ハイスクールD×D 荒ぶる神を宿す者   作:初代凡人

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久々の投稿! 生きてますよー!!

いやー、最近金の消費が激しいですね。主にゴジ○関連のもので。好きだからいいんですけどね!

それでは本編だ、ヒャッハー!!(cv中村悠○)


第二十八話 轟く雷鳴、響く絶叫

no side

 

テロリスト<禍の団>が駒王学園に襲来し、そのグラウンドにてアザゼルとカテレアによる激闘が繰り広げられた。

 

それからしばらくして、更なる乱入者もあり、新たに二つの激闘が起こっていた。

 

一つは、兵藤一誠とヴァーリ・ルシファーによる赤龍帝と白龍皇の宿命の対決。

 

そして、もう一つは、

 

 

 

 

 

――ドガァンッ!!

 

 

 

 

 

一誠とヴァーリが闘っている位置から距離をとった場所で、グラウンドの一部がどんどん吹き飛んでいく。一誠とヴァーリ以上の激闘が、そこでは起こっていた。

 

リアス・グレモリーの<兵士>――鬼城竜真と、<禍の団>所属の男――バルザーによって。

 

「オラァ!!」

 

「ハァァ!!」

 

竜真が劫火球を放ち、バルザーが雷球を放つ。だが、お互いに相手の一撃をくらうことはなく、代わりにグラウンドが吹き飛び、抉れていく。最初の頭突き以降は、このような遠距離戦が行われていた。

 

これだけの時間撃ち合っているとなると、二人の力はほとんど互角。――そう思うだろう。

 

(くそっ! あいつ、まだ力を隠してやがる!)

 

だが、闘っている竜真本人は気づいていた。

 

先程アザゼルが言っていたが、バルザーはなぜか魔力だけではなく光も使うことができ、更には別の力も持っている。だが、今バルザーが放つ雷には魔力しか籠っていない。

 

――つまり、バルザーには余裕があるのだ。この事実に、竜真は内心イラつくと同時に焦っていた。

 

当然だ。自分は全力なのに、相手は全力じゃない。

 

まだ本格的な格闘戦には入っていないとはいえ、さっきの拳打と頭突きで、格闘能力はほとんど互角だとわかった。

 

――そうなれば、自然と魔力などの特殊な力が高い方が有利になる。まだ力を隠す余裕のあるバルザーの方が実力では上なのだ。

 

(………今更か)

 

闘ってる最中であるにも関わらず、苦笑いしてしまう。

 

そう。竜真にとって、相手の方が上というのは珍しいことではない。

 

不良やヤクザを相手どる時は、数において向こうがずっと上だった。ライザーとのレーティングゲームでは、向こうの方が遥かに経験が上だった。コカビエルとの闘いでは、向こうの実力が圧倒的に上だった。

 

――だが、それでも勝ち、奮戦してきたのだ。今更相手の実力が上だからといって、竜真が闘いを諦める理由にはならない。

 

「闘ってる最中に笑うとは、この上なく余裕だな?」

 

苦笑いしてる竜真を見て、バルザーは怪訝に思ったのか攻撃を止めて、そう問いかける。それに対し、竜真は首を横に振る。

 

「まさか。というか、余裕があるのはお前だろ? 魔力以外使ってないもんな?」

 

その言葉を聞いて、バルザーは感心した顔をする。

 

「気づいてたのか。まあ、これでお前程度と実力が同じと思われても、この上なく心外だからな。――だが、それを口にするということは、全力でやれっていう意味で受け取っていいのか?」

 

次の瞬間、バルザーから放たれるプレッシャーが増す。隠していた力を少し表に出したのだ。――そう、()()

 

だが、それを見ても竜真は驚きはしない。相手が格上であることは、すでに予想していたからだ。

 

「ああ、そう受け取ってくれて構わないぜ。相手が自分より強いなんざ、このイカれた世界じゃよくありそうなことだしな。今の内に経験しておいた方がいいだろ?」

 

「…………ククク、ハハハハハ!!」

 

竜真の言葉を聞いて、バルザーは愉快そうに笑う。

 

「経験、か。――ハハハ! 確かにな。乗り越えれば、この上なくいい経験にはなるだろうな」

 

笑いながらそう言うバルザーだが、次に見せた表情は、

 

 

 

 

 

「――だが、死ねばそこで終了だ」

 

 

 

 

 

――殺意に満ちていた。

 

「――っ!!」

 

竜真は考えるよりも先に、横に跳んだ。すると、竜真が前にいた場所に、巨大な雷が降り注いだ。

 

竜真が雷が落ちた場所を見ると、グラウンドに深い大穴が空いていた。抉るどころではない。雷が落ちた場所は、消し飛んでいたのだ。

 

(これがあいつのフルパワーってことか……! くらうわけには――)

 

そう思っている中、再び雷が降り注ぐ。

 

竜真は全速力で走り出す。竜真のあとを追うように、次々と雷が襲いかかる。竜真の後ろには黒い道ができているように見えた。

 

(考えてる暇はないか! とにかく、反撃をしねぇと!)

 

竜真は左手に炎を溜め、劫火球を撃ち出す準備をする。雷の発生場所は、バルザーがいた位置と変わらない。

 

(バルザーのいる位置は特定できている。あとは、劫火球を撃ち込むだけでいい)

 

竜真は走るのをやめて立ち止まる。そこに容赦なく雷が襲いかかってくるが、竜真はギリギリのタイミングで後ろに跳んでかわす。こうすることで、巨大な雷がバルザーとの間に死角を生んでくれる。

 

(くらいやがれ!)

 

雷に隠れるように撃ち出した劫火球。それは雷の発生場所へと到達し、爆発して吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

――雷を出していた雷雲が。

 

 

 

 

 

「なっ――!?」

 

竜真はその事実に驚愕した。今までバルザーだと思っていたのは雷雲だったのだ。

 

(確かに気配があったんだぞ!? じゃあ、本体は――)

 

 

 

 

 

「隙だらけだぜ?」

 

 

 

 

 

竜真が動揺しているその背後から、雷を纏った拳が叩き込まれる。

 

「――っ!?」

 

あまりの威力と痛みに悲鳴を上げることもできず、竜真は吹き飛ぶ。そのまま地面に倒れ、口から血を吐く。

 

(ぐっ……! なんて威力だよ……! それに、この激痛は………光か…!?)

 

雷と共に竜真の全身に駆け巡る痛みは、かつてくらったドーナシークの光の槍と同じだ。拳をくらった背中を中心に、全身が焼けるような痛みに悲鳴を上げている。

 

意味はないとわかっていても、背中を押さえたくなる。だが、そこで竜真は自分の体の異変に気づく。

 

(な、なんだ? 体が全然動かねぇ…!?)

 

腕どころではない。足も、口も、目蓋すら動かない。

 

光のダメージによるものとは違うその異常に、竜真は混乱していた。

 

「どうした? 体が動かせないのか? それはまた、この上なく気の毒だな」

 

バルザーの声が聞こえてくる。竜真はそちらに目を向ける。どうやら、目自体は動かせるようだ。

 

バルザーは竜真の横に立ち、左手で首を掴み持ち上げる。

 

「教えてやるよ。もう気づいてるとは思うが、今の雷には光も混ぜてた。痛いことこの上ねぇだろ? ――だが、動けないのは光のせいじゃないぜ」

 

そう言ってバルザーは竜真に見えるように、右手に雷を纏わせる。

 

「ほら。集中してこの雷の成分を見極めてみろ。気配を読むのが得意なら、これのことも感じとれるはずだぜ」

 

そう言われ、竜真は雷に意識を向ける。そして、その違和感に気づいた。

 

(――っ、なんだ? この雷からは、魔力や光以外の力を感じる…!いや、これは力というより――まるで生き物のような気配が……!)

 

驚く竜真だが、その気配にはなぜか覚えがあった。

 

「これはオラクルと言ってな。魔力や光、気とも違う、特定の生物のみが持つ生命エネルギーのようなものだ。さっき雷撃を放っていたのは、これで作った雷雲。本体である俺は、気配を殺して移動させてもらっていたわけさ」

 

(そういうことか…! だから俺が吹き飛ばしたのは雷雲だったのか……!)

 

竜真は経験上、気配を探ることに長けている。だが、今回はそこを利用され、一気に追い詰められてしまった。

 

「ちなみに、このオラクルで生み出した俺の雷は、あらゆるものを麻痺させる能力がある。これでお前の体の筋肉を麻痺させてもらった。だから少しも動けないのさ」

 

そう言ってバルザーは、右手の雷の出力を上げる。見た目からして、尋常ではない力が込めらているのがわかる。

 

「まあ、面倒この上ない説明はここまでにして――死んでもらうぜ」

 

(くそっ…! こんなところで………死ぬわけには……!)

 

竜真は必死に体を動かそうとするが、やはりピクリとも動かない。成すすべもなく、雷が叩き込まれる。

 

 

 

 

 

「――ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

その直前、グラウンド一体に絶叫が響く。

 

(………イッセー、か?)

 

竜真はなんとか視線を声のした方に向ける。バルザーも動きを止めてそちらを見る。

 

「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

そこには、右腕を押さえて叫び続けるイッセーの姿があった。

 

「……おいおい、正気かあいつ?」

 

しばらくそれを見て理解したバルザーは、驚き半分、呆れ半分という感じで呟く。

 

(あの痛がり方は尋常じゃない…! イッセーは何をされたんだ……!?)

 

だが、竜真はなぜ一誠があんなに苦しがってるかわらなかった。

 

竜真が困惑していることに気づいたのか、バルザーは一誠の現状について説明する。

 

「あー、一応教えてやるとだな、あいつは白龍皇の力を取り込もうとしてる。だが、赤龍帝と白龍皇は対となる存在だ。聖と魔と同じで、その二つが交わることは決してない。――この意味がわかるよな? そんなあり得ないことをしようとすれば、この上ない苦痛が襲いかかり――死ぬ。はっきり言って、自殺行為だ。……やれやれ、ヴァーリから話は聞いていたが、本当に残念な赤龍帝みたいだな」

 

最後は哀れんだ様子で言った。

 

(残念、か……。まあ、否定はできないな…)

 

竜真は怒りを覚えることなく、冷静にバルザーの言葉を受け止め、肯定した。

 

『バカなことを。ドライグよ、我らは対となる存在。その力が交わることなど決してないというのに……。このようなつまらない結末を迎えるのが、お前の望みなのか?』

 

そんな竜真の頭の中に、突然声が響いてきた。竜真は内心驚いたが、先程バルザーから受けた説明と、声が言っていたキーワードを結び合わせ、白龍皇であるアルビオンの声だと結論づける。

 

しかし、バルザーにはこの声は聞こえていないようだ。なぜ竜真にのみこの声が聞こえているのかは、本人にもわからない。

 

『相変わらず、お前は頭が固いなアルビオン! たまには違う方向から物事を考えてみたらどうだ!? 俺の宿主はどうしようもない奴ではあるが、俺はこいつから学んだことが一つだけある!』

 

(学んだこと……? ――ああ、そうだ。俺も、あのバカから学んだことがあった)

 

ドライグの言葉を聞いていた竜真は、不思議とその続きがわかっていた。

 

だが、それは当然のこと。一誠とのつき合いなら、ドライグよりもずっと長い。だからこそ、ドライグが学んだということもわかるのだ。

 

竜真はいつの間にか動くようになっていた左手で、バルザーの腕を掴む。

 

「なっ――!?」

 

バルザーは突然の行動に驚くが、竜真は構わずドライグと同じ言葉を口にする。

 

 

 

 

 

『「――バカを貫き通せば、可能になることもある!!」』

 

 

 

 

 

そう言った瞬間、竜真の左手から凄まじい熱量の炎が出て、バルザーの左腕を焼いていく。

 

「――っ!? クソが!」

 

バルザーは炎が出た瞬間に竜真を投げ飛ばす。その際に、今まで右手に纏っていた雷も消えていた。

 

だが、それでも腕に酷い火傷ができている。これを見るだけでどれほどの火力が出ていたかがわかる。バルザーはその火傷を見て、竜真を睨む。

 

投げ飛ばされた竜真はどうにか動くようになった体で体勢を立て直して着地し、同じくバルザーを睨んでいた。

 

「……まさか、まだ動けたとはな。これ以上動けるはずがないと思っていたが、少々慢心していたようだ」

 

「そんなことねぇさ。俺も気づいたら動けるようになっていて、驚いたからな。ただの偶然、それだけさ」

 

(実際、あと少し遅ければヤバかった。それに――)

 

竜真は自分の右手を見る。動かないことはないが、少し震えていて動かしずらくなっている。

 

右手だけじゃない。体のほとんどがさっきの雷によるシビレが残っていて、いつものように動かせない。

 

それに対して、左腕は問題なく動く。視界も問題ない。

 

(まともなのは左腕と視界だけ、か……。魔力はどうだ?)

 

竜真はシビレが残る体に魔力を軽く流す。すると、体を薄い炎の膜が包む。どうやら魔力は問題ないようだ。

 

「なんだ? その体で戦う気か? こう言うのもなんだが、お前の体はこの上なくダメージを受けてるはずだぜ。さっきみたいに動き回ることもできないと思うがな」

 

まだ何かしかけてくると感じたバルザーがそう言うが、竜真は笑いながらその場にかがむ。

 

「ああ、そうだな。確かにさっきより動けねぇし、お前に勝てると思ってもいねぇよ」

 

「? 話が見えないな。勝てないのになんで立ち向かおうとする? 無駄に苦しむくらいなら、おとなしく殺された方が――」

 

「楽だと言いてぇのか? ――はっ! 冗談じゃねぇ!」

 

竜真はバルザーを睨みつける。その目から尋常ではない気迫が伝わってくる。

 

「俺にとって一番の苦しみは、大切な人たちを失った時の喪失感だ。……俺が倒されたら、お前が次に誰を狙うかは明白だ。だから――」

 

竜真は両足に魔力を集めて脚力を強化。更に炎を爆発させて一気に加速して、バルザーに突っ込む。

 

バルザーはあまりの速さに反応が遅れ、左手で頭を鷲掴みにされる。

 

「な――!?」

 

「――もう少し向こうでやろうぜ」

 

竜真は突っ込んだ勢いのまま、バルザーと共に一誠たちから更に距離を離す。竜真はさっき、一誠の状況を正確に説明したバルザーを見て、この距離でも一誠たちに危険が及ぶと判断したのだ。

 

自分が倒されるのも時間の問題だと考えた竜真は、少しでも一誠たちの元へ行く時間を稼ぐために、結界の端っこで戦うことにした。

 

(……悪いな、イッセー。ぶっ飛ばすどころか、ちゃんとダメージを入れれたのもあの腕の火傷だけだったよ。絶対勝てるとは思ってなかったとはいえ、少し申し訳ないな。……リアスさん。せっかくあなたが生かしてくれたこの命、こんな簡単に諦めてしまって、本当にすいません。――だけど、大切な人が死ぬのは、自分が死ぬことよりも嫌なんです)

 

竜真は移動しながら、心の中でさっきまで一緒だった二人に対して謝罪をする。――そして、既に勝つことを諦めてしまっていた。

 

 

 

竜真side out

 

 

 

一誠side

 

「無知とは怖いものだ! 何も知らないまま死んでいくのだからな!」

 

ヴァーリがそう言いながら光の翼の輝きを強める。

 

逆のものである聖と魔が交わった木場の神器をヒントにしてやった白龍皇の力の吸収はなんとかうまくいった。俺の左手の籠手は白く、宝玉は青い<白龍皇の籠手(ディバイディング・ギア)>になった。……代償としてとんでもない激痛を味わった上に、寿命はだいぶ削れたみたいだけどな。

 

そんな超展開を起こした俺だが、ヴァーリはそれに対して更に力を出してきた。今度はなんだ?

 

ヴァーリは手を木々に向ける。

 

Half(ハーフ) Dimension(ディメンション)!!』

 

そして、音声が発せられると、木が次々に半分の太さになっていく。うおっ、なんだ!?

 

「おーい、兵藤一誠! 聞こえるか?」

 

突然のことに驚いてる俺に、さっきのバルザーとかいう奴の雷球に閉じ込められてるアザゼルが声をかけてきた。なんだよ、こんな時に!?

 

「どうせ今ヴァーリが使ってる力のこともよくわからねぇんだろ? だから、この俺が直々に説明してやろう。とうだ?」

 

おお! それはありがたい!

 

「ぜひ、お願いします!」

 

「よーし! じゃあ、教えてやろう! あれは白龍皇の二つ目の力でな、あらゆるものを半分にするんだ」

 

ふむふむ、それで? と、続きを待っていたが、続きはアザゼルではなく、柊先生が言ってきた。

 

「簡単に言うとね、兵藤くん。あの力を使われたら、グレモリーさんの胸のサイズも半分にされちゃうのよ」

 

 

 

 

 

イマ、ナントイッタ?

 

 

 

 

 

俺はあまりにも強い衝撃を受け、ロボットのように首を動かして部長のおっぱいに目を向ける。部長はそんな俺を見て少し怯えたが、今はそんなこと気にならない。

 

ああ、部長のおっぱい。大好きなおっぱい。素敵なおっぱい。俺の初めてのおっぱい。

 

あんなにもすばらしいおっぱいを半分のサイズにするだって?

 

 

 

 

 

「――ふざけんなあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

『Boost!!』

 

 

 

 

 

俺はかつてない怒りを覚え、叫んだ。

 

「部長のすばらしいおっぱいを半分にするだと!?」

 

『Boost!!』

 

「――許さねぇ!!」

 

『Boost!!』

 

「テメェだけは絶対に許さねぇ、ヴァーリィィィィィィィィ!!」

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』

 

鎧の宝玉がかつてない輝きを放ち、凄い勢いで倍加していく。

 

「ハハハハ! マジかよ! 主の胸が小さくなるってだけで一気に力が上がりやがったぞ!」

 

後ろでアザゼルの笑い声が聞こえる。うるせぇ! これは笑いごとじゃねぇんだよ!

 

「部長のおっぱいに何かしてみろ! 二度と転生できねぇように、細胞レベルで消し飛ばしてやる!!」

 

「まったく! 今日は驚くことばかりだな! だが、おもしろい!」

 

俺はブースターを起動させてヴァーリに突っ込む。ヴァーリは飛び上がってかわす。ここで、俺はある変化に気づいた。

 

――さっきまでは速く感じたヴァーリの動きが、今は遅く感じた。

 

「逃がすかよ!」

 

俺はすぐにあとを追ってその腕を掴む。

 

「――っ!? 俺のスピードに追いつくか!?」

 

ヴァーリは驚いてるが、俺はそんなことは気にせず右拳を握りしめる。

 

「これは部長のおっぱいの分!!」

 

「ぐっ――!?」

 

まずは顔に右ストレートをくらわせる。その一撃で、奴のマスクにヒビが入った。

 

『Divide!!』

 

更に音声が鳴り、奴の力が激減する。そして、俺の方に力が流れてきた。これが白龍皇の力か!

 

ヴァーリは吹っ飛びそうになるが、俺はそのまま両手で頭を掴んで逃がさない。

 

「これは朱乃さんのおっぱいの分!!」

 

俺は頭突きを叩き込む。俺のマスクも壊れるが、奴のマスクも壊れて顔が見えた。その顔からは血が出ていた。よし、効いてる! このまま一気に畳みかけるぜ!

 

「これはアーシアのおっぱいの分!!」

 

ボディに膝蹴りを入れる。それによって奴は吐血し、鎧も半分くらい壊れる。

 

「これはゼノヴィアのおっぱいの分!!」

 

続けてボディに左拳を叩き込む。ヴァーリの鎧が完全に壊れた。

 

「最後だ! これは半分にされたらなくなっちまう、小猫ちゃんのロリおっぱいの分だああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「がはっ!?」

 

全力でタックルして、地面にヴァーリを叩き落とす。俺もそれに続いて着地する。

 

「小猫ちゃんはなぁ! 胸が小さいことを気にしていたんだぞ!! 小猫ちゃんだけじゃねぇ! 俺の周りのおっぱいを小さくするなんて、俺が許さねぇ!!」

 

俺が決め台詞を言うが、ヴァーリはふらつきながらも立ち上がった。

 

鎧もすぐに修復してしまった。クソッ、まだ足りねぇのか……!

 

「ハハ、ハハハ…! おもしろい。本当におもしろいな、兵藤一誠……!」

 

ヴァーリはボロボロなのにも関わらず、笑っている。なんて奴だ……。

 

「アルビオン。今の彼になら、<覇龍(ジャガーノート・ドライブ)>を見せるだけの価値があるんじゃないだろうか?」

 

<覇龍>? 聞き覚えのない単語に疑問が生まれるが、すぐにアルビオンの声がした。

 

『それはいい選択とは言えないぞ、ヴァーリ。<覇龍>を使えば、ドライグの呪縛が解ける可能性もあるのだ』

 

「願ったり叶ったりさ。――『我、目覚めるは、覇の理に――』」

 

ヴァーリが突然何かの呪文を唱え始めた。そして、アルビオンが怒り始めた。

 

『自重しろヴァーリ! 我が力に翻弄されるのが、お前の本懐なのか!?』

 

あんなに取り乱すなんて、あの呪文はそんなにヤバいものなのか? とにかく、また妙な能力を使われたらたまったもんじゃねぇ。今の内に止めて――

 

 

 

 

 

「――がああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

突然、絶叫が聞こえてきた。しかも、この声には凄く聞き覚えがある。

 

「――竜真!?」

 

声が聞こえた方に目を向けるが、距離があきすぎてるのか姿が見えない。その代わりに、こっちに近づく人影があった。

 

「オイオイ、結構やられてんじゃねぇか。お前らしくないな、ヴァーリ」

 

それは、竜真と戦っているはずのバルザーだった。なんでこいつがこっちに!? じゃあ、竜真は!?

 

「そう言うなら、今の彼と戦ってみたらどうだ? 君でもかなり苦戦するはずだ」

 

「んなことしてる時間はない。今は此処を離れて――」

 

そう話している二人のところに、上から新しい人影が落ちてきた。今度は誰だ!?

 

「ヴァーリ、バルザー。迎えに来たぜぃ」

 

美候(びこう)か。この上なくいいタイミングで来てくれたな」

 

三国志の武将が着ているような鎧を身に着けた男――美候が突然現れた。次から次へと敵が増えやがる! さすがに三人はキツイかもしれねぇぞ!

 

「悪いな、赤龍帝。ヴァーリとの対決はまた今度にしてくれ。今回はここまで。俺たちは引かせてもらおう」

 

「ふざけんな! そっちからしかけてきておいて、はいそうですか、ってなるわけねぇだろ! つーか、そいつ誰だよ!? それにお前、竜真をどうしたんだ!?」

 

「質問の多い奴だな。面倒くさいことこの上ないが、答えてやるよ。こいつは美候と言って、闘戦勝仏(とうせんしょうぶつ)――ようするに孫悟空の末裔だ」

 

ええええぇぇぇぇぇぇぇ!? そ、孫悟空の末裔!? それってあの、西遊記で有名な猿の妖怪か!?

 

そんな風に驚いてる俺を気にせず、美候は笑う。

 

「カッカッカッ! と言っても、俺っちは初代みたいに仏になるつもりはないぜぃ。自由気ままに生きるのさ。つーわけで、よろしくな赤龍帝」

 

敵なのに随分気軽な挨拶だな……。

 

俺は若干戸惑うが、バルザーの次の言葉で一気に頭に血が上った。

 

「あと、さっきの竜真とかいう奴なら、今生死を彷徨っている。まあ、ほとんどの確率で死ぬだろうがな」

 

――っ!? 俺は気づいたら、バルザーに突っ込んでいた。

 

「おお、速いな」

 

次の瞬間、俺は電撃をくらった。

 

「があっ――!?」

 

「――まあ、それだけだ」

 

俺はその場に倒れる。な、なんだ…!? 体が動かない……!?

 

「冷静さを失えば、どれだけ強い力であろうと、簡単に打ち崩される。よーく覚えておきな。――美候、頼む」

 

「あいよっ!」

 

美候が棒で地面を突く。すると闇が出てきて、ヴァーリたちの足元に広がり呑み込んでいく。逃げる気かっ!

 

だが、俺の体は動かず、それどころかとうとう鎧も解除されてしまった。クソッ、こんな時に……!

 

「また次の機会に戦おう。――兵藤一誠、もっと強くなれ。そして、もっと楽しい戦いをしよう」

 

そう言って、ヴァーリたちは闇に沈んでこの場から消えた。逃げられた……!

 

 

 

 

 

「あああああああああアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

 

 

 

――っ!? この声は、あの時の……!

 

なんとかシビレが残る体に鞭を打って首を動かして、竜真の声がする方を見ると、そこには以前も見た火柱が現れていた。

 

 

 

一誠side out

 

 

 

no side

 

「あれは竜真くんか!?」

 

「どうやら、覚醒しかけているようですね」

 

火柱を見て、新校舎の中にいたサーゼクスやミカエルたちもグラウンドに出てきた。

 

「サーゼクス、ミカエル! すぐに封印するぞ! 準備しろ!」

 

アザゼルが、二人の近くに行き、声をかける。バルザーが離れたことにより、雷球から解放されたのだ。

 

「待て、アザゼル! 彼は――」

 

「わかってる! 完全に封印はしねぇ! 覚醒を抑えるだけで済ませる! とにかく早くしろ!」

 

「――っ! わかった! グレイフィアは魔方陣の準備を手伝ってくれ!」

 

「はい!」

 

魔王とその側近、天使長、堕天使総督が火柱の元へ行く。

 

全員が近づいた時、火柱が消え、竜真の姿が見えた。

 

「――ガルアアアァァァァァァァァ!!」

 

既に目は紅くなり、黒い触手のようなものが出ていた。

 

――更に、右手首から先がなくなっていた。そこからも傷口を塞ぐかのように触手が出ている。

 

「すみません、竜真様! ――ハッ!!」

 

グレイフィアが謝罪をしたあと、竜真の足元に魔方陣を出す。その瞬間、竜真が地面に倒れ伏す。

 

だが、竜真は無理やり起き上がろうとする。

 

「竜真くん! 必ず助けるから、おとなしくしてくれ!」

 

サーゼクスも魔方陣に魔力を送り込む。すると竜真は完全に倒れ、体を動かせなくなった。

 

「すぐに終わらせます!」

 

ミカエルが空中から光の槍を四つ投げる。それは竜真の四肢に突き刺さる。だが、特殊な能力を付与させてるのか、竜真は血を流してはいない。

 

「ガアアァァァァ……! ――グガアアアァァァァァァァァァ!!」

 

竜真はまだ抵抗する気なのか、叫ぶ。

 

 

 

 

 

『Boost!!』

 

 

 

 

 

その時、聞こえるはずのない音声が響いた。次の瞬間、竜真は無理やり起き上がろうとしていた。

 

よく見れば、胸の宝玉が緑色になっていた。

 

(まさか!? もうそこまで覚醒しているのか!?)

 

サーゼクスはその光景を見て、かなり焦っていた。

 

すると、竜真の周りにデュランダルが四本も突き刺さる。その聖なるオーラを受け、竜真の動きが鈍くなる。

 

「――これで、もう少しおとなしくなってくれるはずです」

 

いつの間にか近くに来ていた朱美が、四本のナイフをデュランダルにして投擲したのだ。

 

「ナイスだ! そんじゃあ、こいつで――」

 

アザゼルが特大の光の槍を出し、

 

「――寝とけぇ!!」

 

竜真の胸に投げつけた。その瞬間、魔方陣が輝き、その光が竜真を包んでいく。

 

「ガアアアアアアアアアアアアあああぁぁぁぁ……」

 

絶叫していた竜真だが、紅い目は赤に戻り、触手も消えてその場に倒れた。

 

「ふぅ……。なんとかなったな」

 

アザゼルがホッとため息をつく。

 

そこに、一誠やリアスたちが駆け寄ってきた。

 

「竜真!」

 

「お兄様! 竜真は!?」

 

その質問に対して、サーゼクスは深刻な顔をしていた。

 

「……今はもう大丈夫。――ただ、竜真くんが起きてからが心配だ」

 

「だな。多分だが、あのバルザーとかいう奴はこいつの同類を宿してるんだろ。――そして、何か揺さ振りをかけた。その動揺で暴走したんだろうな」

 

「いずれにせよ、彼はこれから過酷な運命を知ることになります。それで心が折れなければいいのですが……」

 

全員が倒れる竜真に目を向ける。その顔は、不自然なほど安らかなものだった。




投稿長引いた上に、こんな中途半端に終わってしまいすいません! 僕も早くこの章終わらせてアニメと同じ時期に五巻の内容に入りたいんですけど、追いつけるかなぁ……。

あと、一誠がサラリと禁手になってますが、アザゼルからちゃんと対価の代わりになる腕輪は貰っていました。その描写がなかったので、わかりづらかったですよね。すいません…。大体ヴァーリが一人で無双をしていた辺りです。

………なんで春になる直前なのに心霊番組がやってるんでしょう。いや、これ書いてる最中にたまたま心霊番組見てしまったんですよ。冬にもやってたし、なんなんですか!? なんで夏でもないのに心霊番組がこんなにやってんの!? まだ冬だよ!? なっても春だよ!? 視聴率のために恐怖をばら撒かないでくれませんかね!?

……失礼。取り乱しました。いや、自分はホラー系超苦手なんですよ。なのに、親はその真逆でホラー大好きなせいでやっていたら自分も見るはめに……。

とりあえず、一言。肝試しには絶対行かん!!

それではこの辺で! アデュー!
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