書きたい内容を詰め込んだらこうなりました、申し訳ありません。
とりあえず、本編へGO。
第二十二話 フリーダムなトップ
竜真side
「最近どうです? 何か変わったこととかありました?」
「い、いえ。特にはないです……。ありがとうございます、鬼城さん…」
今日も今日とて悪魔稼業真っ最中である。……最近なかったろ、って? 描写がなかっただけだ。
まあ、そんなメタい話は置いといて、今日召喚してきたのは荒山さんだ。実はあれ以降、荒山さんにはちょくちょく呼ばれている。
元々あの男が本当に仕返しに来てないかの確認だけだったが、いつの間にやらお得意様になっていた。
「いえいえ。何事もなければそれが一番です。契約相手の身に何かあったら大変ですからね。気にしないでください」
「はい……。――あ、あの…」
「はい? なんですか?」
「その、質問を返すようですいません。……鬼城さんは、最近変わったこととかありましたか?」
………その質問に、俺はすぐに答えれなかった。だって最近明らかに変わってることが起こりまくったのだから、それを当てられたようで少し動揺してしまった。
……まさか本当に知ってるなんてことは――あるわけないか。
「いえ、特にないですよ。……強いて言えば、最近親友がモテまくっていてイライラするというか…」
「…親友さん、ですか? そんなにカッコいい方なんですか?」
「まさか。その逆で学園でトップクラスの変態ですよ。……まあ、根は悪い奴じゃないから、そこに引かれたんでしょうけど…」
だからといって、片っ端からフラグを立てるのは止めてもらいたい。俺だって誰かとそういう関係になってみたいのに、そのチャンスをあいつがことごとく奪っていきやがる。
しかも、本人はエロいことが大好きなくせに鈍感。こんな理不尽が有っていいのだろうか?
ピリリリリリリ!
「あ、すいません。俺の携帯ですね。って、噂をすれば……」
携帯を見てみると、相手はイッセーだった。俺が仕事中だと知ってるはずなのに、どういうつもりだ?
俺は一旦荒山さんから離れて通話ボタンを押す。
「もしもし。なんの用だイッセー?」
『ああ、竜真! 悪いんだけど、今から俺のいるところに来てくれないか?』
「お前のいるところに? なんでだよ? 俺は今仕事中だぞ」
『すまん、それはわかってるんだ。俺も仕事中だし』
じゃあ、なんで呼ぶ必要が………まさか。
「その契約者に頼まれたのか?」
『そうなんだよ! 前から話していたとはいえ、今日は竜真も呼んでほしいなんて言い始めたんだ! しかも竜真を呼ばないんだったら対価はなしだって言うんだぜ!? だから頼むよ!』
「……なんでお前は客に手玉に取られてるんだよ」
そこは悪魔という立場を使ってどうとでもできただろ……。
『それがよ、契約相手としてはかなりいい相手なんだ! いつも対価として豪華な物くれるし!』
「……ああ。お前が最近言ってた契約相手ってその人か?」
『そうだ!』
最近、イッセーがほんのささいなことをしただけで、金塊とか高い絵画とかをくれる契約相手ができたと言っていたが、その人が俺を呼んでいるのか……。
確かに、イッセーは客からの評価は高いが、契約をとれること自体が少ないから、その相手が対価をくれないとなると死活問題だな。
だが、俺には俺の仕事がある。イッセーとその契約相手の方には悪いが、また今度の機会にしよう。
「すまんな、イッセー。ちょっと今回は――」
「………あ、あの…」
イッセーに返事をしようとしてたが、いつの間にか近づいていた荒山さんが声をかけてきたので中断する。イッセーに少し待つように言って携帯から顔を離し、荒山さんの方に向き直る。
「他の悪魔さんからですよね…? 人手が足りないんですか?」
「ん~。近からず遠からずですね。でも、俺の今のお客様は荒山さんですから、ちゃんと断りますよ」
「い、いえ…! そうではなくて……」
ん? 荒山さんの考えてることがイマイチ理解できない。俺が他の客の相手をするとか思って不安になったんじゃないのか?
「……そ、その悪魔さんの手伝いに行ってあげてください。私はもう満足したので…」
「いいんですか? まだ会って十分も経ってませんよ?」
ちなみに普段は三十~五十分くらい話している。異常がないか話し合って、あとは雑談なので対価はかなり安い物にしている。本当なら対価をもらわなくてもいいくらいなんだが、流石にそれだとリアスさんから叱られしまうのでできない。
「だ、大丈夫です……! それに、鬼城さんのお仲間が困っていらっしゃるのなら、助けに行ってあげてほしいんです。………あ! ご、ごめんなさい…! 余計な口出しをしてしまって…!」
荒山さんは、突然頭を下げて必死に謝り始めた。……やれやれ。言うことは言うようになったけど、相変わらず気の弱い人だな。
「……いいですよ。確かに、荒山さんの言う通りだと思いますし。――よし! それじゃあ、今日はこれで失礼させてもらいますね」
「は、はい……! ――あ、あの! 対価の方は…」
「いいですよ。普段より時間が短かいし、それで対価なんてもらえませんよ」
「す、すいません……」
気にする必要ないのになあ……。
俺は再び距離をとって携帯でイッセーに話しかける。
「イッセー。場所は何処だ? 今回は特別に行ってやる」
『ほ、本当か!? サンキュー竜真! それじゃあ、今から住所を言うから、そこに来てくれ!』
その住所はちゃんと本人から許可をもらったのか聞きたかったが、よくよく考えれば、許可してないのに細かい住所を教えるわけがないか…。
イッセーから住所を聞き、通話を終える。聞いた住所だと、転移して部室に一旦帰るより、ここから歩いて行った方が近いな。
「荒山さん。すいませんが、今日は玄関から帰らせてもらってもいいですか?」
「は、はい…。鬼城さん、また今度お願いします……」
「はい。俺でよければいつでも。それじゃあ、失礼します」
俺は玄関から出て、荒山さんと別れる。――さてと、なるべく急いで行くか。
竜真side out
no side
「………」
竜真を見送り、玄関先でじっとしてる荒山。その顔は、いつものような気弱なものではなく、凛とした女性の顔だった。
突然、彼女のポケットの携帯が鳴る。彼女はそれを取り、かけてきた相手の名前を見た瞬間、疲れたような顔をした。そんな顔をしつつも、通話ボタンを押す。
「…何? しかも絶妙なタイミングじゃない。……まさか、見張ってるわけじゃないわよね?」
『……いきなりなんだよ。俺まだ何も言ってないよな? なのにそんな文句を言ってくるなんて、やっぱ演技でストレス溜まってるんじゃねぇか?』
携帯の向こうからは、男の少し困惑した声が聞こえてくる。
今の男が言っていた演技とは、普段荒山が人と接する時にしている態度のことだ。あれざ彼女の本性というわけではない。
「演技って言わないでくれる? あれも一つの私なんだから。ストレスなんて溜まるわけないわ」
『そーかよ。そりゃあよかったな。――で、あの男の様子はどうだ?』
――あの男。この言葉が指しているのは、先程出ていった竜真のことだ。
男の質問に、荒山は苦い表情で答える。
「……見た感じの異常は特にないわ。でも、確実にオラクルの力が上がっているのはわかるわ。――やはりこの間の暴走で、だいぶアラガミ化が進んでるみたい」
どうやらこの二人は、コカビエルとの戦いでの竜真の暴走を知っているようだ。そして<オラクル>、<アラガミ>という単語。竜真本人すら知らない何かを知っているのは確かだ。
『おいおい、何残念そうな声を出してんだよ? ――まさか、同情してるのか?』
「……するに決まってるでしょ。彼もある意味被害者なのよ?」
悲しそうな表情で言う荒山。だが、男はそれに対して呆れた様子だ。
『……あのな。元はといえば、奴の親が全ての元凶なんだぞ? それに、自分の力を把握もせずに呑気に暮らしてる奴なんかに同情する気は毛頭ねぇ。――余計な感情は捨てろ。いざという時に迷いが生じるぞ』
「………わかってるわよ。支障をきたすほどの感情移入はしないようにするわ。でも、接していてわかったけど、彼は優しいわ。…元凶の息子だからって、毛嫌うのは止めて」
『あー、わかったわかった。この上なく不満だが、善処はする。――と、話すべきことを忘れてた。あいつから連絡があった。どうやら会議は駒王学園で行われるらしい』
「……三勢力のトップがあの学園で? あそこは力のあるものを引き寄せる呪いでもかかってるのかしら?」
『はは、違いねぇな』
ふざけたように喋っているが、実際駒王学園には異様なほど力のあるものが集まっている。魔王の妹が二人、赤龍帝、白龍皇、デュランダル、コカビエル、そして今回の会談に出る各勢力のトップ。流石に偶然だけでは済まされない。
やはり、一誠が宿すドラゴンが引き寄せているのだろうか?
「それにしても、彼の言うことは信用できるの? 元は堕天使側――しかもアザゼルに育てられたのよ?」
『大丈夫だと思うぜ。あいつはこの上ない戦闘狂ってだけだ。強者と戦うためならなんだってするタイプだからな。向こう側にいるより、俺たちと行動を共にした方が強者と戦える機会は増える。あいつはそれを充分理解してるから、裏切りはしないだろ』
「……だといいけど。で、話は終わったの? もう寝たいのだけど?」
『おお、悪かったな。話すことは終わったから、もう切るわ。――じゃあお休み、アレシー』
「ええ。お休み、バルザー」
荒山――アレシーはそう言って電話を切る。
彼女はそのままリビングに向かう。
「……あら?」
すると、リビングの机に何かが置いてあった。それは竜真の携帯電話だった。どうやら忘れていってしまったようだ。
アレシーはそれを手に取り、苦笑いする。
「彼も、どこか抜けてるわね…」
それでも、竜真は自分のことをいつも気遣ってくれる。充分すぎるほど優しい。
「………できることなら、彼とは敵になりたくないわね」
だからこそ、アレシーは竜真と戦うことがないように願った。
竜真side
「……ずいぶん高そうなところだな、おい」
荒山さんの家を出て歩くこと約二十分。俺は目的の住所に着いた。……途中で魔方陣で呼んでもらえばよかったことに気がついた時は、自分でもマヌケだと思った。
ちなみに着いた場所は、高級マンションの一室だった。
……対価として金塊をくれるし、どんだけ金持ちなんだ?
と、そんなことはどうでもいいか。待ってるだろうし、早く入ろう。
俺はインターホンを押す。しばらく待つと、ドアが開いた。
「おっ、来たな。君が例の悪魔くんだな? さ、入ってくれ」
中から出てきたのは、和服を着た三十手前くらいの男性だった。かなりのイケメンだな。祐斗とは違って、爽やか系というよりチョイワル系だが。
招かれるままに、中へと上がる。うわっ、中も結構な広さだ。
そして、リビングまで行くと、テレビの前に座る見知った顔があった。
「よっ、イッセー」
「おお、竜真。わざわざ悪いな」
「いいさ、気にしてない。これ以上の迷惑を普段からかけられてるんだからな」
「そ、そうか……」
俺はイッセーの隣に座り込む。そこに、先程の男性が飲み物を持ってきてくれた。
「ほら、遠慮なく飲んでくれ」
「ありがとうございます。――それで、俺を呼んだ理由はなんですか?」
此処に来た目的を男性に問いかける。すると、男性は笑ってテレビの前のゲーム機を指差す。
「そっちの悪魔くんから話は聞いてる。格闘ゲームが得意なんだろ? ちょっと相手してくれ」
……え? それだけ?
俺は思わずキョトンとし、隣のイッセーに顔を向ける。イッセーはそれに苦笑いで応えた。
「悪い、竜真。こういう人なんだ。毎回俺もこういう軽いことを頼まれてるんだよ」
……マジか。というか、毎回こんな感じの軽い願いであんだけいい対価をもらってるのかよ。太っ腹にもほどがあるだろ…。
「……わかりました。お相手しましょう。ですが、手加減はしませんよ?」
「もちろんだ。途中から勝ちまくってやろう」
「竜真、気をつけろよ。この人、ほんの数回でやり方覚えてレースゲームで俺に勝ったくらい強いんだ」
へぇ…。イッセーはレースゲームならかなり強いが、それを数回やっただけで倒すか。油断できないな。
こうして、俺と男性はイッセーが見守る中、格闘ゲームを始めた。
――――――――――
「そこだ!」
「はい、甘い!」
「やべっ、カウンターか!?」
『秘剣・燕返し!!』
「あー、くそっ! また負けちまった!」
あれから約一時間。イッセーの言う通り、この男性はすぐに操作を覚え、ついさっき初めてやったばかりとは思えない強さで追い上げようとしてきた。
――が、俺には及ばない。
何回も戦っているが、今のところ俺の全勝だ。しかも、体力ゲージはどれも半分は残して勝っている。
「こりゃ勝てねぇや。まさかこんなに強いとはな」
「いえいえ。そちらも恐ろしい強さでしたよ。初めてなのにこんなに強いなんて驚きました」
そこまで言って、俺はあることに気づいた。
「あの、すいません。まだ、あなたのお名前を聞いてなかったですよね? それに俺も名乗ってませんでしたね」
「ん? あー、気にしなくていいぞ。そっちの悪魔くんから聞いてるからな。鬼城竜真くん、だろ?」
あ、そりゃそうか。イッセーから紹介されたのなら、名前を教えられていてもおかしくはないよな。
「あ、そういや俺もまだ名前聞いてなかったな」
「……おい。それは問題ありだろ、イッセー」
流石に契約をとる側なのに名前を聞いてないのはダメだろ。
「まあまあ、いいじゃねぇか。教えてなかった俺にも責任はあるしな。それに今から教えてやるから、それでチャラにしてくれないか?」
「……まあ、あなたがそれでいいのならそれで」
「(ありがとうございます!)」
フォローしてくれたことに小声で礼を言ってるが、俺にも普通に聞こえている。……あとで殴っておこう。
「サンキュー、悪魔くんたち。……いや、赤龍帝とコカビエルを倒した悪魔くん」
――っ!?
俺はイッセーを抱えて男性から距離をとる。
……イッセーが赤龍帝を宿してることを知っている。それに、俺がコカビエルを倒したことも(俺は微塵も覚えてないが)。
この二つが示すことは――この人は裏の世界と深い関わりを持っているということだ。
「……あんた、何者だ?」
俺は籠手を出して臨戦体勢をとる。それに対して、男は余裕な態度のままこちらを見る。しかし、そこには少しの隙も見られない。
――っ! 気配が変わった!? この気配、堕天使か!?
「俺はアザゼル。堕天使共の
そう言った瞬間、男の背中から十二枚もの漆黒の翼が現れた。
――――――――――
「冗談じゃないわ…!」
我が主――リアス・グレモリーは怒り心頭中である。
あのあと、意外なことにアザゼルは特に何もすることなく帰してくれた。
最悪あの場で戦闘開始して、死ぬ覚悟もしていたから拍子抜けだった。……まあ、死ななくてよかったっちゃ、よかったが…。
戻った俺たちは皆にあったことを全て話した。皆驚いていたが、リアスさんはそれと同時に強い怒りを覚えていた。
そして、イッセーはリアスさんに膝枕をしてもらい、俺は座るスペースもないので壁に寄りかかっていた。……こんなの絶対おかしいよ。
リアスさんがイッセーのことを好きなことは知っているが、この扱いの差には流石に納得できん。せめて二人きりの時にやってくれ…。
「堕天使の総督が私の領地で営業妨害していたなんて! しかも私のかわいいイッセーに手を出そうとするなんて、万死に値するわ! きっと、イッセーの<赤龍帝の籠手>を狙ったのね。アザゼルは神器に強い興味を持っているようだから。――大丈夫よ、イッセー。私が絶対守ってあげるから」
そう言いながらイッセーの頭を撫でるリアスさん。……俺は仲間外れですか、そうですか。
「あらあら、部長。竜真くんがふて腐れてしまってますわよ?」
「あ! ご、ごめんなさい、竜真! 忘れてたわけじゃ…」
「いいですよ別に。どうせイッセーと比べたら俺にはそれくらいの価値しかないってことでしょうし。ええ、気にしてませんよ。全然、微塵も、一ミリも」
「……思いっ切り気にしてますね」
何を言ってるんだ小猫。俺の鋼鉄の心がこの程度でダメージを受けるわけがないだろ。HAHAHAHA。
「ふて腐れてしまったのは置いておくとして、なぜ鬼城までアザゼルに狙われたんだ?」
ゼノヴィアの言った通り、それが一番の謎なんだよな。イッセーを狙っていた理由は神器に興味があったからだろう。
――じゃあ、俺はなぜ狙われた?
わざわざ俺のことも指名したのはなぜだ? なんで俺に顔が知られてリスクが増えるようなまねをした?
………俺の中の存在と関係があるのか? もし俺を狙った理由がそれだとしたら、あいつは俺の中の存在を知っていることになる。……次会う機会があったら聞き出すか。
「俺もわからんが、その内わかるだろ。気にせずにいこうぜ。――それよりもイッセー。お前何回もアザゼルと接触してたんだろ? 何もされなかったんだよな?」
俺はあの一回だけで、あったとしたら飲み物を飲んだくらいだが、イッセーはアザゼルとの接触回数が多い。されてないと思っていても、いつの間にか何かされてたって可能性は充分ある。
「……わからねぇ。俺自身は何も違和感はないけど…」
「まあ、何かあったらお前の中のドライグさんが喋ってくれるか。それに、直接手を下されるよりはずっとマシだろうしな」
「でも、大丈夫だよイッセーくん。イッセーくんは僕が必ず守るからね」
ん? 祐斗の発言は普通のはずなのに、BL風に聞こえるのは気のせいか?
「お、おう、サンキュー。ただ、そういうことを男に向けて真顔で言うなよ……」
「真顔で言うに決まってるじゃないか。君は僕を救ってくれた。その君を守らなければ、グレモリーの<騎士>は名乗れないさ。それに、君の<赤龍帝の籠手>と僕の禁手が合わされば、どんな危機も乗り越えれる気がするんだ。……不思議だね。前はこんなことを言うタイプじゃなかったけど、それも嫌じゃない。なぜかわからないけど、胸の奥が熱くなるんだ…」
こいつは臭ぇ! ホモの臭いがプンプンするぜ!!
というか祐斗よ。ただでさえ俺とイッセーとお前によるホモ疑惑があるのに、お前がそんなになったら信憑性が増しちまうから止めろ。
「…キ、キモイぞお前! 俺のそばに近寄るな!!」
イッセーも全力で拒絶している。
「そ、そんな…。イッセーくん……」
祐斗、そういう反応をするんじゃないって。
まあ、それはともかく。俺はイッセーの前でしゃがみ、腕に手を置く。
「流石はハーレム王を目指す男だな、イッセー。野郎も落とすなんて大したもんじゃねぇか」
「微塵もフォローする気ないだろ竜真!? むしろ楽しんでるだろ!?」
そんなことないぜ? 哀れには思ってるぞ。一パーセントだけ。
「それにしても、どうしたものかしら……。向こうの動きがわからない以上は、こちらも迂闊に動けないわ。相手は堕天使の総督だし、再び接触するのも厳しいでしょうし…」
まあそれはそうだが、なんというか……。あの人と関わった数時間で大体性格は掴んだ。それを参考に考えると、イタズラ程度の感覚で接触してきたという結論に至ってしまうが………流石にないか。
「――アザゼルは昔からああだよ、リアス」
突然部室に響く第三者の声。だが、この声には聞き覚えがある。
声の聞こえた方に目を向けると、魔方陣から誰かが転移してきていた。そして、その顔はやはり知っていた。
俺は見た瞬間に跪く。なんでかって? そりゃ決まってる。
――魔方陣から出てきたのは、我らが魔王、サーゼクス・ルシファー様だったからだ。その後ろにはグレイフィアさんも確認できた。
ガンッ!
あ、リアスさんが突然立ち上がったせいでイッセーが床に落ちた。……
「お、お兄様!?」
リアスさんが驚き、他の皆も跪く。イッセーも復帰して慌てて跪き、それを見たアーシアさんも慌てて跪く。ゼノヴィアは状況を理解できていないのか、首を傾げている。
「ああ、そんなにかしこまらなくても構わないよ。今日はプライベートで来ているのでね」
その言葉を聞いて、跪いていた全員が立ち上がる。……プライベートって、魔王様にそんな余裕があるのか?
「お、お兄様。どうして人限界へ?」
「何を言ってるんだリアス。もうすぐ授業参観をやるのだろう? 私とて、妹が勉学に励む姿を見てみたいのさ」
サーゼクスさんはこの間配られた授業参観についてのプリントを広げてそう言った。
ああ、そういえばおじさんとおばさんも絶対見に行くって張り切ってたな。……アーシアさんを。
「グ、グレイフィアね? お兄様に教えたのは」
「はい。私はグレモリー眷属のスケジュールを任されているので、学園から報告が来ます。無論、サーゼクス様の<女王>でもありますので、主へ報告もしました」
へぇ、そうだったのか。今の発言を聞くと、改めてこの学園がグレモリーの管轄だと認識できるな。
「こんなイベントがあるからには、私は仕事がたくさんあろうとも、休暇を入れて妹の授業参観に参加させてもらうよ。ちなみに、父上もお越しになる」
……サーゼクスさんの様な重役が仕事を休むのは流石に問題じゃないか?
リアスさんもそう思ったのか、反論する。
「そうではありません! 身内とはいえ、魔王が一悪魔のために仕事を休むなんて、他の悪魔に示しがつきませんわ!」
「いやいや、これはある種仕事でもあるんだよ。実は、三すくみの会談がこの学園で行われることになったから、それの下見もかねてるんだ」
は!? 此処で三勢力のトップ同士の会談を開くのか!?
「――っ! 此処で、本当に!?」
流石にこれにはリアスさんはもちろん、全員が驚いていた。
「ああ。この学園には、私の妹であるリアス、赤龍帝、聖魔剣使い、聖剣デュランダル使い、魔王セラフォルー・レヴィアタンの妹のソーナ・シトリー。更に先日襲来したコカビエルと白龍皇。このように、偶然では済まされないほどたくさんの力が近づいている。――まあ、その中心にいるのは赤龍帝である兵藤一誠くんだとは思うがね」
サーゼクスさんはイッセーに目を向ける。あ、イッセーの奴緊張しまくってるな。
そんな中、ゼノヴィアがサーゼクスさんに歩み寄った。
「あなたが魔王サーゼクス・ルシファーか。初めまして、ゼノヴィアという者だ」
「ごきげんよう、ゼノヴィア。話は聞いているよ。だが、私もデュランダル使いが妹の眷属になったと聞いた時は耳を疑ったよ」
「私も、今まで敵対していた悪魔になるとは思わなかった。だが、あの時は気が動転していたからな。勢いでというか…………いや、本当になんで悪魔になってしまったのだろう? もっと別の選択ができたのでは……」
……また一人で悩み始めた。
アーシアさんはイッセーと一緒になれるから悩むこともなかったが、ゼノヴィアは時々こんな風に自虐して、自問自答をしてる。時間が経てば直ると思うが、祈りを行ってダメージを受けてる時があるからなるべく早めに直してもらいたい。
「はははっ。我が妹ながら、愉快な眷属が多いな。ゼノヴィア、今まで悪魔を滅するために振るってきたその剣、これからはリアスとその眷属を守るために振るってほしい」
「聖書にも記された魔王にそこまで言われたら、私もあとに引けないな。できる限りのことはやってみよう」
「ありがとう」
サーゼクスさんは微笑んで礼を言う。
そのあと、俺の方に顔を向けてきた。
「久しぶりだね、竜真くん。元気だったかい?」
「ええ、特に変わりなく元気です。こちらこそお久しぶりです、サーゼクスさん、グレイフィアさん」
「お久しぶりです、竜真様」
グレイフィアさんが頭を下げる。年上の人にこういう態度をとられると戸惑うな…。
「た、竜真……。お前魔王様に会ったことあるのか?」
「ん? ああ、お前リアスさんと帰っていたからわかんねぇのか。ライザーの婚約パーティに殴り込みに行っただろ? そこから帰る時にサーゼクスさんに呼ばれてな。初めて会ったのはその時だ」
驚いて質問してくるイッセーにそう答える。それを聞いて、更に驚いた顔をするイッセー。まあ、身内の下僕とはいえ魔王様に呼ばれるなんて普通ありえないからな。
「しかし、こちらでしばらく滞在するつもりなのだが、この時間にホテルが空いているかどうか…」
サーゼクスさんがそう呟く。確かに、もうかなり遅い時間だ。今から行ってもホテルに泊まれるか正直怪しい。
「あ、でしたら俺の家に泊まりますか? いえ、魔王様が嫌ならなしでいいんですけど……」
イッセーが突然そう言った。へぇ、さり気なく自分の両親と会わせる――気なんて全然ないんだろうな。本当に親切心だけでそう言ってるんだろうな、バカだし。
サーゼクスさんはその提案に少し喜んだ様子で口を開く。
「それはいい。以前からリアスがお世話になっているお家のご両親に挨拶をしなければと思っていたんだ。では、お言葉に甘えておじゃまさせてもら――」
「ダメ!! ダメよ!」
サーゼクスさんの言葉に割り込んで、リアスさんが必死に反対する。おお、リアスさんが年相応の女子になっている。まあ、自分の家族が好きな人の両親に会うのは確かに嫌だな。
気持ちはわからなくもないが、これ以外に選択肢はないので、リアスさんには我慢してもらおう。
「まあまあ、リアスさん。いいじゃないですか。どうせ今度の授業参観でリアスさんの親にも会って成り行きでイッセーの家に行くことになるでしょうし、遅いか早いかだけの違いですよ。だから、ここはおとなしく、ね?」
「で、でも、竜真……」
「それとも何か? まさか実の兄にその辺で野宿しろなんて言いませんよね?」
「ううっ…」
うおっ!? 涙目になってる!? マズい、早く手を打たねば!
「(こ、今度精一杯お詫びしますから、今回は我慢してください! ね?)」
「………(コクン)」
黙ったまま頷くリアスさん。その姿にいつもの堂々とした我らが主の威厳はなかった。……まあ、かわいいからいいけど。
「と、というわけなので、イッセーの家に行きましょう。俺も今イッセーの家で居候させてもらってるので」
「おや? 竜真くんは家がないのかい?」
「いえ、前までは確かにありましたが、必要な道具意外は家も含めてもう全部売っちゃいました。どうせもう戻らなくていいでしょうしね」
それに前の暮らしより、今の暮らしの方が楽しいし。
そんなこんなで、サーゼクスさんたちはイッセーの家に泊まることになった。
――――――――――
「そんな…。イッセーと寝てはいけないのですか?」
「すまない、リアス。彼と少し話したいんだ。今日だけは我慢してくれないか?」
あれから更に時間が経ち、もう寝る準備に入る時間になった。
そして、イッセーの部屋の前で、サーゼクスさんとリアスさんが話している。
なんでも、サーゼクスさんはイッセーの部屋で寝るらしく、二人で話したいこともあるのでリアスさんとアーシアさをは自分の部屋で寝てほしいとのことだ。……まあ、普通同じくらいの年齢の異性と毎日一緒に寝ること自体が間違っているんだがな。
しかし、当のリアスさんは凄く悲しそうな顔をしている。イッセーも顔にはあまり出してないが、心の中で悲しんでいるだろう。
とか考えていると、リアスさんがイッセーを抱き締める。
「……イッセー、一人で寝られる? 私がいなくても平気? 私は耐えられないわ。あなたと一緒に寝れないなんて……」
おーおー、愛されてるなイッセー。………マジぶっ飛ばしてぇ…!!
「お嬢様。そろそろ部屋に行きましょう。私はお嬢様の部屋で寝かせてもらうのですから」
「……わかってるわ」
「それでは、サーゼクス様、イッセー様、竜真様、お休みなさいませ」
グレイフィアさんに手を引かれ、リアスさんはこの場をあとにする。……さっきサーゼクスさんが言った、グレイフィアさんがサーゼクスさんの妻って話は本当かもな。いつものリアスさんならもっと反抗してる。
「あ、あの、イッセーさん。私も残念ですが、今日は自分の部屋で寝ます」
「お、おう。お休み、アーシア」
「はい、お休みなさい、イッセーさん。――竜真さんも、お休みなさい」
「はい。お休みなさい、アーシアさん」
アーシアさんもどこか悲しそうにはしてたが、笑顔でお休みと言い、自分の部屋に向かって歩いて行った。本当にいい子だな……。
「さてと、俺も自分の部屋に行くわ。イッセー、サーゼクスさんの前で変なこと言うなよ?」
「し、失敬だな! 言わねぇよ!」
どうだかな……。
「わかった。じゃあ信じよう。――それじゃお休み、イッセー。お休みなさい、サーゼクスさん」
「お、おう、お休み」
「ああ、お休み、竜真くん」
俺も二人に別れを言って、部屋に入る。――だが、まだ寝るには早い。やっておくことがある。
俺は宙に自分の魔力で造った魔方陣を出す。
「さて、始めるか」
実は、俺は寝る前にいつもこうして魔方陣を展開して色々いじくっている。構造とかは朱乃さんから聞いて、それを参考にしてやっている。
俺は魔力による攻撃は得意だが、魔方陣とかはあまり使えない。だから少しでも上達するように、毎晩寝る前に必ず魔方陣を展開しているのだ。
この魔方陣展開で一番大変なのは形を造ることだ。
俺の魔力は自動的に炎になる。そのせいでコントロールがやたら難しい。単純に火球、槍や剣、熱線などは形が大きくて結構大雑把だから今では楽にコントロールできるが、魔方陣は複雑な形のため凄く神経を使う。
更に、万が一炎が周りに燃え移っても被害が最小限で済むように火力をギリギリまで抑えてるから余計にコントロールが難しい。
「…………ふぅ。よし、今日はここまでだな」
実際、まだ二十分も経っていないのにもう汗だくだ。これ以上やるとぶっ倒れるので魔方陣を消して寝る準備をする。
……にしても、最近一日経つごとに魔力が徐々に増えている気がする。しかも、それ以外の何か別の力も感じるようになっている。…………本当、どうしたんだろうな、俺の体。
そう考えつつ電気を消し、ベッドに横になろうとした時だった。
「――っ!」
突然部屋に魔方陣が現れた。反射的に警戒したが、それは見覚えのあるものだったので、すぐに警戒を解く。
――これは、グレイフィアさんが使っていた転移用魔方陣だ。
その予想通り、魔方陣から出てきたのはグレイフィアさん、更にサーゼクスさんが出てきた。サーゼクスさんはパジャマ姿だが、グレイフィアさんはいつものメイド服だった。………まさかそのまま寝る気だったのか?
「やあ、竜真くん。すまないね、寝ようとしていた矢先に来てしまって」
「いえ、それは構いませんが、なんで魔方陣から出てきたんですか? 部屋も遠くないし、歩いて来れば――」
「それはできません。これから話すことは、万が一にも誰かに聞かれては困る内容なのです。………特に、竜真様にとっては」
俺にとって誰かに聞かれたら困ること……? 少し考えたが、すぐに思い当たった。
「………俺の中にいる何か、ですね?」
二人は真剣な顔で頷く。やっぱりか……。
「竜真くん。リアスから報告で聞いたが、暴走したようだね? しかも、コカビエルをあっという間に倒したと」
「俺はそこの記憶がスッポリ抜けてるので自信を持ってイエスとは言えませんが、皆に聞いたところだと、そういうことらしいですね」
「……何か、体に変化はなかったかい?」
サーゼクスさんが今までにないほどの真剣な表情で質問してくる。あまり知られたくないので、俺は嘘をつこうかと思ったが、その顔を見てる内に、嘘をついてもバレると判断して、正直に話した。
数日間起きた腕と胸の激痛、そしてその部分が自分の体とは別の何かになったこと。体の一部が変化したこと。最近魔力が徐々に高まり、何か魔力とは別の力を感じること。自分で把握している体の異変は全て話した。
「……すまないが、見せてもらってもいいかい?」
「………はい」
他人に見せるのは初めてなので、一瞬躊躇ったが、気持ちを切り替えて返事をし、上のパジャマを脱ぎ上半身裸になる。
そして、いつも通り籠手を出す。それと同時に、腕の一部が白くなり、胸にも橙色の宝玉が現れる。
それらを見た瞬間、サーゼクスさんとグレイフィアさんの顔が険しいものになる。
「………どう思う、グレイフィア?」
「……残念ですが、
「……ああ、きっとそうだろう」
二人はこちらを険しい表情で見たまま会話をする。
………ここまできたら、思い切って聞いてみよう。
「……お二人とも。
「「………」」
二人とも何も言わず、気マズそうな顔をするだけ。それに構わず、俺は言葉を続ける。
「…教えてください。俺の中に一体何がいるのか。……怖いんです。自分でもわからない強大な力が宿っているなんて、気が狂いそうになります。――だから、お願いします」
俺は頭を下げてお願いする。怖いというのは本当だ。
あのコカビエルをあっという間に倒すほどの力。その時は運よく誰も傷つけてなかったが、下手したら暴走して理性を失った俺が、イッセーたちを傷つけ、最悪殺していたかもしれない。
――守るべき存在をこの手で傷つけるなんて真似だけは、絶対にしたくない。
「……すまない、竜真くん。まだ話すことはできない」
俺の意見を聞いても、サーゼクスさんは話そうとしてくれない。しかし、そのあとにこう付け足す。
「だが、三勢力の会談の時、このことを話すことになるはずだ。その時まで待ってはくれないか?」
「会談の時に話すってことは、やっぱり他の勢力のトップも俺の中の存在について知ってるということですか?」
俺は顔を上げて質問する。
「そう。しかも接触してきたことを考えると、アザゼルはすでに君の中にいる存在に気づいたようだ。イッセーくんと接触した時、わざわざ竜真くんを呼んだのも本当かどうか確認するためだろう」
なんでそのことを? ――ああ、イッセーが話したのか。
「とりあえず、俺の中の存在については会談でちゃんと話してくれるんですね?」
「ああ、約束するよ」
「……わかりました。正直、他の皆にもいつまで黙っていられるかわからなかったので、丁度いいです。――その時に全てを話して、真実を知ろうと思います」
俺は覚悟を決めてそう言った。……万が一の時は、皆の傍にいられなくなるかもしれないからな。
「…すまない、竜真くん。本来なら、君が一番に知っておくべきことなのに……」
「いいですよ。だって、話してくれるんでしょう? それならその時に聞くので。――ただ、少し不安があります。アザゼルと一度接触しましたが、あれだけで諦めるような人物とは思えません。また接触してくるんじゃないかと思うんですが……」
前回は見逃してくれたが、今度はどうなるかわからない。コカビエルのように戦争狂ではないから、下手に手を出してきたりはしないだろうが、万が一ということもありえる。
「ああ、そのことなら心配ないよ。頼りになる者に会談が始まるまでの間、君たちの周りの警護をしてもらうように頼んでおいたからね」
警護? でも、まだそれらしい人と接触した覚えはないが……。
「まだ来てないようだが、もう少しでこちらに着くはずだ。それに、その者は竜真くんも知っている人物だよ」
「俺も知っている人物……?」
誰だ? サーゼクスさんに関わりのある人物なら悪魔だと思うが、全く覚えがない。でも、サーゼクスさんが頼むくらいだから、相当な実力を持っているはずだ。
「(……サーゼクス様。本当にあの者に任せて大丈夫でしょうか?)」
「(大丈夫さ。あいつもやる時はやる男だ。……確かに普段の態度には問題しかないが、それと実力は別の話だろう?)」
「(そうですが……)」
お二人が小声でやり取りをしている。内容は聞こえないが、なぜか不安になった。
「え、え~と…。とりあえず、話は終わったってことでいいんですか? もうそろそろ寝たいんですが……」
「おっと、これはすまない。今すぐ退室しよう。――それじゃあお休み、竜真くん」
「お休みなさいませ、竜真様。よい夢を」
「はい。お二人共、お休みなさい」
グレイフィアさんが転移用の魔方陣を出して、サーゼクスさんと一緒に部屋を出る。それを確認して、俺は改めてベッドに入る。
「………護衛か。俺も知ってるって、一体誰なんだ?」
疑問が頭から離れず悶々としていたが、ベッドのほどよい温かさにより、すぐに意識が落ちた。
竜真side out
no side
「さて、あいつらを呼んだ以上、あの場所はもう使えないな。別の所を拠点にしねぇと」
既に時刻は深夜。辺りは暗く、人影もほとんどない。にも関わらず、この和服を着た男性――堕天使の総督、アザゼルは一人で歩いていた。
というのも、一誠と竜真に手を出そうとしたため、万が一リアス・グレモリー殴り込みにでも来たら面倒なので、さっきまでいた部屋を手放し、新たな拠点を探して適当にぶらついているのだ。
(にしても、赤龍帝の方はともかく、
アザゼルが変にテンションを上げている。表情にも出ているので、端から見れば、夜の道をニヤつきながら歩いている不審者だ。
幸い、正面には誰もいないので、見られることはなかった。
「ちょっといいか?」
――だが、アザゼルの背後には人がいた。
「――っ!?」
突然後ろから声をかけられ、アザゼルは驚いて距離をとり、後ろに振り返る。そこには、アザゼルとほぼ同じくらいの身長の男性が立っていた。
別に声をかけられること自体には問題ない。問題なのは…、
(なんだこいつは!? 全く気配がしなかったぞ! 俺が声をかけられるまで気づかないとは、どんだけ気配を消すのがうまいんだ!?)
そう。問題なのは、仮にも堕天使の総督をし、幾多の戦いを経験してきたアザゼルですら、この男性の接近に全く気づけなかったことだ。
更に言えば、こうして正面で向き合っているにも関わらず、男性からは気配が全くしない。気を抜けば、目の前にいるのにいないような錯覚すら起きるほどだ。
(堕天使はまずないとして、悪魔、天使、それともただの人間か!? 気配を遮断する神器でも持ってるのか!?)
アザゼルはかつてない経験に表情に出さないが、軽いパニックを起こしている。そんなアザゼルとは逆に、男性は冷静なままで質問をする。
「駒王学園ってところを探してるんだが、どこにあるか知らないか?」
(駒王学園を
アザゼルは、男性の発言に少し疑問を覚え、すぐに返事をすることができなかった。
反応がないのを怪訝に思ったのか、男性は再び聞いてくる。
「おい、聞こえてるか? 駒王学園を探してるんだ」
「ん? ああ、すまん。駒王学園なら、隣町にある。歩きで行くとなると、結構時間かかるぜ?」
「問題ない。教えてくれて助かった」
男性はそのままアザゼルの横を通り過ぎる。アザゼルはその背中が見えなくなるまで目で追っていた。
男性が完全に見えなくなったところで、アザゼルは「ふーっ」と大きく息を出して、警戒を解く。
ふと、アザゼルは自分の手を見る。その手のひらには汗が浮かんでいた。
「……冷や汗をかくなんていつ以来だ?」
アザゼルはなんとか乾いた笑いを出し、再び歩き始めた。
――――――――――
「……あれが堕天使の総督か。少し警戒が甘いんじゃねぇか?」
アザゼルとだいぶ離れたところで、男性はそう呟いた。
最初の方に出てきたオリキャラ二人の設定です。
アレシー
身長:160㎝
体重:49㎏
特技:千メートル先の文字を読むこと
趣味:バードウォッチング(常に裸眼)
解説:茶色の長髪で、目の色は緑。スタイルはゼノヴィアほどではないが、かなり整っていて、顔も美人の部類。普段は
バルザー
身長:186㎝
体重:94㎏
特技:なし
趣味:山籠もりの修行
解説:茶色の短髪で、目は青色で目つきが鋭い。かなり鍛えているので筋骨隆々。額に大きな斬り傷があり、そのせいで小さい子どもは見たら泣いて逃げ出す。「~この上ない」「この上なく~」が口癖。
こんな感じです。二人ともある意味で人外です。詳しくは、能力がわかった時にまた設定を書きます。
さあ、いよいよ四巻に入りました。ここで竜真の中にいる存在の正体について詳しく書こうと思っています。まあ、今更って感じもありますが、気にしたら負けです。
それでは、この辺で。さようなら! 英語的に言うとグッバイ!