では、本編再生!
第十五話 新たな生活と異変
竜真side
『お兄ちゃん! 起きて、お兄ちゃん! お、起きないんなら、私がおはようのチューしちゃう――』
「……あいつ、いつもこんな目覚まし使ってるのかよ…」
目覚ましで起きたが、俺の目覚ましは以前壊してしまったので、今はイッセーのものを使わせてもらってる。ただ、なんかあいつが哀れに思えてきた……。まあそんなことはいいか。俺は着替えてリビングに向かう。
しかし、そこには誰もいない。でもそろそろトレーニングの時間だし………起こすか。
俺はイッセーの部屋に向かう。もうこの時点でわかるだろうが、俺は今イッセーの家で世話になっている。
というのも、この間のチキン野郎の眷属への謝罪の品を買うために冗談抜きで全資金を使い果たしてしまい、どうしようかと悩んでいると、
『イッセーの家にご厄介になったらどう? 私も今日からイッセーの家に住むから』
と、リアスさんが言ってきたのだ。……まあ、今の言葉でわかるが、やっぱりリアスさんはイッセーに惚れた。
それで、これからは猛烈にアタックしようと同居することにしたそうだ。よくご家族の方が許可したな……。サーゼクスさんも許したのか?
まあそれはさておき、イッセーの家に住むことだが、実はずっと前からイッセーの両親から言われていたことだ。
俺が一人暮らしなのを心配してくれているのだが、あまり迷惑はかけれないからずっと断っていたんだが……。
『この前イッセーの家に行った時に言っておいたわ。お二人とも凄く喜んでたわよ』
俺の意思を言う前にリアスさんが勝手に住むことを決定していた。何してんですか…。
そこまで言われてしまった以上は、もう断ることもできないと判断し、俺もイッセーの家に住むことにした。
とかなんとか考えてる内に、イッセーの部屋が見えてきた。ん? 扉が開いてるな?
「おい、イッセー。そろそろ時間だ。いい加減起き――」
部屋に入りながらそう言ったが、その光景を見た瞬間、俺は固まった。そりゃそうだろ。
――素っ裸のリアスさんと上半身裸のアーシアさんがイッセーに抱きついてるんだから。
「あら、おはよう竜真」
「た、竜真さん!? いやっ!」
「……よ、よう竜真。早いな…」
大切なところはギリギリ隠せてるとはいえ裸を見られても普通に挨拶をするリアスさん、恥ずかしくて胸を隠すアーシアさん、大量の汗をかいて挨拶してくるイッセー、とそれぞれ異なった反応だった。
………うん。まあ、他人のそういうことに一々口出しするつもりはないが…。
俺はイッセーの机にある紙とペンを取り、紙に文字を書いて扉に思いっ切り貼り付けて出ていく。ちなみに書いてある文字は――
三分以内に外に出てこなければ、し・ば・く♪(´∀`)
部屋を出たあとドタバタと音が聞こえた。全く、時と場所をわきまえてくれ……。
――――――――――
「いや~、リアスさんは和食も上手なんだね~! とても美味しいよ!」
「ありがとうございます、お父様」
トレーニングも終わり、イッセーの家にいる全員がリビングに集まり朝食を食べていた。――ああ、あのあと? 皆ちゃんと三分以内に出てきたから一応無罪だ(さりげなくイッセーのメニューをいつもより多めにしたのは内緒)
話を少し戻すが、さっきおじさんが言ってた通りリアスさんは和食のみならず、様々な料理を作れる。これまた絶品なんだよな~。
そんなリアスさんの料理の腕前を見て、アーシアさんは対抗心を燃やしていた。まあ、同じ好きな人を狙っている人には負けたくはないよな。
ちなみに座っている配置は、イッセーはリアスさんとアーシアさんに挟まれる形で、俺はおじさんとおばさんに挟まれる形で座っている。
…………うん、絶対これ座る配置間違ってるよな? 少なくとも親子であるイッセーとおじさんとおばさんが並んで座るべきだと思うんだが…。もちろんこのことは一番最初に言ったのだが――
『何言ってるの。あなたも私たちの息子のようなものよ。むしろイッセーと取り替えたいわ』
――と言われた。いや、嬉しいんですけど実の息子の前でそんなこと言わないでくれます? イッセーに睨まれたし…。
「そういえば、今日は業者の人が旧校舎の大掃除をするから、部活会議はイッセーの家でするわ」
リアスさんがそう言った。ああ、そういえば定期的に業者――ではなく使い魔たちに旧校舎の大掃除をさせるんだっけか。
使い魔で思い出したが、この前俺とイッセーとアーシアさんの使い魔をゲットしようと部員の皆で色んな魔物が住む森に行った。まあ、使い魔をゲットできたのはアーシアさんだけだが…。
「すいませんお父様、お母様。私たちの勝手な都合で…」
「いやいや、全然構いませんよ。イッセーの部活仲間がどんな子たちなのか興味があったので、むしろ大歓迎ですよ!」
「そうね。聞いた話だとあと二人女の子がいるらしいし、イッセーに女の子の友達がたくさんできて嬉しいわ」
お二人ともノリノリだな…。まあ、ここで断られたらどうしようもなかっただろうけど……。
「ありがとうございます。断られたら竜真の家に行くところでした」
「本人も知らないところで恐ろしい計画が立てられてた!? ていうか嫌ですからね! 絶対家には入らせない!」
「あら? 見られたら困るものでもあるの?」
「……………まあ、色々と」
そう、
「……深く追求しない方がいいみたいね。ごめんなさい」
「いえ、察してくれてありがとうございます。――それじゃあ、ごちそうさま。リアスさん、美味しかったです」
「ありがとう竜真」
俺は使った食器を流し台に置き、使わせてもらっている部屋に行って、登校時間がくるまで暇を潰した。
――――――――――
放課後になり、イッセーの部屋に部員全員が集まり会議をしていた。……そう、
「それで、これが小学生のイッセーよ」
「あらあら、全裸で海に」
「母さん何見せてんだよ!? そして朱乃さんも見ないでえぇぇぇぇ!!」
――だが、途中でおばさんがイッセーの幼い頃の写真が入ったアルバムを持って乱入し、会議はあっという間に崩壊した。
「……こっちの海パンを持った男の子は誰ですか?」
「あ、これは竜真くんよ。イッセーに、これ穿いてけっ!!って叫んでたわね」
「え? あ、本当だ。懐かしいな~」
おばさんが言った通り、そこには海パンを持ってイッセーを追いかけてる小さい俺が写っていた。あの時は焦ったな~。イッセー海パン穿かずに飛び出して行ったんだもの。
そんなことを思いつつ視線を変えると、リアスさんとアーシアさんが写真を凄い真剣な表情で見ているのが見えた。
「どうしたんですか、二人とm――」
「幼い頃のイッセー幼い頃のイッセー幼い頃のイッセー幼い頃のイッセー幼い頃の――」
「小さいイッセーさん小さいイッセーさん小さいイッセーさん小さいイッセーさん小さい――」
…………よし、何も聞いてないし見てない。
現実逃避しながら視線を逸らすと、今度はイッセーと祐斗が目に入る。だが祐斗も真剣な表情で一枚の写真を見ていた。あいつがあんな顔するなんて、写真に変なものでも写ってたか?
「おい祐斗。どうかしたのか?」
「……イッセーくん、竜真くん。この剣に見覚えは?」
祐斗が持っていた写真を見せてくる。
それには俺とイッセー、更にもう一人栗毛のショートカットの子供が写っていた。ああ、この子はイッセーの友だちだった子だな。俺とも仲良くしてくれてよく三人で遊んだな~。
だが、祐斗が指差しているのは壁に立てかけられている剣だった。
「この剣は、確かこの子の父親が持っていたやつだな。それがどうかしたのか?」
「……まさか、こんな形で見ることになるなんてね」
祐斗が出したその声は今まで聞いたことのないドスの効いた声だった。いや、声だけじゃない。祐斗の目には濃い恨みが籠っている。
「――これは聖剣だよ」
聖剣って――はあ!?
竜真side out
――――――――――
一誠side
「おい、イッセー。今日も部活か?」
いつものように松田と元浜と昼食を食べていると、松田がそう聞いてきた。
「ああ。球技大会に向けてオカルト研究部全員猛練習してるよ」
そう。我が駒王学園ではもうすぐ球技大会が行われる。
その競技の中に部活対抗戦があり、部長は絶対勝つと意気込んでいる。この間のレーティングゲームの結果もあるんだろうけど、部長も意外と負けず嫌いみたいだ。
「にしても、オカ研が球技大会にそこまで力を入れる必要あるのか?」
「部長は何事にも全力で挑むようにするからな。俺たちも頑張らねぇと」
ただ、一つだけ不安要素がある。それは木場だ。
あの写真を見てからずっと何か考えてて上の空というか……。この前もぼけっとしていて野球ボールが頭に当たってたし。
……聖剣に何か因縁でもあるのか?
「まあ頑張るのは構わんが、気をつけた方がいいぞイッセー。お前妙な噂されてるからな」
元浜が急にそんなことを言ってきた。みょ、妙な噂? なんだそれ?
「美少女をとっかえひっかえする野獣イッセー。リアス先輩と朱乃先輩、二大お姉様の秘密を握り、それを利用し様々なエロいことを強要させる。更に学園のマスコット的存在である塔城小猫ちゃんにまで手をかけ、ついには転校してきたばかりのアーシアちゃんにまでその毒牙を向けた。――大体こんな感じだな」
「は、はああぁぁぁぁぁぁ!? なんだその噂!?」
なんだよ野獣って!? そこまで女に飢えてなんて――いないはずだ。うん。
っていうか、どこのどいつだ! そんな噂を広めやがった奴は!
「まあ、噂を作ったのは俺たちだが」
「なんだお前らか――ってふざけんな!」
こいつら本当に友だちか!?
「ふざけんな? それはこっちのセリフだ! お前だけ美味しい経験してるのに、これくらいしなきゃ俺たちは嫉妬でイカれるわ!」
「いや、もうイカれるかもしれん!」
二人は凄い迫力でそう言ってくる。んなこと言われてもな……。
「あ、そうそう。ちなみに木場とのホモ疑惑も広めておいたからな」
「意外と一部の女子に人気の話題だ」
「はあ!? それこそ冗談じゃねぇ! 誰があんなイケメンなんかと!」
「まあ、安心しろイッセー。そう言うと思って竜真とのホモ疑惑も広めたからな」
「何が安心できるんだよ!? 悪化してんじゃ――」
と、俺はそこまで言って口を塞ぐ。
「ちなみに竜真と木場のカップリングの方が人気があるらしい」
「竜真は元々人気ある方だからな。まあ、このホモ疑惑で更に人気上昇に拍車がかかったに違いない」
「――ほお、面白そうなこと話してんじゃねぇか」
その声を聞いて二人の表情が固まる。ギギギ、と鳴りそうな感じで二人は後ろに振り返る。
――そこには、竜真が立っていた。しかし、その放つプレッシャーはいつもとは比にならない。
最近知ったが、あいつ不良とかヤクザの間では鬼神なんて呼ばれてるらしい。今の竜真を表すならそれだろう。
「……た、竜真様? いつからこちらに…?」
「此処に立ったのはさっきだ。だが安心しろ。その前の会話も廊下で聞いてた」
「…ってことは、先程のも……?」
竜真はその言葉で満面の笑みを浮かべる。だが、決してこちらの空気が軽くなったわけじゃない。むしろプレッシャーが増した。
「――ちょっと向こうで話そうぜ」
そう言った瞬間に、竜真は逃げようとする松田と元浜をあっさり捕まえて、襟首を掴んで引きずっていく。
「ああ、イッセー。リアスさんたちには少し遅れると伝えてくれ」
「お、おう…」
一旦立ち止まってこちらを見ずにそう言ってくる竜真に、俺はそんな返事しかできなかった。
俺の返事を聞いて再び歩き出す竜真。その時、引きずられてる二人と偶然目が合いアイコンタクトを送ってきた。え~と…。
――助けて!!
――無理だ。
俺は即座にそう返した。今の竜真を刺激しようものなら確実に消される。
二人には申し訳ないが、ここは関わらずにアーシアと部室に行こう。触らぬ竜真に祟りなしだ。
そのあと、学園中に二人の男子生徒の悲鳴が響いたらしいが、俺は何も知らない。
一誠side out
竜真side
ふ~、いい運動したぜ。
あのあと松田と元浜を血まつ――説教をし終えた俺は急いで部室に向かっていた。なんか俺が行ったあと二人がいた場所に人だかりが集まり始めてたのは気のせいだろう。
そんなことを考えてる内に部室に着いた。
「すいませんリアスさん。遅れまし――」
「「ギギギギギギ……!」」
扉を開けて最初に目に入った光景はイッセーと男子生徒が握手をして睨み合っていた。……何してんのこいつら。
とりあえず、イッセーの頭にチョップを叩き込んで止める。
「いってぇ!? 誰――って竜真様!?」
「お前までその呼び方してんじゃねぇよ…。もう機嫌は直ったからいつも通りでいい」
「ほ、よかった……。で、あの二人は?」
「聞きたいのか?」
「結構です!」
知らない方がいいことはこの世の中にいっぱいあるんだ。
「やっと来たわね竜真。さあ、挨拶してちょうだい」
リアスさんがそう言いながら視線をソファーに向ける。そこには――
「あれ? 支取さん?」
この学園の生徒会長である支取蒼那さんが座っていた。
「ご機嫌よう鬼城くん。こうして顔を合わせるのは久しぶりですね」
「はい、お久しぶりです。最後に顔を合わせたのは………三ヶ月前ですかね?」
「それくらいですね。その節はお世話になりました」
「いえいえ、こちらこそ」
そんな会話をしていると、周りの皆が驚いた顔をしていた。ん? どうかした?
「竜真、あなた蒼那と会ったことあるの?」
「はい。以前、この学園の生徒が近くの不良に恐喝を受けていて、生徒会がそれに対処していた時に偶然俺もその場に居合わせたんです。その時に生徒会の人とは顔を合わせました」
「鬼城くん。今まで黙っていましたが、私たち生徒会のメンバーは全員悪魔です。私の本名はソーナ・シトリー。シトリー家の次期当主です」
「ああ、なるほど。なんか気配に違和感があると思ったらそういうことですか」
そういうことなら、今後は人間と悪魔の気配の違いがわかるな。
「サジ。挨拶なさい」
「は、はい! 俺は二年の匙元士郎。よろしくな鬼城」
そう言って握手を求めて手を出してきた。同じ二年か…。ああ、さてはさっきイッセーといがみ合ってたのはイッセーと同じ扱いだと気にくわないとかそんな感じか。
「ああ。こちらこそよろしく」
そう言って匙の手を握って握手をする。ん? やけに力が入ってる気がするんだが…。
「いや~、にしても学園では結構人気の高い鬼城と一緒の学年とは、俺もついてるな……!」
……なるほど。俺に対する妬みか。
って言われても、今のところ俺は誰かから告白されたこともないし、彼女もできたことないし…………だから俺が責められるのは大変理不尽だ。――というわけで。
「ハハハ。俺もイッセーや祐斗以外で同学年の男悪魔と知り合いになれて幸せだぜ」
「ぎゃああぁぁぁぁぁぁ!?」
突然悲鳴を上げて腕を押さえる匙。まあ、俺が力を入れて握手してるからだが。
反撃の余裕も与えずに、なおかつ骨を潰さないように注意しながら力を込める。
「さて、匙くん。何か言うことは?」
「す、すまん!! 俺が悪かった!」
「よろしい」
俺は匙の手を解放する。その瞬間俺から距離をとった。
「いてて…。お前本当に<兵士>一個分なのかよ?」
「ああ。残りは全部イッセーに使われた。俺に使われたのはちゃんと一個だけだぜ」
そんなやり取りをしてると、イッセーがリアスさんに耳打ちしていた。
「(あの部長。竜真の駒が特別なものだって伝えてないんですか?)」
「(そういえば伝えてなかったわね。今度機会があったら言っておくわ)」
まあいいか。そんなことを考えてると、支取ーーシトリーさんが立ち上がった。
「私はこの学園を愛しています。ですから、この学園に害をなす者は例え誰であろうと容赦するつもりはありません。それがリアスだとしてもです」
……これは、俺たち新人悪魔に対する遠回しな警告だろう。リアスだとしてもってことは、リアスさんの下僕だからといって俺たちが学園に迷惑をかけれた場合に特別扱いはしないということか。
まあ、特に問題を起こす気なんてないが。え? さっきのこと? 一体なんのことだ?
「それでは、新人悪魔の顔合わせも済みましたし、私たちはこれで失礼します。行きますよ、サジ」
「はい!」
シトリーさんと匙はそのまま部室を出ていこうとする。俺とイッセーとアーシアさんはそれを頭を下げて改めて挨拶した。
「ソーナ・シトリーさん――様…。これからよろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします!」
「よろしくお願い致します」
「ええ、よろしくお願いします。リアス、球技大会が楽しみね」
「ええ、そうね」
シトリーさんは最後にリアスさんと話して部室を出ていった。
「三人とも、匙くんと仲良くしてあげてね。特に、いがみ合ってたイッセーと竜真は」
「了解です!」
「別にいがみ合ってませんが……。まあ、元より仲良くするつもりでしたからいいですけど」
向こうが拒まなければ仲良くしよう。
――――――――――
とうとう球技大会当日。
途中リアスさんとシトリーさんによる人外丸出しのテニスがあったが、誰も疑問に思わないのか? あの二人魔力を使ってたせいでラケットが折れたのに誰もツッコまなかった。既にこの学園の生徒全員が洗脳されてんじゃないかと本気で疑った。
まあなんやかんやで今は待ちに待った部活対抗戦。競技はドッジボールで、最初の相手は野球部。
始まる前にイッセーお手製の<オカ研>と刺繍の入ったハチマキをもらい、気合い充分という感じだったんだが……。
「狙え! 兵藤に集中放火だ!」
「うおぉぉぉ!? ふざけんなお前らぁぁぁぁ!!」
――この通り、狙われてるのはイッセーだけである。まあ、それも仕方ないだろう。順に説明していこう。
まず、リアスさんと朱乃さんはこの学園の二大お姉様と呼ばれるほどに人気のある人だ。当てれるわけがない。
次に、アーシアさんは転校してきたばかりの金髪美少女。性格に一切の汚れがない、まさしく天使のような存在(悪魔だけど)。当然、当てれない。
次に、小猫は学園のマスコット的存在。人気もそうだが、見た目だけだと当てたらかわいそうに思えてしまう(実際は頑強でバカ力だが)。なので当てれない。
次に、祐斗はその女子からの凄まじい人気のため、男子はむしろ当てにいきたいだろうが、当てたら祐斗のファンである学園の女子全員から恨まれるのは目に見えてる。よって当てれない。
で、俺の場合も祐斗ほどではないが人気があるらしく、他人から恨みを買うようなこともしていないので当てられない。……まあ、それ以上の理由があるんだけど、それはあとにしよう。
最後にイッセーだが………エロトリオの一人、性欲の権化、野獣。更にあのバカ二人が広めた噂もあり、女子どころか学園の全生徒の敵である。
こいつなら当てて問題ない。いや、むしろ皆の平穏のために当てるべきだ。さあ、お前の命を差し出せ。消えろ、滅べケダモノ!!
――と、こんな感じだろう。まあイッセーの説明は途中からあいつらの心の声を詠んだが。
そんなわけで、さっきからイッセーが頑張ってボールを避けて、それを小猫が時おり受け止め投げ返し、確実に相手の数を減らしていってる。チェスでいうところの<
「いいぞえs――イッセー! その調子で避け続けろ!」
「竜真! 今餌って言いかけなかったか!?」
それは幻聴だ。とか話してる内に、イケメンに対する恨みが強かったのか祐斗にボールが投げられていた。普段の祐斗なら簡単に避けれるが――今のあいつはぼーっとしている。あれじゃあアウトになっちまう!
「何やってんだよ!」
と、祐斗とボールの間に入る者がいた。意外なことに、イッセーだった。イッセーは体でボールを受け止めようとる。だが、ボールは勢いを残したまま下の方に落ちていき――あ。
「っ――!?」
――イッセーの股間に直撃した。
イッセーは堪らずその場に倒れる。俺たちは急いでイッセーの元に駆け寄る。
「おいイッセー、大丈夫か? 息できるか?」
「む、無理だ…。玉が…。玉が潰れた……」
抱えて声をかけるが、苦しそうに答えるイッセー。思い切り潰れると本当息できないからな……。
「大丈夫よイッセー! ボールならあるわ! あなたに手を出した輩にお返ししてあげましょう!」
リアスさん。玉ってそれじゃないです。とりあえず事情を説明するが……セクハラにならないよなこれ?
「いえ、リアスさん。そうではなく、男にとって大切な玉がお亡くなりに……」
「――っ!? なんてこと! アーシア、イッセーを人目のないところで治療してあげて! こんなことで不能になってもらっては困るわ!」
「わ、わかりました!」
張り切っているが、多分どこをどのように怪我したかは理解してないなアーシアさん……。
「小猫、イッセーを運んで!」
「……わかりました」
小猫はイッセーの襟首を掴んで引きずっていく。小猫、今だけは丁寧に運んでやって…。
「さあ、イッセーの弔い合戦よ!」
「了解です!」
イッセー、君のことは忘れない! …………三秒だけ。
「竜真、攻撃することを許可するわ! 思う存分暴れなさい!」
リアスさんがそう言ってボールをパスしてきた。
「では遠慮なく………オラァ!」
俺は野球部でもギリギリ反応できない速度でボールを投げる。それをくらった一人はアウトになる。更に、ボールに回転を加えていたので、跳ね返ったボールはこちら側に戻ってきた。はい、お一人様追加!
しかし、二回目のボールは突如割り込んできた大きな手により止められた。誰だ?
「まったく。この程度の球速にビビってたら甲子園は目指せないでごわす」
俺のボールを止めた人物は――身長二メートルはあるぽっちゃりというか、ぶっちゃけかなり太った巨漢がいた。
「「「「鬼塚さん!!」」」」
……………えっと……。
「あのすいません。相撲部ならこのあとのはずですが……」
「貴様、失礼だぞ! この方は野球部のエース! 三年の鬼塚勇太さんだ!」
「いや、明らかに相撲部でしょ。第一、速そうには見えないが?」
「何を言うか! 鬼塚さんはパワーだけなら野球部ナンバーワンだ!」
「そうだ! 打てば必ず場外ホームラン! パワーだけなら誰にも負けん!」
「で、足の速さは?」
「「「「………」」」」
全員目を逸らすなよ……。
「そんなことはどうでもいい! おいどんは貴様を倒せる日を待ち望んでいた!」
ほら、今おいどんって言ったぞ。やっぱり相撲の人だろ。
というか、なんかやけに敵対心が強いな。俺はこいつとは初対面のはずだが…。
「おいどんは先日、ある女子に告白した。一年の頃からずっと気になっていた娘に勇気を出して告白したのでごわす。――しかし、女子からはふられた! その時、おいどんは彼女に必死で説得した! おいどんは強い! それこそ鬼のように! おいどんがいれば、身の安全は保証すると! すると、彼女はこう言ったでごわす。『どうせ鬼なら、鬼城くんみたいな人に守られたい』と……!!」
いや、それ俺悪くないよな? ただの偶然による逆恨みだよな?
っていうかついには語尾にごわすがつき始めたぞ。絶対相撲部だろ。
鬼塚はいつの間にか泣き出していた。
「あの時のおいどんの苦しみ、貴様にはわからないでごわす! だから、このドッジボールでその苦しみを少しでも貴様に味あわせてやるでごわす! そして貴様を倒せば、彼女はおいどんに振り向いてくれるはずでごわす!」
ありきたりな考えだな……。
そして投げる姿勢に入った鬼塚。フォームはピッチャーのものと全く同じ。本当に野球部――
「どすこおぉぉぉぉい!!」
やっぱり相撲じゃねぇか!! 今どすこいって言ったぞ!? ピッチャーが投げる時にどすこいなんて言わねぇだろ!?
だが、他の奴らが言うようにパワーはあるみたいだ。さっきまで投げていたボールとは段違いの勢いでボールが飛んでくる。
――まあ、それだけだ。
俺は右手を前に出してボールを受け止める。それだけでボールは簡単に止まる。それを見た生徒全員は驚愕の表情をしていた。
「……やられたらやり返す…」
俺はそう呟いて構えをとり、
「――倍返しだ!!」
先程より速いボールを投げる。
「どす――」
ボールは見事に鬼塚の大きな腹に直撃して、そのまま観客席にまで吹き飛んで行った。
先生方が慌てて駆け寄り、その巨体を持ち上げて運んでいった。…さて、と。
「次にやられたいのは誰だ?」
「「「「棄権します!!」」」」
こうして、初戦はオカ研が勝利した。
――そう、俺に向けて投げられない最大の理由は、身体能力が高いため投げ返されたら大体酷い目に遭うからだ。
その後の試合には三人も戻ってきて、チーム一丸となり見事優勝した。
……ただ一人、祐斗を除いて。
――――――――――
球技大会が終わったあと、俺たちはいつも通り部室に来てたが、外はさっきまでと違い雨がざあざあと降っている。
ぱぁん!
そんな中、部室に乾いた音が響く。その音は、リアスさんが祐斗の頬をはたいた音だった。
さっきも言ったが、祐斗は全く協力しなかったというわけではないが、ほとんどぼーっとしていて試合に消極的だった。
「どう? 目が覚めたかしら?」
リアスさんがそう聞くが、祐斗は普段の笑顔に戻る。だが、それは爽やかな感じではなかった。むしろ冷たいものだった。
「もういいですか? 今日のことはすいません。少し疲れたので今日はもう帰らせてもらいます」
「祐斗? 本当にどうしたの?」
「体調が悪いだけですよ。それでは、失礼します」
祐斗はそのまま部室を出ていこうとする。
「おい木場、お前どうしたんだよ? 全然らしくないぞ?」
「君には関係ないよ」
イッセーの質問に冷たい笑顔で答える祐斗。
「祐斗、俺たちは仲間なんだ。何か悩みがあるなら聞くぞ」
「仲間……か…」
祐斗は表情を暗くした。なんだ?
「僕は、最近になって基本的なことを思い出したんだ。自分がなんのために戦っているのかをね」
「なんのためにって………部長のためじゃないのか?」
普通はそうだ。俺たち下僕は自分の主のために戦う。だが、祐斗はそれを否定した。
「違うよ。僕は復讐のために生きてるんだ。聖剣エクスカリバーを破壊するのが僕の戦う意味さ」
祐斗のその表情を見た俺は、違うものが見えた。――過去の自分が。
竜真がまさかのイッセーの家へ居候…。これでイッセーの幸せタイムは大幅に削られることでしょう。ザマァ!
そして既に生徒会と面識があった竜真。意外と顔が広いです。
途中で出てきた鬼塚さんは一発キャラです。まあ、出てきた時点で一発臭がプンプンだったと思いますが(笑)。
それでは、このへんで。富竹フラッシュ!!
カッ!!
目がぁ! 目があぁぁぁぁぁ!!