なぜこっちはスラスラ書けるのに、もう一つの方は手こずっているのか…。待っている方がいる場合はもう少々お待ちください。
それでは、本編スタート。
竜真side
「ふ~。ようやく終わったぜ」
あの後、リアスさんから悪魔への第一歩ということで、例の魔方陣が描かれたチラシを配っていた。姫島先輩と木場に塔城も最初はこれをやったらしい。
まあ配るといっても、道で配るわけではない。第一今は夜中だし…。
リアスさんから特別な端末をもらい、それに表示される光が点滅してる家のポストに入れていってる。この光が願いを叶えてほしいと思っている人を表示したものらしい。
俺とイッセーはそれぞれ別れて配っている。場所が被らないようになるべく距離も離れたところにしている。
……ちなみに、イッセーは今までにないくらいやる気に満ちていた。
というのも、リアスさんから――
『あなたも出世すれば、自分の下僕を手に入れることができるわよ?』
と言われたからだ。当然イッセーは下僕だったらエッチなこととかしてもオッケーという単純明快な結論に至り「ハーレム王に俺はなる!!」と何処かの海賊を思い浮かべるセリフを言って飛び出していった。
「おっ、竜真! そっちも終わったのか?」
まあやる気が出てるお陰でこうして早く仕事が終わるのは良いことだけどな。
その日はリアスさんにチラシ配りが終わったことを報せて解散となった。……まあ、その日の分だけどな。
――――――――――
「「失礼します」」
あれから数日経ち、俺とイッセーはリアスさんに呼ばれて部室に来ていた。
余談だが、イッセーが朱乃さんと小猫を名前で呼ぶようになったのに乗じて、俺も全員を名前で呼ぶことにした。リアスさんからは部長と呼ぶように言われてるが、個人的に親しみと尊敬の意味でそう呼びたいと言ったらなんとか許可してくれた。
イッセーは祐斗だけは名前で呼ぼうとしない。イケメン嫌いにも程があるだろ…。
「来たわね。二人とも、これまでのチラシ配りお疲れ様。これからは本格的に悪魔として活動してもらうわ」
「ということは、チラシ配りはもう終わりってことですか?」
「ええ、そうよ」
その言葉を聞いて、隣でイッセーがホッとしてる気配が伝わってくる。なんでも、夜中に一人で自転車を漕いでる孤独感に心がやられていたらしい。
「それで早速だけど、祐斗と小猫の依頼が二つ入ってしまったのよ。二つとも行くのは厳しいから、二人にはもう片方の依頼に行ってほしいのよ」
ふむ。祐斗と小猫か…。
「「祐斗(木場)でお願いします」」
即座に決断したが、それでもイッセーと同時に言ってしまった。チッ、しょうがない。
俺とイッセーは同時に拳を突き出す。
チョキ←俺の手
パー←イッセーの手
――ジャンケンのために。俺とイッセーのルールの一つ。意見が被ったらまずジャンケン。
「という訳ですので、俺が祐斗の方に行きます」
「くそっ!」
「……二人ともすぐに出したわね」
「暗黙の了解ですからね」
僅か数秒のやり取りでリアスさんは大分驚いたようだ。
まあそれはともかく、まだブーブー言ってるイッセーにやる気を出させるか。
「(イッセー。ここでちゃんと依頼をこなしたら、リアスさんや小猫がお前のことを見直してくれるかもしれないぞ?)」
「おっしゃあぁぁぁ!! やってやるぜ!」
よし、成功。扱いやすくて本当助かる。
朱乃さんが魔方陣の上に立ち、転移の準備をしている。そのためか魔方陣は紅い光を放っている。
チラシの魔方陣から出るためにはこちらも転移用の魔方陣を使って送らなければならないらしい。
順番についてはイッセーに最初を譲った。それくらいはしてやらないとふて腐れるだろうし。
「イッセー、竜真。手を出して」
リアスさんが俺たちを呼んだので、近くに行き言われた通りに手を出す。
するとリアスさんは俺たちの手の平に小さな魔方陣を描いた。これは?
「これは転移用の魔方陣を通って依頼者のもとへ瞬間移動するためのものよ。契約が終わったら自動的に此処に戻してくれるわ」
なるほど。結構便利なものだな。
「朱乃、準備はいい?」
「はい、部長」
そう言うと朱乃さんは魔方陣の上から離れる。
「さあ、イッセー。魔方陣の上に立って」
「あ、はい!」
リアスさんに言われた通り、イッセーは魔方陣の中央に立つ。すると、魔方陣は輝きを増す。転移しようとしている証拠だろう。
「それじゃあ、イッセー。頑張ってきなさい」
「はい!」
イッセーは元気よく返事をし、紅い光に包まれる。そして次の瞬間には、
「……あれ?」
――その場で立ち尽くすイッセーがいた。
は? 今転移されたんじゃねぇのか?
「あらあら…」
「あはは…」
「………」
朱乃さんと祐斗は困ったようなリアクションをする。小猫は……呆れたような感じか?
「……イッセー」
「は、はい?」
「どうやら、あなたの魔力が低すぎてジャンプできないみたい」
「…………ええ!?」
……マジか。
「あの、リアスさん。転移するためにはどれくらいの魔力が必要なんですか?」
そう聞くと、若干答え辛そうな顔をする。
「いえ。必要と言っても、悪魔であるなら子どもでもできるはずなんだけど…」
「それすらできないってことは……イッセーの魔力は子ども以下?」
「というより、低レベルすぎて魔方陣が反応しないのよ」
「なんじゃそりゃああぁぁぁぁ!?」
その場で頭を抱えて叫ぶイッセー。なんともぶざm――げふんっ!哀れだ。
「……無様」
せっかく俺が訂正したのに小猫がズバリ言ってしまった。
「とにかく、依頼者がいる以上は待たせるわけにはいかないわ。イッセー。前代未聞だけど、足で直接現場へ行ってちょうだい」
「足で!? それってつまりチャリでですか!? チャリでお宅訪問をする悪魔が存在するんですか!?」
「お前だ」
「………(コクッ)」
俺と一緒にイッセーを指差す小猫。意外と気が合いそうだ。
イッセーは精神的ダメージでその場でうなだれる。
「早く行きなさい! 契約を取るのが悪魔の仕事よ! 依頼者を待たせてはダメよ!」
そんなイッセーに容赦なく命令するリアスさん。そんな気はないんだろうが、それは追い打ちになっているでしょう…。
……仕方ない。此処はせめて俺が慰めてやろう。
「イッセー」
俺はイッセーに声をかけて、その肩に手を置く。イッセーはすがるような目でこちらを見る。
その視線に俺は笑顔でこう言う。
「行ってこい。文字通り、お前の出世街道(笑)を走ってこい」
「うわああぁぁぁぁぁぁ!!」
イッセーは泣きながら部屋を出て行く。ちょっとやりすぎたか?
「……あなたも大概鬼畜ね」
「からかってて楽しいからつい…」
と、そんなことは今はどうでもよかった。
「あの、リアスさん。俺は大丈夫ですよね?」
俺までイッセーのようなオチはごめんだ。
「ちょっと待って。朱乃、調べて」
「はい、部長」
リアスさんの指示に従い、朱乃さんがこちらへ歩いてきた。
「少し失礼します」
そう言って俺の手をそっと掴む。うっ…。細い指の感触が気持ちいい…。
しばらくすると、朱乃さんは手を放した。……もう少しだけ握っていてほしかったと思ったのは内緒だ。
「えっと、どうでしたか?」
「大丈夫ですわ。充分な魔力を持っています。それに部長や私よりは少ないですが、現在の部員の中では三番目に高い魔力量ですわ」
おお。マジですか。思わぬ朗報だ。
「それじゃあ竜真。魔方陣の上に立って」
「了解です」
先程のイッセーと同じように中央に立つ。そして、魔方陣の光が俺を包み出す。
「じゃあ、竜真くん。僕の代わりによろしくね」
「ああ。しっかり契約できるように全力でやるさ」
転移する直前に祐斗とそんな会話をして、俺の視界は紅い光に包まれた。
――そして次の瞬間には、見覚えのない部屋にいた。
「へぇ。本当に転移できたな。こいつは凄い」
「あ、あの…」
「ん?」
後ろから声をかけられたので振り向く。そこには頭の上からシーツを被った女性がいた。顔は綺麗な方だな。この人が呼んだのか?
「悪魔……なんですよね?」
「そうですよ。化け物みたいな姿じゃなくて驚きましたか?」
「その………はい…」
少し怯えているが、正直な人みたいだな。
「それではまず、あなたの名前から。ああ、言うのが嫌ならフルネームでなくても構いませんよ?」
「……荒山です」
「荒山さんですね。それで、この度はどのような願いを叶えてほしくて悪魔を召喚したのですか?」
そう聞くと、荒山さんは顔を伏せたが、しばらくすると何かを決意した顔でこちらを向いた。
「……お願いします! 私を助けてください!」
……一件目から何か面倒な気がするんだが?
――――――――――
「なるほど。ストーカーですか」
「…はい」
あれから少しの間話を聞くと、どうやら荒山さんは一か月程前から見知らぬ男にストーカー行為をされてるようだ。
一応警察にはもう届け出たようだが、注意だけで終わり、逆に男がヒートアップしてしまったようで――
『よくもやってくれたな!! もういい! 俺のものにならないなら殺してやる!! 今日の夜は神に懺悔でもしておくんだな!』
という脅迫の手紙が来たらしい。それを取る時に一緒に入っていたあのチラシを見て、悪魔でも誰でもいいから頼りになる男性に助けてもらいたいと願ったそうだ。
別にイケメンがご所望ってわけではなかったようだ。俺とイッセーを除けば、オカ研で男は祐斗だけ。だから被ったのか。
「……警察にも助けを求めようとはしましたが、また注意だけで終わるような気がして。…例えあの男が一時期捕まっても、釈放されたらまた私を殺そうとすると思ったんです」
「まあ実際、そうなる可能性は高いでしょうね」
もしその男が気弱だったり、警察沙汰になるのが嫌な人だったら、注意された時点で止めている。
それでも止めずにこんな脅迫状を出すんだから、絶対に怒りと恨みを晴らすまで荒山さんを追い続けるだろう。
イジメと同じだ。注意したところで、ますますヒートアップするだけで、その後ちゃんと見張ってないとまた裏でイジメが起きる。
「安心してください。こういう荒事の対処は慣れてます。必ず解決してみせます」
「あ、ありがとうございます!」
「ただ、これが終わった後に対価をもらいたいんですが――」
ピンポーン
「ひっ!?」
呼び鈴を聞いただけで怯える荒山さん。
「落ち着いて。まだ例の男だと決まったわけじゃ――」
「おーい! いるか!? いるよな!? テメェが家から出てないのは隠しカメラの映像でもう知ってるんだよ!」
ドンという音と共に、男の怒鳴り声が聞こえる。……言っている内容からして、ストーカーの男で間違いなさそうだ。
「この怒鳴っている男がストーカーですか?」
「わ、わかりません。声を聞いたことはないので…。顔は暗かったせいではっきりとは見えませんでしたが、大体の顔立ちならなんとか…」
「……わかりました。少ししたら呼びますので、それまで此処で待っていてください」
「は、はい……」
俺は荒山さんから一旦離れ、玄関へ向かう。
ドアの前につくと、男はまだドアを蹴っていた。俺はドアの穴から外の男を見る。
「クソが!! 居留守使ってんじゃねぇぞ!」
っと! 次の瞬間にはまた蹴りを放ってきたので、ドアから顔を離す。
男は見た感じはどこにでもいるような格好をしていた。だが、その顔は憎悪と怒りによって凄いことになっていた。
とりあえず、話し合いはできそうにない。なら、やることは一つ。
またドアの穴から男を見る。そして、蹴りを放つタイミングでドアを開ける。
「うおっ!?」
蹴る対象がなくなり、バランスを崩した男はそのままこちらに倒れてくる。
俺はその無防備なボディに拳を叩き込む。
「ぐはっ!?」
男はまともにくらい、後ろに倒れる。
「な、なんだテメェは!?」
驚愕の表情を見せる男。カメラで中に出入りしていたのは荒山さんだけと知っていたから驚いているんだろう。
「さあ? 一番近いもので例えると、荒山さんのボディーガードと言ったところですかね」
「ボディーガードだぁ? ――っ!? テメェまさか、あの女の男か!?」
なぜそうなった…。思考回路が完全にマヒしてるなこいつ。
「テメェがいなけりゃ、あの女は俺のものになったんだ!!」
そう言って殴りかかってくる男。はあ…。少しは話し合おうかと思ったが――やめだ。
「うごっ!?」
男が拳を振り切る前に近づき、その頭を鷲掴みにし床に叩きつける。
「念のために確認をしますが、あなたがこの手紙の差出人ですか?」
先程話した時に見せてもらった手紙を出す。
「……ああ、そうさ! ストーカーをしてたのも俺だ! だからなんだ!?」
こいつは認めたが、一応荒山さんにも確認をとるか。
「…すいません、荒山さん! 来てください」
奥で待機させていた荒山さんを呼ぶ。少しして荒山さんが恐る恐る出てきた。
「この男で間違いないですね?」
「っ!? ……は、はい」
男の顔を見た瞬間、荒山さんの顔は恐怖で歪む。
「お前…! よくも警察に言ったな!?」
逆に男は怒りで顔が歪んだ。
「俺はお前に悪い虫がつかねぇように見張っていただけなのによ! それをストーカーだぁ!? 人の好意をなんだと思ってやがる!!」
「わ、私は頼んだ覚えはありません…!」
怯えながらもそう言い返す荒山さん。だがその言葉で男は顔を赤くして激昂し始めた。
「頼んだ覚えはねぇだぁ!? お前の働いている店で聞いた時は夜道は怖いって言ってただろうが!」
「ん? この男はあなたの店の常連なんですか?」
「い、いえ! 一度来ただけです…」
一度だけか…。ということは一目惚れで、もっと荒山さんのことを知りたいと思ってる内に、ストーカーレベルになったってわけか。
まあ、男がこんなんだと同情する気は全く起きないが。
「一度会っただけでここまで見守ってくれる男が他にいるか!? ここまでお前に時間を使う男がいるか!? それなのにお前は全く俺に感謝の意を示さないどころか、警察に届け出やがって…! お前を幸せにできる男は俺だk――」
「黙れ」
「うぐっ!?」
これ以上腹立たしい口を開けないように、男の顔面を床に押しつけてそのまま力を入れる。
「ぎ……あ、が…!?」
ミシミシという音と共に男のうめき声が聞こえる。
「それはお前の勝手な思い込みだ。この人にはなんの助けにもなっていない。それどころか、お前が恐怖の原因になっているんだよ。それすらわからねぇのか?」
男は返事をしない。ああ、この状態じゃ喋りたくても喋れないか。一旦力を緩め、顔を上げさせる。
「とりあえず、単刀直入に言おう。今すぐストーカー行為を止めろ。警察に突き出すぞ?」
そう言ってポケットから携帯を取り出す。この携帯だが、天野夕麻に襲われた時に落としていたらしく、リアスさんが拾っていてくれてこの前返してくれた。
番号は既に110番になっている。
「ふん! そんなこけおどしなんて――」
「そうか。じゃあ予定変更だ。――此処で殺す」
「がぁ!?」
男の顔を再び床に叩きつける。一回だけでは終わらずに、三、四回叩きつける。
一旦叩きつけるのを止めて、男の顔を上げる。硬い床に何度も顔を叩きつけられた男の顔はボロボロになり、鼻も折れたのか鼻血が出ていた。
「それで? 死ぬのとストーカー行為を止めるの。どっちがお望みだ?」
「わ、わかった…! もうしない! だから助けて…!」
泣きべそをかきながらそう言う男の顔にはさっきまでの怒りはなかった。あるのは俺に対する恐怖のみ。
こういう話し合いができない輩は恐怖で屈服させて、無理やり話ができる状態にするのが手っ取り早い。
「わかった。今回の件は見逃してやる。ただ、それには条件がある」
「な、なんだ!?」
「此処に設置した隠しカメラと、お前の家にある荒山さんに関わるものを全て処分すること。そして、お前のその怪我はただ転んだだけ。誰に聞かれようと、何回も派手に転んだと言うんだ。もしこれを守れないようなら、わかるよな?」
「わ、わかりました!!」
おっと、一つ忘れるところだった。
「悪いな。一つ付け加える。この人に謝れ。心の底から、誠意を込めてな」
そう言って男を解放する。男はふらつきながら荒山さんの前に行く。
そして、膝をついて頭を床につくまで下げる。
「…すいませんでした」
「……あ、えっと。はい…」
何が起きたのかいまいち理解できていないのか、荒山さんは少しポカンとしながら答える。
「それじゃあ、行って良いぞ。それと、これで鼻血を拭いておけ」
ポケットティッシュを男に渡す。鼻血を垂れ流しで歩いているのは否が応でも目立つ。
「は、はい!」
そのまま男は走り去って行く。
「さて、これで解決です。もう大丈夫ですよ」
「あ、はい。ありがとうございます…!」
荒山さんはそのまま泣き出してしまう。やれやれ…。泣き止むまで待ちますか。
――――――――――
「ちゃんと戻れるもんだなぁ」
「お帰り、竜真」
あの後、荒山さんが落ち着くのに結構時間がかかったが、なんとか契約はとれた。
「ただいま戻りました。これが今回の依頼の対価です」
リアスさんに渡したのは、荒山さんが働いている焼肉店の食べ放題券×六枚。
「あら。結構良いものをもらったわね」
「はい。人数分もらったので、今度オカ研部員で行きましょう」
「あらあら。ごちそうになりますわ」
「そうだね。皆で行こう」
「……ごちそうさまです」
皆から感謝の言葉をもらう。なんか照れるな…。
「そういえば、イッセーは?」
「まだ戻ってないわ」
結局、イッセーが帰ったのは朝のことで、契約もとれなかった。ただ、アンケートはかなり好評だったようだ。
願いを叶えれない代わりに朝までドラグ・ソボールごっこをしていたらしい。何しに行ったんだよ…。
次回でようやく戦闘に入れそうです。覚醒はまだですが、竜真の本性(?)のようなものが見れると思います。
タグにGOD EATERってつけてるのに、まだ全然その要素が出てませんね…。ある程度物語が進むにつれて出てくるので気長にお待ちください。
それでは、この辺で。グッドナイト!(これ書いたの昼なのに)