で8㎝伸びた

 このままいけば1年後、高校に上がる頃にはギリギリ越せる

 

「くっそ~。早く身長、伸びねえかなあ」

 

 それが等身大の男子中学生の、魂の叫びだった。

 

 

 

「ふふふ、そういうことを気にしている内は、まだまだ虹夏の隣はあずけられんな」

「リョウ、何に1人で呟いてんの?」

 

 

 

 つづく




 虹夏ちゃんのクラスメイトの男子は、結構な割合で『自分は伊地知とイイカンジ』と勘違いしていると思う。罪な女である。

この作品で好きな組み合わせは?

  • 後藤ひとり・石塚太吾
  • 伊地知虹夏・柊俊太郎
  • 山田リョウ・海野敦
  • 喜多郁代・皆実彩人
  • 廣井きくり・高清水律志
  • 伊地知星歌・天海恭弥
  • 大槻ヨヨコ・大河内頼光
  • PA・マスター
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