ちょくちょく投稿していきたいとは思っています。
それでは、本編へ突っ込め!
竜真side
球技大会が終わった次の日、昼休みに部室へ行くとリアスさんがいた。先にイッセーが来てたはずだがいなかったのでどこにいるのか聞くと、朱乃さんにドラゴンの力を吸収してもらうために別の部屋に行ったらしい。
で、リアスさんはなんか不安に思ったらしく、イッセーと朱乃さんがいるであろう部屋に行くというので俺もついていくことにした。そして今は二人で歩いてるわけだが…。
「聖剣計画?」
「ええ。祐斗はその計画の唯一の生き残りなの」
俺はリアスさんに祐斗の様子がおかしいことについて、何か心当たりがないか聞くと祐斗の過去を語ってくれた。
――聖剣計画。教会所属の者たちが聖剣を使える人材を人工的に生み出すために、剣に関する才能を持った子どもを集めて、その子たちの力を研究する計画だったらしい。
しかし、その行き着いた結果は――子どもたちの殺処分。この実験を耐え続ければ必ず主の役に立つ。そう信じていた子どもたちの行く末がそれなのか…。
だが、一人だけ逃げ延びた子がいた。――それが祐斗。といっても祐斗の体は既に限界で、たまたまそこに来ていたリアスさんが悪魔に転生させたことで祐斗は生きることができた。
「けれど、祐斗は忘れられなかった。目の前で無惨に殺された同志たちを。自分たちを殺した教会の者たちを。でも、最近は少し落ち着いてきてたのよ」
「だけど、この前イッセーの家で聖剣の写真を見て、再び復讐心が燃え上がった、ということですか?」
リアスさんは頷いて肯定したあと、悲しそうに目を開いた。
「私は、あの子には復讐以外の生き方をしてほしい。復讐以外に自分の生きる意味を見つけ出してほしい。そう思ってるわ」
「……ですが、復讐心ってのはそうそう消えるものじゃない。それこそ、復讐したい相手を殺さない限り――いや、最悪殺しても消えない可能性だってあります。今は、祐斗が妙なことをしでかさないように祈るしかないでしょう。もし必要なら力ずくで止めますが?」
「……いえ。かわいい下僕同士で争ってほしくないわ。もう少し様子を見ましょう」
「了解です」
そんな話をしてる内に、イッセーと朱乃さんがいる部屋の前に着いた。
「それじゃあ、入りましょう」
そう言ってリアスさんは扉を開けようとする。
が、直前で止まり、扉に耳を押し当てた。
「? どうしました?」
「しっ……」
リアスさんは人指し指を立てて静かにするようにジェスチャーする。そして、俺も耳を当ててみろということなのか扉を指差した。
疑問に思いながらも指示に従い扉に耳を当てる。
『イッセーくん。部長やアーシアちゃんには内緒で、私と浮気してみる?』
中から朱乃さんのそんな声が聞こえてきた。………………はあ!? 何言ってんの朱乃さん!?
まさか、朱乃さんまでイッセーに惚れたのか? ……あの野郎、なんやかんやでハーレムを確実に増やしてやがる! 俺にも誰か残せよイッセー! 残してくださいお願いします!
とかアホなことを考えていると、隣のリアスさんが扉を勢いよく開けた。あーあ、怒ってらっしゃる。
「ぶ、部長!? それに竜真も!?」
「……朱乃。これはどういうことかしら?」
驚くイッセーを無視して朱乃さんにそう問うリアスさん。
「うふふ、ドラゴンの力を散らしていただけですわ」
朱乃さんはいつものように笑顔で答える。だが、俺にはその笑みはリアスさんへの挑戦状のように見えた。
リアスさんは朱乃さんのその態度にますます機嫌を悪くしたようだ。
「ドラゴンの力を散らしていただけ? それ以外のことをしようとしていたように見えるのだけど?」
「それは部長の押しが弱いせいではないでしょうか? あまり奥手だと、横から誰かに盗られてしまいますわよ?」
「「………」」
互いに黙ったまま相手を見る。プレッシャーが半端ない……。
だが少しして、リアスさんはイッセーのところに行き、頬を思い切りつねった。
「いででででででで!?」
「ずいぶん楽しんでたみたいねイッセー。憧れの朱乃お姉様にかわいがってもらって」
「ほ、ほんなほれは!(そ、そんな俺は!)」
「……勝手にしなさい!」
リアスさんはつねるのを止めると扉を勢いよく閉めて部屋から出ていった。イッセーは何がなんだかわからないという顔をしてる。………この鈍感が…!
「イッセー」
「な、なんだよ竜――ごはっ!?」
俺はイッセーの腹に拳を叩き込む。気絶しないギリギリの力加減でやってやった。
「お、お前まで…………なんなんだよ……」
「自分で考えろ」
そう言って俺も部屋から出る。さて、リアスさんのアフターケアしに行かないと。
――――――――――
あれからなるべくリアスさんの機嫌を直すために色々した。そうしてる内に部活も終わってイッセーとアーシアさんが帰ろうとしてるんだが……。
「あの、部長。帰らないんですか?」
「私はあとで帰るわ。あなたたちは先に帰りなさい」
この通り、イッセーと顔も合わせずにそう言うリアスさんがいる。……はあ。もうちょっと粘るか。
「イッセー。俺はリアスさんと帰るから二人で先に帰ってくれ」
「え、竜真もかよ!?」
「…竜真?」
イッセーとリアスさんは驚いた顔でこっちを見る。そんなに意外か……。
「ほら、いいから行け。最近アーシアさんと二人きりで帰ってなかっただろうから丁度いいだろ?」
「お、おう、わかった。それじゃあお先に失礼します」
「部長さん、竜真さん、さようなら」
イッセーとアーシアさんが部室から出ていく。今部室に残ってるのは俺とリアスさんだけだ。
「竜真。あなたまで残る必要はないのよ?」
「ありますよ。――まだあなたを説得できてませんから」
俺はリアスさんの座る机の隣に立つ。
「リアスさん。イッセーを許してやってくれませんか? あいつも悪気がいったわけじゃないんです。………エロいくせに鈍感ってだけなんです。――あれ、これって全然ダメじゃねぇか?」
フォローどころか余計に許せなくなりそうなことを言ってしまった。アホか俺は!
「……ふふふ」
そんな俺の心配をよそに、リアスさんはクスクスと笑っていた。
「わかってるわ竜真。イッセーの性欲が強いのは前から知っていたことだものね。私も少しムキになってしまったし、帰ったら許してあげることにするわ」
「ほ……。ありがとうございます」
「別にいいわ。それにしても、竜真はずいぶん世話焼きね。イッセーのことになると特に」
………改めて言われてみると、確かにそうかもしれない。
「……まあ、あんなのでも恩人ですからね。それに、自分の主が不機嫌なままなのも嫌ですしね。いつこっちに矛先が向くかわかったもんじゃない」
「あら? 私がやつ当たりをすると言いたいのかしら?」
いかん。リアスさんの目が細くなって凄みのある笑みを浮かべた。
「い、いえ、決してそのようなことは、ハハハハハ……。そ、それより、残った理由はイッセーと一緒に帰るのが嫌だったってことだけなんですか?」
「いいえ、違うわ。元から残るつもりだったのよ。ソーナから話があると言われたの。朱乃が迎えに行ってるから、もうそろそろ来るはずよ」
シトリーさんから? この前聞いたが、二人はあまり学園内で干渉しないようにしているらしい。なのに話があるなんて………よっぽど重要な内容なのか?
とか考えていると、部室の扉が開いた。そこから朱乃さんとシトリーさん、生徒会副会長である
「あら、竜真くん。まだ残っていたのですか?」
「はい。これから何か話があるんですよね? ……もしよかったら、俺にもその話聞かせてくれませんか?」
「……と言ってるのだけど、いい、ソーナ?」
リアスさんがシトリーさんに聞く。シトリーさんは少し思案したあとに口を開く。
「ええ、構いません。どちらにせよ、あとで知ることになるのですから、今聞いても変わらないでしょう」
「ありがとうございます」
こうして、俺も話を聞くことになり、ソファーの後ろに立つ。四人はソファーに座っている。
ああ、真羅さんともちゃんと挨拶を済ませといた。
「実は本日、教会の者から接触がありました」
「教会から?」
シトリーさんの発言に、リアスさんは怪訝な表情になる。そりゃそうだ。悪魔は教会にとって敵。言い方によってはその敵の巣窟とも言えるこの学園に教会関係者が来るなんて普通はありえない。
「なんでも、この領地の管理者であるリアスと話がしたい、とのことです。話の内容までは言ってませんでしたが……。二人いましたが、得物から強い聖なるオーラを感じました」
「っ!? まさか、聖剣使い!?」
「ええ」
聖剣使い。また面倒な……。
聖剣はその纏うオーラで魔の者へ絶大なダメージを与える。悪魔にとっては光以上に厄介なものだ。
「リアスさんと話がしたいってことは、ここら辺で何か始める気でしょうか?」
「その可能性が高いでしょう。関連があるかどうかはわかりませんが、近頃この近辺で教会関係者が次々惨殺されているらしいのです」
真羅さんがそう言う。教会関係者が殺されてる、か……。もしかして、神側で何か起きてるんじゃないか?
「聖剣使いが私と話ね……。何が目的なのかしら?」
「こればっかりはわからないですね。ただ、敵に接触なんて面倒なことをするくらいですから、それ以上の面倒事のような気がします…」
何もなけりゃいいんだが……。
「そういえば、そいつら話し合いと見せかけて俺たちを殺しにかかってきたりしませんよね?」
「一応、神に誓って危害を加えないとは言っていましたが、安心はできませんね」
そいつらの信仰心を信じるしかないってことか…。一応、最大レベルの警戒はしておこう。
「それでソーナ。その者たちはいつ私と話したいと?」
「明日、と言っていました。放課後、旧校舎に直接行くとのことです」
「……わかったわ。他の部員にも私から伝えておくわ」
そこで話は終わり、俺たちは解散した。
………なんか嫌な予感がするな。
――――――――――
「にしても、このタイミングで聖剣使いからの接触ですか。……祐斗が暴走しないか心配ですね」
あれから少しして、俺とリアスさんは帰路についた。
そういえば、こうしてリアスさんと二人きりで夜遅くに帰るのは初めてだな。最初にリアスさんたちと会った時? あれは気絶してたとはいえ、イッセーがいたからノーカンだ。
「そうね。祐斗も普段は下手な行動はしないけれど、今の状態だと何をするかわからないわ」
はあ…。次から次に面倒事が――
「………」
「竜真、どうしたの?」
俺は歩くのを止めて立ち止まった。なぜなら、突然体に悪寒が走ったからだ。
殺気とは違う。この感覚は、十字架などが発する聖なるオーラに悪魔の本能が恐怖してるのと似ている。……まさか、聖剣?
確信は持てないが、急いだ方がいいな。
「リアスさん。ちょっと失礼します」
「え、何――きゃっ!?」
俺はリアスさんを俗にいうお姫様抱っこで持ち上げる。……しかし、ずいぶんかわいい声を出したな。
「た、竜真! なんのつもりなの!? 早く下ろしなさい!」
「すいません。今は我慢してください。――少し急ぎますよ」
俺はそう言った直後に全速力で走り始める。
そして、走れば走るほど――いや、イッセーの家に近づけば近づくほどに先程の悪寒も増す。やっぱりそういうことか…!
――イッセーの家に、聖剣使いがいる!
「っ! 竜真、この気配は!」
「ようやくリアスさんも感じましたか? 多分考えてる通りだと思います。……俺も同じこと考えてますし」
リアスさんは顔を青くした。無理もない。
聖剣使いが悪魔を葬るのは当然のこと。下手したらもう二人は……。
俺はその不安を振り払うように家に急いで向かった。
――――――――――
「ふぅ…。二人とも無事だったんだな。安心したぜ」
あらからすぐに家に着いたが、イッセーもアーシアさんも無事だった。おばさんも何もされなかったようだ。……むしろ楽しく話していたとか。
というのも、来ていた聖剣使いの一人が俺とイッセーの幼なじみの女の子だったらしい。今回家に寄ったのは久々に日本に帰ってきて懐かしかったから――要するに偶然だったようだ。
「本当に無事でよかったわ…! 家に近づくほど聖なるオーラが強くなっていったから心配したわ……!」
リアスさんは嬉しさのあまり、二人を抱きしめながら涙を流していた。
「あ、ありがとうございます、部長。何もされてませんから、大丈夫です」
「あなたたちとはいがみ合ったままだったから、もしあのままあなたたちど別れることになっていたら、私は死ぬまで後悔していたわ……」
「すみません部長さん……。最近、私部長さんに反抗してばかりいました…」
「いいのよアーシア。もしあなたの立場になったら、私も同じことをしていたでしょうしね」
アーシアさんともいつの間にか険悪になっていたのか……。まあ、仲直りできたみたいだし、よかった。
「部長、おっぱ――いがぁ!?」
「感動シーンで何言おうとしてるんだお前は」
どさくさに紛れてセクハラ発言しかけたイッセーを殴る。油断も隙もない……。
「それじゃあ、俺はシャワー浴びてきますね。リアスさん、あの話を二人に説明しておいてくれますか?」
「ええ、もちろんよ。さっきはあなただけに走らせてしまったから、先に入ってきていいわ」
「いえいえ、あれくらいどうってことないです。――むしろ役得でしたし」
俺がそう言うとリアスさんは先程のお姫様抱っこを思い出したのか、顔が赤くなった。
その様子を見て、イッセーが掴みかかってきた。
「た、竜真! お前部長に何しやがった!?」
「別に何もしてないぜ。何より、お前に教える気は微塵もない」
イッセーの手を振りほどいてバスルームに向かう。第一、リアスさんとの身体的接触はあいつの方が圧倒的に多いんだから、これくらいで文句を言われるのは心外だ。
――――――――――
――いい加減ぶっ飛ばそうか?
次の日の放課後となり、俺は大変不機嫌な状態で旧校舎へ向けて走っていた。
なぜかというと、またあのクソ教師に呼び止められたからだ。今度は書類の整理だった。なんで俺なのかと聞いさら、またしても気分だ、と言われた。
……その気分で俺を何回も呼び止めて、部活に行く時間を遅くしてるあの教師に一発叩き込んでも誰も咎めないと思うんだ。
特に今日は聖剣使いが来て話し合いがあるというのに、既にいつもより三十分近く遅れている。何も起きてないでくれよ……!
「っ…! この感じは……」
昨日と同じ悪寒が走り、俺は立ち止まる。これは間違いなく、聖剣から放たれている聖なる力だ。昨日よりも濃いな…。近くにあるからか? それとも、聖剣の力を解放しているのか?
……もし後者なら、間違いなく戦闘を行っている。急がねぇと!
聖なるオーラを感じた方角に急いで走る。この方角だと、旧校舎近くにある森か?
そんな風に考えている内に、森に着く。まだ皆の姿は見えない。もう少し奥か?
進んでいくと、オカ研の皆の姿を確認した。……見知らぬ女性も二人いる。おそらく、あの二人が話を持ちかけてきた教会の者だろう。
その人たちが持つ剣から聖なるオーラが放たれている。あれが聖剣か……。
足元を見ると、地面に巨大なクレーターができていた。イッセーと祐斗が地面に倒れている。だが、他の四人が動いてないところを見ると、乱闘はしてなかったようだ。
……アーシアさんと小猫の服が消し飛んでいることについては、あとでイッセーに問いただそう。あんなことできるのあいつしかいねぇ。
「あ~、リアスさん。この状況は一体なんですか?」
「っ!? 竜真、遅いわよ! 大事な話し合いがあったというのに!」
「俺だって遅れたくて遅れたわけじゃないですよ!!」
全てあのクソ教師のせいだ! 今度無茶ぶりしてきたらマジでぶん殴る……!
そんな感じで俺とリアスさんが怒鳴り合っていると、教会の者であろう栗毛のツインテールの人が近づいてきた。
よく見たら凄い服着てるな……。黒い服で露出が少ない代わりに、体のラインが丸わかりだ。
「ねえ、あなた今たつま、って呼ばれてたけど、もしかして鬼城竜真くん?」
「……そうですが、なぜあなたが俺の名前を知ってるんです? 自己紹介をした覚えはありませんが…」
俺は警戒しながら質問する。すると、女性は苦笑いした。
「あはは……。やっぱり竜真くんもわからないんだね。私だよ、私」
「私私詐欺なら遠慮する」
「違うわよ!? というか語呂が悪くないかしら!? ――イリナよ!
「…………え?」
俺はその言葉を聞いて固まった。その名前で知っているのは一人しかいない。先日祐斗が見つけた写真に俺とイッセーと一緒に写っていた子。――その子が、目の前にいる女性。
「イリナ!? 本当にイリナなのか!?」
「そうよ! もう、竜真くんなら気づいてくれると思ったのに……」
イリナは少し落ち込んで俯く。俺はイリナの頭に手を置いて優しく撫でる。
「悪い悪い。久々だったからわからなかったんだ。まあ、時間が経つと人も変わるもんだな。男並みにやんちゃだったイリナが、こんなに綺麗になるとはな」
「も、もう! そういうことは女の子に軽々しく言ったらダメなのよ!」
顔を赤くしてイリナが叩いてくる。まあ効果音で表すと、ポカポカ、という音が入りそうなものなので全然痛くないが。
「で、でも、変わったのは竜真くんもでしょ? ……悪魔になってたなんて」
そう言って、イリナは悲しそうな顔をする。まあ、久々に会った幼なじみが自分にとっての敵になっていたんだから当然か。
「悪いなイリナ。だが、こうでもしなければ、俺とイッセーはもうこの世にはいない。形はどうであれ、悪魔になったことで俺たちは今も生きることができている。それはわかってほしい」
「………そうね。二人とも死んじゃってたら、凄く寂しかったと思うわ」
「だろ? だから、悪魔になってでも生きていてよかったと思っておいてくれ」
「――私なら死を選ぶね」
イリナを説得していると、もう一人の青髪に緑メッシュをした女性が割り込んできた。敵意むき出しだなおい…。
「イリナ、この人は?」
「ゼノヴィアよ。今回の任務で一時的に私のパートナーになったの」
「イリナ、そいつから離れろ」
ゼノヴィアさんは、イリナの手を引いて俺から遠ざける。
「ちょ、ちょっとゼノヴィア!」
「死を恐れて悪魔に堕ちるような奴と親しくするな」
「……それが気にくわないってことか。悪いですが俺は信者でもなんでもありません。そのことについてあなたにとやかく言われる筋合いはありませんよ?」
「だとしても、人として死ぬのを止めて生きるために悪魔に生まれ変わるなんて愚の骨頂。そのまま人として死んでいた方がよかったと私は思うね」
人として、か……。
「そうか。なら問題ないな。俺は元々人間じゃなかったし、悪魔になったお陰で逆に人間らしくなれたからな」
「人間じゃなかった? では、君は元々なんだったんだ?」
怪訝そうな表情でこちらを見るゼノヴィア。俺は息を吸ってはっきりと言う。
「――化け物さ」
その時の俺の声は、自分でも気づかない内にドス黒い殺意が籠っていた。
――――――――――
あれから特に争いが起きることなく、イリナとゼノヴィアは去っていった。
なんであそこで戦ってたのか聞くと、二人が帰る前にアーシアさんを魔女と呼び、勝手な言い分で断罪しようとしたのを見てイッセーがキレた。そしてそれに乗じて祐斗が決闘を申し込んだからであった。まあ、片や実力不足、片や判断不足で負けたわけだが。
で、今は話の内容を朱乃さんから聞いているんだが……。
「コカビエル? ……聞き間違いとかじゃないんですよね?」
「ええ。確かな情報らしいですわ」
マジかよ…。嫌な予感が的中したってことか……。
まず、今回の話の発端として、教会が管理している聖剣――エクスカリバーが奪われたことから始まった。エクスカリバーといっても、オリジナルは大昔の戦争で折れてしまい、今あるエクスカリバーは砕けた破片から作られた七つの聖剣らしい。二人が持っていた聖剣もエクスカリバーの一つだったようだ。
でもって奪った輩だが、堕天使の組織<神の子を見張る者>。その中で幹部を勤めるコカビエルが中心となっているらしい。
――コカビエル。聖書にも記されている、古から生きる堕天使。先の大戦でも生き延びていたようだ。
そんな大物が主犯格なのか……。しかも、この町に潜伏しているらしい。
「はあ……。どうして俺の予感は嫌なものばかり当たるんだ?」
「……ドンマイです」
大して興味なそうに言っても傷つくだけだぞ小猫。
「それで、肝心の向こうの要求はなんですか?」
まさか協力してくれなんて言わないよな? 流石にそんな化け物を相手にしたくはないぞ。実力に差がありすぎる。
「あちらの要求は、今回の件にこの地域の悪魔が一切干渉しないこと、とのことです」
……うん、さっき協力はしたくないみたいなこと思ったけどさ、正気か?
「この件で教会側が送った刺客はあの二人だけなんですよね?」
「はい。神父はこちらに何人も来たようですが、全員殺されているみたいですし、あの二人だけで戦う気でしょう」
「無茶にもほどがあるだろ……」
イッセーはともかく、祐斗も倒したのだから実力はあるんだろうが、相手は格上の存在。いくらなんでも無謀だ。俺たちが言う強いとは次元が違うんだぞ。
「もちろん、その要求は飲んだんですよね?」
「ええ。自分の領地で好き勝手されるのは気にくわないようだけど、今回は相手が相手ですから、手出しはしませんわ」
まあ、一応は安心か。……だが、三すくみの状態でこんな行動をとるなんて、堕天使は戦争でも起こしたいのか?
「待ちなさい、祐斗! どこへ行くつもり!?」
突然リアスさんの怒鳴り声が部室に響く。見てみると、祐斗が何か決意したような表情で部室を出ていこうとしていた。
「あなたは私の眷属なのよ!? はぐれになってもらっては困るわ!」
「…僕は、同士たちの無念を晴らさないとダメなんです。この魔剣に、彼らの恨みを込めて、聖剣を破壊しなければいけないんです」
そう言って扉を開け、部室を出ていく祐斗。
「祐斗…。どうして……」
リアスさんが悲しそうに呟く。………なんか、面倒なことが重なって起きてるな。これ以上何も起きなきゃいいが――無理そうだな。
俺の視線の先にはイッセーがいる。その表情は、決意を秘めていた。あいつがああいう顔をする時は、絶対何か行動を起こす。
………勝手に動かれると厄介だし、見張っておくか。
戦闘シーンがほとんどないのに、なんだこのギャグの少なさ……。
他の方の小説を読んでいて思いましたが、皆さん会話の中に自然にギャグを入れていてとてもおもしろいですね。ああいう書き方ができればなぁ…。
次回からコカビエルたちとの戦闘に――入れるかどうか微妙ですね。まあ、期待せずに待っていてください。
それではこの辺で。(リア充という名の)野郎オブクラッシャー!!