ハイスクールD×D 荒ぶる神を宿す者   作:初代凡人

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お盆休み何事もなく終了ー。いやまあ、アルバイトはあったんですけど。

にしても、今週のピターさん怖すぎぃ! ただ、黒いオーラとアニメ会社のせいでどこかの狂戦士が頭に浮かんでしまいました(笑)

今回は完全なる日常パートです。あと、海斗さんがいた世界からまた何人か出てきます。詳しいステータス等はキャラ名などを検索(一応エロゲーのキャラなので検索には充分注意)してください。

それでは、本編へご案内。



8月23日追記

よくよく見返してみると、追跡賛成派のゼノヴィアがいつの間にかログアウトしていたのに気づきました。ゼノヴィアはアーシアが反対派なのでやめたという感じにしました。

このようなミスはこれからも多々あると思いますので、気づいた時には報告くださるとありがたいです。この度は申し訳ありませんでしたm(_ _)m


第三十二話 金銭のご利用は計画的に

竜真side

 

「ひぃ、ふぅ、みぃ…」

 

俺は自室にて、ある物の数を数えていた。それは皿の枚数を数える幽霊のように単純な行為。

 

「……足りねぇ」

 

そして、その幽霊よろしく、俺が数えてる物も数が足りていなかった。

 

 

 

 

 

「――どう考えても、今月分の金が足りねぇ…!」

 

 

 

 

 

そう。この人間社会で生きていく上で必要不可欠な金が明らかに不足していた。

 

数えてみたところ銀色の硬貨が三枚だけだった。――真ん中に穴の空いた物が。

 

「……やっぱ、先日の焼き肉奢りが原因か」

 

いくら割引券を持っていたところで、量が多ければそれなりの値段になる。そして九人(アザゼルは自腹なのでカウントしない)で行った結果、十人分の量を支払うはめになった。…割り引きなんてなかった。

 

女性陣は自重してくれると思ったのだが、男勝りなゼノヴィアと、見かけより遥かに食う小猫が他三名のマイナス分を余裕で越える量をプラスしてくれやがった。

 

イッセーと祐斗は普通くらいだが、ギャスパーはあまり食わなかった。焼いた肉も苦手なようだ。俺は二人分――食べたかったが、小猫たちの食いっぷりを見た瞬間二人分食ったら死ぬと悟ったので、一人分だけにしておいた。

 

まあ、それでもプラスのままだったからこの現状があるんだがな!

 

事情を話せば、おばさん辺りが弁当を作ってくれるとは思うが、普段から食事で世話になってることが多いのに昼食まで頼むのは気が引ける。

 

それに、俺だって年頃の男なんだ。飯代以外にも色々な趣味に金を使いたい。

 

……さて、どうするか。

 

 

 

竜真side out

 

 

 

リアスside

 

「しばらく部活を休ませてほしい?」

 

「はい」

 

いつものように(イッセーの)部屋で過ごしていると、竜真が来てそう言ってきた。一緒にいるイッセーが竜真のその言葉に疑問を口にする。

 

「なんでだ? お前部活に遅れることはあっても、体調が悪い時以外は基本休まないだろ?」

 

「も、もしかして、お体がよくないのですか!?」

 

イッセーの言葉から不安になったアーシアが心配そうに尋ねる。それに対して、竜真は苦笑いを浮かべる。

 

「いやいや、別に体調を崩したとかじゃないですよ。ただ、この間の焼き肉で財布の中身が…」

 

竜真が遠い目をしながらそう言った。ああ、そういうこと。

 

「つまり、お金がなくてマズいから、アルバイトに専念したい。だから部活を休ませてほしいのね?」

 

「その通りです」

 

「それならいいわよ。経済的に危ない時にまで無理に呼ぶつもりはないし、大事なイベントがあるわけでもないから」

 

前々から竜真はお金について何かと困ってることが多かったし、最近は部活があるから行く回数も減ってしまってるから、たまには彼の行動を自由にしてあげないと。

 

「ありがとうございます、リアスさん。じゃあ、俺は部屋に戻りますね」

 

「ええ」

 

竜真はそのまま部屋から出ていった。それを見たあと、アーシアがホッとしたように息をつく。

 

「よかったです。でも、大丈夫でしょうか? 最近行ってなかったということは、目をつけられているのでは…」

 

「それは大丈夫だ、アーシア。竜真から聞いた話だと、アルバイト先の人はいい人ばかりらしいし、竜真が部活で休むこともわかってくれてるみたいだからな」

 

へぇ。優しい人たちなのね。もう、竜真ったら。私たち以外にも充分支えになってくれてる人がいるじゃない。

 

……って、らしい? みたい?

 

「ねぇ、イッセー。あなたはその人たちに会ったことはないの?」

 

「え? はい。竜真が働いてる場所に行ったことないですし………あれ? そういえば、あいつってどこで働いてるんだ?」

 

やっぱり。長いつき合いのイッセーでも知らないなんて。……気になるわね。

 

「一年くらい前から働いてるはずなのに、場所どころか名前すらわかんねぇ…」

 

「――よし、決めたわ」

 

私はその場で立ち上がる。突然のことにイッセーとアーシアは目を丸くしている。

 

「月曜は特別な用事もないし、丁度いいわ」

 

「ぶ、部長さん?」

 

「なんのことかよくわからないんですけど?」

 

「簡単よ。――竜真がどこで働いてるか。その謎を解くのよ!」

 

いいわ、こういうの。ドラマや映画みたいで燃えるじゃない!

 

「なあ、アーシア。部長の目に火がついてるように見えるのは気のせいか?」

 

「わ、私もそんな風に見えます」

 

二人が何か言ってるけど、今はいいわ。待ってなさい竜真! あなたの秘密を暴かせてもらうわ!

 

 

 

――――――――――

 

「それじゃあ、お先に失礼します」

 

「ええ。頑張って稼いできなさい」

 

放課後、竜真は部室に来て改めて私に挨拶をしてからアルバイトへ向かった。あらかじめ言ってあるんだからまっすぐ行っていいのに、律儀な子ね。

 

………もう充分離れたわね? 念のために扉を開けて廊下を見渡す。竜真の姿は見えない。よし!

 

「――皆、出てきていいわよ」

 

私がそう言うと、部室の空間の一部が歪み、オカルト研究部のメンバーが姿を現す。実は全員竜真より先に来ていて、気づかれないよう朱乃が張った小型の結界に隠れてもらっていた。

 

「ぶ、部長。本当にやるんですか? こんな本格的な隠れ方までして…」

 

イッセーがやめておきましょうという感じで聞いてきた。

 

「…それは仕方ないです。竜真先輩は気配を探るのがうまいので、こうでもしなければすぐに見つかってしまいます」

 

「それに、竜真がどんなアルバイトをしてるか気になるのは本当だからね」

 

「うふふ。新しいネタが手に入るなら儲けですわ」

 

だけど小猫とゼノヴィア、朱乃は今回の件に賛同してくれている。なんやかんやで竜真の秘密が気になるようね。

 

「で、でも、誰にでも知られたくないことはあると思います。それを許可もなく暴こうとするなんて、私は賛成できないです…」

 

「僕もアーシアさんと同じ意見です。それに、あの竜真くんにそんな手が通じるのか疑問ですし、バレた時が怖いですよ?」

 

「そ、そうですぅぅぅぅぅ! きっとあんなことやこんなことで痛めつけられますぅぅぅぅ! ヒィィィィィ!!」

 

一方、アーシアと祐斗、ギャスパーの三人は反対している。いえ、イッセーを含めば四人ね。

 

「むぅ……。アーシアにそう言われたら、私も反対せざるをえないな。常識に疎い私でも、よく考えればこれはダメなことだとわかるからね」

 

――訂正。ゼノヴィアも向こうに加わったから五人ね。

 

竜真が怒ると怖いのは一緒に暮らしているから充分に知っている。けれど――

 

「そのバレるかもしれないというスリルも楽しみの一つでしょ? バレずに完了した時の達成感は最高よ」

 

「命までかけたくはないので、俺は遠慮しま――」

 

「あ、イッセー。あなたは強制参加よ」

 

「何故に!?」

 

断ろうとしたイッセーにそう言うと、凄く驚いた顔をした。何故って……。

 

「イッセーくんは、この中で一番竜真くんのことを理解してますわ」

 

「……万が一竜真先輩を見失った時や、行動の先読みにはイッセー先輩が必要不可欠です」

 

「そういうこと。――ということで、さっそく準備して行くわよ」

 

「「はい、部長」」

 

朱乃と小猫に声をかけて部屋をあとにしようとする。でも、イッセーはまだ行くことに納得してないようだった。

 

「い、いや。俺は遠慮しま――」

 

「祐斗、ギャスパー。本来ならもっと男手がほしいからあなたたちにも来てほしいのだけど――イッセーの変装を手伝ったら見逃してあげるわ」

 

そう言った瞬間、ギャスパーはイッセーに対して今までにないくらい正確に時間停止の能力を使った。

 

「よくやったわ、ギャスパー。それじゃあ、私たちも変装してくるから、よろしくね」

 

朱乃と小猫と一緒に部室をあとにする。

 

「ごめんね、イッセーくん。だけど、僕は自分の命を捨てたくはないんだ」

 

「ごごごごめんなさい、イッセー先輩ぃぃぃぃ!! で、でも僕も死にたくないんですぅぅぅぅ!!」

 

出ていく時にそんな声が聞こえてきたけど、さすがに竜真でもそこまで酷いことはしないでしょう。

 

…………大丈夫よね?

 

 

 

――――――――――

 

「嫌だー! 死にたくなぁぁぁぁい!!」

 

「あらあら、イッセーくん。往生際が悪いですわ」

 

「そうよイッセー。覚悟を決めなさい」

 

「……別に今解放してもいいんですよ?」

 

「やめて、小猫ちゃん! マジで死ぬから!」

 

「あら、あなたは悪魔なのよ? これくらいで死んだりしないわ」

 

「痛いのは変わりませんよ!」

 

イッセーが騒がしいけど、気にせずに私たちは飛び続ける。今、私たちは結界を張りながら駒王町の上空を飛行している(自分で飛べないイッセーは小猫に運んでもらっている)。

 

そして、下に見える町の景色の中には移動している竜真の姿が見える。

 

どうして普通に尾行しないのかというと、答えは単純。竜真の気配察知能力が高すぎるせいで、普通に後ろをついて行ったらすぐにバレるから。

 

だからわざわざ空を飛んで、なおかつ結界を張って後を追っている。本当、いくら一人で戦うことが多かったとはいえ、なんであんなに気配を探るのがうまいのかしら?

 

「部長。竜真くんがタクシーに乗りましたわ」

 

「よかったわ。バイト先へ行く方法が電車なら、面倒になっていたから」

 

「…タクシーなら余程のことがない限り、見逃すようなことはないでしょう」

 

「クソー!! なんで電車じゃないんだ、竜真ぁぁぁぁ!」

 

「うるさいです」

 

「ぐぺっ――!?」

 

叫んだイッセーを黙らせるために小猫が頸動脈を押さえる。白目を向いてるけど、大丈夫かしら?

 

「とにかく、タクシーを追いかけましょう」

 

……そういえば、タクシー代はどうするのかしら?

 

 

 

――――――――――

 

「あ、降りたわね」

 

あれからタクシーを追うこと数十分。竜真はようやくタクシーを降りた。お金は大丈夫だったのかしら?

 

それはともかく、竜真が来た此処は駒王町からかなり離れた場所。とはいっても、都会のように高層ビルがいくつも立ち並んでいるので、田舎というわけではない。むしろ、建物はそこらにあるものよりも高級に見える。

 

「……部長。そろそろ下りてあとをつけましょう。建物に入られたら追いかけれませんし」

 

「そうね。それじゃあ、ここからはなるべく小声で話すわよ」

 

「あら、なぜですか?」

 

「……結界を張っていても不安なのよ」

 

大丈夫なはずだけど、竜真だと意味がないように思えてしまう。一緒に住んでいると、余計に竜真の気配察知能力が異常だと思い知らされているから――

 

「あ、小猫。イッセーを起こしてちょうだい」

 

「はい」

 

あれっきり気絶してるイッセーを小猫に起こしてもらう。起こし方がお腹に拳を叩き込むという乱暴なものだったけど、イッセーなら大丈夫でしょ。

 

「おぐっ!? ――は!? 此処は!?」

 

「おはよう、イッセー。ここからは歩いて追いかけるわ。立てる?」

 

「は、はい!」

 

私たちはひとまず竜真が歩いている後ろに下り立つ。心配だったけど、竜真は気づいた様子もなく歩いていく。よかった…。

 

「(それじゃあ、行くわよ)」

 

三人は返事の代わりに頷きで返す。すれ違う人をよけながら、竜真のあとをつける。

 

しばらくして、大きな広場に着いた。すると、竜真はそこにある時計の前で突然立ち止まった。

 

バレたのかと思ったけど、竜真はそのまま時計の柱に寄りかかって辺りを見渡す。誰かを捜してるみたいね。けど、捜していた人物は見当たらないのか、竜真は立ったままでいた。

 

 

 

 

 

「――やっと来たわね」

 

 

 

 

 

私たちの後ろから突然そんな声が聞こえてきた。後ろを向くと、そこには小猫と同じくらい小柄な少女が立っていた。

 

けれど、その服装と雰囲気からはどことなく高貴なものを感じる。今までの経験上、こういうのには私も敏感なのよね。

 

麗華(れいか)さん。お久しぶりです」

 

後ろの竜真が少女に向けて歩いてきた。私たちは慌てて二人の間から移動する。

 

私たちの周りの結界は、外からの認識をずらすだけだから、ぶつかればバレてしまうもの。

 

「ええ、本当に久しぶりね。私に相談することもなく護衛役を休んで三ヶ月は経つかしら?」

 

「……もしかしなくても、怒ってます?」

 

「いいえ。お父様には事情を話す必要があるだろうけど、私には話す必要なんてまったくないんだから。こんなことで怒ったりしないわ。――まあ、あんたの給料を減らしてやりたい気分なのは確かね」

 

「すいません、それはマジで勘弁ください」

 

竜真は減給されそうだとわかった瞬間に頭を下げる。まあ、今の竜真にとっては死活問題だろうから仕方ないけど。

 

「冗談よ。でも、休んだ分はしっかり働いてもらうわ。それじゃ、行くわよ」

 

「…はい。了解しました」

 

少女が歩き出し、頭を上げた竜真もあとに続く。私たちもその後ろについていく。

 

「(あれは誰かしら?)」

 

「(……護衛役とか言ってましたし、どこかのお嬢様じゃないでしょうか?)」

 

「(そうなると、竜真くんはボディーガードをやってることになりますわね)」

 

竜真たちを追いかけながら皆で話し合う。そういえば、イッセーが何も喋らないわね。

 

「(イッセー。あなたはどう思う――)」

 

「(ぐぎぎぎぎ……!!)」

 

イッセーを見てみると、血が出るほど拳を握りしめて恨めしそうな声をあげていた。

 

「(どうしたの、イッセー?)」

 

「(どうしたもこうしたもないですよ! 誰ですかあの美少女!? なんで竜真があんなに綺麗な子と知り合いになってるんですか!?)」

 

「(そんなこと言われてもね…。それがわからないからこうしてあとをつけてるんでしょ? とにかく、少し落ち着きなさい)」

 

どうにかしてイッセーの怒りを静めようとする。――だけど、その時竜真がこちらを見ていることに気がついた。

 

「(皆、静かに!)」

 

私は慌てて皆に静かにするように言う。

 

「……麗華さん。ちょっといいですか?」

 

「何?」

 

「いえ、トイレに行きたいんですが、いいでしょうか?」

 

「……そういうことね。ええ、いいわよ。早く済ませてきなさい」

 

「はい。それじゃあ、少々お待ちを」

 

竜真はそう言って離れてしまった。ちょ、ちょっと!? ボディーガードが護衛対象から離れちゃダメでしょ!?

 

「(あ、あの、竜真行っちゃいましたけど、いいんでしょうか?)」

 

「(いいわけがないわ! ボディーガードは常に傍にいてこそ意味があるのよ! 一時でも離れたりしたら…!!)」

 

「――二階堂麗華(にかいどうれいか)だな?」

 

ああ、言ってるそばから……! 

 

少女の前に一人の大男が立っていた。いえ、よく見ればその後ろにもう二人見える。

 

「そうだけど、何か用かしら?」

 

そう言ってる少女の後ろから、もう一人の男が忍び寄る。やっぱり拐う気ね! そんなこと――

 

 

 

 

 

「――やめろぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

 

 

 

私が飛び出そうとしたその時、既に男は殴り飛ばされていた。その人物は――

 

「イッセー!」

 

「あらあら、部長まで出てしまったら、もう隠れる意味はありませんわね」

 

「……そうですね」

 

私たちも結界から出て姿を現す。目の前で人が拐われそうになってるのをおとなしく見てられないわ!

 

「な、なんだ!? こいつら、どこから出てきやがった!?」

 

「誰だこのガキ共は!?」

 

男たちが騒ぎ出す。まあ、他から見たら何もないところから突然人が出てきたのだから、当然といえば当然ね。

 

「ああ、こいつらはな」

 

私たちの後ろから、第三者の声が聞こえてきた。いえ、その声は凄く聞き覚えのある物だけど、現状は一番聞きたくない声でもあった。

 

恐る恐る振り返ると、その途中で私たちの横を何かが通り過ぎる。それは男たちに突っ込んでいく。

 

「――俺の仲間だ」

 

視線を戻すと、人間としては充分屈強と言える男たちが地面に倒れていた。そこに唯一立っているのは――

 

「……た、竜真」

 

「よっ、皆」

 

「竜真。知り合いなの?」

 

「言ったでしょう? 俺の仲間ですよ。まあ、細かく言えば部活仲間ですね。――それはそうと、ありがとな皆。麗華さんを助けようとしてくれたんだろ?」

 

少女にそう説明して、竜真は私たちに話しかけてきた。あ、あら? 怒ってない?

 

「お、おう! 目の前で女の子が拐われそうになってんのに、助けないわけがないぜ!」

 

「ああ。本当に感謝してる。周りに気配があることには気づいてたんだが、前にいた奴らは遠回りされてさけられたし、後ろにいた奴らも大体はぶちのめしたんだが、一人だけ逃げてたようでな」

 

そう言って竜真が私たちの後ろを指差す。そこにはさっきの奴らの仲間だと思われる男が二十人近く倒れていた。あの人数を短時間でやったのね……。流石というかなんというか。

 

「――まあ、それはそれとして」

 

そう考えていると、後ろからとてつもないプレッシャーを感じた。いや、誰が出してるのかなんてわかりきってるのだけど。

 

振り返ると、そこには怖いくらいにいい笑顔を浮かべている竜真が立っている。――あ、終わった。

 

「なんで此処にいるのか、詳しい説明をしてもらおうか?」

 

 

 

リアスside out

 

 

 

竜真side

 

「――ったく。聞いてくれれば少しは答えたのに」

 

「ごめんなさい…」

 

あれから結構な時間が経ち、イッセーたちを含む六人で行動していた。にしても、アルバイト先がわからないからって、後をつけるなんて何考えてるんだか……。

 

「まあ、いいですけどね。それよりすいません麗華さん。余計なことに時間を使ったせいで、買い物を中止させてしまって」

 

「別にいいわよ。また今度来ればいいだけだし、あんたの仲間の顔を拝めたわけだし、よしとするわ」

 

「……なんか、からかってませんか?」

 

「いいえ。仲間って言葉をあんたも使うようになったと思っただけで、別に変なことは考えてないわよ」

 

だったら、そのにやけ顔をやめてほしいんですが。

 

「それはそれとして、そこの子がチラチラこっちを見てくるのが気になるんだけど」

 

「え!? な、なんのこ――ぐぎゃぁ!? 目がぁぁぁぁ!!」

 

麗華さんにそう言われて、動揺してるイッセーの目を容赦なく突く。

 

「お前な、お嬢様に対してもそういう目を向けるのはやめろ。麗華さんと俺だからよかったが、他のお嬢様やボディーガードだったらもっと酷い目に遭っていたぞ」

 

「……いつもと対した差がない気がするんですが」

 

「気にするな、小猫」

 

「それにしても、あの二階堂のご令嬢だとは思いませんでしたわ」

 

「ええ。私も名前は聞いたことがあったけど、会うのは初めてだわ」

 

「何言ってるのよ。あなただってグレモリー家のお嬢様なんでしょ? いい環境で育ってるんでしょうね。……その体からして」

 

そう言った瞬間、麗華さんはリアスさんの胸を妬ましそうに見つめる。あー、まあ麗華さんは全体的に成長が乏しい――

 

「ごふっ!?」

 

「今失礼なこと考えたでしょ?」

 

麗華さんの拳が俺の腹に叩き込まれる。そ、そうだ。この人の発育に関しての思考と話題はタブーだった…!

 

とか考えてる内に、イッセーもリアスさんと麗華さんを交互に見て憐れみの目を向けていることに気づいた。

 

「あんたもよ!」

 

「おがっ!?」

 

やはりというか、イッセーは背中にかかと落としをくらった。痛そう…。

 

そんな風に少し荒れてる麗華さんの肩を小猫が叩いた。

 

「……お互い、苦労しますね」

 

「……ええ。本当にね」

 

なんか、あそこだけお通夜のような空気になってるんだが……。

 

とりあえず、気絶したイッセーを運ぶために足を持ってそのまま引きずる。

 

「そういえば竜真。どうやってこの仕事に行き着いたの? ボディーガードなんて一般人はもちろん、高校生なんかができるわけないのに」

 

「いえ、経緯は簡単ですよ。さっきみたいに麗華さんが拐われそうになってた現場にたまたま俺が通りかかって助けたんですよ。それで少し話したら、麗華さんは以前海斗さんをボディーガードにしていたらしくて、俺も腕を買われてボディーガードをすることになったんです」

 

「それが一年前の話。それからずっと働いてたんだけど、三ヶ月前に急にしばらく休むとか言い始めたのよ。でも、その原因が部活だとはね」

 

「いいじゃないですか。俺だって高校生なんですから、青春を謳歌させてくださいよ」

 

「………はぁ、わかったわ。――ただし、しばらくはボディーガードを続けてもらうわよ。いいかしら、リアス・グレモリーさん?」

 

「あの――」

 

「あんたの意見は聞いてない」

 

さいですか。

 

「はい、構いません。ですが、こちらで必要な時があった場合は返却していただきたいのですが……」

 

「事前に連絡をくれればいいわよ。できれば、その期間も教えてくれるとありがたいわ」

 

「わかりました。ありがとうございます」

 

返却って……。もう完全に所有物扱いか。いや、俺はリアスさんの下僕だから間違ってはいないのか?

 

「あ、着きましたよ」

 

そんな会話をしてる内に、二階堂の屋敷に着いた。相変わらずデカイ屋敷だな。

 

屋敷の門のところまで行くと、誰かが立っているのが見えた。って、あれは…。

 

「おかえりなさいませ、麗華お嬢様」

 

「ええ。ただいま、ツキ」

 

この屋敷に勤めているメイド長、ツキさんだ。ツキさんは麗華さんに挨拶したあと、俺の方を見てきた。

 

「………………どちら様ですか?」

 

「妙に間を置かないでくれませんか!? 本当に忘れたのかと思うでしょうが! つーか、演技だってわかってますからね!」

 

「バレましたか」

 

まったく、この人は……。

 

「お久しぶりです、竜真。前よりツッコミのキレは上がってますね」

 

「そりゃどーも。まあ、海斗さんには劣りますがね」

 

「そちらの方々は、竜真の友人ですか?」

 

「シカトですか、そうですか。――皆、紹介します。こちらはツキさん。この二階堂の屋敷でメイド長をしているんです。俺と、あと海斗さんには遠慮ないですが、基本的には礼儀正しいので、安心してください」

 

まあ、海斗さんに遠慮ないという話は、麗華さんから聞いたことだから事実かどうかはわからないが。

 

「初めまして皆様。ツキと申します。うちの竜真がお世話になっております」

 

「さらりと何言ってるんですか。あなたは俺の保護者ですか?」

 

「何を言ってるんですか。あなたが小さい時から私が愛情を注いで育ててきたのに……」

 

「去年会ったばかりなのに何言ってるんですか?」

 

本当、なぜ俺にまでこの態度なのか…。

 

「海斗の代わりです」

 

「理由が凄い雑ですね!?」

 

あと心を読まないでほしい。

 

「ごきげんよう。私はリアス・グレモリー。この二人は私の仲間で姫島朱乃と塔城小猫よ」

 

「グレモリー様に姫島様に塔城様ですね。記憶致しました」

 

「ついでに、今俺が持ってるバカが兵藤一誠。別に記憶しなくてもいいと思いますよ」

 

「兵藤様ですね。記憶致しません」

 

本当に記憶しないのか!?

 

「冗談です。ところで、今日は屋敷に入るのですか?」

 

「ああ、いえ。本来はそのつもりだったんですけど、想定外のことがあったので、今日はこれで失礼します。いいですか、麗華さん?」

 

「仕方ないわね。でも、少なくともお父様に挨拶をしておかないと」

 

「そうしたいんですが、皆を放っておいたら何するかわからないし。主に、もう起きてるくせに気絶したフリを続けてる奴が」

 

俺が持つ足が微妙に震えた。屋敷に着いて少しした辺りから目を覚ましたはずなのに、ずっとこのままだったからな。

 

大方、このアングルならスカートの中覗けるんじゃないか、とか思って黙ってたんだろう。

 

「……わかったわ。でも、明日はちゃんと寄りなさいよ?」

 

「わかってます。それじゃあ、これで失礼します」

 

「ええ、また明日」

 

「お気をつけて(竜真以外)」

 

「最後なんか言いました?」

 

「いえ、特に何も」

 

ならそのニヤリとした笑いはなんなんだ。――まあ、いいか。一々突っかかってたらキリがないし。

 

俺たちはそのまま屋敷から離れた。

 

 

 

 

 

「そういえば竜真。タクシー代はどうやって払ってたの?」

 

「ああ。ボディーガードになった時に麗華さんから特別なカードを貰っていたんですよ。それさえ見せれば、あとで二階堂側が払ってくれるんです」

 

交通費を出してくれて本当にありがたい。片道で四千はキツいからな。

 

 

 

竜真side out

 

 

 

no side

 

麗華はしばらく屋敷の前で、竜真たちが去ったあとを見ていた。

 

「………」

 

「麗華お嬢様。買い物はどう致しましょうか? 私が行ってきましょうか?」

 

ツキが後ろからそう言った。

 

「……いいわ。どうせ急ぎでもないし、明日行けばいいわ」

 

麗華はそのまま振り返り屋敷の中へと歩いて行く。ツキもそのあとに続く。

 

「麗華お嬢様。嬉しそうですね」

 

「あら、そう見える?」

 

「はい。やはり、竜真のご友人を見て安心したんですか?」

 

「さあ? 想像に任せるわ」

 

麗華は言葉を濁して歩き続ける。ツキもそれ以上は追及はしようとしない。

 

(……何よ。ちゃんと頼れる仲間ができたんじゃない)

 

だが、麗華は知らず知らずの内に微笑んでいた。




竜真のアルバイトを何にしようか迷った結果がこれです。ドン引きです。

普通の高校生がボディーガードのアルバイトって何……!?とか、そもそもバイトなんてねぇから!とかのツッコミはご遠慮ください。おかしいことなんて自分が一番わかってるんです(滝汗)

次回はいよいよ、竜真の過去です! 散々色んな場面でチラつかせておきながら詳しくは触れなかった部分にいよいよとりかかります。緊張しますね(主に矛盾点を作らないかどうか)

それにしても、Grand ○rderおもしろいんですけど、ガチャはどうにかなりませんかね……(十連二回とも礼装のみって…)セイバーさんほしい

あ、でも、今朝二回やったら初めて☆4がきたよ。やったねジーク!

………それでは、この辺で。さようなら。





………すまない(迫真)
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