NTRという言葉を、聞いたことがあるだろうか。相思相愛のカップルの片方が、他の男女と関係を持ち、そのまま奪われてしまうことを言う。寝取られ、もしくは寝取りを表す語だ。場合によっては、片思いの相手が、他の男、もしくは女に取られることを指すこともある。また、この場合はBSS(僕が先に好きだったのにの略)と称される。恐ろしいことに、有名作品でも時折メインヒロインが別の男とくっついてしまう作品があることもある。NTRされた側の心情は計り知れない。どれだけ無念だっただろうか。どれだけ絶望しただろうか。どれだけ後悔に苛まれただろうか。『NTR』はこの世に存在してはいけない概念なのだ。許してはおけない。そう考えた人物達がいた。
それこそが、『NTR強制ンンン阻止の会』だ。NTRされようとしている者を、現実世界、異世界、バーチャル世界問わずに救う英雄達。これは、その英雄達のちょっとした活躍の物語である。

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NTR強制ンンン阻止の会

 

 

NTRという言葉を、聞いたことがあるだろうか。

 

 

 

相思相愛のカップルの片方が、他の男女と関係を持ち、そのまま奪われてしまうことを言う。寝取られ、もしくは寝取りを表す語だ。

 

 

 

場合によっては、片思いの相手が、他の男、もしくは女に取られることを指すこともある。また、この場合はBSS(僕が先に好きだったのにの略)と称される。

 

 

 

恐ろしいことに、有名作品でも時折メインヒロインが別の男とくっついてしまう作品があることもある。

 

 

 

NTRされた側の心情は計り知れない。

 

 

 

どれだけ無念だっただろうか。

 

どれだけ絶望しただろうか。

 

どれだけ後悔に苛まれただろうか。

 

 

 

『NTR』はこの世に存在してはいけない概念なのだ。

許してはおけない。

 

 

 

そう考えた人物達がいた。

 

 

 

それこそが、『NTR強制ンンン阻止の会』だ。

NTRされようとしている者を、現実世界、異世界、バーチャル世界問わずに救う英雄達。

 

 

 

これは、その英雄達のちょっとした活躍の物語である。

 

 

 

 

 

 

 

 

人気の少ない路地裏で、髪を金色に染めたチャラ男が、黒髪の少女を脅迫していた。

 

 

「この動画を、彼氏に見せられてもいいのか?」

 

 

「お願い…………やめて………」

 

 

「だったらわかるよなぁ?」

 

 

「そこの君、何をしているんだ!」

 

 

「あぁん? なんだお前」

 

 

「私は『NTR強制ンンン阻止の会』だ!」

 

 

「は?」

 

 

「恋人のいる女性に無理やり関係を迫るとは……これは許される行為ではない! くらえ! 純愛ビーム!!」

 

 

「うわぁぁぁああああ!」

 

 

「え? え? な、何?」

 

 

「はっ! 俺は今までなんてことを…………! あぁ……あぁああああああ」

 

 

「純愛ビームを食らった人間は、『NTR』を絶対に許せない究極の純愛人間と化す。この男は、そんな純愛ビームを食らってしまった。どうやら、純愛人間と化したせいで、今まで自分が寝取ってきた女性のことを思い出して、脳破壊されているようだな」

 

 

NTR回避!! やったね!!

 

 

 

 

 

 

「くらえ! 催眠!」

 

 

「え? きゃあ!」

 

 

「でゅふ……君、可愛いね………か、彼氏くんに申し訳ないなぁ……こ、こんな可愛い子を、ぼ、ボクが……でゅふ……………」

 

 

「そこの君! 何をしているんだ!」

 

 

「ちっ! 目撃者か……で、でも、この催眠攻撃があれば……」

 

 

「純愛ビーム!」

 

 

「ば、馬鹿な…催眠が効かない!? うっ、ぶひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

 

 

「純愛とは、心の奥底から、相手を思いやり、愛する心からしか生まれない。汚れた下心や、下衆な欲望から生まれることなどないのだ! いくら催眠とは言え、それは所詮偽り。真の純愛の前では、催眠すら無意味なのだ!」

 

 

「あ、あれ?私今まで何して………」

 

 

NTR回避!! やったね!!

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい、本当にいいのかよ?」

 

 

「別にいいわよ、あんなもやし、もういらないもん」

 

 

「へへっ、言えてるぜ」

 

 

「許せないな……………」

 

 

「うわっ、全身スーツの変態がいる……ドン引きなんですけど」

 

 

「変態なのは貴様らだ! くらえ! 純愛ビーム!!」

 

 

「「わぁあああああ」」

 

 

「はっ! 彼氏持ちの女性をナンパするなんて………俺はなんてことを……………申し訳ないことをした。すまなかった」

 

 

「いえ。私も、彼を裏切ろうとしたわけですし…………あぁ……今すぐもやしくんに謝りに行かなくちゃ……」

 

 

「え、普段からもやし呼びなの?」

 

 

「? ええ。そうだけど?」

 

 

「ふむ。彼女の中には、おそらく、交際を始めた時にはまだ『純愛』が心の中に残っていたのだろう。しかし、交際を続けていくとやはり上手くいかない時期はある。ちょうどその時期で、『純愛』の心を忘れてしまっていたのだろう。純愛ビームによって、彼女の中にある『純愛』が、再び産声をあげたのだ!」

 

 

NTR回避!! やったね!!

 

 

 

 

 

 

妖艶な女性に拘束されるイケメン男性が一人。飲み会で睡眠薬を盛られ、眠っているうちに、家に連れ込まれ、拘束されてしまったのだ。

 

 

この女、上司を魅了して味方にし、上司の協力も得ながら男を部屋に連れ込んだのだ。

 

 

「ねぇ、いいじゃない、ちょっとくらい。彼女さんにバレなきゃいいんだから」

 

 

「や、やめてくれ、頼む、こ、こんなことしても、俺の心は揺るがないぞ…! か、彼女を裏切れないからな!」

 

 

「なんと恐ろしいことを…………こんなことを行うなど、恥を知れ!! くらえ! 純愛ビーム!!」

 

 

「きゃあああああ!」

 

 

「なんと恐ろしい女だ。この女、人の男をNTRことでしか人生に生きがいを感じることができなかった女らしい。しかし、これからはそうではない」

 

 

「はっ! 私は今まで、何を………あぁ……純愛の素晴らしさに気がついたわ!! そう! 私の人生の生きがいは純愛! 純愛こそ正義よ!!」

 

 

「よ、よくわからないけど、早く拘束を解いてくれませんか?」

 

 

NTR回避!! やったね!!

 

 

 

 

 

 

 

 

魔王に挑み、負けた勇者パーティ。勇者は地面に倒れ伏しながら、魔王に捉えられてしまった聖女を見つめている。

 

 

「クックック! 余の子種をくれてやろう」

 

 

「ほ、ほんとうに私が身体を差し出せば、勇者様達の命は見逃してもらえるのですね?」

 

 

「そうだ。尤も、二度と余に逆らわぬように、魔封じの首輪を取り付け、牢屋に監禁した上での生だがな!」

 

 

「なんということだ! 別に魔王に世界が征服されようと私には関係ないが、NTRだけは許せん! くらえ! 純愛ビーム!!」

 

 

「はっ! 余はなんということを…………NTRなど、許される行為ではない。死をもってして償わなければ………!」

 

 

「えっ! あ、あの別にそこまではしなくても……」

 

 

「いや、余は死ぬべきだ! NTRなどに手を染めてしまった時点で、余に地上を支配する資格などない!」

 

 

「いや、いくらなんでも自殺だなんて」

 

 

「死力を尽くして挑んだ魔王の最後が自殺とか笑えないからやめてくれ…………」

 

 

「うむ、よくわからんが、NTRが回避できたからヨシっ!」

 

 

NTR回避!! やったね!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「オレのもんになれ」

 

 

「や、やめてくれ、俺には美優がいるんだ……」

 

 

「関係ない……! オレがどれだけお前のことを想ってきたか!!」

 

 

「困った………これはどちらも紛れもない純愛だ。NTRは許せないが、彼の純愛は………うーむ………」

 

 

「何を言ってるんだ『NTR強制ンンン阻止の会』のおっさん。いくら純愛であろうと、NTRは許されるべき行為じゃないぜ」

 

 

そう語るのは、かつて黒髪の少女をNTRしようとした金髪のチャラ男だ。現在は髪を黒に染め、純愛を大切にしながら真面目に生きている。

 

 

「『NTR強制ンンン阻止の会』のお方。私ももやしくんがもし男にNTRされたらと思うと、考えるだけで脳破壊されそうでたまりません。いくら彼が純愛の心を持っていようと、NTRは許される行為ではありません」

 

 

「その通りです。おれも最近は本当に好きになった人にしかアタックしなくなりましたが、その人に恋人がいた場合は、潔く身をひいています。NTRは、許してはいけません」

 

 

そう語るのは、かつてナンパ師にナンパされ、その誘いに乗ってしまった、彼氏がもやしくんの女性と、その女性をナンパしていた男だ。

 

 

女性は例のもやしくんと結婚をし、子供を2児持つ母親として、夫婦仲慎ましく生きている。

 

ナンパ男は、未だに彼女を作れてはいないが、今までナンパに使っていた時間を有意義に使い、人生を豊かにしている。

 

 

「その通りよ。相手を縛り付けて無理やりだなんて、間違っているわ」

 

 

元ナンパ師の隣で、妖艶な、かつては好いていた男を睡眠薬で眠らせ、NTRしようとした女がそう言う。

 

 

「余も同意見だ。NTRを行うくらいなら死んだ方がマシだ!」

 

 

そう語るのは、頭に二つのツノを生やした魔の王、魔王だ。

 

 

「そうか! そうだ! NTRは許される行為ではないんだ! しかし…………彼のこれは間違いなく純愛…………これでは純愛ビームは効かない…………どうすれば………」

 

 

「ふっ、ボクの出番のようですね………」

 

 

「き、君は…!」

 

 

「そう、ボクです。ボクの催眠で、彼の心から恥ずべき『NTRを行おうとする心』を失わせます。これならば純愛ビームでなくとも、NTRを回避することができます」

 

 

「くっ、済まない! 頼む!」

 

 

「了解です。くらえ! 催眠!」

 

 

「オレはお前が……‥あぁ………好き………だったんだ…………」

 

 

「…………そうか、でも、俺にはもう愛する人がいるんだ」

 

 

「そうだったな。オレはもうあの時既に負けていたんだ。諦めが悪かったよな。美優が選ばれて、オレが選ばれなかった。ただそれだけの話だったんだ。押し倒してすまなかった。オレのことは忘れて、美優と幸せになってくれ………」

 

 

「くっ、NTRは回避されたが、この展開はまるでNTRそのものではないか…………救われない……‥」

 

 

「あーでもなんだ、その、お試しで付き合ってみてもいいぞ」

 

 

「………は?」

 

 

「いや、恥ずかしいんだけどさ、美優っていうのは、その……画面の中の彼女で…………」

 

 

「そうか………つまり…………オレにもまだ脈はあるんだな……?」

 

 

「え、いや、まぁ、多少は……」

 

 

「絶対落としてやるから、覚悟しとけよ?」

 

 

「は、はい」

 

 

二人のそのセリフを聞いて、周りにいた者達が盛大に拍手をする。

 

 

「カップル成立だな。おめでとう」

 

「私ともやしくんの方が愛し合ってるけど、貴方達の愛も中々いいと思うわ。おめでとう」

 

「なるほど、男同士もありだな。おめでとう」

 

「私も、女の子にアタックしてみてもいいかもね。おめでとう」

 

「余は男色の気はないが、男同士というのも悪くない。おめでとう」

 

「でゅふ、催眠もたまには役に立つものだね。おめでとう」

 

 

二人は男同士であるため、この先様々な苦難を歩むことになるのだが、それでも二人の純愛さえあれば、どんなに強力な壁も乗り越えることができるだろう。

 

 

NTR回避!! やったね!!

 

 

 

 

 

 

 

こうして今日も、『NTR強制ンンン阻止の会』は暗躍する。

 

君が誰かをNTRしようとする時、きっと『NTR強制ンンン阻止の会』は現れるだろう。

 

しかし恐れることはない。

 

NTRをしなければ、『NTR強制ンンン阻止の会』は出動しないのだ。

 

心に秘めたる純愛の心を持って、恋人と接すること、それこそが大切だ。

 

「とう!」

 

ほら、やっぱり今日も、出動してる。

 

「NTRは阻止する!! くらえ! 純愛ビーム!」




冷静に考えて純愛ビームってただの洗脳だよね。怖。

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