ハイスクールD×D 荒ぶる神を宿す者   作:初代凡人

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通算UA10000突破!! こんな駄文ですが、見てくれている方々ありがとうございます!

それでは、本編に突撃!


第十三話 敗北からの立ち直り

no side

 

「――撃破(テイク)

 

一誠は、あまりのできごとに頭が追いつかなかった。

 

信じられなかった。自分の目の前でまた仲間がやられたことに。

 

『リアス・グレモリー様の<騎士>一名、リタイア』

 

無情にもグレイフィアのアナウンスが入る。

 

それを聞いて一誠は現実に引き戻され、それと同時に怒りが沸き上がってきた。

 

「また…! またテメェか!!」

 

「ふふふ…」

 

空に浮かぶライザーの<女王>――ユーベルーナは笑うだけで何も答えない。その隣にレイヴェルが飛び上がってきた。

 

「遅かったですわね、ユーベルーナ」

 

「申し訳ありません。<雷の巫女>、噂通りの実力でした。これがなければ、危なかったです」

 

朱乃を倒したのはこのユーベルーナだ。

 

ユーベルーナは小瓶を取り出す。その中身は既に使ったのか、空になっている。

 

「勝ちは勝ちですもの。やはりあなたが一番頼りになりますわ」

 

「なんだよそれ!?」

 

「ユーベルーナ、あなたはお兄様のところに行ってちょうだい」

 

「よろしいのですか? おそらくあの<兵士>はまだ…」

 

「どうせ虫の息でしょうし、私があとでとどめをさしておきますわ」

 

「わかりました」

 

ユーベルーナはレイヴェルの指示通りにライザーの元へ飛んで行く。

 

「あなたの先程の質問に答えてさしあげますわ」

 

レイヴェルはそう言うと、ユーベルーナが出した瓶と同じものを取り出す。だがこちらにはまだ中身が残っている。

 

「これは、フェニックスの涙。聞いたことありますかしら? フェニックスの涙はいかなる傷も癒やす力があるのですわ」

 

ユーベルーナは朱乃と戦ったが、実力が近いとはいえ、朱乃の方が上だった。危ないどころか負けそうになっていたのだ。

 

――その時に使ったのがフェニックスの涙。

 

いくら実力は上でも、朱乃も体力を消耗していた。なのに相手が全力まで回復したらいくらなんでも勝てるわけがない。

 

「な、なんだよそれ!? そんなの――」

 

「反則だなんて言わせませんわよ。ちゃんとゲームのルールでも所持することは許可されているんですのよ。あまりに強力なので、二人に一つずつしか所持できませんけど。それにそちらだって<聖母の微笑み>を持つ子がいるじゃありませんか」

 

確かに、アーシアがダウンしない限りは<聖母の微笑み>は無制限に使える。しかし、アーシアが近くにいなければ当然回復はできない。

 

それにすぐにダメージが全回復するわけじゃない。ダメージが大きければそれだけ時間がかかるし、体力までは回復できない。

 

対して、フェニックスの涙は回数こそ限られるが一瞬で全回してしまう。それに、自由に持ち運びができる点でも勝っている。そのことを考えるとフェニックスの涙の方が使い勝手がいいと言えるだろう。

 

「それにフェニックスの涙は高値で取り引きされてますのよ。おかげでフェニックス家の財政はとても潤ってますわ。レーティングゲームが始まってから、フェニックス家はいいことずくめですのよ。オホホホホホホ!」

 

レイヴェルは自慢気に笑い出す。

 

対して一誠は静かだった。そして新校舎に向けて歩き出す。

 

「ちょ、ちょっと! 私を無視してどこへ行こうとしてるんですの!? 今からあなたが行ったところでどうせ負けるんですのよ!?」

 

「うるせぇ。俺は負けたなんて思ってねぇよ。お前の自慢話なんて聞きたくもねぇよ」

 

一誠はそのまま新校舎に行った。

 

「なんですの!? これ以上苦しまないでいいような選択肢を用意しましたのに!」

 

レイヴェルは、キーッ! という感じで言う。

 

(って、あんな方に腹を立てる必要ありませんでしたわね)

 

レイヴェルはそう思って落ち着き、少し離れたところで倒れている竜真の傍に近づく。

 

(意識はないようですが、転移しないところを見ると、致命傷ではなかったのかしら? ……まあ、どうでもいいですわね。どうせこれで終わりですもの)

 

レイヴェルはその手から炎を出す。ライザーほどではないにしろ、仮にもフェニックスの炎だ。まともに喰らえばただではすまない。

 

そして、その炎を竜真に叩きつける。

 

 

 

 

 

「――バカが」

 

 

 

 

 

――その直前に、竜真が突然起き上がり、レイヴェルの首を右手で掴む。

 

「ぐっ!?」

 

「やれやれ。呆れるくらい簡単にひっかかったな」

 

「がっ…!? ああっ……!」

 

そのまま首を締められ、苦しそうにうめき声を上げる。

 

あまりにも苦しいのか、先程出した炎は既に消えていた。

 

「俺がリタイアしてない時点でお前らは俺をちゃんと倒すべきだったんだ。あの時、<女王>の爆撃に対して劫火球をぶつけて、その爆発でわざと吹き飛んだんだよ。まあ、少なからずダメージは受けちまったが、あの爆撃をまともにくらうよりずっとマシだからな。……さてと」

 

竜真は首を更に力を入れて締め上げる。

 

「お前らの再生能力は傷ついた場合のみに発動するみたいだな。――それなら、傷つけずに痛めつければいい」

 

竜真はギリギリ首を折らない力加減で締め上げている。

 

傷つけずにできる限りの痛みと苦しみを与える。聞くだけなら簡単そうだが、そううまくできることではない。

 

「い……!! あ、あ……!」

 

とうとうレイヴェルは口から泡を噴き、そのまま光に包まれる。

 

(もう限界か。つまらねぇ。……あ! というかこれじゃあライザーを脅迫できねぇ! 唯一のチャンスが……!)

 

頭を抱えて落ち込んでいるのに、考えてることはかなり酷いことだった。

 

『ライザー・フェニックス様の<僧侶>一名、リタイア』

 

毎度おなじみのグレイフィアのアナウンスが入る。

 

それを聞いて新校舎の上で戦っていた面々は異変に気づく。全員が驚いたが一番驚いたのはライザーだった。

 

(レイヴェルがやられただと!? バカな! あいつも不死身なんだぞ!)

 

(さて、ライザーは疲弊している今の俺じゃどう考えても無理だから、せめて残った不死じゃない奴を片づけるか)

 

竜真は炎の槍を出して、足に力を込める。

 

そして、全員がこちらを見ると同時に全力で跳び、ユーベルーナの胸に槍を突き刺す。

 

「がは……!?」

 

「よお、ボンバークイーン。さっきぶりだな」

 

「竜真!? 無事だったのか!?」

 

一誠は驚いて声を上げる。リアスも声は出さないがかなり驚いている。

 

竜真は一誠の質問には答えずに横たわっているアーシアに目を向ける。

 

「イッセー、アーシアさんは?」

 

「大丈夫だ! 気絶してるだけで怪我はない!」

 

その言葉を聞いてひとまず安心し、ライザーを見る。

 

「ライザー。あんたの妹は始末させてもらったぜ」

 

「っ! やはり貴様がやったのか!?」

 

「俺以外に誰か残ってるのかよ?」

 

不敵に笑いながらそう言う竜真。

 

その腕を掴む者がいた。

 

「まだ、よ…!」

 

「おいおい、いくらあんたでも戦闘不能だろ? 無理すんなよ」

 

炎の槍はユーベルーナの胸を完全に貫いていた。リタイアも時間の問題だ。

 

「そうね…! ――だから!!」

 

ユーベルーナは魔方陣を出す。それは今まで使ったのより大きく、竜真とユーベルーナの周りを普通に包み込める大きさだった。

 

(まさか、自分ごと!?)

 

逃げようにも竜真は腕が掴まれてるせいで離れられない。炎の槍を出す暇もない。

 

(――そうだ! 此処は新校舎! なら、一か八かやってみるか!)

 

残された手段は一つだけあった。だが、敵は待ってくれない。

 

「吹き飛べ!!」

 

(プロモーション、<女王>!!)

 

爆発が起きる直前に竜真は心の中でそう唱えた。

 

しかし、仮にも<女王>が自爆覚悟で放った全力の攻撃は、<女王>にプロモーションした竜真にも大きなダメージを与えた。

 

「が……はっ!?」

 

「「竜真!?」」

 

体はボロボロになり、口から血を吐いてグラウンドに落ちていく竜真。

 

『ライザー・フェニックス様の<女王>一名、リタイア』

 

その途中で聞こえたそのアナウンスを最後に、竜真は今度こそ意識を失った。

 

 

 

竜真side

 

『竜真、起きなさい』

 

 

 

 

 

――いつからだろう。あの人しか頼りにできなくなったのは。

 

 

 

 

 

『竜真、あなたは化け物なんかじゃない。私が保証するわ』

 

 

 

 

 

――いつからだろう。その言葉を信じれなくなったのは。

 

 

 

 

 

『竜真……。ごめんなさい……』

 

 

 

 

 

――いつからだろう。いつから………俺の、()()()の歩む道が狂ったのは。

 

 

 

――――――――――

 

……………ん? 此処は……?

 

いつの間にか気を失ってたみたいだ。

 

………っ!! そうだ! 今はレーティングゲームの最中だった!

 

起き上がろうと腕に力を入れる。

 

「ぐっ――ああ…!?」

 

だが、激痛が走るだけで動かせない。

 

いや、腕だけじゃない。体中が酷く痛い。よくリタイア扱いにならなかったなと思うくらいだ。……むしろ、わざとリタイアさせないようにしてるのでは? 

 

そういえば、イッセーやリアスさんは…?

 

痛む体に鞭を打って顔を上げる。そして、信じられない光景が目に入った。

 

 

 

 

 

「イッセー!! もうやめなさい、イッセー!」

 

 

 

 

 

――傷だらけのイッセーが、ライザーと戦っていた。

 

いや、戦いなんかじゃない。イッセーはふらつきながらライザーに近づいて、それをライザーが殴る蹴るの繰り返し。

 

リアスさんはやめるように叫ぶが、イッセーは止まらない。

 

普段のイッセーなら、あれだけ泣きそうなリアスさんの命令は絶対に聞くはずなのに。それ以前にあれだけボロボロならば、俺のように体中が痛くて動けないはずだ。なのに、どうして……。

 

そう考えながらイッセーを見ていて、あることに気づいた。

 

――あいつ、もう意識がない。

 

体は動いて、目も開いている。しかし、その目にはもう光がない。

 

それなのに、あいつはライザーに立ち向かって行く。……俺と同じで傷だらけなのに。

 

と、そこまで考えてあることに気づく。意識がないイッセーが動けるのに、意識がある俺が動けない?

 

――ふざけんな!!

 

痛くて動かない? 痛くて動かしたくないだけだろ!

 

拳を地面に叩きつけて起き上がろうとする。それだけで全身に激痛が走る。

 

――問題ない。動く。

 

両足で地面に立つ。足が震えて不安定だ。

 

――大丈夫だ。倒れない。

 

口から何か出る。――血だ。大量の血が出た。

 

――まだリタイアになってない!

 

イッセーの奴は、ライザーに勝つという意思だけで動いてる。……俺だって同じだ。リアスさんに誓った。

 

『あなたの下僕として、あなたの未来を、自由を守ってみせます』

 

下僕が主との誓いを守らないでどうする!

 

俺は歩き出そうとする。

 

『……竜真、ごめんなさい』

 

その直前にリアスさんから通信が入る。

 

なんで謝ってるんですか? まあ、勝手に一騎討ちを始めたことはあとでとっちめるから、今は待ってください。

 

イッセーと一緒になって、そのフライドチキン野郎をぶっ飛ばしますから――

 

 

 

 

 

『リアス・グレモリー様の投了を確認。よって、このゲームの勝者はライザー・フェニックス様となります』

 

 

 

 

 

…………え?

 

 

 

 

 

踏ん張っていた足から力が抜け、膝から崩れ落ちる。

 

リアスさんの方に目を向けると、傷だらけのイッセーを泣きながら抱えていた。

 

俺の視線に気づきこちらを向いた。悲しそうに、申し訳なさそうに泣きながら口を動かした。

 

 

 

 

 

――ごめんなさい。

 

 

 

 

 

「……………あ……」

 

その言葉でようやく理解した。理解してしまった。

 

「ああ、あ………ああ……!」

 

俺たちが負けたことを。

 

「あああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

――また守れなかったことを。

 

今までに出したことのない声量で叫ぶ。

 

喉から激痛が走る。喉が裂けたのだろう。でも、今の俺にはそんなの気にもならない。

 

――そんなものより、心の方がずっと痛かった。

 

 

 

――――――――――

 

『竜真、ごめんなさい』

 

 

 

 

 

そんなのはいいですよ、リアスさん。謝らないでください。

 

 

 

 

 

――ごめんなさい。

 

 

 

 

 

……お願いです、リアスさん。謝らないで。

 

……………頼むから……!

 

 

 

 

 

『『ごめんなさい……』』

 

 

 

 

 

記憶の中にある血まみれで謝る人物と、泣きながら謝るリアスさんが重なる。

 

 

 

 

 

――()()()で、()()()()を言わないでくれ!!

 

 

 

――――――――――

 

「――はっ!?」

 

俺は慌てて飛び起きる。………うなされるなんて何年ぶりだ。

 

うわっ。服、汗だくだよ…。

 

周りを見ると、どうやら部室のようだ。………とりあえず、着替えよう。そのタイミングで扉が開いた。

 

顔を向けると、朱乃さんと小猫だった。……なんで浴衣とドレス?

 

「「竜真くん(先輩)!」」

 

二人は俺を見ると、急いで駆け寄ってきた。

 

「よかった…。目を覚ましたのですね」

 

「……大丈夫ですか? 凄い汗が出てます」

 

朱乃さんがタオルで汗を拭いてくれた。

 

「ありがとうございます。……えっと、とりあえずあのあとどうなったか教えてくれますか?」

 

「あれから大分時間が経って、あと少しで婚約パーティが始まります。部長と祐斗くんは先に会場に向かいました。私と小猫ちゃんは竜真くんに付き添っていましたわ」

 

そこまで聞いて、二人足りないことに気づく。

 

「イッセーとアーシアさんは?」

 

「……イッセーくんはまだ目を覚ましていません。アーシアちゃんはイッセーくんに付き添ってますわ」

 

……そりゃそうか。あいつ、本当に体が限界だっただろうからな。

 

「……竜真先輩は人のことを心配できる立場じゃないです」

 

「え? だって、俺もう目覚ましただろ?」

 

「……竜真先輩は、傷の治りは私たちの誰よりも早かったんです。でも、意識が全然戻りませんでした」

 

「医者も、もしかしたらずっと目を覚まさないかもしれないと言ったのですわ。……それを聞いて、私たちがどれだけ心配したか…」

 

……マジか。俺そんなに危なかったのか。この化け物みたいな耐久力の体でよかったぜ…。

 

「特に部長は心配してましたわ。自分の勝手で大切な下僕を失うことになる、と」

 

「……パーティ会場に行ったら、リアスさんに直接会ってきます」

 

「そうした方がいいですわ。――さて、竜真くんも目を覚ましたことですから、私たちも会場に行きましょう」

 

「……はい」

 

「了解です。――あ、でも少し寄りたいところがあるんですけど…」

 

「……手短に済ませてください」

 

「わかってるよ」

 

まずは、ちゃんとした服を家から調達して……。

 

 

 

――――――――――

 

「うわ、凄いな……。こういうの初めてだから緊張する」

 

あれからしばらくして、俺たちは会場の広場に着いた。

 

広場には既にドレスやスーツを着た人――じゃなかった、悪魔がたくさんいた。

 

俺もスーツを着てきたが、多分この中で一番安いんだろうな。決して俺のスーツが安いんじゃない。他のが高いだけだ!

 

とりあえず祐斗を探そうと、朱乃さんと小猫と一緒に歩いてるわけだが………なんか周りからやたらと見られてる。

 

と言っても、理由はわかってる。朱乃さんと小猫の姿――ではなく。

 

「なんだ、あの男が持ってる紙袋?」

 

俺が片手に二つずつ、合計四つ持っている大きな紙袋を見てるんだろう。まあ、この空間じゃ明らかに異質なものだからな。

 

だが、目立ったおかげで見つけやすかったのか、わりと早めに祐斗と合流できた。

 

「竜真くん、目が覚めたんだね。……その紙袋は?」

 

「今から渡してくるよ。フライド――フェニックスの眷属がどこにいるかわかるか?」

 

「ああ、それなら向こうの方にいたよ」

 

「サンキュー。それじゃ、行ってくる」

 

祐斗が指を差した方向に進んで行くと、見覚えのある顔がいくつも見えてきた。

 

「お兄様ったら、レーティングゲームでお嫁さんを手に入れたんですのよ。最初から勝ちはわかっていたゲームでしたが、見せ場は作ってあげたつもりですわ」

 

おーおー、相変わらず偉そうな声も聞こえてきやがった。

 

「よく言うな。結構苦戦してた上に、自分は泡噴いて気絶したくせによ」

 

「「「「「「「「!?」」」」」」」」

 

突然割り込んできた俺に全員が驚き、次の瞬間には臨戦態勢をとる。……俺と戦った何人かは後ろに隠れて震えてるが。

 

「よお、チキンお嬢様。首の調子はどうだ?」

 

「な、なんの用ですの!?」

 

ちなみにチキンお嬢様もシーリスの後ろに隠れてる。

 

「そう警戒しないでくださいよ。別に喧嘩売りにきたわけじゃないんだ。ただ、ちょっと謝罪をな」

 

そう言って手に持つ紙袋をアピールする。

 

それを見て、お嬢様はにやりと笑って前に出る。

 

「ふん! 今さら謝罪したところで普段なら許しませんが…………土下座して私に忠誠を誓えば、特別に許してあげないことも――」

 

「俺が忠誠を誓うのはリアスさんだけだ。それに、誰がお前みたいな勘違いお嬢様に謝罪するかよ。お前はお呼びじゃねぇ、すっ込んでろ」

 

「な……。な……!!」

 

俺の言葉で顔をドンドン赤くしていく。俺はそれを無視して他の眷属に話しかける。

 

「すいません。この中でイッセ――うちのもう一人の<兵士>に裸にされた方は誰ですか?」

 

小猫に聞いたところ、俺が見た仮面の人以外にも三人被害者がいたらしい。

 

すると、仮面の人はもちろん、最初会った時にイッセーに突きを喰らわせようとした――確かミラとかいう少女、恐らく双子だと思われる緑髪の少女が二人前に出た。

 

「私たちがそうだが、謝罪とはそのことか?」

 

「はい、そうです。……俺の友人が大変失礼なことをしたこと、深くお詫びします」

 

俺はその場で頭を下げる。すると、仮面の人は慌てた。

 

「あ、頭を上げてくれ。あれは戦いだったんだ。彼の発想力の勝利さ。それに、不注意だった私たちの敗北でもある」

 

「それでも、いきなり衣服を消されて裸にされるなんて、へたしたら心に大きな傷を残します。それだけのことをしたんですから、謝らないと気が済みません。というわけで、これをどうぞ」

 

持っていた紙袋を差し出す。

 

「い、いや、わざわざそんな――」

 

「いえ、もらってください。というか今現在ある財産を無理に使って買ったものなので、もらってくれないと困るというか死にたくなるというか」

 

「わ、わかった。そこまで言うなら、ありがたくもらう」

 

渋々といった感じだが、仮面の人はようやく受け取ってくれた。ミラも渋々といった感じだが受け取る。双子は喜んで受け取っていた。

 

「中には俺が気に入った菓子が入ってます。お口に合うかどうかはわかりませんが人数分ありますので、よろしければ皆さんで食べてください。それでは、行くところがあるので、この辺で」

 

別れを言って俺は奥を目指して歩いて行く。さて、入れてくれるといいんだが……。

 

 

 

竜真side out

 

 

 

リアスside

 

「何が婚約パーティよ。これじゃあ、ウェディングドレスじゃない」

 

私は鏡に映る自分を見てそう言わずにはいられなかった。

 

白で彩られた豪華なドレス。本当にウェディングドレスに見えてしまう色合いなのも気に入らない。

 

「まあ、そう言うなリアス。よく似合ってるじゃないか」

 

……気に入らない声が聞こえてくる。

 

目を向けると、ライザーが魔方陣から出てきた。

 

「ラ、ライザー様! 此処は男子禁制です!」

 

「そう固いこと言うなよ。俺は今日の主役だぞ。――っと、主役は花嫁だったな。失敬失敬」

 

メイドが注意するが、全く気にした様子がない。

 

「まだ花嫁になった覚えはないわ」

 

「もうすぐなるんだよリアス。それにウェディングドレスみたいだと言ったが、それでいいんだ。そうすればフェニックス家とグレモリー家が繋がることを他の上級悪魔の方々によりアピールできるし、君の諦めもつくだろう?」

 

本当に気にくわない男ね…!

 

「心配しなくても、本当の結婚式の時はそれとは比べものにならないほど豪華な衣装を用意してやる。我がフェニックス家の炎の翼をあしらえた、特製のドレスをな!」

 

そう言うとライザーは再び魔方陣を使って出ていく。

 

……聞くからに悪趣味そうね。流石成り上がりの一族だわ。

 

……イッセー。大丈夫かしら。私のためにあんなにボロボロになって……。

 

それに、一番心配なのは竜真。

 

…あの時の竜真の叫び。忘れたくても忘れられない。あんなに悔しそうで、悲しそうで、怒った竜真の声は初めて聞いた。

 

それも、私が投了して負けたから。謝れるなら、謝まりたい。

 

もし、二度と目が覚めないなんてことになったら……!

 

 

 

 

 

『で、ですから、此処は男子禁制です! お引き取り願います!』

 

『だから! それなら中にいるリアスさんを呼んでくださいって言ってるでしょう!』

 

 

 

 

 

そう考えてる時に、扉の向こうからそんな言い争いが聞こえてきた。

 

っ!? 今の声は!!

 

「待って! 中に入れてあげて!」

 

『リ、リアス様、しかし――あ、待ちなさい!』

 

『待つかボケ!』

 

その声が聞こえた直後に扉が勢いよく開く。

 

 

 

 

 

「――どうもリアスさん。まだ結婚前ですよね?」

 

 

 

 

 

そこには、片足を上げた状態の竜真がいた。

 

その顔はいつもと変わらない。敬っているようで若干小バカにしたような笑みを浮かべていた。

 

本当に、いつも通り……! 私は思わず竜真に抱きつく。

 

「うお!? ちょ、リ、リアスさん!?」

 

「よかった……! 無事に目覚めたのね……! 本当によかった……!」

 

竜真の胸で涙を流してしまう私。竜真はそっと背中に腕を回してくれた。

 

「……心配させたみたいですね。朱乃さんから聞きました。すいません…」

 

「……いえ、あなたが謝る必要はないわ。悪いのは私よ…。私が、私がもっとしっかりしていれば、あなたもイッセーもあんなにボロボロになることはなかったのに……!」

 

私がライザーの挑発に乗らずに、もっと慎重にやっていれば…!

 

「…その話はあとにして、とりあえず一旦離れてくれませんか? これ以上見られるのはマズいと思うので……」

 

え?

 

周りを見ると、メイドたちが目を見開いて驚いていた。

 

…………っ!? そうよ! こんなところ見られたら!

 

私は慌てて竜真から離れる。

 

「あ、あなたたち! このことは絶対誰にも話さないで! あと、しばらく彼と話すから外に出ていて!」

 

「え!? し、しかし、もうすぐ時間に…」

 

「時間までには済ませるから、早く!!」

 

「「「「「「「「は、はい!!」」」」」」」」

 

メイドたちは一旦外に出る。はあ……。気が動転してたとはいえ、恥ずかしいまねを…。

 

「ははは…。大丈夫ですか? 顔真っ赤ですよ?」

 

「ぜ、全然問題ないわ!」

 

「はいはい……。さて、さっきの話の続きですけど、全くもってその通りですね。いくらプライドが高いとはいえ、確実な勝算もなしに実力が上の敵の一騎打ちを受けるなんて<王>失格です。――あなたが倒されたらそこまでなんですよ? 俺たちは所詮は駒。大切に思ってくれるのは非常に嬉しいですが、俺たちはあなたを守り通すのが役目なんです。それを主が守ってちゃ本末転倒ですよ。なのに投了なんてしてくれちゃって……」

 

「……ごめんなさい」

 

「俺は別にいいですよ。でも、イッセーにとっては死よりも酷い仕打ちです。もし謝罪するなら、あとでイッセーにでもしておいてください。相当こたえてると思うので」

 

「っ! そうよ、イッセーは!?」

 

竜真の無事は確認できたけど、イッセーの無事が確認できていない。竜真のように死ぬかもしれないなんてことは言われてないはずだけど……。

 

「さあ? 目が覚めたならアーシアさんから連絡がくるはずですから、少なくともまだ目は覚めてないと思いますよ」

 

「………そう」

 

「まあ大丈夫ですよ。なんやかんやであいつは丈夫ですからね。普段俺から殴る蹴るされてますし」

 

「……不思議な説得力があるわね」

 

実際、竜真も手加減してるとはいえ、ことあるごとに殴られてもすぐに復活してるイッセーは凄いのかもしれない……。

 

「とにかく今回は俺たちの負けです。それは変わりようのない事実です」

 

「ええ、そうね……」

 

そう。この現状は私の身勝手が生み出した結果。受け入れましょう。

 

「――ですが、この現状は変えることができます」

 

「え?」

 

竜真のその発言に思わず驚きの声が出る。

 

「当然、俺や皆だってこの現状は負けたからってことは理解してます。それはイッセーも理解してると思います。……でも、理解するのと納得するのは違います。あのバカは――イッセーは頭で理解しても納得できないことは絶対納得しない奴なんです。だからきっと、あいつはこのパーティをぶち壊しに来る」

 

「……なんでそう思うの?」

 

「勘です」

 

か、勘って……。

 

「あ、勘と言っても適当すぎる勘よりはよっぽど信頼できますよ。十年以上の腐れ縁なんです。あいつの思考回路は大体わかりますよ。――大丈夫です。俺は守れなかったけど、きっとあいつがあなたの未来と、自由を取り戻してくれます」

 

……なぜかはわからない。でも、竜真のその言葉を聞くと、不思議なくらい落ち着いた。

 

「じゃあ、そういうわけですから、もっと明るい顔をしてください。そんな顔じゃ周りの方々まで暗くなりますよ?」

 

「……わかったわ。ありがとう竜真」

 

「いえいえ。主を励ますのも下僕の仕事の一つですよ。それじゃあ、俺は会場に戻りますね」

 

そのまま扉に手をかける竜真。しかし、開ける前にこちら振り返る。

 

「そうそう。気に食わないかもしれませんが――綺麗ですよリアスさん」

 

「な――!?」

 

微笑みながら竜真が言ったその言葉に顔が熱くなる。竜真は今度こそ扉を開けて部屋から出て行った。

 

……………私、竜真に対して弱いのかしら?




ヒロイン投票、結果発表です!

え~と、この場合は三位や二位から発表した方がいいのかな?

「いや、面倒くさいから一位発表でいいんじゃないか? その他はあとにして」

………そうだね。その方が手っ取り早――竜真いつの間に!?

「なんだよ。これで俺のヒロインが決まるんだ。いちゃダメなのか?」

いや、だって知ったら原作に支障が――そういえば此処での出来事は向こうに行くと一旦封印されるからいいのか。

「そんな設定だったのか……。じゃあなんで俺今思い出してるんだよ?」

此処に来ると封印が解除されるんです。

「ご都合主義だな…」

細けぇことはいいんだよ! じゃあ、発表いたします。多くのライバルがいる中、見事勝利したのは……。デレレレレレレレレレ――

「早くしろ!」

ごふっ!? わ、わかったよ…。一位は――この娘だ!!


塔城小猫 13


はい。まあ、投票数が一つだった時の時点で圧倒してたので予想通りですね。

「小猫か……。これって俺がロリコンってことにならないか?」

大丈夫大丈夫。小猫はちゃんと高校一年なんだから。一歳年下の娘と付き合ったらその人はロリコンなの?

「い、いや、違うが……」

でしょ? 小猫は見た目こそ幼いけど、歳は近いんだから問題ないんだよ。こういうのを合法ロr――

「……言わせません」

ごばぁ!?

「こ、小猫!? なんで此処にいるんだ!?」

「……変な話をされてる気配がしたので来てみたら此処に着きました」

ぐふ…。流石は<戦車>。竜真よりも重い蹴りだったぜ……。

「なんだ。生きてたのか」

殺さないでくれるかな!?

「……それで、私がヒロインってなんのことですか?」

「ああ、それはな(カクカクシカジカ)」

「……そういうことですか」

まあ、お二人ともまだ実感ないと思うけど、そういうことだから!

「ただよ、ちゃんと書けるんだろうな?」

大丈夫!…………多分。

「……不安しかないです」

だ、大丈夫! 最終手段はあるから! ……できればやりたくないけど。

「なんだよ?」

投票を無視して自由気ままに全速前進!

「……本当に最終手段だな。というか、投票なんてせずに最初からそうすればよかったじゃねぇかよ…」

深く反省してます…。

「……それでは、私は戻ります」

あ、ありがとう小猫! 気をつけてね!

「さて、じゃあ俺も――」

ちょっと待てぇい!!

「……なんだよ?」

オチがないと面白くないでしょ? というわけで、バシルーラ!!

「おい、待て此処本当に屋外なの――」

よし、飛んで行ったな。あ、ちなみに他のキャラは多い順に次のようになりました。


黒歌、朱乃 6

オーフィス 5

イリナ 2

リアス、ゼノヴィア、ロスヴァイセ、レイヴェル、セラフォール 1


朱乃と黒歌も小猫には倍の差をつけられてますが、結構人気がありましたね。

オーフィスさんは……キャラがうまく掴めない…。

他はバラバラですね。

あと、途中で書きましたが、もし小猫ヒロインで書いて行くのが無理そうだと感じたら、投票してくれた方々には大変申し訳ありませんが、ヒロインは自分で決めようと思います。そうなってしまった場合は申し訳ありません……。

あと、ヒロイン投票の場所は消去しておきます。

さて、次回で二巻も終われたらいいなぁ……。そろそろ格上の相手と戦わせたいから早く三巻に行きたいのに…。

それではこの辺で。ヘアアアァァァァ!!
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