ハイスクールD×D 荒ぶる神を宿す者   作:初代凡人

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GW終わっちゃいましね~。皆さんはどうお過ごしでしたか? 私は何も変わらずいつも通り過ごしてました。ええ、ほとんど家の中です。

にしても、スマホは便利ですね。面白いゲームもいっぱいあるし――いえ。決してこの前までガラケーだったというわけではないですよ。ただ改めて便利だなと思っただけですよ。ホホホホホントダヨ?

そんな挨拶は置いておいて、本編をどうぞ!


第二十九話 明かされた真実、非情な現実

no side

 

時は少し遡る

 

 

 

 

 

「おー。あの赤龍帝、その気になればあんだけパワーが出せるんだな。少し見直したぜ」

 

グラウンドの隅から一誠のパワーアップを見ていたバルザーがそう呟く。だが、すぐに落胆した顔になって後ろに振り返る。

 

「しかし、それに対してこっちにはガッカリだ。――なあ、鬼城竜真?」

 

そこには、ボロボロの状態で壁にもたれかかっている竜真がいた。竜真はそんな状況でもバルザーを睨みつけている。

 

「そんだけボロボロでも、そんな目で俺を睨みつけるとはな。まあ、勝とうという意思がないのなら微塵も怖くないが」

 

そう言いながらも、バルザーは竜真の体を注視する。竜真の体は、震えながらも少しずつ動いていた。

 

「俺の雷に慣れるなんてことはないはずなんだが……。いや、お前の中の奴が特別だからか。――まあ、些細な問題だ」

 

バルザーは右手に巨大な雷を出す。

 

「お前はここで死ぬからな」

 

(チッ……! 今こいつに殺されたら、イッセーの所に行っちまう…! ヴァーリを倒すまでは時間を稼がねぇと……!)

 

竜真はどうにか時間を稼げないか思案するが、そこにバルザーが声をかけてくる。

 

「ああ、そうそう。殺す前に、お前にこの上なく言いたいことがあったんだ」

 

その瞬間、バルザーは普通の表情から一変し、憎悪に満ちた顔になった。

 

「俺はお前がこの上なく気に入らない。というのもな、俺はある人物のせいで人生を滅茶苦茶にされたのさ」

 

(ある人物…? 俺が気に入らないってことは、そいつは俺と深い関わりのある――)

 

そこまで考えて、竜真は固まってしまった。

 

化け物と呼ばれ、周りから一定の距離をおかれていた竜真と深い関わりのある人物は限られる。そして、誰かの人生を滅茶苦茶にするような人物となると、竜真には一人しか思いつかなかった。なにより、その確証があった。

 

――竜真の人生も、その人物によって大きく狂わされたのだから。

 

「まあ、お前もある種の被害者であるが、同情する気は一切ない。それに、そいつはお前が殺しちまったんだろ? なら、俺はお前を殺して少しでも恨みを晴らさせてもらわなきゃな。まあ、というわけだ。――死ね」

 

(あいつ…! 俺だけじゃなく、他の奴にまで……!!)

 

バルザーは雷の出力を上げる。だが、竜真はそんなことは気にならず、自分でも気づかない内に凄まじい怒りと憎しみを抱いていた。

 

(あの時、俺は全てを失った。代わりに、その場で全ての元凶は消えたってのに……! 時が過ぎても、俺と周りの人生を狂わせようとするのか!?)

 

既に死んでいる者に対して殺意を抱いたところで意味はない。そうわかっていても、竜真の本能はそれを抑えることができなかった。いや、抑えることを許さなかった。

 

――その人物に対する憎悪は、殺しても消えることのないものなのだから。

 

(くっ――! 今は怒りを抑えろ! 冷静さを失えば、それこそ何もできずに死ぬ! 一旦落ち着いて――)

 

 

 

 

 

『――何故拒む?』

 

 

 

 

 

(――っ!?)

 

突然、竜真の頭の中に声が響いた。それはさっき聞こえたドライグやアルビオンのものではない。更に、竜真は直観で感じ取っていたことがあった。

 

――この声は、決して自分の味方になるものではないと。

 

『怒りや憎しみを拒む必要はない。受け入れろ。――我と共に』

 

声が響く度に、竜真は自分の理性が何かに蝕まれていくのがわかった。しかし、聞かないようにしようとしても、耳を通じて聞こえる声でもないので防ぐ手段がない。

 

「ぐ――!? ああぁぁぁぁぁ……!?」

 

「っ!?」

 

竜真の体から炎が溢れ出す。その熱量は、周囲の気温が急激に上昇するほどだった。バルザーはいち早く反応して竜真から距離をとったため、外傷はない。

 

更に竜真の左腕と胸の宝玉の周辺から黒い触手のようなものが出てきた。そして、その触手が竜真の体を侵食し始め、激痛が走る。

 

「な、んだ……! これ…!?」

 

竜真は自分の体から出ている異物に恐怖を抱いていた。正体まではわからない。だが、これが何をしているのかは、竜真は理解できた。

 

(――俺を、喰ってやがる…!!)

 

自分の体が少しずつ喰われる痛みと恐怖は凄まじい。だが、竜真はそんな状況でも、冷静に打開策を探していた。

 

(とにかく、これを止めねぇと……!)

 

これ以上侵食を進ませないために、竜真は左腕の触手を右手で押さえる。

 

 

 

 

 

――ぐじゃあ!

 

 

 

 

 

「――がああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

なるべく声を抑えていた竜真だったが、耐え切れずに絶叫してしまう。その理由は簡単だった。

 

 

 

 

 

――触手が、上から押さえている右手をも喰らい始めたのだ。

 

 

 

 

 

バルザーは竜真から離れ、竜真の現状を冷静に分析する。

 

「……このタイミングで覚醒するとは…。この上なく想定外だが、まあいいさ。――そのまま喰われろ」

 

そう言い捨てると、バルザーは高速で離れ、ヴァーリの元に向かっていく。

 

竜真は止めようとしたが、激痛がその邪魔をする。触手は既に手首まで侵食していた。

 

竜真は冷静さを忘れ、ひたすら右手を引っ張るが簡単には離れない。渾身の力を入れると、ようやく離すことができた。

 

だが、それと同時に違和感に気づく。

 

(――っ!? おい、これ……! まさか…!?)

 

竜真は自分の右手に目をやる。

 

 

 

 

 

――そこには手首から先がなくなった自分の右手が映った。

 

 

 

 

 

『言っただろう? 拒むな。受け入れろ。そうすれば苦しむこともなく、強大な力を手に入れられるのだ』

 

(……うるせぇ…!! 喋りかけるな、鬱陶しい……!)

 

激痛によって余裕がなくなっているというのに、そこに間髪入れずに声が聞こえてくる。そのせいで、竜真の理性は既に限界だった。

 

『失うのが怖いのだろう? ならば、失う前に自ら切り捨てればいい。そうすれば、苦しむことはないのだぞ?』

 

(黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!)

 

『さあ、共に暴れよう。消せ、潰せ、殺せ、壊せ、滅ぼせ。――この世の全てを、喰らい尽くせ』

 

止むことのない声。そしてついに、

 

 

 

 

 

「――あああああああああアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 

 

 

 

――竜真の理性が、壊れた。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

竜真side

 

「…………………ん…?」

 

ここは……どこだ…?

 

いつの間にか気を失っていたみたいだが、目を覚ますと俺は奇妙な空間にいた。

 

――周りには炎が渦巻き、真下には暗闇が広がる空間に、俺は浮いていた。

 

どうしてたんだっけか……? 確か――

 

そこで、ようやくさっきまで自分が何をしていたか思い出した。そうだ。俺はあの声を聞いて頭がどうにかなりそうになって――

 

 

 

 

 

『ようやくだ』

 

 

 

 

 

――っ!? 突然聞こえてきた声に、俺は身構えようとする。だが、体が何かに固定されているのか、少しも動かない。

 

それと同時に、体の異変に気づいた。……おい、さっきの右手だけならまだしも、そっちまで…!?

 

左手の方向に目を向けるが、そこには何もなかった。――左腕そのものが、完全に消えていた。

 

更に、胸と腹にも穴が空いている。だが、これだけ体のパーツがかけているにも関わらず、俺は全く痛みを感じていない。それが逆に怖かった。

 

自分の体の状態に驚いていると、炎の中から何かが出てきた。

 

 

 

 

 

――それは、一体のドラゴンだった。

 

 

 

 

 

と言っても、西洋のドラゴンのように翼は生えていない。それに、ドラゴンの割には体のバランスは人間に近いと感じる。そう観察している内に、俺は信じられない物を目にする。

 

――それはもう見慣れてしまった、俺の左手についているはずの籠手だった。

 

それに、白を中心としたあの肌。胸の真ん中にあるあの宝玉。最近俺の体に出始めた変化と全く同じものだ。ってことは…!!

 

『ようやくこの時がきた。たかが十数年とはいえ、かなり待たされた気がするな』

 

ドラゴンは俺の目の前まで来る。近くで見るとそれなりにデカい。十メートルくらいはあるだろう。

 

……そんなことはどうでもいい。今は、確認しなきゃならないことがある。

 

「……おい、お前。もしかしなくても、お前が俺の中にいる()()なのか?」

 

俺がそう問いかけると、ドラゴンはこっちを睨みつけてくる。……ハハッ、こいつも相当な力を持ってやがるな。睨みつけられてるだけで寒気が止まらねぇ。

 

『……声だけならまだしも、この姿を見て話しかけてくるとはな…。怖くはないのか?』

 

「さあな。ただ、お前が俺にとってよくない存在だってのは理解しているつもりだ。――で? 質問への回答は?」

 

表面上は弱みを見せないように気をつけて、再び質問した。……もっとも、こいつが俺の中にいるのなら、読まれてるかもしれないが。

 

俺の予想が当たったのか、ドラゴンは不敵に笑う。

 

『……ああ、そうだ。お前の中にいる何かは我だ』

 

……やっぱりか。サーゼクスさんがなかなか教えてくれなかったのも納得できる。こんなのが体の中にいるなんて聞いたら、ショックでどうにかなっちまう。

 

『――だが、勘違いをするな。その体はお前の物ではない』

 

は? 突然何を言い出すんだ?

 

理解できずにいると、奴の口から信じられない言葉が出た。

 

 

 

 

 

『――その体は、我の器にすぎない』

 

 

 

 

 

「…………それはどういう意味だ?」

 

内心かなり動揺しつつも、なるべく平静を装って問う。すると、奴は語り始めた。

 

『自分の体に疑問を覚えたことはないか? 人間では考えられない回復速度。異様に高い身体能力。そのせいで、お前は何度も周りの者から虐げられてきたのだろう?』

 

「……今までずっと見てたんだろ? わざわざ聴いてくるなんざ、意地悪だな」

 

『ああ、そうだ。ずっと見ていた。――そして()()()から、我はお前の体を喰らい始めた』

 

あの時だと? …………まさか!?

 

俺が一つの結論に至ると同時に、体に異変が起きた。なくなっていた左腕と右手が生え、胸の風穴も塞がったのだ。――だが、そこにあったのは、俺の物ではないパーツばかりだった。

 

次の瞬間、左腕が俺の首を掴んできた。右手もほぼ同時にきたが、右手首以外は普通に動かせたのでなんとか止めることができた。しかし、左腕はそのまま俺の首を締め上げてくる。すげぇ力だ……!!

 

その様子を見ていた奴が、愉快そうに言ってくる。

 

『わかったか? お前が自分の物だと思っていたその体も力も、我の一部でしかないのだ。それを自分の力だと思い込んで戦うお前は滑稽だったぞ』

 

野郎、好き放題言いやがって……!!

 

だが、腕の力が強すぎて確実に締められていく。このままじゃ、ヤバい …!

 

『無駄な抵抗をするな。自身の体がそんな状態で、我を退けれるとでも思っているのか?』

 

奴はそう言ってこちらに手を伸ばしてくる。クソッ……! ここまでなのかよ……!!

 

 

 

 

 

――ドシュッ!!

 

 

 

 

 

だが、奴の手がこちらに届く直前で、突然光の槍が奴の手に突き刺さった。いや、よく見たら奴の四肢全てに光の槍が刺さって、動きを止めている。

 

この光の強さは――ミカエル様かアザゼルのやつか……!?

 

『おのれ、虫けら共が!! 貴様らごときが、我の邪魔をできると思うな!』

 

奴が忌々しそうに吠えた瞬間、聞こえるはずのない音が聞こえた。

 

『Boost!!』

 

「なっ――!?」

 

聞き間違えるはずがない。今のはイッセーの持つ<赤龍帝の籠手>の倍加した時の音声だ! なんでこんなところで――

 

そう考えていると、奴の体が再び動き始めた。おい、あの宝玉の色は…!? よく見れば、奴の胸にある宝玉がいつの間にか緑色になっていた。――<赤龍帝の籠手>と同じ、緑色に。

 

俺がそれに驚愕している間も、奴の手が確実に迫ってくる。それに、首を締めつけてくる左腕も力を上げる。ヤバい……! このままじゃ、あと少しで意識が飛んじまう…!

 

『あと少しなのだ…! 貴様らごときに――』

 

だが、突然奴の動きが鈍くなる。微かだが、周りから聖なるオーラを感じる。この攻撃的なオーラは、デュランダルか……!?

 

その直後、巨大な光の槍が奴の胸に突き刺さる。すると、奴の体がどんどん崩れ、消えていく。

 

『お、の……れ…! 虫……けら、ど……も…!!』

 

そう言いながら、奴は目の前から消えた。それと同時に、俺の体にあった奴のパーツも消え、自由に動けるようになった。…やはり痛みを感じない。

 

にしても、この周りの炎はいつになったら消えてくれるんだ? なぜか知らんが意識も戻らんし……。

 

そう思っていたら、ようやく炎が消えた。

 

そこにはある光景が広がっていた。俺はその光景を見て固まってしまった。なぜなら、そこにあった光景は――

 

「……………まさか、また見ることになるとはな」

 

俺が幼い頃に家族と住んでいた家。その自室だったからだ。

 

部屋の中は暗い。窓から見える外の光景からして、今は夜なんだろう。

 

ちなみに俺はこの部屋にはいない。この頃は、まだ親と寝ていたかったんだよな。……これは誰にも言わないでおこう。恥ずかしい。

 

――母さんも、いるのか……。久々に、母さんの顔を見てみたいな…。

 

そう思い部屋から移動しようとした時、扉の横にあるカレンダーが目に入った。そこにはバツ印がいくつもあり、ある日付の前までそれは続いていた。

 

 

 

 

 

――一月二十九日

 

 

 

 

 

「――っ!?」

 

その日付を見て、俺は酷く動揺した。この日は俺の誕生日だ。

 

――だが、それと同時に悪夢の日でもある。

 

(久々に母さんに会えるだ…? 何バカなこと言ってるんだ俺は……!)

 

母さんに会えるわけがない。だって、この日は――

 

俺は急いで一階に下りる。時刻は夜。もし、この光景があの時のものなら……!

 

階段を下りて廊下に出る。そして少し歩き、リビングの扉の前に立つ。その扉は既に少し開いていた。……この先に、自分のトラウマともいえる光景があるはずだ。

 

だが、俺はその時のことはあまり覚えていない。いい加減だと言われても仕方ないが、今ならこの理由が理解できる。

 

……さっきのドラゴン。多分、あいつが俺の体の主導権を握った時、俺の意識は強制的に眠らされる。そのせいで俺の記憶は飛んでいるんだ。

 

つまり、この先にいる俺は、奴に体を奪われてた可能性が高い。――それなら、俺が親に何かしても不思議ではない。

 

 

 

 

 

 

『あの子のご両親、あの子が殺したらしいわよ』

 

『本当に、君が殺したわけじゃないんだね?』

 

 

 

 

 

思い出されるのは、この日の出来事のあと、周りの大人たちが言っていた聞きたくもなかった言葉。あの時は本当に自分はやっていないと自信を持って言えた。――だが、もし今聴かれたら、否定できる自信がない。

 

…………いや、無駄に考えるのはやめよう。どんな光景だとしても、この先にあるのは真実なんだ。――覚悟を決めろ。

 

震えそうになりながらも、扉に手をかけてそのまま押す。中途半端に開いていた扉は全開になり、リビングの光景が見えた。

 

 

 

 

 

――そこには、まだ幼い俺が血だまりの中にいた。

 

 

 

 

 

「っ!! うっ――!?」

 

記憶の中にある光景がフラッシュバックし、思わず吐きそうになる。だが、なんとか堪えて目の前の光景に意識を向ける。

 

よく見れば、幼い時の俺は膝を床について倒れかかっている。更に、左手にはあの籠手がついている。……やっぱり、この時あの野郎は俺の体を乗っ取っていやがったのか。

 

とりあえず、何をしてるか確認しよう。俺は幼い時の俺の正面に回り込もうとする。

 

――だが、その必要はなかった。横から見た時点で、何をしているかわかってしまった。

 

 

 

 

 

――幼い時の俺は、顔を血で染めながら人の肉を食っていた。

 

 

 

 

 

それを見た瞬間驚愕したが、その肉についていた物を見て更に動揺してしまった。

 

肉は丁度腕の部分を食べていたようで、その手首についている物に目がいった。

 

 

 

 

 

――それは、母さんがいつも肌身離さずつけていたアクセサリーだった。

 

 

 

 

 

「あ――」

 

それを見た瞬間力が抜け、俺はその場で膝をついてしまう。理解してしまった。自分が誰を食べたのか。

 

それを食っている俺の顔が映る。その目は紅くなっていて、狂気とも言えるほどの食欲が見て取れた。

 

…………嘘だろ。大人たちが言っていたことが正しかったのかよ……? ――俺が、母さんを……!!

 

頭の中を絶望が覆い尽くした瞬間、目の前が暗くなった。

 

 

 

――――――――――

 

「ん……?」

 

目を覚ますと、見覚えのある天井があった。此処は………部室か…?

 

「――竜真!」

 

「竜真! 目が覚めたのね!」

 

視界にイッセーとリアスさんが入ってくる。首を横に向けると、周りには部員全員がいた。……よかった。停まっていた皆も無事だったんだな。

 

俺は毛布をどけて上半身を起こす。その時に寝ていたのがソファーだったことに気づいた。

 

「……どれくらい寝てた?」

 

「大体、三日くらいだ。授業中はともかく、それ以外の昼休みと放課後は皆でお前が起きるのを待ってたんだぜ」

 

イッセーが答えてくれた。そうか……。

 

「……それで、あのあと〈禍の団〉の連中はどうなった?」

 

「…逃げられた。けど、こっちで犠牲者は一人も出なかったし、お前も無事だったんだからいいじゃねぇか!」

 

無事、か……。今の俺は、無事と言えるのか? ……いや、そんなことはどうでもいいな。

 

俺は皆に向けて頭を下げる。

 

「すいませんでした。皆に面倒をかけさせて――」

 

「何を言ってるんだい、竜真くん。僕らは仲間じゃないか」

 

「ああ。仲間として当然のことをしただけさ」

 

「そうです! 竜真さんが無事ならそれで充分です!」

 

「うふふ。それに、後輩の面倒を見るのは先輩の役目でもありますわ」

 

「……後輩としては、先輩の身を案じるのは当然かと」

 

「そ、そうですよ! 竜真先輩は何も悪くないです!」

 

「そうよ、竜真。あなたは私たちの大切な仲間で、私の眷属ですもの。これくらいは当たり前のことよ」

 

「そうだぜ! 第一、俺とお前は幼なじみで親友だろ? 今更だぜ!」

 

皆がそう言ってくれる。……本当、優しいな。

 

――だが、今の俺には、その優しさがとても辛い。

 

「ありがとう、皆。――だけど、ごめんな」

 

俺は左手に籠手を出す。それと同時に右手は白い肌になる。その爪はとても鋭利なものだ。……思った通り、充分な鋭さだ。

 

皆は突然のことで反応できていない。俺はその間に右手の爪を立て、そのまま自分の首を――

 

「――何バカなことしようとしてんだ?」

 

爪が首に当たる寸前で、後ろから伸びてきた手に右手を捕まれる。……後ろをとられるとは、注意力が足りなかったか。

 

後ろに振り返ると、予想外の人物がいた。

 

「……なんで堕天使の総督がこんな所に?」

 

なぜか、先日の会談に出ていたアザゼルがいた。しかも、スーツ姿で。

 

「ああ、俺はついこの間から教師になったんだ。そして、このオカルト研究部の顧問を任された。――要するに、お前らの監督者かつサポート役だ」

 

…協定を結んだとはいえ、こんなに早く身近な関係になるとは……。世の中わからないもんだな。

 

――いや、そんなことはどうでもいい。

 

「で? もうバカなことはしないか? しないんだったら、この手は離してやるが」

 

「……………なんで…」

 

「ん?」

 

 

 

 

 

「――なんで邪魔すんだよっ!!」

 

 

 

 

 

俺はその場から立ち上がり、怒りのままに叫ぶ。

 

「そりゃ邪魔するだろ。お前が死んだら、サーゼクスからとっちめられる」

 

そんな俺とは逆にアザゼルは冷静に対応する。それが逆に腹立たしかった。

 

「あんたが関わることじゃねぇ! 俺が勝手に死ぬだけだ! ――それなら、サーゼクスさんから責められないよう、これは自分の勝手な行動によるものと主張した遺書でも書いてやろうか!? それとも、ここにいる全員に俺が首をかっ切ったという証言を言ってくれるように頼むか!? どうせすぐ死ぬんだ! こんな頭、いくらでも下げて頼んでやるよ!!」

 

俺はヤケクソ気味にそう叫んだ。実際、それくらいで死ねるなら安いもんだ。何枚でも書いてやる!

 

「い、いきなりどうしたんだよ、竜――」

 

「黙ってろイッセー!!」

 

驚いたイッセーが声をかけてくるが、怒鳴って黙らせた。悪いが、お前は引っ込んでろ!

 

アザゼルは面倒くさそうに頭をかく。

 

「あのなぁ…。俺たちに当たったところでどうしようもないぜ? 少しは落ち着いてゆっくり考えて――」

 

「落ち着いて? ゆっくり? ふざけんじゃねぇぞ!! んなことしてる余裕はねぇんだよ! 早くこの手を離せ! 離しやがれ!!」

 

アザゼルの腕を殴りつけるが、本人は全然気にせず、手の力も緩めない。

 

「離せ! 離せって言ってんだろ!!」

 

「離さねぇよ、バカ」

 

殴り続けていたが、左手も掴まれてしまう。クソッ!

 

「離せよ! 離せぇ!! ――頼むから…!!」

 

力が抜け、その場に座り込んでしまう。気づけば、俺の目からは涙が出ていた。

 

「もう、死なせてくれよ……!!」

 

泣きながら頼みごとなんて、いつ以来だろうか。しかし、そんな俺を見ても、アザゼルはため息をつくだけだ。

 

「まあ、お前の考えはわかるさ。俺だって、それで解決するなら初めて会った時にもう始末してる」

 

「ちょっと、アザゼル! なんてことを言うの!?」

 

リアスさんがアザゼルの発言に対して怒る。だが、アザゼルは俺の両手を解放する。代わりに、俺の両肩に手を置いてきた。

 

「だがな、鬼城竜真。それじゃあダメなんだ。そんなことをしてもお前は死なない。お前の中の存在が、それを許さないんだ」

 

……死なない…? なんだよ、それ……。

 

「それにな、体の宿主が死ねば奴が体を奪ってそのまま暴れ出しちまう。コカビエルの時もそうだったろ?」

 

……ああ、そうか…。あの時、本来なら俺は死んでいた。だが、あのドラゴンが生き返らせて、俺の体を奪ったってことか。

 

「……じゃあ、何か? 俺は死にたくても死ねないし、死んだら暴走しちまうのか?」

 

「ああ、そうだ。だから、お前は生きていくのが周りにとっては一番安全なんだよ」

 

「………なんでなんだよ。もう生きていたくないんだよ…。死にたいんだよ……。これ以上、苦しみたくないんだよ……」

 

俺はその場で涙を流すことしかできなかった。死にたくても死ねない。こんな絶望があるかよ?

 

「――とにかく、少し落ち着け。お前があの時暴走したきっかけは、バルザーに何か言われたからなんだろ? 辛いだろうが、そこら辺を詳しく教えてくれ」

 

「…………わかった」

 

俺は涙を拭き、ソファーに座る。そして、皆に今回のことを話した。バルザーが言っていたことを。俺の中の存在のことを。――そして、あの日のことを。

 

 

 

竜真side out

 

 

 

一誠side

 

……十年以上のつき合いだけど、初めて見る竜真の様子に俺はかなり驚いていた。

 

起きたと思ったらいきなり自殺しようとして、激怒したと思ったら泣いて……。

 

竜真はあくびをしたり爆笑した時以外、基本涙を見せることなんてなかった。その竜真が、あんなに辛そうに泣くなんて…。

 

そして、竜真から聞いた話で俺たちは更に驚いた。

 

――竜真が、実の親を殺した。しかもただ殺したんじゃなくて、食っただって? 親殺しは聞いたことあるが、親を食うなんて聞いたことがない。俺はそれを聞いてゾッとしてしまった。

 

いや、竜真は悪くない。暴走してたんだし、竜真の意思ではないこともわかってる。――だけど、それでも恐怖してしまう。皆も少なからず竜真の話を聞いて恐怖しているようだった。

 

「……なるほど。あのバルザーも体に宿してるのか…。それなら、光を使えたのも納得がいくな」

 

「………なあ、アザゼル。これだけこっちから話したんだ。いい加減、俺の中にいる――いや、あのバルザーの中にもいる存在。こいつらは一体なんなのか、教えてくれ」

 

そうだった。竜真はずっとそれを聞きたいって言ってたな。でも、会談の時は<禍の団>が襲来したから結局聞けなかったんだよな。

 

――でも、今の竜真が聞いても大丈夫なのか?

 

アザゼル先生は少し考えたが、諦めたようにため息をつく。

 

「はあ………わかった。今のお前に聞かせるのは少し不安だが、ずっと真実を知りたがってたからな。この状況でもお前が聞くと言うのなら、俺はお前の意思を尊重する」

 

「……悪い」

 

「謝んな。ずっと話せなかった俺たちにも責任はある。――だが、この話をするためには、その前にちょっと昔の話をしなきゃならん。お前らもしっかり聞いておけよ」

 

アザゼル先生は俺たちにもそう言ってきた。俺たちは全員頷く。

 

それを確認してアザゼル先生は話し始めた。

 

「まずは先の戦争についてだ。実はな、あの時は悪魔、天使、堕天使以外にも、突然姿を現した勢力がいた。――そいつらの名は、アラガミ。まあこの呼び名はつい二日前、サーゼクスのところの奴がそう呼んでいたのをそのまま使わせてもらってるだけだがな」

 

アラガミ……? それが竜真の中にいる奴の名前か?

 

「どこから来たのかもわからず、戦場はかき乱されちまった。しかも、よりによって二天竜を止めるために三勢力で協力しようとしてた時にな」

 

マジかよ!? そんな大変な時に来たのか…。――って、あれ? つまり、ドライグはこいつらを見たことがあるってことか?

 

『ああ、あるぞ。だがまあ、他愛ない相手だった』

 

他愛ないって……。それはお前とアルビオンからして見たらの話だろ? 参考になんねぇ。

 

「アラガミはそこまで強くなかった。その代わり、意外と頑丈でな。中級悪魔の全力でようやく息絶えるくらいの堅牢さだったんだ。おかげで予想以上に苦戦し、各勢力で犠牲者もかなり出た。更に、こいつらは喰らったものについて学習し、特徴を取り込む能力を持っていたんだ。――その結果、光や魔力を使う個体が出てきた。当然そういう奴らは強さも増し、より強力になっていた」

 

そんな厄介な能力を持ってんのか……。しかもたくさんいたんだろ? その戦場は想像以上に危険だったんだろうな…。

 

「だがそれでも、なんとか対処できていたんだ。――あいつが出るまでは」

 

あいつ? あいつって……。

 

あいつというのが誰のことか考えていると、竜真が先にその答えを言った。

 

「……あいつっていうのは、俺の中の奴のことなんだろ?」

 

「ああ、そうだ。そいつの呼び名もある。――カルタゴの英雄から名前をとって、ハンニバルと呼ぶそうだ」

 

「ハンニバル……」

 

竜真は神妙な面持ちで自分の腕を見た。……今の竜真のあの白い肌は、そのハンニバルって奴のものなんだよな。

 

……俺もドライグに対価として左腕をやったが、似たようなものなのか?

 

「こいつは他の奴らと違って、最初は黒い塊のようなものだった。だが、戦いの中でとんでもないものを喰って、その姿を変貌させちまったんだ」

 

「とんでもないもの、ですか?」

 

アーシアが疑問の声を出すと、アザゼル先生は俺を指差してきた。え? なんだ?

 

「ハンニバルが喰ったのは、アルビオンとの戦いで地面に落ちていた――ドライグの鱗だ」

 

「……………えぇ!?」

 

俺はあまりの衝撃にしばらく反応できなかった。周りの皆も声こそ出してないけど、相当驚いてる。

 

つーか、マジか!? ドライグ! お前さっき他愛ないって言ってたよな!?

 

『……お前は自分が落とした痂が、誰かに取られるのを一々気にするのか?』

 

……いや、しないけど。その例えは間違ってるような……。

 

俺がドライグと話していると、木場がアザゼル先生に質問をした。

 

「アザゼル先生。それはまさか、赤龍帝の力が奪われたということですか?」

 

「そうだ。当然、倍加も使えた。――そっからは、最悪だったよ。その黒い塊はドラゴンに姿を変え、その強大な力で戦場を荒らしまくった。あの時の戦争での被害の六割は、こいつによるものだ」

 

ろ、六割!? そんなに強かったのかよ!?

 

「まあ、それでも二天龍にはまだ届いてなかった。一体ならまだしも、二体同時に相手するなんざ桁外れの力がなきゃ無理だからな。かなり暴れたが、ドライグとアルビオンによって胸に風穴を空けられ、ハンニバルは死んだ」

 

……え? 死んだ? 死んだんならそこで終わりだろ? なのになんで竜真の中に――

 

「だが、奴の傷口はすぐに塞がり、再び動き出した。――さっきも言ったが、ハンニバルは死んでも生き返るんだよ。アラガミには、人間とかでいう心臓にあたる部分――コアっていう物があってな。それを消し飛ばすなりしなきゃ、いくらダメージを与えても死なない。――ところが、ハンニバルはそのコアを失ってもまた新しいコアを作るというインチキ能力を持ってるんだよ。だから死んでも生き返るのさ」

 

………マジかよ…。まるでフェニックスみたいだな。――いや、死んでから生き返るから、不死身とは違うのか?

 

俺がそう思っていると、竜真が口を開いた。

 

「……なあ、アザゼル。俺の中の――ハンニバルのことはわかった。だが、なんで今になって目覚めたんだ? あの日以降、異変はなかったぞ」

 

「それはおそらく、元となったドライグの力に呼応したからだろう。俺はむしろ、一度暴走したのに二人しか犠牲を出さずに理性を取り戻せたことについて訊きたいんだがな」

 

「…わかんねぇよ。それに、理性を取り戻すまでに失ったものが大きすぎるから、全く意味がねぇ……」

 

そう言って、竜真は更に沈んでしまった。今まで見たことない状態だからどう対処すればいいかわからねぇ…。

 

そんな中、アザゼル先生が咳払いをする。

 

「少し趣旨が変わるが、お前ら全員に話を聞いていろと言ったのには訳がある。――これを見ろ」

 

そう言うと、アザゼル先生は指を鳴らす。すると、空中にモニターが現れる。

 

見てみると、そこには恐竜のような二足歩行の白い生物が映っていた。なんだ、これ?

 

「……アラガミ、だな? こいつも」

 

竜真がそう口にした。え、マジか!?

 

アザゼル先生は驚いた様子もなく、頷いた。

 

「やっぱりわかるのか。――その通りだ。こいつはオウガテイルと言って、アラガミの中では個体数の多い奴だ。戦争の時も、こいつはかなり多くの数が確認されてる。――だがな、この映像は戦争の時のじゃない」

 

戦争の時のじゃない……? どういう意味だ?

 

俺は理解できないでいたが、部長はわかったのか驚いた顔になる。

 

「アザゼル、まさかこの映像は……!?」

 

「ああ。これはサーゼクスが和平を結んだからということで、二日前に公開してくれたんだが……。――この映像自体は、二週間前に撮られた物だそうだ」

 

「「「「「「「「――っ!?」」」」」」」」

 

二週間前!? 最近じゃねぇか!

 

「どういうことなの、アザゼル!? なぜ先の戦争に現れた存在が今になって再び姿を現したの!?」

 

「俺にもわからん。だが、これだけはわかる。こいつらは俺たちの――いや、世界の敵だ。そして、これから先戦うことになるであろう奴らだ。お前らも覚悟を決めておけ」

 

世界の敵……。そんなにヤバい奴らと戦うなんて、<禍の団>やヴァーリとかもいんのに、俺生きていけるのか?

 

「……つまり、俺も世界の敵ってことか…」

 

あ……。竜真の言葉で更に空気が重くなった。

 

そんな中、アザゼル先生が竜真に声をかける。

 

「鬼城竜真。お前はともかく、お前の中にいる存在が世界の敵であることは確かだ。だが、これからの生き方によっては比較的平和に過ごせる方法もあるぞ」

 

え、そんな方法あるのか!?

 

俺はそれを聞いた瞬間アザゼル先生に土下座する。

 

「お願いします、アザゼル先生!! その方法を竜真に教えてやってください! 竜真がこれ以上苦しまないためにも!」

 

俺は知らなかった。竜真がどれだけ苦しんでいたのか。――いや、()()じゃない。今だって充分苦しいはずだ。

 

親友なのに…! 俺は何もわかっちゃいなかったんだ!

 

アザゼル先生は困った様子で頭をかく。

 

「あ~、落ち着けイッセー。そんなに頼まなくても教えてやるつもりだ」

 

ほっ…。よかった、これで――

 

「だがな、これはこれからの人生そのものを大きく変えることだ。竜真も、お前らもな」

 

俺たちも? それってどういう意味だ?

 

そう考えてる内に、アザゼル先生が竜真にその方法を言った。

 

「なに、簡単なことだ。――これ以上俺たちには関わらず、あくまで一人の人間として過ごす。そうすればいいだけだ」

 

……え? それって、つまり――

 

「…俺が、グレモリー眷属をやめるってことか」

 

「そういうことだ」

 

…………そ、そんなの! ――い、いや、でもこれは竜真のためなんだし――だからって……!?

 

「お前はもう気づいてるだろうが、ハンニバルはお前の怒り、あるいは周囲の力に呼応して暴走する。悪魔――しかも上級悪魔の下僕として生きていく以上、力のある者との戦いは避けて通れない。だからこれ以上俺たちと関わらずに生きていくことが、お前にとっては一番なんだよ」

 

そりゃあ、そうなんだろうけど……。

 

竜真はしばらく考えてから口を開いた。

 

「……少し、考える時間をくれ」

 

「もちろんだ。お前にはその権利がある。だが、もしお前が関わらない道を選んでも、何者かがお前の力を目当てに接触を図る可能性が高いからな。その場合、全力でお前を保護するとサーゼクスの奴が言っていたぜ。まったく、魔王様に随分気に入られてんなお前は?」

 

「あまり身に覚えがないんだがな…」

 

アザゼル先生は竜真から視線を外し、部長に目を向けた。

 

「リアス、お前もいいな? 竜真が人間として生きていくことを決めた場合は――」

 

「……ええ。竜真を私の下僕から外して、接触もなるべく避けるようにするわ」

 

「――っ!? 部長!」

 

俺は思わず叫んでしまう。だが、部長は俺を静かに睨みつけてくる。その視線を受けて、俺は何も言えなくなった。

 

……わかってる。わかってるんだよ! でも、竜真と関われなくなるなんて――!

 

心の中で葛藤していると、竜真が俺に声をかけてきた。

 

「お前が俺より悩んでどうすんだよ、イッセー? ――これは俺の問題なんだ。お前はいつも通りにしてればいいんだよ」

 

今までの竜真からは考えられないくらい優しい声だ。――だからこそ、竜真がどれだけ追い詰められてるかがわかった。

 

「――じゃあ、リアスさん。今日はもう帰らせてもらいますね。ちょっと疲れたので」

 

竜真はそのまま部室を出て行こうとする。俺はその背中に声をかけようとするが、竜真は背を向けたまま先に声を出した。

 

「イッセー、お前にとって今の俺は凄く不幸に見えるだろうな。――だがな、それは違う。誰かが幸福になれば誰かが不幸になり、誰かが腹を満たせば誰かが飢え、誰かが生きれば誰かが死ぬ。俺はその一部にすぎない。――お前が思っている以上に、この世界は残酷で理不尽なんだよ」

 

全てを悟ったような口振りでそう言ってきた。その言葉を聞いて、俺は声をかけるのを躊躇った。

 

今の竜真に何を言っても、気休めにしか聞こえないんじゃないか? そう思ってしまったからだ。

 

竜真はそのまま部室から出て行った。残された俺たちは、竜真が出て行った扉を見続けることしかできなかった。




遂に自分の中にいる存在の正体を知った竜真。それと同時に、思い出さない方がよかったできごとまで知ってしまいました。

竜真の心はここで一旦折れます。自分の大好きな親をただ殺したのではなく、喰ったのですからショックは大きいです。と言っても、心が折れたのはこれが初めてではありません。まあ、それも両親が死んだ時ですが…。

悩んだのですが、竜真の両親のことと、イッセーとの出会いについてはまた今度書きたいと思います。書こうと思ったら長すぎるからね、仕方ないね。

そういえば、せっかく出したというのに海斗さんが全然活躍してないですね。朱美さんですら前回と前々回は活躍していたのに……。

海斗さんのTUEEEEEE展開はもう少しあとです。多分六巻になります。まあ、変わるかもしれませんが。

心が折れた状態で、運命を大きく左右する選択を迫られる竜真。一体彼はどうなるのか? そして、どの道を選択するのか? それは次回のお楽しみです。

それではこの辺で。サラダバー!
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