ハイスクールD×D 荒ぶる神を宿す者   作:初代凡人

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主人公補正って凄い。書いていてそう確信しました。

殺された竜真はどうなるのか!? 残されたイッセーたちはどうするのか!?

このドキドキ感をキープしたまま本編をご覧あれ!

あ、タイトルの意味は、<絶対的捕食者>です。


第二十話 アブソリュート・プレデター

???side

 

ふん。死んだか。なぜこんなにも弱い器なのだろうな……。

 

まあいい。あの女堕天使に殺された時は、覚醒前に思わぬ邪魔が入ったからな。

 

 

 

 

 

――今度こそ、その体をもらおう。

 

 

 

 

 

???side out

 

 

 

no side

 

コカビエルの光の槍で胸に風穴を空けられ、大量の血を出して倒れた竜真。

 

「「「「「竜真(くん)(先輩)!!」」」」」

 

それを見ていたオカルト研究部のメンバーは思わず叫び、竜真に駆け寄る。

 

「おい竜真! おい!!」

 

一誠は声をかけながら竜真の体を揺する。しかし、反応はない。

 

「竜真! しっかりしなさい! 竜真!!」

 

リアスは竜真の体を抱えて声をかける。それにも一切の反応がない。

 

いや、全員竜真の反応がないことは予想していた。なぜなら、どう見ても竜真は――

 

「無駄だ。その男は死んだよ」

 

上空にいるコカビエルがそう告げる。

 

竜真の呼び方が小僧から男に変わっている。コカビエルは一人の戦士として散った竜真に敬意を示し、呼び方を変えたのだ。

 

皆、言われなくて理解してる。だが、受け入れたくはなかった。――竜真が死んだことを。

 

(しかし妙だな。悪魔なら光で殺されれば、体は消滅するはずだが…)

 

コカビエルは心の中で疑問を覚えた。

 

今思った通り、悪魔にとって光は猛毒。それをくらって大ダメージを受ければ、体は光に耐えられず消滅する。それは命を失っても同じこと。

 

だが、死んでいるはずの竜真の体は消える様子が一向に見られない。

 

(さっき俺の剣を受けても、光によるダメージがないようだった。あの男は本当にただの転生悪魔なのか?)

 

コカビエルが頭の中で考えてると、一誠が涙を流しながら憤怒の表情でコカビエルを見上げる。

 

「――許さねぇ! テメェ!! よくも俺の親友を殺しやがったな!」

 

『Boost!!』

 

一誠は<赤龍帝の籠手>の力で一気に限界まで力を上げる。

 

――神器は所有者の想いに応えて力を上げる。限界まで上がったということは、それだけ一誠の怒りが強いということ。

 

一誠だけではない。隣にいたリアスはもちろん。朱乃と祐斗と小猫も怒りに顔を歪ませている。

 

「………私のかわいい下僕を殺したわね? ――許さないわコカビエル!! あなたの存在そのものを消してあげる!」

 

リアスは体から紅い魔力を溢れさせる。朱乃も手のひらに雷を纏わせ、祐斗も剣のオーラを高め、小猫も拳を力強く握る。

 

「…………最終決戦という感じだね。私も、いい加減参加しよう。……敵わなくても、そこの<兵士>のように最後まで戦ってやるさ」

 

戦意喪失していたゼノヴィアも、命懸けで立ち向かい、死んでいった竜真を見て思うところがあったようで、まだ震える体に喝を入れて立ち上がり、デュランダルを構える。

 

皮肉にも、竜真が死んだことで全員が限界まで力を出すことができた。

 

「……無駄だ。今の貴様らが束になっても、俺には勝てん。それどころか、その男よりもダメージを与えることもできないだろう」

 

コカビエルは、興味ないという様子でそう言った。それを聞いたリアスは激怒する。

 

「ふざけないで!! もう一度イッセーの力を譲渡すれば――」

 

「俺に勝てる、と言いたいのか? ――ふざけているのは貴様だ、リアス・グレモリー。さっきのフルパワーの一撃でも、俺に致命傷を負わせるには至らなかったのだぞ? それなのに、さっきよりも体力と魔力が格段に減っている貴様らが俺に勝つ? もはや笑えんな」

 

「タダで勝てるなんて思ってないわ! 私たちの命を捨ててでも――」

 

「それこそふざけるな! 力を使い果たしてまで、貴様らを守ろうとしたその男の想いはどうなる? その男は俺を久々に楽しませてくれた紛れもない戦士だ。戦士の想いを裏切ることは俺が許さん」

 

コカビエルは今までにないほどのプレッシャーを放つ。コカビエルなりの戦士の誇りというものだろう。

 

だが、言っていることは正論なので、リアスは何も言えなくなってしまった。

 

「まあ、止めろと言うだけ無駄か。だが安心しろ。その男へのせめてもの敬意として、死体もろとも貴様らを消し去ってやろう。そうすれば、そいつも寂しい思いをしなくて済むだろうからな」

 

コカビエルは先程のように極太の光の槍を出す。そこから感じる力はさっきのものより強い。おそらく、コカビエルの本気の一撃だろう。

 

今の一誠たちの力ではあれを防ぎ切ることはできない。放たれれば、確実に死が待っているだろう。

 

それでも一誠たちは闘志を消さない。さっきとは違い、圧倒的力の差を見ても、それ以上の怒りと覚悟が彼らをつき動かしている。

 

コカビエルはその様子を見て笑う。

 

「あの男の犠牲で、覚悟はできたようだな。――では、さらばだ。サーゼクスの妹とその眷属たちよ!」

 

コカビエルは槍を投げようとする。一誠たちはそれを見て身構える。

 

――一撃でもいい。奴にダメージを……!その思いだけで、コカビエルの動作を真剣に見て、隙をうかがっていた。

 

 

 

 

 

…………ド……クン

 

 

 

 

 

――だが、突然聞こえてきたその音に、全員が動きを止める。

 

これほど大きな音で聞いたことはないが、全員がその正体を連想できた。

 

 

 

 

 

……ド、クン………ド、クン……

 

 

 

 

 

――これは心臓の鼓動。

 

まさかと思い、その場にいる全員があるものを見る。それは死んでいる竜真。

 

 

 

 

 

ドクン……ドクン……ドクン……

 

 

 

 

 

そして、鼓動が聞こえる度に、竜真の体が上下に揺れる。

 

――間違いない。これは竜真の心臓の音。

 

 

 

 

 

ドクン、ドクン、ドクン、ドクン、ドクン

 

 

 

 

 

――竜真は生きている!!

 

一誠たちの心の中でそう結論が出た。一誠たちの顔は喜びに満ちていた。一誠に関しては、感動のあまり涙を流し始めている。

 

「――バカな!? ありえん!」

 

その一方で、コカビエルは今までにないほど動揺していた。自分の力に絶対の自信があるからこそ、自分の光の槍をくらって、消滅せずに生きている悪魔の存在が信じられなかった。

 

心臓の鼓動が聞こえなくなると、竜真の体から火柱が出る。それに合わせて、竜真の体がゆっくり浮かぶ。そして浮かんだ状態で体制を整え、火柱が止むと同時に、右手と両足でゆっくり着地する。

 

しかし、なぜかうつむいたまま顔を上げない。それに動いてはいるが、胸に風穴が空いたままだ。しかも、その傷口と籠手から黒い触手のようなものが出ている。

 

その様子に疑問を覚えるリアスたち。だが、そんなことは気にせず、一誠は自分の親友に声をかける。

 

「ったく! 竜真、心配させんなよ! 死んだフリなんて悪い冗談――」

 

涙を流しつつも精一杯笑って言っていた一誠だが、竜真が顔を上げたのを見て固まる。それは無理もない。

 

 

 

 

 

――竜真の赤い目がいつもより濃く、紅くなり、凄まじいプレッシャーを放っていたからだ。

 

 

 

 

 

それに気づいたリアスたちは思わず身構える。次の瞬間には、『仲間に対して何を怯えているんだ?』と思ったが、構えを解く気にはなれなかった。

 

今の竜真は普通じゃないと、本能が理解しているからだ。

 

「竜……真…?」

 

一誠は信じられないと思いながらも竜真に声をかける。だが、竜真はそれに反応すらせず、上空にいるコカビエルを見る。

 

そして、初めてその口を開き、

 

 

 

 

 

「――グオオアアアアァァァァァァァァ!!」

 

 

 

 

 

――獣のような雄叫びを上げた。

 

 

 

 

 

BGM「無慈悲な王」

 

 

 

 

 

竜真が上げた雄叫びは、空気を震わせ、一誠たちに恐怖を与える。

 

今のは人間――悪魔の出す声じゃない。全員がそう理解すると同時に『では目の前の竜真はなんだ?』という疑問が生まれる。

 

「………なんだこの力は? 魔力とは違う、何か別の力を感じる。貴様は一体――」

 

コカビエルが疑問を口にしてる最中に、竜真が屈む。次の瞬間には、姿を消した。

 

(速い!? 僕でも見えなかった!)

 

祐斗ですら見切れないスピード。それどころか、コカビエルも今の竜真の動きを追えなかった。

 

すると、コカビエルの十メートルほど後ろに竜真が現れる。

 

「っ!? いつの間に――」

 

コカビエルが気づいて振り返って竜真を見る。だが、竜真が持つ――いや、食わえているものを見て、驚愕する。

 

(……腕?)

 

しかも、コカビエルはその腕をよく知っている。それはそうだ。

 

 

 

 

 

――その腕はすれ違う時に、竜真が食い千切ったコカビエルの右腕なのだから。

 

 

 

 

 

「ぐあああぁぁぁぁ!?」

 

自分の腕だとわかった直後に、コカビエルの右腕が有ったところから激痛が走る。

 

竜真はそれを気にすることなく、食わえてる腕を両手で掴み、顎に力を入れてそのまま噛み砕いた。

 

グチャ、バキッ、と肉を骨ごと喰らう嫌な音が響く。

 

「き、貴様ぁ!!」

 

コカビエルは激怒して、巨大な光の槍を投げる。

 

既に腕を食い終わった竜真はそれに対応して、左手に槍を出して投げる。しかし、その槍を見て全員が驚愕した。先程から出してた炎の槍ならそこまで驚かない。

 

だが、竜真が投げたのは――光の槍。しかも、コカビエルの投げたものと同じサイズのものだ。

 

「何!?」

 

コカビエルが驚く中、二つの光の槍は空中でぶつかり、互いに砕け散る。威力も相当なもののようだ。

 

だが、コカビエルはそんなことは気にならないほど、竜真が光を扱ったことに驚いている。

 

(バカな! 悪魔にとって光は猛毒!! 触れるだけでもその身を焦がし、ダメージを受けるはずだ! なのに、なぜ奴は触れるどころか生み出せるのだ!?)

 

コカビエルの頭は軽いパニック状態になっている。

 

竜真はさっきまで光を使う様子は欠片も見せなかった。そんな奴が急に自分と同等の光を出したらパニックにもなるだろう。

 

しかし、コカビエルはある仮説を見つけ出す。

 

(まさか、俺の腕を喰らって力を奪ったのか!?)

 

その仮設は正しい。竜真は()()()()宿()()()()の能力で、コカビエルの力を得たのだ。

 

コカビエルが慌てている中、竜真は右手に炎の槍を出した。

 

コカビエルは突進してくると察して、光の槍を持ち、十枚の翼をバリケードのように張る。これで防ぎ、受け止めて無防備になったところを翼で斬り刻み、光の槍で串刺しにするつもりだ。

 

――だが、それは叶わなかった。

 

「がはっ……!?」

 

竜真が一瞬でコカビエルに肉薄し、その胸を炎の槍で突き刺す。

 

別にコカビエルの対応が悪かったわけではない。竜真がフェイントをしかけたわけでもない。

 

――単純な問題。今の竜真が出す炎の槍は、コカビエルの翼と光の槍を容易に貫く威力を持っていただけだ。

 

更に竜真は左手でコカビエルの翼を全てもぎ取る。コカビエルの背中から血が噴き出し、激痛が走る。

 

翼の壁がなくなり、コカビエルの眼前には、理性を持っているとはとても思えない竜真の顔が出てくる。

 

コカビエルはその顔を恐怖に歪め、身動き一つとれなくなる。

 

それは正に、蛇に睨まれたカエルの状態。圧倒的捕食者を前にした獲物。

 

「グルゥゥゥアアアァァァァ!!」

 

竜真が獣のように吠える。その声、炎、能力、紅い目、圧倒的なプレッシャー。

 

それらを見て、感じたコカビエルの脳裏に、一体の化け物の姿が甦る。

 

「ま、まさか……!? 貴様は――」

 

コカビエルが今の竜真の正体に気づいた瞬間、竜真の口から大威力の劫火球が放たれ、コカビエルに直撃した。

 

 

 

リアスside

 

――死んだ竜真が生き返った。

 

けれど、そのことに喜びを感じたのも一瞬だった。

 

周りの者全てに凄まじいプレッシャーを放ち、イッセーの力を借りても越えられなかったコカビエルを圧倒していた。コカビエルの腕を喰らい、翼をもぎ取り、獣のごとき雄叫びを上げる。

 

――そこに、いつもの竜真はいなかった。

 

仲間に厳しく、それでも時には優しい、小バカにしてるようで、尊敬してる、私の大切なもう一人の<兵士>――鬼城竜真はいなかった。

 

………竜真。あなたは一体何者なの?

 

 

 

リアスside out

 

 

 

no side

 

竜真の劫火球をゼロ距離でくらったコカビエルは、そのまま地面に落下する。竜真もそれに続いて着地する。

 

すると、グラウンドに先程描かれた術式が浮かび上がり、次の瞬間、儚く霧散した。それは、コカビエルを倒したという証拠であり、戦いの終わりを告げるものだった。

 

「グルルゥ……!」

 

――だが、それは今の竜真には関係ない。

 

第一、これは戦いではなく捕食だ。目の前にある獲物を喰らうまで、今の竜真は止まらない。

 

竜真は倒れてるコカビエルにゆっくり歩み寄る。

 

「………止めろ……」

 

皆が何も言えず見ている中、一誠が消えそうな声で呟く。

 

一誠は、今の竜真を見てられなかった。獣のように、本能だけで戦う親友の姿は、あまりに痛々しい。

 

一誠はついに涙を流し、叫ぶ。

 

「――もう止めてくれ、竜真!!」

 

その一誠の叫びも空しく、竜真はコカビエルに喰らいつく。

 

「………」

 

――その直前に、動きを止める。

 

(一誠の叫びが届いた?)

 

全員がそう思っていたが――そういうわけではなかったようだ。

 

竜真は上空に目を向ける。それを追って全員が空を見上げる。

 

 

 

 

 

「――それ以上は待ってもらおう」

 

 

 

 

 

パリイィィン!

 

 

 

 

 

――声が聞こえたと思った次の瞬間、張られていた結界が割れた。

 

「「「「「「な――!?」」」」」」

 

一誠たちは目の前で起きたことに驚いた。

 

それはそうだ。さっきからコカビエルとの戦闘の余波にも耐えていた結界があっさり割れたのだから。

 

(まさか、ソーナたちに何か!?)

 

リアスが最悪のパターンを思い浮かべるが、それは違った。

 

結界が割れた部分から、何かが下りてきていた。その何かは、大きな翼を広げて姿を現す。

 

――白い鎧に包まれ、光り輝く翼を広げるそれは、圧倒的な存在感を持っていた。

 

しかも、その鎧の形状が一誠の禁手――<赤龍帝の鎧>と酷似している。そのことから、一誠以外のメンバーがその正体に気づく。

 

「………白龍皇(はくりゅうこう)か。しかも、赤龍帝の禁手と似てるあの姿から考えて、既に<白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)>の禁手――<白龍皇の鎧《ディバイン・ディバイディング・スケイルメイル》>のようだ」

 

ゼノヴィアが口にした言葉に、全員が驚愕した。特に一誠は驚いていた。

 

以前籠手に宿る赤龍帝――ドライグから、自分には戦うべき運命のライバルがいると聞いたのだ。――それが白龍皇。

 

(ま、まさか、此処で宿命の対決しろってのか!?)

 

一誠は内心かなり焦っていた。

 

自分はあまりダメージを受けてないとはいえ、全快というわけではない。そして、白龍皇から感じる力はコカビエルと同等。

 

――なにより、今この場で戦えば、皆を巻き込んでしまって絶対に大惨事になる。

 

どうしようか考えて軽いパニック状態になっている一誠。

 

「――凄い力だ。コカビエルをこうもあっさり倒すとはね」

 

そんなのお構いなしに、白龍皇が声を出す。声からして、白龍皇は若い男性のようだ。

 

その言葉は竜真に向けて言われていた。

 

「ゴグアァァァァァ!!」

 

しかし、竜真にはそんなものはどうでもいい。

 

竜真のターゲットは、コカビエルから白龍皇に変わっていた。――新たに現れた極上の獲物に、捕食者は敵意をむき出しにした。

 

竜真は凄まじい脚力で、白龍皇がいる上空まで一気に跳び上がり、炎を纏った籠手で殴りかかる。

 

「速い。――でも、捉えられなくはない」

 

しかし、白龍皇はコカビエルも反応できなかったスピードによる拳を避け、逆にボディに拳を叩き込む。どうやら、竜真の胸の風穴はいつの間にか塞がっていたようだ。

 

だが、竜真は吹っ飛ぶ時に口から劫火球を放つ。それをくらった白龍皇は爆煙に呑まれる。

 

竜真は地面に凄い勢いで落ちる。その口からは血が出ていた。流石に今のは効いたようだ。

 

「……やはり強い。今の一瞬で反撃してくるとはね。防御が間に合わなかったら危なかった」

 

一方、白龍皇は劫火球を魔力を纏わせた腕を交差して防いでいた。しかし籠手は壊れ、腕からは煙が上がっていた。ノーダメージとはいかなかったようだ。

 

「グウゥゥゥゥ…! グガアアアァァァァァァ!!」

 

殴られた怒りによるものか、強者に会えた喜びによるものかはわからないが、竜真は雄叫びを上げ、再び白龍皇に突撃する。

 

「――我が名はアルビオン」

 

『Divide!!』

 

白龍皇の翼からその音声が出たと同時に、竜真の力が激減した。

 

竜真は思わず立ち止まり、自分の体を見る。しかし、特に変わった異常はなかった。

 

「無駄だ。これは簡単には無効化できない。――我が神器<白龍皇の光翼>の効果は、触れた者の力を十秒ごとに半減させ、その力を俺の糧とする能力」

 

その能力を聞いた一誠は驚いた。

 

(相手の力を半分奪うってことかよ!? なんだよそのインチキ能力!)

 

『俺たちも他人のことは言えないくらいインチキ能力だがな…』

 

ドライグが軽くツッコミを入れる。……まあ、その通りであるが。

 

「ほら、俺を倒したいのなら早くした方がいい。こうしてる間にも、君の力は減ってしまうぞ?」

 

『Divide!!』

 

白龍皇――アルビオンが言った通り音声が鳴って、再び竜真の力が激減した。

 

「グルルゥゥゥ………! ――ガアアァァァァァ!!」

 

竜真が叫んだ瞬間、口から炎が漏れ、力が膨れ上がった。さっきのフルパワーとまではいかないが、かなりの力だ。

 

そして、両手に劫火球を出す。その魔力の密度も凄いものだ。

 

「ハハハハ!! 凄い! まだそれだけの力が出せるとは驚いた! ――さあ、もっと楽しませてくれ!」

 

それを見たアルビオンは、驚いていたが、それ以上に喜んでいた。――彼もまた、戦いを楽しむ戦闘狂のようだ。

 

竜真は両手の劫火球を合わせ、更に口から劫火球を吐き出し、巨大な火球を放つ。

 

――劫火鳳玉球。現状、竜真が持つ最強の技。威力は一誠に力を譲渡してもらった時よりも上だ。

 

「いい力だ! 受けてみて損はなさそうだな!」

 

それをアルビオンはあろうことか正面から受け止める。籠手が修復され、魔力を纏っているとはいえ正気の沙汰ではない。

 

「ぐっ……! これは、想像以上――!!」

 

しかし、威力に押されて両腕の籠手が砕け、両腕が焼かれ始める。

 

『Divide!!』

 

アルビオンは咄嗟に威力を半減させて、火球を打ち消した。

 

半減させたとはいえ、あの一撃を打ち消したアルビオンは相当な実力を持つことは明らかだ。

 

一誠たちはコカビエルと同等以上の敵が出たことに改めて驚愕し、本当に勝てるのか疑問に思い始めた。

 

「ガアァァァァ……!」

 

それに、暴走している竜真のこともある。どうにかして正気に戻さなければならない。

 

その竜真は、アルビオンによって何回も半減されたのと、フルパワーの一撃を放ったせいで、大分魔力が落ちているようだ。

 

『Divide!!』

 

そこに追い打ちをかけるように、更に力が半減される。竜真の力は相当弱まっている。

 

「――グゥ!?」

 

――その時、竜真に変化が表れた。

 

突然頭を押さえ、苦しそうに声を出し始めたのだ。

 

「グ……あ…!? ガァぁ、ぐっ……!」

 

その声には、獣のような声とは違う、竜真本来の声が混じっていた。

 

その様子を見た一誠が、竜真に呼びかけた。

 

「戻ってこい、竜真!! 俺の親友が! お前が! こんなことで自分を見失うわけがねぇ! いつもみたいに、俺にキツいツッコミを叩き込んでくれよ!」

 

「竜真! あなたは私を守ると言った! そして、私もあなたがどんな存在でも受け入れると言ったわ! 例え世界の敵になっても、あなたを拒まない! だから帰ってきて、竜真!!」

 

「僕が戻って、君がいなくなるなんてダメだよ、竜真くん!!」

 

「竜真くん! 気をしっかり!!」

 

「正気を取り戻してください、竜真先輩!!」

 

一誠に続き、オカ研の面々が竜真を激励する。

 

「ぐ、ガ…! ああアア……!!」

 

それを聞いて、竜真は更に苦しそうに唸る。

 

「――ガアアアアアアアアアアアあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

そして、突然天に向かって叫ぶ。最初は獣のような声だったが、徐々にいつもの竜真の声に戻った。

 

目の色も、紅から赤に戻っている。黒い触手も消えていた。

 

叫び終わると同時に、力尽きたのか、その場に倒れる。

 

一瞬、最悪のパターンを想像した一誠たちだが、竜真の体は微妙に上下に動いている。どうやら、意識を失っているだけのようだ。それを確認して一誠たちは安堵した。

 

「――あの状態から元に戻るとは。戦えなくなったのは残念だが、更に興味が沸いたよ」

 

上空のアルビオンの声を聞いて、一誠たちは再び警戒体制をとる。それに対して、アルビオンは両手を横に振り、戦意がないことを示す。

 

「そんなに警戒しなくてもいい。もう充分楽しめたし、俺の目的はコカビエルと、あそこの神父の回収だけなんだ。君たちと戦う気はない。……まあ、向かってくるなら話は別だがね」

 

いつものリアスなら激怒している発言だが、全員が疲弊してる上に、相手の実力は相当なもの。――ここで戦えば、確実に死ぬ。

 

それを理解したため、リアスは堪えた。他のメンバーも敵わないとわかり、攻撃はしない。

 

戦意がないことを確認したアルビオンは、遠くにいるフリードの所に一瞬で移動して脇に抱え、コカビエルの元にも一瞬で移動し、同じく脇に抱えた。

 

そのまま背を向けて飛びたとうとする。

 

 

 

 

 

『――無視か? 白いの』

 

 

 

 

 

しかし、それを呼び止める声が響く。

 

声は一誠の籠手から出ている。――赤龍帝ドライグだ。

 

それを聞いたアルビオンは飛ぶのを中断して振り返る。

 

『起きていたか、赤いの』

 

そして、アルビオンの光の翼からも声が出る。この声は、<白龍皇の光翼>に宿る――白龍皇の声だろう。

 

『せっかく会ったが、この状況ではな』

 

『なに、いずれは戦う運命だ。こういうこともある』

 

『しかし白いの。以前より敵意がないように感じるが?』

 

『そちらも、以前より敵意が段違いに低いぞ?』

 

『互いに別のものに興味があるようだな』

 

『そのようだ。………だが、今回はとんだイレギュラーがいるな』

 

『ああ、俺たちの戦いの障害にならなければいいのだがな』

 

『まあとにかく、こちらはしばらく好きにやらせてもらう。たまには悪くないだろう? また会おう、ドライグ』

 

『それもまた一興か。じゃあな、アルビオン』

 

互いに別れを言って話を終える二天龍。今度こそ飛ぼうとしたアルビオンだが、またしても声をかけられる。

 

「おい、待てテメェ!」

 

それは一誠だった。その表情は怒りに満ちていた。

 

「お前が誰で、何がどうなってるかはよくわかんねぇけど、これだけはわかる! ――俺は部長の乳首を吸えなくなっちまったんだぞ!!」

 

……至極どうでもいい怒りだった。

 

「全てを知るには力が必要だ。強くなれよ、いずれ戦う俺の宿敵くん」

 

そして飛びたとうとするが、その前に竜真の方に顔を向ける。

 

「そうだ。あそこの彼に伝えてくれ。――楽しい戦いだった。機会があれば、また戦おう」

 

そう言い残し、アルビオンは白い輝きを放ちながら飛び去っていった。

 

その光で、意識を失っていたアーシアが目を覚ます。

 

色々あったが、結果的には一誠たちは学園を――町を守れた。今はそれだけでもよしとしよう。

 

「……ん…?」

 

気を失ってた竜真も目を覚ました。それを見たリアスが竜真の元に駆け寄る。

 

「竜真! 元に戻ったのね!」

 

「……リアスさん? 元に戻ったって、なんの――ダメだ。コカビエルに刺されたところから何も覚えてない」

 

「…今はいいわ。よく戻ってきてくれたわね、竜真」

 

リアスは竜真を優しく抱きしめる。竜真は突然のことに顔を赤くして慌てる。

 

「え、ちょっ!? リ、リアスさん!?」

 

竜真は現状がうまく理解できずに混乱している。

 

そこに一誠と祐斗が歩み寄る。

 

「ったく! 心配させんなよ竜真! つーか部長から離れろ!!」

 

「お帰り、竜真くん。一時はどうなるかと思ったけど、これで安心だね」

 

一誠は怒鳴り、祐斗は微笑む。しかし、次の瞬間には真剣な表情でリアスを見る。

 

「……部長。勝手な行動をして、すいませんでした。僕は皆を――なにより、僕を救ってくれた部長を裏切りました! お詫びする言葉が見つかりません…!」

 

祐斗は跪きながら謝罪する。それを見たリアスは一旦竜真を放す。

 

「……いいのよ。あなたは帰ってきてくれた。それだけで充分」

 

「――っ!! 部長! 僕は改めて誓います! リアス・グレモリーの眷属として、<騎士>として仲間たちを終生お守りします!」

 

祐斗はリアスに誓いの言葉を言う。

 

リアスは祐斗に近づいて、優しく抱きしめた。

 

「ありがとう、祐斗。これからも私の<騎士>として、頑張りなさい」

 

「…はい!!」

 

「あー、盛り上がってるところすいません。リアスさん。確かに祐斗は戻ってきた。――でも、今後似たようなことをしないとも限りませんし、躾けておく必要があるのでは?」

 

竜真は嫌な笑みを浮かべながらそう言った。それを見た祐斗はなぜか寒気が止まらなかった。

 

竜真の意見を聞いたリアスもニッコリと笑う。

 

「それもそうね。――というわけで祐斗。勝手なことをした罰として、お尻叩き千回よ」

 

「え、えぇぇ!?」

 

祐斗は予想外の展開に驚く。

 

「イッセーもお前を助けて同じことをされたんだぜ。ならお前もしっかり罰を受けるべきだ」

 

「こりゃいいぜ! ナイスだ竜真!!」

 

一誠は凄く嬉しそうだ。普段パーフェクトなイケメンのみっともない姿を見れるのがよっぽど嬉しいのだろう。

 

 

 

 

 

――こうして、コカビエルとの戦いは終結した。




……計画通り(ゲス顔)

おっと、失礼。書きたくて書きたくて仕方なかった話がようやく書けたので、ついニヤついてしまいました。

私の中では、理性をなくす暴走=最強の方程式があるんです。人型決戦平気然り、聖杯戦争の狂戦士然り。

モン○ン4G明日発売か……。どうあがいても買えそうにないです(泣)

とにかく、これで三章は終了!――と思います? まだ一話続くんですよ。

今回の騒動で、色んなところで色んな動きがあるため、次回はそれを書こうと思います。まあ、量がいつもより少なくなる可能性が大ですが、むしろ私にとって一万以上の文を書くこと自体が異常なのです。

もう一つの小説を見ればわかりますが、今より全然文字数少ないんです。え? 段々増えてる? ナンノコト?

話が長くなりそうなので、この辺で終了します。それでは、アイルビー、バーック!!
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