ハイスクールD×D 荒ぶる神を宿す者   作:初代凡人

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長っ! 今回フリードさんが出てくるところまで書いたら文章が更に増えてしまいました!

主人公の戦闘(笑)と本性のようなものがあるので見てみてください。

それでは、本編に行きましょう。


第五話 はぐれた存在

竜真side

 

「二度と教会に近づいてはダメよ」

 

えっと…。なんか部室に来たらリアスさんがご立腹な様子でイッセーに話しかけてるんだが…。何があったんだ?

 

そんな疑問を抱いていると、朱乃さんが俺の近くに来た。

 

「(イッセーくんがシスターと会って、教会の前まで送ったそうですわ)」

 

耳元で話されて少しこそばゆいが、言っている内容が内容なのであまり気にしてられなかった。

 

教会まで送ったって、あいつは死にたがりか何かか?

 

普通の人間なら別になんの支障もないが、俺たちはもう悪魔として生まれ変わった。今まで行けていた場所でも、行けなくなった場所がある。

 

その一つが今言っていた教会。教会は神を崇める聖なる場所。天使たちの縄張り。そんなところに俺たち悪魔が近づこうものなら、最悪殺される。

 

それくらい少し考えればわかるだろう。イッセーはもう少し危機感を覚えた方がいいな。

 

「(まあ、イッセーのことだから放っておけなかったんだろうけど、後先考えて行動してほしいですね)」

 

「(ふふっ。そこであまり責めないところは優しいですわね)」

 

「(……別にそんなことありませんよ)」

 

と口では言ったが、確かに俺はイッセーに対して少し甘いところがあるかもしれない。……その分イジってるからいいか!

 

「(話が終わったようですわね。行きましょう)」

 

「(え? あ、はい)」

 

そのまま朱乃さんについて行く形でイッセーとリアスさんのところに行った。

 

「あらあら。お説教は済みましたか?」

 

「うおっ!?」

 

俺たちに気づいてなかったのか、イッセーは驚いて振り返る。

 

「ったく、少しは悪魔っていう自覚を持てイッセー。いつか本当に滅っされるぞ」

 

「ぐっ…」

 

「それで朱乃、どうかしたの?」

 

リアスさんの質問に緊張した面持ちになり朱乃さんはこう言った。

 

「討伐の依頼が大公から届きました」

 

……嫌な予感しかしねぇ。

 

 

 

――――――――――

 

「はぐれ悪魔…。確か、あのドーナシークも俺とイッセーのことをそれと勘違いして殺そうとしたんですよね?」

 

「ええ。下僕になった悪魔の中には、主を裏切ったり、または殺して主なしで生きようとする者がいるの。それがはぐれ悪魔。人間の視点から呼べば、野良犬ね」

 

野良犬か…。放っておけば自分たちに害を出す。だから見つけしだい悪魔はもちろん、天使と堕天使も殺すようにしてるらしい。

 

今回はそのはぐれ悪魔があの古い建物に人間をおびき寄せて食べているので、討伐するよう上級の悪魔から依頼がきた。

 

「依頼するくらいなら自分でやってほしいんだがな…」

 

「これも悪魔の仕事の一つだよ。面倒くさがらずにやろうよ竜真くん」

 

「いや、面倒とかそれ以前の問題で、自分の落とし前は自分でつけてほしいってだけなんだがな」

 

そうこう話している内に、建物の前に着く。入る前から既に不気味だな…。

 

扉を開けて中に入る。

 

「っ!? これは…」

 

「……血の臭い」

 

入って早々、俺は鼻にくる程の血の臭いを感じて鼻をつまむ。小猫も制服の袖で鼻を覆っている。

 

「竜真、あなたそんなに鼻が良いの?」

 

「昔から嫌な臭いに関してはですがね。あと、この臭いは喧嘩をする過程で嫌という程嗅いだので」

 

とは言っても、喧嘩でここまで濃い血の臭いは嗅ぐことはない。……この臭いの濃さが、はぐれ悪魔に食われた犠牲者の数を表しているな。

 

それに、血の臭いがなくても此処は殺気が充満していて空気が重たいが…。

 

「イッセー、竜真。いい機会だから、悪魔としての戦いを経験しなさい」

 

「マ、マジッスか!? 俺戦える自信ないですよ!?」

 

「「確かにそれは無理だな(ね)」」

 

俺とリアスさんは容赦なく言う。イッセーはそれ聞いて少し肩を落とす。

 

「そう落ち込むなイッセー。リアスさんはあくまで経験をしろと言っただけで、戦えとは言ってないだろ?」

 

「え? じゃあ、何すれば?」

 

「見るのよ。私たちの戦闘を。見ることもちゃんとした経験よ」

 

「リアスさん。俺は暴れる余地があるなら戦うってことでいいですか?」

 

正直、人間の時にもまともに戦える相手がいなかったのに、悪魔になって余計張り合いがなくなったからうずうずしてた。

 

「ええ。それで構わないわ。そういえば、二人にはまだ<悪魔の駒(イーヴィル・ピース)>については説明してなかったわね」

 

「「イーヴィル・ピース?」」

 

聞いたことのない単語にイッセーと一緒に首を傾げる。

 

「<悪魔の駒>は、人間界のチェスを元にして作ったものよ。これを使えば、悪魔に転生させることができるの」

 

「チェスを元にしたってことは、もしかして駒ごとに違った特性があるんですか?」

 

「そうよ。察しがいいわね。主となる悪魔が<(キング)>。<女王(クイーン)>、<騎士(ナイト)>、<戦車(ルーク)>、<僧侶(ビショップ)>、<兵士(ポーン)>。爵位を持つ悪魔は、下僕にこの五つの駒の特性を与えることができるの」

 

なるほど。っていうことは、駒に応じたパワーアップもできるってことか。

 

「あの、部長。俺と竜真の駒は――」

 

「お喋りはここまでのようだな。来るぞ」

 

俺も自分の駒は気になるが、濃くなった敵意を感じてまで聞く気にはならない。

 

「マズそうな臭いがするわ。でも美味しそうな臭いもするわ。甘いのかしら? 苦いのかしら?」

 

声の聞こえた方に目を向ける。そこには裸の女が五メートルくらいのところで浮いていた。

 

普段なら目を逸らしているんだが、今回は相手が相手だから逸らす気にもならんな。

 

「うお! いいおっぱい!!」

 

……別の意味で逸らしてないバカがいるが。

 

「はぐれ悪魔バイサー。主の元を逃げ、その欲求を満たすために暴れる不逞の輩。その罪、万死に値するわ。グレモリー公爵の名において、あなたを消し飛ばしてあげる!」

 

「小賢しい小娘だこと…。その紅い髪のように、あなたの身を鮮血で染めてあげましょうか!?」

 

「雑魚ほど洒落たセリフを吐くわね」

 

リアスさんの宣戦布告も意に介さず、挑発するように胸を揉むバイサー。…見ていて気分が悪くなるから止めてほしいんだが。

 

「こ、これがはぐれ悪魔…! ただの見せたがりのお姉さんじゃ――」

 

「アホ、イッセー。あいつの下半身から下見てみろ」

 

未だに欲情してるバカにそう言う。バイサーも丁度同じタイミングで動きを見せる。

 

「うげっ!?」

 

「主の元を逃げ、力を好き放題に使った結果があれだよ。身も心も醜悪になるんだ」

 

祐斗が言ったように、バイサーの下半身から下は、全く別の生物の物になっていた。

 

言葉で表すのなら、蛇の尾を持つ巨人の頭の部分に無理やり女性の体をつけた感じだ。

 

「どうだイッセー? あれでも欲情するか?」

 

「い、いえ! 結構です!」

 

改めてバイサーの方に目を向ける。すると、揉んでいる胸に魔方陣が出ていた。何かする気か!?

 

次の瞬間、何かが撃ち出された。俺たちはそれを回避する。(イッセーは反応が遅れてリアスさんが助けたが)

 

そのまま何かが後ろの壁に当たると、そこの壁は溶けて穴が空いた。

 

「うへぇ! 確かに化け物だわ…!」

 

「油断しちゃダメよ? ――祐斗!」

 

「はい!」

 

リアスさんの掛け声に応じた祐斗持ってきた剣を構える。

 

次の瞬間には、もの凄いスピードでバイサーに突撃していった。一瞬見失いそうになったぜ…。

 

「祐斗の役割は<騎士>。特性はスピード。そして、その最大の武器は剣」

 

「――うぎゃああぁぁぁぁぁぁ!?」

 

リアスさんがそう言ってる内に、祐斗はバイサーの巨人の部分の両腕を斬り落とした。その痛みでバイサーは悲鳴を上げる。

 

そこへ近寄る小さな影があった。小猫!? 正面から行く気か!?

 

「う、うううう――うがああぁぁぁぁぁ!!」

 

バイサーは傷つけられた怒りからか、女性の顔まで化け物染みたものに変わった。おまけに巨人の胸が真ん中から割れて、大きな口となった。

 

「死ねええぇぇぇぇぇ!!」

 

小猫は抵抗する素振りも見せずにその口に食われる。

 

「ちょ!? あれ大丈夫なんですか!?」

 

「小猫なら大丈夫よ。見てみなさい」

 

リアスさんにそう言われてバイサーの口を見てると、徐々にその口が開いた。

 

――中にいた小猫の手によって。力だけでこじ開けたのか!?

 

「小猫は<戦車>。その特性はシンプル。バカげた力と防御力よ。あの程度じゃビクともしないわ」

 

リアスさんの言うように、服は多少破けてるが本人に傷は見当たらない。凄いな…。

 

「……ふっ飛べ」

 

小猫は巨大な口の歯をへし折りながら拳を叩き込む。それだけでバイサーは遥か後方にあった柱も折って飛んで行った。

 

「……小猫ちゃんには、逆らわないようにしよう」

 

「ま、それが賢明だろうな」

 

「朱乃!」

 

「はい、部長。あらあら、どうしようかしら」

 

やけに楽しそうに笑いながら朱乃さんがバイサーに向かって歩いて行く。

 

…ガラッ

 

「っ!?」

 

後方から何かの物音がして振り向く。すると、さっき祐斗が斬り飛ばした両腕がリアスさんに跳びかかっていた。動けんのかよ!?

 

「部長! 危ない!」

 

イッセーも気づいて動き出したが、位置的にもう片方には気づいていない…!

 

チッ! しょうがねぇ! 俺もリアスさんに向かって走る。

 

イッセーは神器を発動して、腕を殴り飛ばす。俺はそのイッセーを殴り飛ばす!

 

「ごへっ!?」

 

イッセーは難なく吹っ飛んでくれた。良かった…。

 

――これで腕は俺に跳びつく。

 

「ぐっ!?」

 

「「「竜真(くん)!?」」」

 

巨大な腕に俺は押さえつけられる。やっぱ力強いな…!

 

「はーっはははは! 形勢逆転だ! この男を殺されたくないのなら、今すぐ降伏しろ!」

 

………は?

 

殺す? 誰を? 俺をか?

 

「――ふざけたこと抜かしてんじゃねぇぞ」

 

俺は自分を押さえている腕を掴む。

 

「これでお前は俺を押さえたつもりでいるのか? 形勢逆転したつもりでいるのか? ……く、くくく…!」

 

「な、何がおかしい!?」

 

おかしい? 別におかしいとは思ってない。ただ――

 

 

 

 

 

「………舐めてんじゃねぇぞクソアマがああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

俺は全力で腕を持ち上げて放り投げる。チッ。痛みまで本体には伝わらないのか。

 

……なら本体をいたぶるしかねぇよな?

 

「朱乃さん。少し待ってくれますか?ちょっとそいつ半殺しにするんで」

 

「え、ええ」

 

俺の迫力に気圧されたのか、朱乃さんは素直に譲ってくれた。……そうでなくても優しいから譲ってくれるか。

 

バイサーの目の前まで歩いて行く。

 

「………」

 

「な、なんだ!?」

 

俺は改めてバイサーの体を見る。本当に上半身だけは人間と造りが同じなようだな。

 

そう思いながら、俺はおもむろに右足を上げ、

 

「貴様! 何をするつも――」

 

「……オラァ!!」

 

――親指を踏み潰す。

 

「ぐぎゃああぁぁぁぁ!?」

 

激痛によって悲鳴を上げるバイサー。それに構わず、人差し指、中指、と順番に踏み潰していく。

 

「ひいぃぃ、あが!? いぎゃああぁぁぁ!!」

 

指は全部潰し終わったので、今度は手の甲を踏み潰す。その次は腕を端から端まで隙間ができないように一回一回丁寧に踏み潰す。

 

「……ぎ、あ…! ああぁ…!!」

 

左腕全部を踏み潰した頃には、バイサーは悲鳴も小さくなっていた。

 

「……オイオイ。もうダウンとかじゃねぇよな? こんなんじゃ全然いたぶりがいがねぇよ!!」

 

今度は背中を踏む。一回で潰し切るのは無理だが、骨は軽く折れたはずだ。そのまま踏み続ける。

 

「どうしたんだ? 俺を殺せるんじゃなかったのか? さっきまでの威勢はどこに行ったんだ――よ!!」

 

最後に腹に蹴りを入れる。僅かにだがバイサーの体が宙に浮き、一メートル程飛んだ。

 

「くっ……あ…」

 

痛みのせいか、バイサーはもう悲鳴すらまともに上げてない。

 

「……チッ! クソつまらねぇ。――もういい。これ以上やっても余計にイラつくだけだ」

 

俺はそう言って踵を返して歩く。

 

「朱乃さん。あとは好きにしていいですよ」

 

「あらあら。竜真くんにほとんど出番を奪われてしまいましたわね。ですが、私も少し楽しませてもらいますわ」

 

そう言って俺とすれ違う形でバイサーの前に行く朱乃さん。

 

皆のところに戻ると、俺のことを驚愕の表情で見ていた。…まあ、そうなるよな。

 

「リアスさん。駒の解説の続きをお願いします」

 

注意を逸らすためにリアスさんに声をかける。

 

「え、ええ。朱乃の駒は<女王>。他の駒全ての特性を持つ無敵の副部長」

 

今まで見た駒全ての能力を!? なんというチート…。

 

その解説を聞いてる内に、朱乃さんの手から何かが出ていた。あれって……電気?

 

「竜真くんにいたぶられてましたが、もう少し頑張っていただきますわ」

 

そう言って電気を纏った手を上にかざすと、電気が膨大な量となり雷へと変わる。そしてそのままバイサー目がけて落ちて行く。

 

「あぎゃあああぁぁぁぁぁぁ!?」

 

なんだ。意外と悲鳴出るじゃねぇか。

 

「朱乃は魔力を使った攻撃が得意なの。そして何よりも彼女は、究極のSよ」

 

「あらあら。意外と元気そうですわね。どこまで耐えれるかしら? うふふ…!」

 

そう言いながら雷の出力を更に上げる朱乃さん。その顔は笑顔を浮かべていた。……確かにSだ。

 

「た、竜真。朱乃さんがこわ――お前も同類だった!」

 

「何か用かなイッセーくん?」

 

「なんでもありません! すみませんでした!!」

 

口は災いの元。この言葉は正しい。

 

「朱乃。それくらいにしておきなさい」

 

「あらあら。竜真くんにいたぶられてたとはいえ、もうおしまいですか? ちょっと残念ですわね」

 

そう言いつつも顔は笑顔なんですが…。

 

リアスさんは息も絶え絶えなバイサーの前に行く。

 

「最後に言い残すことはあるかしら?」

 

「こ、殺……せ…! 殺……して…くれぇ……!!」

 

弱々しいが、なんとか答えるバイサー。

 

「そう。なら消し飛びなさい」

 

リアスさんの前に紅い魔方陣が現れ、その魔方陣から紅黒い魔力が放たれる。

 

それに飲み込まれたバイサーは文字通り、跡形もなく消し飛んだ。凄い威力だな…。いや、威力というよりは、あの魔力に何かあるのか?

 

「さあ、帰るわよ」

 

「あ、あの部長! それで、俺たちの駒は?」

 

オイ、イッセー。本当に聞いていいのか?俺たちは今までに聞いた特製の内どれにも当てはまっていない。

 

よって<僧侶>か<兵士>になるわけだが、正直身体能力の向上以外にこれといった変化は俺とイッセーには見られない。……要するに。

 

「<兵士>よ。イッセーと竜真は<兵士>なの」

 

<兵士>しか残っていないわけだよ…。

 

 

 

――――――――――

 

「また荒事の依頼でした…」

 

はぐれ悪魔討伐から数日。今日も今日とて契約をとりに行っていたわけだが、今まで受けた依頼の内九割以上が――

 

『不良グループを倒して!』

 

『いつもカツアゲされて困ってるんです…』

 

『悪徳な借金取りに追われてるんです!』

 

などの荒事の依頼なのだ。

 

「竜真はそういう依頼が多いわね」

 

「いや、確かに体は鍛えてますけど、別に戦いが好きってわけじゃないんですよ? なんかそこら辺皆勘違いしてる気がするんですが…」

 

「でも、はぐれ悪魔をいたぶってた時の竜真くんは凄い迫力だったよ」

 

「あれは私も少し同情しましたわ」

 

「……正に鬼」

 

「更にいたぶった朱乃さんには言われたくないんですが…。あと、小猫。俺の苗字の鬼城から取ってるんだろうが止めてくれ。実際あっち関連の奴らからは<鬼神>なんて名前で呼ばれることもあるんだから」

 

俺は毎日を平和に過ごせればそれでいいんだっての。

 

「はあ…。ちょっとトイレ行ってきます」

 

これ以上此処にいたらからかわれるのが目に見えているので、とりあえずトイレに逃げることにした。

 

 

 

――――――――――

 

「ふう、スッキリした」

 

しばらくしてトイレから出た。

 

いやー、最初は逃げるために入ったのに、本当に催してしまった。トイレの魔力って凄いな!

 

そんなことを思いつつ、部室の扉を開ける。だが、そこにはなぜか魔方陣の前に立つリアスさんしかいなかった。

 

「あれ? リアスさん、他の皆は――」

 

「やっと戻ったわね! 竜真、イッセーがピンチよ! エクソシストに襲われているわ!」

 

「なっ!?」

 

その言葉に俺は驚愕する。あいつこんなに巻き込まれ体質だったか!?

 

「他の皆は先に行ったわ! 私たちも行くわよ!」

 

「了解です!」

 

どこの誰かは知らねぇが、ぶっ飛ばす!

 

そして魔方陣に飛び込むと、視界が晴れる前に男の声が聞こえた。

 

「フヒヒ! 殺意は向けるのも向けられるも堪らないね!」

 

「なら消し飛ぶがいいわ」

 

明らかにキチガイな男の発言に、リアスさんはそう言いながら魔力を放つ。男はそれをなんとか避ける。

 

「部長、竜真!」

 

「大丈夫かイッセー?」

 

イッセーの様子を確認すると、左足に穴が空き、背中も軽くだが斬られているようだ。それにしてはイッセーは疲弊しすぎている。

 

改めて男の方に目を向けると、格好は神父服だが俺たちとほとんど同じ年だろう。その手に持つ剣は柄から光の刃が出ていた。なるほど。このダメージは光によるものか。

 

「私の可愛い下僕をかわいがってくれたみたいね?」

 

「俺の親友をいたぶるとは、いい度胸だな?」

 

「わお! ここで真打ちさんたちご登場ですか!? ハイハイ、かわいがりましたしいたぶりましたが、何か!?」

 

「大丈夫イッセー?」

 

「……すみません部長。叱られたばっかなのに、またこんなこと…!」

 

申し訳なさそうに声を出すイッセー。別に今回ばかりは運がなかっただけだからいいと思うがな…。

 

「こんなに怪我して…。ごめんなさいね…。まさかここの依頼主の元にはぐれエクソシストが来てたなんて想定外だったの。さっきまで結界が張られていたから気づかなかったの」

 

ほら、やっぱり全然攻めてない。

 

「何してんだよこのクソアマッ!! 結界はオメェの仕事だろうが!」

 

そう言って倒れていたシスターを蹴り出す。仲間じゃねぇのかよ!?

 

俺は神父に向けて突っ込む。

 

「おや? あんたもこのクソシスターを助けるなんて言うんですか? しかし残念! その前に俺の銃弾があなたに死の告白をしちゃいます!」

 

神父は銃口をこちらに向ける。方向がわかっていれば怖くねぇ!

 

向けられた瞬間に俺は右に移動する。すると、神父はさっきまで俺がいたところに向かって引き金を引いた。

 

ん? 発砲音がしない? 違和感を感じつつ拳を構える。

 

「鬱陶しいんだよ!」

 

そう言って次は光の剣を振り下ろす。軌道は不良共が使ってた鉄パイプと同じだ。難なく避ける。

 

そして左拳を速めに繰り出す。

 

「甘いざんす!」

 

神父は簡単に避ける。……ああ、そうしてくれると思ったぜ。

 

――だからあえて力を入れずにスピードだけを速くしたんだよ! 左腕に神父が避けている方に向けて力を入れ、無理やり軌道を変える。

 

「が!?」

 

神父は頬にくらって吹っ飛びそうになるが、それはまだ許さない。俺は空いた右手で神父の髪を掴み、無理やりこちらに体勢を戻させる。

 

「ぶっ飛べ!!」

 

そしてボディに全力の拳を叩き込む!

 

「いった――」

 

神父はセリフを言ってる途中に、後方にある壁に激突する。

 

あと、このシスターをどうするか…。悪い人ではなさそうだから、一応助けるか。

 

「大丈夫ですか?」

 

「あ、はい…」

 

金髪のシスターはそのまま俺の手を取ろうとする。ん? そういえばイッセーから聞いたシスターの特徴も金髪だったような…?

 

「ウラァ!!」

 

「っ!?」

 

シスターの手がこちらに届く前にさっきの神父が俺の腕を斬ろうと跳びかかってきたので、後ろに跳んで回避する。頑丈だな…。

 

「クソが! この俺様をクソ悪魔が殴ったな!? 髪引っ張ったな!? ぶっ飛ばしたな!? ふざけんじゃねぇぞボケが!!」

 

あ~あ。完全にブチギレてるな…。

 

俺は迎撃態勢をとろうとするが、リアスさんが前に出る。

 

「私は、私の下僕を傷つける輩を絶対に許さないわ。特にあなたのような下品極まりない者に自分の所有物を傷つけられるのは、本当に我慢ならないわ!」

 

リアスさんから魔力と殺気がにじみ出る。凄い迫力だ。相当頭にきてるんだろう。

 

「……部長。接近中の堕天使複数」

 

「チッ! このタイミングでか!」

 

小猫の言った言葉に思わず舌打ちする。今なら確実にこの神父を消せるのに…!

 

「…今はイッセーの回収が先決ね。朱乃、ジャンプの用意を」

 

「はい」

 

「小猫、イッセーを頼むわ」

 

「……わかりました」

 

そう言うと小猫は持ち上げていたソファーを神父に投げつける。しかし、神父は光の剣で叩き斬ることで回避する。

 

「はい隙あり!」

 

「ごべ!?」

 

だが、俺はソファーの影に隠れるように接近し、神父を蹴り飛ばす。これで邪魔はできないだろう。

 

そのまま後ろに跳び、魔方陣の範囲内に入る。

 

「部長! あの娘も一緒に!」

 

突然イッセーが叫ぶ。その視線の先にはさっきの金髪のシスターの姿があった。向こうもイッセーのことを見ている。

 

「それは無理よ。この魔方陣は私の眷属しか転移できないの」

 

「そ、そんな…!? 放せ! アーシアを助けるんだ!」

 

イッセーが暴れ出す。あのシスターを置いていきたくないんだろう。だが、

 

「ちょっと静かにしてろ」

 

イッセーの首に手刀を入れ、気絶させる。魔方陣も作動し始めてる今外に出たらイッセーだけ置いていくことになる。そうすればあの神父と堕天使に殺されるのは明白。

 

俺は後ろのシスターに目を向ける。

 

「すまないな。できればあなたも助けたいが…」

 

「…いいんです。……イッセーさんが起きたら伝えてくれますか? またいつか、どこかで会いましょうって」

 

シスターは目に涙を浮かべながら言う。その悲しそうな顔から無理やり作った笑顔を見てられず、俺は視線を逸らす。

 

「……わかった。伝えておく」

 

そして、俺たちは魔法陣の光に包まれた。




はい、すいません。戦闘シーンに入れると言っておきながら、半分くらい竜真による拷問タイムになりました。

竜真は過信はしませんが、格下の相手になめられるのは耐えられません。なにげにフリードのセリフをちゃんと書くと凄い苦労しました。あの滅茶苦茶な口調はなかなか真似できません…。

次回、主人公覚醒――できたらいいなぁ…。また量が多くなりそうですが。

それでは、この辺で。ヒーハー!!
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