気になる人を曇らせたいオペレーター日記   作:朝起きるのが嫌い病

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第1話

■月◇日 晴れ

 

俺はある欲求を抱えている。最近はそれが顕著になってきたので、発散するという意味でここに書き記す。

 

俺には気になっている人がいる。天使よりも美しいその女性の名はケルシ―、ロドス・アイランドの医療部門のトップだ。

第一印象は良くなかった。何だこの愛想のない話がクソ長くて無表情女は?透かしやがってこの野郎と思っていた。

 

しかし、いつの間にか毎日ケルシ―に会わないとテンションが上がらないくらい気になっていた。なんだかんだ世話を焼いてしまうところも、かなりツンデレな所も、感情を表に出さない所も、時々あり得ないくらいの激情をちらつかせるところも、服装がエロい所も、なんだかんだ重いところも好きなんだけど………

ある時、とあることを思ったのが決定打だった。

この女曇らせて泣かせたいなーって。

 

ケルシ―はおそらく過去に執着していた相手がいたのではないだろうか。俺を見ているようで違うところを見ている気がする。それが気に入らない。目の前にあるのに手に入らない物とはこうも心を乱すのか?それともあなただけが特別なのでしょうか?まあ、とりあえず俺ことアポピス・ギルティはケルシーを曇らせて泣かせることを目標に掲げたのだった。

 

 

■月◇日

 

俺が所属しているロドスは表向き、製薬会社であり致死率100%にして完全な治療法が現時点で無い感染症オリパシーの治療を目的とした研究を続けている。また感染者の治療と保護も行っており、様々な地域や種族からロドスに身を寄せる感染者が数多く所属している。

色々なやつがいると仲良くできる奴、できない奴がいるわけで今日出会った小娘は仲良くしたくはない人間だった。俺はウサギ耳の女とはウマが合わないのかもしれない。

そもそも、俺転生者であるので精神年齢が他の人よりは高いわけである。まあ、前世の記憶とか殆どないけど。

 

■月◇日

Aceさんにはよくお世話になる。1か月の内、任務が入っていない時間の三分の一はこの人に愚痴を聞いてもらうか、戦闘訓練をしてもらう。

この間もボロボロになった俺を治療するハイビスを尻目に、医療部門の可愛いスタッフについて語り合った。あの時はAceさんだけでなくアンセルやスチュワード、ソーンズ、キアーベなんかもいたが意外とバカ話に花が咲いてしまいアンセルが何故男なのかについての議論が白熱しケルシーに怒られてしまった。いやまあ、俺が悪いんだけどさ。

 

■月◇日

 

Aceさん、最強生物説を推したい…。俺、アーツ使ってるんだよ?あなたの部下のブレイズを初見殺しとは言えボコボコにしたアーツだぞ?何で俺がボコボコにされてるんでしょうか。

 

 

■月◇日

 

ケルシーを曇らせるかつ涙を流させたい。そのために必要なのは好感度と俺の消失。ケルシ―に俺を刻み付け、過去の幻影には勝てなくても大きな爪痕を残す。そして、任務で俺が凄惨な最後を遂げる。きっと、これで泣いてくれる。そう安易な作戦を立てた俺は準備を始めた。

 

ケルシ―の好感度だけど、そこまで低くはないと思う。こちらから好き好きアピールをしているため、向こうも意識を向けてはいる。ここは地道に稼ぐしかないだろう。ただ、やはり正確な好感度を知っておく必要があると思う。っというわけで一度死にかけるとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アポピスが今回請け負った任務は行方不明となったオペレーターの捜索であった。とある物資の輸送を請け負っていたオペレーターが消息を絶っていた。

 

「そんなわけで俺はやっとケルシ―先生の髪を結わせてもらう権利を勝ち取ったわけです。わかります?この全能感」

 

「任務中なので緊張感のない話題はやめてください。仮にもエリートオペレーター何ですから」

「今回はAceさんいないんですよ?緊張感持って」

「アポピスの年齢ってアーミヤさんと変わらないんでしょ?手のかかる子供扱いなのでは?」

「我々から見てもまだ子供ですからね」

 

アポピスとその部下たちが歩きながら談笑していた。アポピスはロドスの中では古株であり、その実力を買われエリートオペレーターとして任務をすることが多かった。

 

部下には伝えていなかったが、アポピスは今回の任務はかなりきな臭いと感じている。数週間後に、ドクターと呼ばれるロドスの指揮官を探しに行くという計画がありその前調査を行っていた同僚が言うにはチェルノボーグ辺りで何やら不穏な噂があるそうだ。

 

そして、消息を絶ったオペレーターの最後の連絡地点がチェルノボーグ近郊。ウルサス政府の動きも不穏だし、面倒だなとアポピスは感じていたが不安はなかった。

 

アポピスは自身のアーツを何よりも信頼しているからである。誰にも話してないが、アポピスはまったく性質の異なるアーツを2つ持っていた。それが転生者由来の力だと何となくアポピスは感じていた。

 

一つは不可視の力場を作る能力。壁を貼ることも不可視のエネルギー弾を放つこともできる。この能力はロドスのメンバーには広く知られており、彼が優秀と言われる所以でもある。汎用性が高く初見殺しに適した能力である。もう一つのアーツは自己蘇生。自身が死んだときに発動し、死後数時間以内に死因が消失した状態で復活する。

 

このアーツがあるため、アポピスは基本的に恐怖を抱いてはいなかった。仲間は一つ目のアーツで守れるし、自分は二つ目のアーツで死なないからである。

 

この慢心は、たった一人の少女によって打ち砕かれることになる。冷気を纏ったウサギ耳の少女によって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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