竜真side
「それじゃあ、イッセーくん。僕らの仇敵である天使の最高位の名とそのメンバーを答えてくれるかい?」
修行一日目が終わり、二日目の午前は勉強会をしていた。まだ悪魔の知識が足りない俺とイッセーとアーシアさんに色々教えてくれている。
今は祐斗がイッセーにちゃんと覚えてるか確認している。
「えっと、<
「正解。それじゃあ次に、僕らの王である<
「魔王様なら任せろ! いずれ出世してお会いする予定だからな! ちゃんと覚えたぜ! ルシファー様、ベルゼブブ様、アスモデウス様! そして憧れの女性魔王様であるレヴィアタン様!」
「正解」
「絶対レヴィアタン様に会ってみせるぜ!!」
「わかったから静かにしろ」
「おぶっ!?」
うるさかったので腹に拳を叩き込んで黙らせる。
「えっと、それじゃあイッセーくんが再起不能になっちゃったから、堕天使の組織とその幹部は竜真くんが答えてくれるかい?」
ようやくか。さっきから答えたくてうずうずしてた。
「ああ。まず、組織の名前が<
「正解。ちゃんと全員言えてよかったよ。日本と近隣諸国の首相や大臣の名前を覚えるのと同じような基本事項だからね」
「ゑ?」
「え?」
祐斗と顔を見合わせる。俺、そんなに首相や大臣の名前覚えたことないんだが…。
「ま、まあいいじゃねぇか。それより、次はアーシアさんの授業だろ。しっかり聞こうぜ。つーわけで、さっさと起きろイッセー」
前のめりになってる背中をはたく。スパン! といい音が鳴った。
「ふげ!? ――はっ!? 俺は何を!?」
「おはようイッセー。これからアーシアさんの話が始まるぞ」
「っ、マジか!? サンキュー竜真!」
よし、忘れたまま押し通せた。
「えー、では、僭越ながら私、アーシア・アルジェントが悪魔祓いの基本をお教えします」
アーシアさんがいつの間にか前に出ていた。
俺たちは拍手をすると、顔を赤くしてしまった。反応がかわいいな~。……こんなにいい娘がなぜイッセーに。
「!? な、なんか寒気が…」
勘がいいじゃねぇか、この野郎。
「え、えっとですね。以前、私が属していたところでは、エクソシストには二種類ありました」
「二種類? 種類があるのか?」
「はい。一つは映画でも出てくる表のエクソシストです。神父様が聖書の一節を読み、聖水を使い、人々の体に入り込んだ悪魔を追い払うものです」
まあ、そんなものだろうと思ってた。
ただ、映画はダメだ。三百六十度首回転はトラウマだ…。
「そして、皆さん悪魔にとって脅威となるのが裏の悪魔祓いです」
「裏ってことは、あのキチガイ神父と似た奴か?」
「それもいるけど、はぐれでなくても私たちを殺そうとする悪魔祓いはたくさんいるわ。神や天使に祝福されたエクソシストよ。彼らとは裏舞台で長年にわたって争ってきたわ」
はぐれとはいえ、あいつも全体から見ればまだ下の方だろう。
エクソシストの上位にいる奴らは一体どれだけ強いんだろうか?
「では、聖水や聖書の特徴をお教えします」
考えごとをしてる内に次の話が始まっていた。
見てみると、アーシアさんがバッグからたくさんのものを出していた。
「まずはこの聖水です。悪魔が触れると大変なことになりますので、絶対に触らないようにしてください」
水の入った小瓶を持ちながら言う。やっぱり焼けるのだろうか?
「アーシアも触っちゃダメよ。あなただって悪魔なんだから」
「あうぅ、そうでした…。私もう聖水を触れません……」
アーシアさんはまだ悪魔になったばかりでショックが大きいみたいだな。今ので少し落ち込んでしまった。
「次は聖書です。小さい頃からずっと読んでいました。ですが今では一節でも読むと激しい頭痛が起きてしまいます……」
「悪魔だもの」
「悪魔だからね」
「悪魔ですから」
「……悪魔」
「うふふ、悪魔は大ダメージ」
一名を除いた全員からツッコミを受けたアーシアさんは涙目になった。
「でもでも、ここは私の好きな部分なんですよ! ――あう! やっぱりダメです…! 主よ、聖書を読めなくなった私をお許しに――あう!」
無理に聖書を読もうとしてダメージを受けるアーシアさん。
とりあえず、放っておいたら自分で自分を浄化しかねないので止めよう。
――――――――――
………ん? 寝ていたが、ふと目が覚めてしまった。
外を見るとまだ暗い。夜中に目を覚ますことってあるよな?
再び眠りにつこうとするが、リアスさんに聞きたいことがあったのを思い出したので、起きることにする。
起きて気づいたが、隣のベッドで寝てたはずのイッセーがいない。あいつも起きたのか? 念のため確認したが、祐斗はちゃんと寝てた。
なるべく音を出さないように部屋を出る。とりあえず、リビングに向かうか。
「どう……部ちょ……ライザ……結婚…………すか」
リビングが近づいてくると、微かにイッセーの声が聞こえてきた。
俺は早足でリビングの壁際に張り付いて、リビングを覗く。すると、イッセーとリアスさんが机を挟んで座り、何やら話していた。
「……私は<グレモリー>なのよ」
「え?」
「私はどこに行ってもグレモリーの名がつき纏ってしまう。リアスという前に、グレモリーの娘として見られてしまうの」
……なるほど。さっき聞こえたライザと結婚という単語。でもって今のリアスさんの言葉からして、イッセーがリアスさんになんでライザーとの結婚を嫌がるのかとでも聞いたんだろう。
「私は一緒になる相手には、グレモリー家の娘としてではなく、リアスとして愛してほしい。それが、私の小さな夢。残念だけど、ライザーは私をグレモリーのリアスとして愛してくれてる。それが嫌なのよ」
なるほどな。優秀な家系に生まれてしまったからこその悩みか。
まあ、そうでなくてもあのフライドチキン野郎の嫁になるのは嫌がりそうだが。
「俺は……。俺は部長のこと、部長として好きですよ」
そんなイッセーの声が聞こえ、自然と思考を停止した。
「グレモリー家のこととか、悪魔の社会とかよくわかりませんけど、俺にとってはリアス部長はリアス部長です。俺はいつもの部長が一番です!」
……あいつ。意外とハーレム王になれるかもな。あいつは根は本当にいい奴だ。無意識の内に相手の心を掴むようなことをサラリと言ってしまう。
その証拠に、リアスさんは今の言葉を聞いて顔を真っ赤にしている。これならあいつの夢も必ずしも幻想では――
「ぶ、部長? どうしました? 俺なんか変なこと言いました?」
「な、なんでもないわ!」
――ないと思ったが無理な気がしてきた。
あいつもしかして鈍感か? よくよく考えれば、アーシアさんはどう見てもイッセーのことが好きなのに、あいつは気づいた素振りを全く見せない。
それこそアーシアさんが自分のことを好きと聞いたら発狂するくらい喜ぶはずなのに……。よくあんな鈍感でハーレムハーレム口にできたな、おい。
「……部長、俺、ダメです。此処に来てから……てんでダメっス」
先程の声とは違い、沈んだ声を出すイッセー。
「確かに皆と修行してて強くなれてるような気はするんですけど、それ以上に皆との差を感じちゃいました…。皆はぐんぐん成長してるのに、俺は何もできなくて……。<赤龍帝の籠手>があるからって、強がってました。でも、この数日で自分が一番弱いって、役立たずだって、わかっちゃったんです……。どれだけ凄い神器を持っていても使う俺がこんなんじゃ、全く意味がないんだって。なのに俺は浮かれて……本当、バカみたいですよ…!」
イッセーはそう言いながら、大量の涙を流していた。確かに、イッセーの言ってることは大体当たってる。
だが、それをカバーできるようにリアスさんが鍛えてることに、あいつは気づいていない。それに気づくかせることができれば自信を持てるんだが……。
そんなことを考えながら視線を戻すと、リアスさんがイッセーを優しく抱き寄せていた。
「自信が欲しいのね。いいわ、あなたに自信をあげる。ただ、今は少しでも体と心を休ませなさい。眠れるようになるまで私が傍にいてあげるから」
そう言いながらリアスさんはイッセーの頭を何回も撫でた。イッセーもリアスさんの優しさを素直に受け止めていた。
……やれやれ。こうして見ると結構お似合いで嫉妬しちまうな。
――――――――――
あれからしばらくして、ようやく落ち着いたイッセーは恥ずかしそうにリアスさんから離れ、早足で部屋に戻って行った。
リアスさんは少しの間イッセーの歩いて行った方を眺めていた。ときめいてるところ悪いが、そろそろ声をかけさせてもらおう。
「イッセーはいい奴でしょう?」
「きゃっ!?」
気配と音を完全に消して背後から声をかけると、リアスさんはかわいい悲鳴を上げた。
「た、竜真!? 脅かさないで!」
「いやー、すいませんね。ついイタズラ心が…。にしても、リアスさんも結構乙女ですね。さっきの話然り、悲鳴然り」
「……き、聞いていたの?」
「オフコース!」
サムズアップと笑顔のセットで応える。リアスさんは顔を赤くする。にしても、美女の赤面というのは結構いいね。
「ほ、他の皆には黙ってなさいよ!?」
「それは先程の話のことですか? それとも、イッセーにときめいたことですか?」
「………!!」
更に顔を赤くするリアスさん。からかいがいがあっておもしろいね。
俺はさっきまでイッセーが座っていた席に座る。リアスさんも同じように対面の席に座った。
「冗談ですよ。誰にも言わないから安心してください。そんなことより、リアスさんにいくつか質問したいことがあるんですが、いいですか?」
「そんなことで済まされるのは困るけど………いいわ。これ以上追求したら余計にからかわれそうだし」
よくわかってらっしゃる。
「それで? 質問って何?」
「今回戦うライザーさんのことですが…。フェニックスという名前。そして炎を使うということは、ライザーは伝説の聖獣、フェニックスと同じ能力を持っている。即ち、不死身なのでは?」
「竜真、あなた話を聞いてたんじゃなかったの?」
今の言い方からすると、もしかしてさっきイッセーと同じことを話したのか?
「俺が聞き始めたのは、リアスさんがライザーとの結婚を嫌がる理由を言ったところからです」
「そう、なら聞いてなくても仕方ないわね。…その通りよ。ライザーは不死身よ」
「はあ、やっぱりそうなんですか……」
勝率が一気に下がった。
「確かレーティングゲームはチェスと同じで<王>を取れば勝ちなんですよね?」
「ええ。ちなみに<王>に
「まあ、どっちにせよ相手の<王>を追い詰める必要がありますがね。でもそうなると、倒す方法は限られますね…」
「あら? 竜真はどうすれば勝てるかわかってるの?」
「わかっていても実行はできませんが……。一つは再生する暇すら与えずに跡形もなく消し飛ばす。もう一つは痛めつけて精神を殺す。まあ前者は相当な力がないと無理でしょうし、後者はとりあえず身動きができないようにしないと無理ですから実行には移せませんね」
後者なら確実にやってのける自信があるんだがな…。
「……何か怖いこと考えてない?」
「気のせいです。下僕の方は今の俺たちでも充分相手取れると思いますけど、肝心の<王>を倒せないんじゃ勝つのは相当厳しいですね…」
「ええ、正直言うと、この勝負は初めから勝てないように仕向けられていたのよ」
そんなにリアスさんとライザーを結婚させたいのか。………本当、こういう本人の意思を無視して強制的に何かをさせるのはかなりムカつくな。
あと、一つ訂正しておかないとな。
「リアスさん。一つ、間違えてますよ」
「え?」
「今、勝てないようにと言いましたよね? 俺は一度も勝てないと言った覚えはありませんよ?」
「でも、勝つのは相当厳しいって――」
「この世の確率に、百と零はない。それが俺の信条なんです。確率がいくら低くても、零ではありません。一以下だろうと、確率は残っているものです。少しでも確率があるのなら、俺は全力で勝ちを取りにいくだけです」
だから格下の相手との戦いでも油断は絶対にしない。
……え? レイナーレに刺されたって? あ、あれは動揺してたから(ry
「……どうして、そんなに前向きに考えられるの? 本当に勝率は一以下かもしれないのに……」
「ですから、一以下でも確率は残っているでしょう? それなら諦めることはできません。それに、今回は目的が目的ですから、諦めることなんて絶対できませんよ」
俺は席から立ち上がり、リアスさんの隣に行く。
「俺の恩人であり、主であるリアスさんの未来が懸かっているんですよ? それを諦めるなんてありえません。それに……もう、大切な人を失うのはごめんなんです」
頭の隅にある記憶が蘇る。
――その場で立ちつくす俺と、死んだ両親によってできた大きな血だまり。
「――っ!? リアスさん?」
いつの間にかリアスさんが俺の手を優しく握っていた。
その時にようやく気づいたが、自分でも知らない内に爪が手の平に食い込み、血が出ていた。
「……あなたの過去はわからないけど、私はあなたを否定しないわ。たとえ、どんな過去を持っていても…」
「…その割には、この前堕天使を惨殺した俺を見て少し恐怖してましたよね?」
「……気づいてたの?」
「昔は他人から怖がられてばかりでしたから、そういうのには敏感なんです。というか、はぐれ悪魔を痛めつけてた時に、皆俺のことを恐れた目で見てましたからね」
悪魔になっても、俺は化け物ってことか…。
「まあ、それはもういいです。とにかく、俺はあのフライドチキン野郎を倒します。そして、リアスさん。あなたの下僕として、あなたの未来を、自由を守ってみせます」
俺は下僕として、主であるリアスさんの前に跪いて誓う。
たとえ勝率が低くても、この戦いは勝たなきゃならない。リアスさんの将来が、こんなことで決定されるなんてあってはならない。
「……ありがとう、竜真。あなたのような忠実な<兵士>を持って幸せだわ」
「その言葉、イッセーの前では絶対に言わないでくださいね? 嬉しいですが、あいつが嫉妬に狂って襲いかかってくるので」
「ふふっ、確かにそうなりそうね」
お互いに笑い合う。さっきのシリアスムードがなんとか晴れてくれた。
「あ、そういえばもう一つ質問、というより許可をもらいたいんですが…」
「何?」
「明日の――今日か? まあいいや。とにかく、早朝からこの山の隣にある山で修行したいんですが、いいですか?」
「ええ、別に構わないけど……なんで?」
「魔力のコントロールをこっちで失敗して山火事とかになったらあれなので、少しでも被害が少ないように隣の山で」
この別荘を燃やした暁には、食費どころか電気代すら支払えなくなる可能性がある…。
「そういうことね。いいわ。頑張ってきなさい」
「はい。それじゃあ、もう寝ますね。お休みなさい」
「ええ、お休みなさい」
リアスさんと別れ、部屋に向かう。
……この戦い、絶対に負けられない。
――――――――――
「はぁ!!」
その掛け声とともに右手を振るい、纏ってる炎を撃ち出す。炎は球状になり、前にある木に当たり爆発する。
リアスさんに言った通り、早朝から皆とは別行動で隣の山に登り、その頂上付近で炎をコントロールする修行をしていた。ずっとやってた成果もあり、今のように球状にするのは普通にできるようになった。あとは…。
右手に先程より少し多めの炎を出す。そして、集中して炎の形状を変化させていく。一見簡単そうに見えるが、意外と難しい。
俺が魔力の扱いに馴れていないというのもあるが、それ以上にこれが炎だと思い込んでしまっているせいだろう。
炎がこんな形になるわけがない。そんなことを心のどこかで思ってしまっているんだろう。
――違う! これはただの炎じゃない! これは俺の魔力が元になっているんだ! コントロールできないはずがない!
もっと集中しろ!! 炎という概念に囚われるな!
そう自分の中で葛藤していると、炎が俺の思い描いたものの形に少しずつ変わっていく。
よし! あと少しだ! と、そこまできて、視界の隅に赤い光が見えた。
山では不自然なその光が気になり、見えた方向に目を向ける。
「――は?」
目を向けると、巨大な赤い光――魔力が目の前まで迫り、次の瞬間、俺は山ごとその魔力に呑み込まれた。
竜真side out
一誠side
「マジか……」
俺はついさっきまで木場と戦っていた。部長が修行を始める前に戦うように言ったからだ。使用を禁止されてた神器を使って戦うようにも言われたので、二分間強化してから戦った。
木場から二回攻撃をくらったが、俺がいつも出してたあの魔力を撃つと、なんと米粒サイズから巨岩サイズになり飛んで行った。
木場には避けられたが、魔力の塊はそのまま隣の山を大きく抉ってしまったのだ。自分でやったことだと信じられない……。
「二人ともお疲れさま。祐斗、どうだった?」
部長が木場に感想を聞く。
「はい。正直、驚きました。最初の一撃で決めるつもりだったんですが、イッセーくんのガードを崩すことができませんでした」
そう言う木場の持っていた木刀は折れかかっていた。俺の体を殴ってああなったのか!?
「それに、さっきの魔力は上級悪魔の一撃。まともにくらったらひとたまりもなかったでしょう」
「ありがとう、祐斗。そういうことらしいわ、イッセー」
上級悪魔の一撃!? 強化してここまで力を出せるなんて…。
「基礎を鍛えたあなたの体は、依然よりも力に耐えれるほどの器になったのよ。基本となるあなたの力が<一>から<ニ>になった。これだけでもあなたにとっては大きな成長よ」
……俺の力は凄いのか?
「イッセー、あなたの攻撃力はゲームの要になるわ。あなた一人で戦うならまだしも、レーティングゲームはチーム戦。強化で隙だらけでも、フォローしてくれる味方がいるわ。私たちを信じなさい。そうすれば、あなたも私たちも強くなる。ライザーにも勝てるわ!」
――勝てる。あのライザーに。
「見せてあげましょう。私とその眷属がどれだけ強いのか、ライザーに思い知らせてやるのよ!」
「「「「「はい!」」」」」
俺たちは力強く返事をする。部長の言う通りだ! やってやるぜ!
そう意気込んでいた時だった。
「あ、あの……。一つよろしいでしょうか?」
「? どうしたんだアーシア?」
アーシアが気まずそうに声を出した。
「いえ、私の記憶が間違ってなければ、今イッセーさんが吹き飛ばしてしまったあの山って、竜真さんが修行してる山なんじゃ……」
「「「「「………」」」」」
その発言に空気が凍りつく。だが、数秒後にはようやく状況を理解して復帰した。
「えええ!? じゃ、じゃあ俺、竜真を山ごと吹き飛ばして…!?」
「イ、イッセー落ち着きなさい! こういう時は二の倍数を数えるのよ!」
「部長も落ち着いてください! 数えるのは素数です!」
「祐斗くん! あなたも落ち着いて!」
「……全員落ち着いてください。とにかく、竜真先輩を助けに行った方が――」
ドオォン!!
俺たちがパニックになっていると、突然吹き飛ばした山の方からそんな音が聞こえた。
そちらに目を向けると、山の方から凄まじい土煙を上げながらこちらに何かが向かって来ていた。あ、あれってまさか……。
そう考えてる内に、周りの皆が俺から距離をおく。え? 待って! 皆俺を見捨てるのか!?
皆を呼び戻そうとするが、それよりも早く何かがこちらに来た。
「イッセェェェェェ!!」
「ごばっ!?」
何かの正体は当然というか、竜真だった。竜真は走った勢いのまま俺に跳び蹴りをくらわせる。
俺はそのまま吹っ飛び、木にぶつかってようやく止まった。痛って――ぐえっ!?
いつの間にか目の前に来た竜真に右手で胸ぐらを掴まれていた。
「よう、イッセー。凄い攻撃だったぜ。山を抉っちまうなんて大したもんだ」
笑顔でそう褒めてくる竜真。……目は微塵も笑ってないが。
「ハ、ハハハ……。た、竜真も頑丈だな。あれをくらって無事だなんて…」
「無事? お前にはこのボロボロになった服と体が見えないのか?」
そう言われて竜真の体を改めて見ると、ジャージは破けていて上半身はほぼ裸。その下に見える体も傷だらけで、血も結構出ていた。……うん。どう見ても九死に一生を得たような体だ。
「いやー、今回ばかりは死ぬかと思ったぜ。籠手を出してなかったらお陀仏だっただろうな」
「そ、そうなのか。生きててよかったぜ!」
無理やり笑顔を作って言う。すると、竜真は目を閉じてにこやかに笑う。
「よかった? まあ、確かに俺にとっては幸運だな。――ただ、お前にとっては不幸だ」
そう言って右手から炎を出す竜真。熱っ!? ここからでも凄い熱を感じる!
「今からイエス・キリストのように磔にして殺してやるから覚悟しろ」
「待て! それって悪魔にとって屈辱的な死に方の上位に入るんじゃねぇか!?」
「だろうな。だからやるんだよ」
再び目を開く竜真。ヤベぇ! 目が本気だ!
「竜真。あなたその炎……」
「はい?」
部長に声をかけられた竜真は右手に目を向ける。
俺も見てみると、その炎はまるで槍のような形になっていた。凄ぇ…。こういう風にできるのか。
「……できた」
「コントロールできたのですわね。おめでとうございます、竜真くん」
「ありがとうございます、朱乃さん。さっきはギリギリできるかできないかだったんですけど、怒りでできるようになったみたいですね」
ってことは、ある意味俺のおかげか? これで許してくれたりするか!?
「威力はこいつで試すので少々お待ちを」
――んなわけなかった!
「落ち着きなさい、竜真。殺すのはダメよ。とにかく、まずはあなたの傷を治さないと。アーシア、治療をお願い」
「は、はい! た、竜真さん、イッセーさんを許してあげてください! わざとじゃないんです!」
「………アーシアさんがそう言うなら仕方ないですね」
そう言って竜真は俺を解放する。
ありがとうアーシア!! 君は命の恩人だ! アーシアはすぐさま竜真の治療を始める。
「とにかく、成功おめでとう竜真。これで武器を持った相手とも張り合えるわね」
「あれ? 目的もバレてましたか。まあ、そうですけどね。あ、そうだ。祐斗! 明日から俺と戦う時はさっきの槍の代わりになる木を彫ってくれないか!?」
「僕、彫刻家じゃないんだけど……。まあ、自信はないけど、やれるだけやってみるよ」
「サンキュー!」
竜真は先程のことを忘れて皆と楽しそうに話し始める。……俺も混ざるか!
「イッセー、あとで一緒になったら覚えてろ」
……忘れてなんていなかった。
その言葉通り、一緒になった修行では徹底的にボコボコにされた。
一誠side out
えー、ヒロイン投票の途中結果を発表します。
今のところ全て2に投票され、キャラごとだと――
リアス 3
朱乃 1
小猫 5
――となっています。小猫勢が多くて少し驚きました。
あと、誤解があるのかどうかわからないので念のために言っておくことがあります。
原作キャラの誰かと書いてますが、今登場してないキャラでも全然構いません。(でなきゃロスヴァイセさんをいれませんよ)例えば、ゼノヴィアとか、イリナとか、ロスヴァイセさんとか。
それと、大変申し訳ないのですが、投票の数を一から二に変えたいと思います。
お手数ですが、既に投票した方は新しく活動報告のところに投票する場所を作りますので、そちらに二票投票してください。
あと、注意事項です。
・二票とも同じキャラに入れるのは無効とします
・2を選んで違うキャラに一個ずつ入れるのは可能です(例えば、一つはリアス、一つは小猫、のような感じです)
・締切は八月十五日とします(それ以降の日に投票されたものは数えません)
勝手な変更ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。
それではこの辺で。リレミト!