黒崎一護は救世主を待ち望んでいた   作:朱音

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BLEACHと世界観を共有した久保先生の作品BURN THE WITCHのネタバレが含まれます
ご注意を。
ですがこれから先バーンザウィッチ要素はほとんど出ませんので知らなくても大丈夫です。



黒崎一護の影響で完現術者たちに少しだけ性格の変化が見られます。


鬼道

 黒崎一護は厳密には黒崎一護ではない。

 とんちのような言葉遊びに聞こえるだろうがそれは事実だ。

 彼は黒崎一護が生まれた瞬間に、別世界で生きた■■■■■の記憶と意思を植え付けられた、名称不明のナニカである。

 俗な言葉で表すとすれば『憑依転生者』といったとことか。

 

 無知というにはある意味幸せなことであると■■■■■は語る、『何故霊王は四肢をもぎ取られたのか』『何故銀城空吾は死神を忌み嫌うのか』『何故自分に中には死神と滅却師の力があるのか』『これからなにが起こるのか』彼は生まれた時から知っていた。

 

 彼は自らの既知を呪った、何も知らなければ愚鈍なまま逝くことができたんじゃないかと呻いた。

 「ああ、でも死んでも流魂街に行くのだから、霊王のスペアにされるのだから意味ないか」そう呟いて彼は絶望した。

 

 されど彼は銀城空吾に出会った、それは彼の分岐点。

 そして世界の分岐点。

 

 黒崎一護(原作主人公)の一人称は俺である/■■■■■の一人称は僕である

 

 黒崎一護は自らを死神代行と称した/■■■■■は自らを完現術者と称した

 

 黒崎一護は国語が得意だ/■■■■■は数学が得意だ

 

 黒崎一護は母親を亡くした//■■■■■は主人公を失くした(殺した)

 

 黒崎一護は銀城空吾を殺した/■■■■■は─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「破道の四『白雷』・・・・・・命中」

 

 とある山奥にて黒崎一護は鬼道の調節に勤しんでいた。

 彼は思考する、『黒崎一護の魂自体の才能はすごいんだから、訓練すれば僕の鬼道を使えるようになるのでは?』。

 そして彼は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を用いることで、たった数年間で多くの鬼道を扱えるようになった。

 

 「はっきりいって僕に本物の黒崎一護ほどのパワーはない。斬魄刀を用いた近接での戦闘では一歩劣ると思う。ただ微細な霊力コントロールならまず間違いなくこっちの方が上ってとこかな。と、ここで元死神代行からの冷静な評価が聞きたい────どう思う?空吾」

 

 彼が振り向いた先にいたのは元死神代行銀城空吾、裏切られし完現術者。

 

 「ま、及第点ってとこだろ。才能と霊圧でゴリ押してるだけで術の繊細さには欠けるってのが正直な感想だ。ただまぁこの前よりは大幅に上手くなってるな」

 

 「うーん、かなり霊力コントロールに気を使ったんだけどなぁ」

 

 ポリポリと頬を掻きながら黒崎は苦笑いを浮かべた。

 彼なりの自信はあったのだろう、少なからずショックを受けているのがわかる。

 ただ銀城空吾は黒崎以上に死神を見続けてきた、彼の評価は適切だ。

 

 「・・・・・・そういえば僕らがあった日に空吾が使った鬼道も白雷じゃなかったっけ」

 

 ふと、思い出す。

 あの日のことを、前世の記憶に耐えられずに家を抜け出した時のことを、

 

 「ああ、はっきり覚えてるぜ。泣きながら霊圧を垂れ流しにしてるお前のこと。あの頃は純粋で可愛いやつだったんだけどなぁ」

 

 「あの時はまさかここまで俺の人生にお前が関わってくるとは思ってもいなかったな」と付け足して便乗はくつくつと笑みを浮かべた。

 さしずめ思い出し笑いといったところだろうか。

 

 「もしかして僕がケータイの使い方わからなかった時のこと思い出してる?」

 

 「いいや、虚の擬似餌の漫画に釣られた時のことだな」

 

 「ガチめにヤバい失敗掘り返さないでくれ。あれはマジで恥ずかしい」

 

 懇願するような様子の黒崎一護、どうやらかなりの黒歴史なのだろう。

 

 「そういえばケータイの使い方がわからいから月島に聞いてた時もあったな、懐かしい」

 

 「前世ではみーんなスマホだったからさぁ、中学生の僕でさえスマホ持ってたんだぜ?」

 

 前世、彼がそれを開示したのはたった二人。

 月島秀九郎と銀城空吾、いずれも完現術者。

 自らがBLEACHという漫画を知っているとカミングアウトした黒崎、それが銀城に受け入れられた理由はいくつかある。

 

 それまでに築いた信頼と友情、黒崎一護がこの世界を現実として捉えているということ(もしも彼が銀城をキャラクターとして見ていたなら彼は銀城に斬られていただろう)

 原作知識とは違うことが起こったため、銀城も黒崎自身も漫画の世界ではなくよく似た異世界だと認識していること。

 黒崎に挟み込んだ月島の証言などなどなど。

 

 銀城空吾は覚えている、『もし僕が気に入らないなら、この世界について好き勝手いうのが癪に触ったら、好きに斬ってくれて構わない。絶望の中から僕を救ったのは空吾だ、だから僕はBLEACHについて空吾に話すし、殺されたっていいんだ』

 

 その時にはとっくに銀城空吾の中で、黒崎一護は大切な仲間のカテゴリーに入れられてた。

 だからこそあまりに馬鹿馬鹿しい妄言を、黒崎の全てを信じることにしたのだ。

 前世関係なく改めて黒崎一護を仲間として迎え入れたのだ。

 

 「ああそうだ、一つ見てくれよ空吾。僕も初めて使う術だから成功するかわからないけど」

 

 少しばかり昔の思い出に浸っていた空吾は、黒崎の言葉で現実に引き戻される。

 

 「新技?お前使ったことない鬼道とかあったか?それとも噂に聞く裏破道か?」

 

 疑問に思いつつも少し離れて見守る。

 

 「指の先」

 

 詠唱が始まる。

 

 「声の鋒」

 

 聞いたことのない詠唱に少しだけ困惑する銀城、彼の死神代行生活の中でそれを耳にしたことはなかった。

 

 「リベンジャー・ジョーの鉄の錠」

 

 いや、鬼道に使われるのは基本的に日本語の中でも漢字ひらがな。カタカナが使われているのは一部の例外だけだ。

 銀城の中で疑問が膨れ上がり、点と線が繋がる。

 

 「マジかよ」

 

 「五条三鎖を連ねて静寂」

 

 ソウル・ソサエティは日本の虚を倒すために存在する。では海外には虚の類は存在していないのか?

 否、それは存在する。

 ドラゴンと名を変えて。

 

 「笛の音色で眼を潰す!マジック#31!ブルー・スパーク!・・・・・・クソッ、なにも出ないか」

 

 「残念、流石に一発は無理だろ。しっかしそれが話に聞くリバース・ロンドンで使われてる術か、全く詠唱のセンスは似通ってるな」

 

 「いいセンスだよね。カッコいい」

 

 「たまにお前思春期特有の病にかかるよな」

 

 黒崎がカッコいいもの好きなのは周知の事実だ。

 

 「で、滅却師と虚と死神と完現術者の力を持ってなおそれ以上の力を望むのか?魔法を手に入れたいのか?」

 

 別に真剣な疑問ではない、答えはなんでも彼にとっては構わない。

 単に少し気になってただけだ。

 他愛もない世間話、それと似たようなもの。

 

 「あったりまえじゃん。力があって困ることはないよ。だって───

 

 

 

 

 

 ─────────僕の敵は護廷十三番隊全員だぜ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 毒ヶ峰リルカにとって来栖朱音というにはよくわからない存在である。

 幼少期の経験と()()()()()()()により、彼女自身も自らが社会にとって異端であることを理解している。

 自分が近寄りがたく、難儀な性格をしていることも理解している。

 それを変える気は全くないが。

 だからこそ出会って一日も経っていないのに、好意を隠そうともせず友達になりたいと言ってくる少女のことが、ほんの少しも理解できなかったのだ。

 けれども悪い気はしなかった、むしろ気分が良かった。

 久しく浴びていない混じり気のない好意、XCUTIONのみんなから向けられるのとはまた別種のもの。

 

 「まぁいいわ、同じ完現術者のよしみであたしが友達になってあげる」

 

 こんな場末の高校に完現術者が何人もいて、更に新しい完現術者が転校してくるとは思ってもいなかった。

 だが毒ヶ峰リルカは完現術者人口を知らない、そこまで希少なものだとは体感として薄々気づいていても実感は無かったのだ。

 だからさほど不自然には思わなかった。

 

 「見たところ霊圧の扱い方も知らなそうだし教えてあげるわ」

 

 最初に出会った時の雪緒の霊圧と似ていた、量も質も全然違うがどこか似ていた。

 銀城に言わせれば未熟な霊圧といったところだろう。

 故に毒ヶ峰リルカは来栖朱音は霊圧の扱い方を知らないんじゃないかと思ったわけだ。

 だからめんどくさくない範囲で教えてやろうかと彼女は考えた。

 

 「感謝しなさい、そして感謝の気持ちの表れにあたしにドーナッツ奢りなさい!」

 

 純粋な好意、嬉しかったが少しだけ恥ずかしかった。

 だからこれは照れ隠し、ほんのちょっとの心の仮面。

 

 

 

──────────────

 

 

 

 

 

 

  

  

 




あくまでオリ主は来栖朱音です
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