ライザーとのやり取りを終わらせたらこうなりました…。どうしようもないですね…。
とりあえず、本編をどうぞ。
第八話 朝トレと婚約騒動
竜真side
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリ――
「うっせぇ!!」
目覚まし時計を思い切り殴り飛ばす。何回か壁に当たって跳ね、見事に壊れた。ああ、とうとう壊れちまったか…。
実は悪魔になってから聴力もよくなったので、毎朝恒例だった大音量目覚ましが耳障りになってきてたのだ。
今までも何回か殴って止め、今回も強めにやったので耐え切れなかったのだろう。もう携帯のアラームでいいか?
そういえば今何時だ? 時計は粉☆砕してしまったので携帯で時間を見る。
「四時か…」
一応時間通りには起きれたな。
俺はベッドから起き上がり、ジャージに着替えて家を出た。
――――――――――
早朝の公園。こんなに早い時間だと公園でも流石に人はいない。
――紅髪の女性以外は。
「おはようございます、リアスさん」
「おはよう、竜真。相変わらず早いわね」
「早起きするのは慣れてるので」
リアスさんも俺と同じように赤いジャージを着ている。
こんなに朝早くに起きる理由は、トレーニングのためだ。
俺とイッセーは悪魔になってまだ日が浅い。いくら人間から見れば身体能力が高くても、悪魔から見ればまだまだなのだ。
それに、イッセーの持つ神器、<赤龍帝の籠手>は所有者の力を十秒ごとに倍にする能力。本人の力が弱くては、真価を発揮できない。
俺の持つあの籠手も身体能力の強化という点ではイッセーと同じ。
つまり、俺たちが強くなるためには基本となる体を鍛えることが第一条件。
だからリアスさんが直々にトレーニングメニューを組んで俺たちを鍛えてくれているのだ。………結構なスパルタだが。
「ところでイッセーはまだ来てないんですか?」
「まだよ。また寝過ごしてるのかしら?」
はあ…。まあ、なんやかんやでいつもちゃんと来てるから大丈夫だろ。
「それじゃあリアスさん。俺は先に始めておきますね」
「ええ、わかったわ」
俺は走り出す。
さ~てまずは………町内五十周!
――――――――――
「四百八十八…! 四百八十九…!」
あのあと大体のメニューをやり終わり、最後の片腕立て伏せをしていた(片腕五百回ずつ)
右腕が終わったので今は左腕。あと十一回で終わる!
「六十三…! 六十四…! ぜえ…ぜえ…!」
隣では先程来たイッセーもリアスさんを背中に乗せて腕立て伏せをしていた。
「イッセー。あなたの能力は基礎が高ければ高いほど効果を発揮するのよ」
「うッス……六十五…!」
リアスさんがそう言うのを聞きつつ、イッセーは腕立てを続ける。
「四百九十八…! 四百九十九…! 五百!」
終わると同時に腕力だけで起き上がる。いい汗かいたぜ。
ふと、隣のイッセーに目を向ける。……なんか腰の動きが変じゃねぇか?
顔を見ると少し鼻の穴が広がっていた。さてはリアスさんの尻の感触に興奮してるな?
イッセーの上に乗っているリアスさんに顔を向ける。リアスさんも俺の方を見て頷いた。
俺はイッセーに気づかれないように近づき、腰に手刀を入れる。
「うお――ぶげ!?」
疲弊してるせいでイッセーはそれだけで簡単に崩れ、顔を地面とキスさせた。
「邪念が入ってるわ。腰の動きがいやらしいわよ」
「そ、そんな…! この状態じゃ俺の中のお馬さん根性がマックスになっちゃいますよ…!」
いつもマックスでオーバーヒートしてると思うんだが…。
その言葉を聞いてリアスさんは顎に手を当てて考え始めた。
「……そうね。イッセーのことを考えたら、私が上に乗っていたら集中力を乱してしまうわね」
そう言うとリアスさんは立ち上がり、イッセーから離れる。
イッセーは嬉しさ五十パーセント、悲しさ五十パーセントの複雑な顔をしていた。
「竜真。イッセーの背中に乗ってあげて」
「部長! 俺全然集中力乱してないです! だから竜真だけは勘弁してください!!」
一瞬で絶望百パーセントの顔になった。
「そういうことですか。わかりました。イッセーも野郎の尻には興奮しないでしょうしね」
「ま、待て竜真! 早まる――ぐえ!?」
イッセーの言葉を無視し上に乗っかる。――足から。
「た、竜真!? なんで立ってるんだ!? 乗るだけで充分だろ!?」
「最近バランス感覚を鍛えてなかったからな。この状態ならいいトレーニングになるだろ?」
「俺への負担が半端ないんだが!?」
「いいから腕立て伏せを再開しろ。ちなみに、三秒以上やらなかったら十回追加な」
「ええ!? そんな――」
「はい一秒経過~」
「六十六! 六十七!」
俺の忠告を聞いたイッセーは慌てて腕立て伏せを再開する。
おお。本当にいいトレーニングになるな。
「竜真、あなた性格の面でも悪魔の素質があったのね」
「……結構失礼な発言ですね」
今は悪魔そのものだから否定できないが、人間のころから悪魔の素質があったように言われるのは少し傷つく。
「ふふ、ごめんなさい。それはそうと、そろそろ来るはずなんだけど…」
「来る? 誰がですか?」
その質問に答える前に、リアスさんはある方向に顔を向けて「あっ」と声を漏らす。
俺もその方向に視線を移すと、シスター服を着た見覚えのある少女――アーシアさんがこちらに走ってきていた。
「イッセーさん、部長さん、竜真さん、すいません! 遅れてしまって本当に――あぁ!?」
と、そこでアーシアさんは道に何もないにも関わらずつまづいて転びそうになる。
俺は籠手を出して強化した脚力でアーシアさんのところに行き、倒れそうになってる体を支える。……踏み込んだ時にイッセーの悲鳴が聞こえたが気のせいだろう。
「っと! 大丈夫ですか、アーシアさん?」
「あ、はい! ありがとうございます、竜真さん」
眩しい笑顔を見せるアーシアさん。これほどの娘がイッセーにねぇ……。
「………(ギリギリッ)!!」
とりあえず、イッセーの嫉妬の視線が鬱陶しいから早く戻るか。
ちなみに十秒間やってなかったから三十回追加してやらせた。
――――――――――
あれからしばらくしてイッセーのトレーニングも終わったので、今はブレイクタイム。
「大丈夫ですか、イッセーさん? お茶をどうぞ」
「あ、ありがとう、アーシア」
「竜真さんもどうぞ」
「どうも、アーシアさん。流石に喉が乾いてたので助かります」
「いえ、私にはこれくらいしかお手伝いできないので……」
申し訳なさそうに言うアーシアさん。これだけでも充分だけどなぁ。
運動していい汗かいたあとに美少女から飲み物をもらう。松田と元浜が血涙流しそうだな。
「ところで、アーシアはどうして此処に?」
「イッセーさんと竜真さんが毎朝部長さんとトレーニングしていると聞きましたので、私もお力になりたいと思って。今日はお茶しか用意できませんでしたけど…」
「それだけでも充分助かりますよ、アーシアさん」
「そうだぞアーシア! 俺はアーシアの心意気に感動した! ああ、かわいい子にそんなこと言われる時がくるなんて! ぐびっ……げほっ!?」
「わかったからゆっくり飲め」
一気にお茶を飲み干してむせるイッセーの背中をさする。気持ちはわからなくはないが落ち着け。
ふと、リアスさんの方に目を向けるとお茶を飲みながらあらぬ方向を見てぼーっとしていた。
リアスさんがぼーっとしてるなんて珍しいな。というか初めて見た気がする。
「リアスさん、どうかしたんですか?」
「あ、いえ、なんでもないわ。アーシアもいるし、ちょうどいいわね。今日にしようと思ってたからこのままイッセーの家に行きましょう」
ちょうどいい? 何が?
――――――――――
イッセーの家の前に着くと大量の段ボール箱が置いてあった。
「えっと部長、これは?」
「すいません、私の荷物なんです」
アーシアさんの? なんでアーシアさんの荷物がイッセーの家に…。
そう考えてる内にある結論が頭に浮かぶ。まさか…? いや、そんな…。
「今日からアーシアにはイッセーの家に住んでもらうわ」
やっぱりそういうことか!?
……まあ、とりあえず。
「俺はもう家に帰るからイッセー。一発殴らせろ」
「は!? なん――ごふっ!?」
幸せ税だコンチクショウ。
――――――――――
あれからあっという間に夜になった。
いつもならもうちょっと前まで部活をしてるのだが、今日は早退させてもらった。
いや、決してイッセーがアーシアさんの仕事の手伝いという名の夜のデートをしてイライラしたとかそういうんじゃねぇぞ? ホントダゾ?
やることもなくなったのでもう寝よう。と思っていたのだが、携帯が鳴る。相手はイッセーだ。こんな夜中に珍しいな。
「もしもし? どうした?」
『た、竜真! 部長がおっぱいで既成事実がメイドをキスで忘れてと!』
「……お前は何を言ってるんだ?」
支離滅裂な言葉に疑問しか浮かばない。
「とりあえず一旦落ち着くために、女性の裸でも思い浮かべろ」
『わ、わかった! ……って、ぬおお!? さっきのこと思い出しちまったじゃねぇか!!』
ありゃ? 逆効果だったか?
――――――――――
「なるほど。リアスさんがそんなことを…」
しばらくしてようやく落ち着いたイッセーから話を聞くと、リアスさんが突然部屋に来て、自分の処女をもらってほしいと言ってきたらしい。
リアスさんの誘惑に負けて行為に及ぼうとした時、今度はグレモリー家に仕えるメイドが来て結局そのままリアスさんと一緒に帰ったのだとか。
誰だか知らないが、メイドさんナイス! イッセーに先を越されるのはごめんだ!
『そうなんだよ! あとちょっとだったのにこの不完全燃焼は酷いと思わねぇか!? 忘れたくても忘れられねぇよ!』
「あ~、ハイハイ。それは自分を慰めるなりなんなりして解消しろ。ただ、イッセー」
『なんだ?』
「――よくこのことを俺に話そうと思ったな? 自慢か? それは自慢なのか?」
殺気を込めてそう口にする。お前だけそんなおいしい思いをしたと聞いて俺が黙ってると思ったのか?
『い、いや! 別に自慢したわけじゃ――』
「明日は楽しみにしておけよイッセーくん? ハハハハハハ」
そのまま通話を切り、ベッドに入る。本当、明日は楽しみだな~。
――――――――――
「ったく。なんで今日に限って窓の掃除なんてやらせんだよ…」
次の日の放課後。
俺は掃除当番に当たっていたのだが、いきなり窓掃除もすると先生が言い始めたせいで、予想以上に遅くなってしまった。理由を聞いたところ、気分らしい。ふざけんなやクソ教師!
そういえば、楽しみにしてたイッセーとのO☆HA☆NA☆SHIタイムには松田と元浜も参戦した。なんでも、昨日イッセーに女の子を紹介してほしいと頼んだところ、イッセーはミルたんを紹介したらしい。
ミルたんというのは、イッセーのお得意様の一人で、魔法少女に強い憧れを抱く漢の娘だ。……もう一度言おう。男の娘ではなく漢の娘だ!
前に写真を見せてもらったのだが、写真越しでこの人には勝てないと思わされたのは初めての経験だった。
もちろん松田と元浜はそのミルたんに会ってしまい、恐怖の一時を過ごすことになった。しかも他にも似たようなのが何人か来てたらしい。………想像しただけで震え上がった。
まあ、そんなわけでイッセーをボコしたが、いつも通り時間は過ぎて今に至る。
大切な話し合いとかがなければいいんだが…。あった場合、俺が遅れたせいで話しができなかったという罪悪感が半端ない展開になる。
俺は旧校舎に入り、まっすぐ部室に向かう。そして、部室の扉を――
ガッ!
――開けれない。
いや、少し語弊があるな。正確にはドアノブ自体が捻れない。まるで鉄の塊のように、ピクリとも動かない。
これじゃあ、引いてもダメなら押してみなもできない。
……いや、一つだけ方法があった。前にも何度かやったことのあることだ。俺は一旦扉から距離をとる。
そして扉へ向けて走り、
「オラァ!!」
――跳び蹴りをくらわせる。
これで開いたと思ったのだが、扉は未だに開かない。
改めて扉に触ると、この前朱乃さんが張った結界に似た魔力を感じた。……そういうことなら、全力でやらなきゃ無理だな。
俺は籠手を出して再び扉から距離をとる。
引いてもダメなら押してみなと言うが、先に押してダメだったらどうするのか? 押してもダメなら引いてみな? 違うな。押してダメでも――
「押し通す!!」
全力の踏み込みで繰り出した跳び蹴りは結界を壊し、扉も俺の跳び蹴りに耐え切れずに吹っ飛び、俺はそのまま部室に入る。
「なん――ぐわっ!?」
なんか扉が飛んで行った方から男の声がしたが気のせいだろう。
皆の方を見ると、全員俺のことを驚いた顔で見ていた。なんだよ。こういう風に登場することになったのは皆のせいだぞ?
「た、竜真? どうしてこんな入り方をしたの?」
「いや、どうしても何も扉に結界を張ったからでしょう? なんで遅れただけであそこまでするんですか?」
「結界? 私は張ってないわよ?」
へ? じゃあ誰が?
「グレイフィア、あなたが張ったの?」
「いいえ。私は何もしておりません」
リアスさんは誰かと話している。ちょうどリアスさんと被っていてよく見えなかった。
横にずれて話し相手を見る。ん? メイド――
「っ!?」
俺はそのメイドを見た瞬間に後ろに下がり、臨戦態勢をとる。本能的に感じた。この人はシャレにならないレベルで強い…!
「た、竜真落ち着け! その人が昨日言ったメイドさんだ!」
イッセーが慌てて声をかける。
この人が昨日イッセーが言ったグレモリー家に仕えるメイドさんか…。メイドさんはこちらに近づくと深くお辞儀をした。
「初めまして。私はグレモリー家に仕える、メイドのグレイフィアと申します。お手をお下げください。私はあなたに何かをするつもりはありません」
「……本当ですか?」
「少なくとも、あなたに敵対心がなければ何もいたしません」
俺はその言葉を聞いてようやく籠手をしまう。久々に嫌な汗かいた…。
「あなたがお嬢様のもう一人の<兵士>の鬼城竜真様ですか?」
お嬢様? ああ、リアスさんのことか。
「はい、そうです。グレイフィアさんでしたよね? 先程は失礼しました」
俺は頭を下げて謝罪する。
初対面でプレッシャーも出していないのにあんなに警戒されたら不快に感じるだろう。
「お顔をお上げください。むしろ、あなたのような優れた者がお嬢様の眷属になってくれたのは喜ばしいです」
謝罪したはずなのに褒められてしまった。
「鬼城竜真様。私に謝られるより、あちらの方に謝罪した方がよろしいかと思います」
あちらの方?
グレイフィアさんが手を向けた方向には先程俺が吹き飛ばした扉が――
「いってぇな……」
――見知らぬ男性が下敷きになっていた。
…………え? も、もしかして、さっきの声ってあの人の?
「――すいませええぇぇぇぇん! 大丈夫ですか!?」
そのことを理解した瞬間、男性の側に行き扉を退かす。
「ったく、リアス。君の新人の下僕くんたちはこんな奴らばかりなのか?」
「何を言ってるのライザー。竜真は礼儀正しいわ。あなたが巻き込まれなければいい話だったでしょう?」
俺の言葉など聞いてないかのようにリアスさんに気安く話しかける男性。しかし、反対にリアスさんは冷たい態度で話している。
なんかこういうのどこかで見たことある気がする…。
「それに、あの結界を張ったのはあなたじゃないのライザー?」
「ああ。邪魔者が入ってこないようにな」
すいませんと言ったな。あれは嘘だ。張り倒すぞクソ野郎。
と、いかんいかん。つい素の感情が。というかまずこの人が誰なのか確認しないと。
「えっとリアスさん。この人は誰なんですか?」
「この方はライザー・フェニックス様で、お嬢様の婚約者です」
と、リアスさんの代わりにグレイフィアさんが答えた。
そうか。この感じは前にドラマでも似たようなシチュエーションがあった。だから見覚えがあったのか。
にしても、婚約者ねぇ…。リアスさんを見る限り、合意の上とはとても思えない。
「そういえば、リアスさんの家は貴族なんでしたっけ?」
「ええ、そうよ」
「ってことは、家の決まりか何かで無理やり結婚させられようとしてるってことですか? ――いや、待てよ。そういえば先の戦争で純血の悪魔の数がかなり減ったと言ってたか…。となると、純粋な血を絶やさないようにとか、そんな感じですか?」
「……よくわかったわね。正解よ」
おお、当たった。
「それでお嬢様。どうなされますか? ライザー様とレーティングゲームを申込みますか?」
レーティングゲーム?
そういえば、前に部長から聞いたことがあるな。確か、爵位を持った悪魔同士がお互いの下僕の強さを競い合うゲームがあるって。
でもあれは確か成熟した――要するに大人になった悪魔しかできないんじゃなかったのか?
「ええ、もちろんよ。こんな好機は他にないわ。ライザー、あなたを消し飛ばしてあげる!」
「いいだろう。君が勝てばこの婚約はなしにしよう。ただし俺が勝てば即結婚してもらおう」
「承知いたしました。お二人のご意思は確認させていただきました。ご両家の立会人として、私がこのゲームの指揮を執らせてもらいます。よろしいですね?」
「「ええ(ああ)」」
「わかりました。ご両家の皆さんには私からお伝えします」
なんか止める暇もなく決まったけど本当に大丈夫なのか? まだ成熟してないリアスさんの方が圧倒的に不利なのに。
「ところでリアス。君の眷属はこれで全員なのか?」
「だったら何?」
男性――ライザーさんは不敵に笑いながら指を鳴らす。すると炎と共に魔方陣が出現し、その中から人が出てくる。
炎に飲み込まれそうになったので皆のところに避難する。
「これが俺のかわいい下僕たちだ」
魔方陣から出てきたライザーさんの眷属は十五人の女性。要するに、駒は全て使い切ってるということになる。
経験だけじゃなく、人数にまでこれほどの差ができてるのは本当にマズい。と、俺が若干心の中で焦っていると、
「お、おい、リアス。この下僕くん、俺を見て号泣してるんだが…?」
その言葉を聞いて隣を見る。そこには遠慮なく涙を流すイッセーの姿が。
俺は容赦なく拳骨を入れ、胸ぐらを掴む。
「おいコラ、イッセー。お前こういう時くらい煩悩抑えろや。一緒にいるこっちが恥ずかしくなるわ!」
「だ、だって…! ハーレムだぞ竜真…! 男の夢であるハーレムが目の前にあるんだぞ…!?」
「それはお前の夢だろうが! 勝手に俺の夢までハーレムにしてんじゃねぇ!」
どうしようもねぇなこいつ!
「きもーい」
「ライザーさまー、この人気持ち悪ーい」
「くっ! 事実だからって言いたい放題言わないでください!」
「いや、そこは否定しろよ!?」
否定する要素がお前にないからこうなってんだろ。
「そう言うなお前たち。上の者を羨望の眼差しで見るのは下賤な輩の常さ。俺たちが熱々なところをあいつらに見せてやろう」
ライザーさんはそう言うと眷属の一人とディープキスをし始めた。おいおい、こんなところで何やってんだよ?
イッセーは股間にくるのを必死に耐えてるようだ。アーシアさんは刺激が強すぎるのか顔を真っ赤にしていた。これ以上見せるのはあれなので、そっと目隠しをする。俺の場合は興奮よりもイライラの方が勝ってるので止めていただきたい。
とか思ってたら二人目とも始めた。そして、イッセーを小バカにしたような目で見る。
「こんなこと、お前には一生できないだろう? 下級悪魔くん」
「う、うるせぇ! そんな調子じゃ部長と結婚した後もそうやってイチャつくんだろ!? お前に部長は不釣り合いだ、この焼き鳥野郎!」
「焼き鳥だと!? 貴様あぁぁぁ!! 上級悪魔への態度がなってねぇぞリアス! 下僕の躾はどうなってやがる!?」
ライザーさんはイッセーの発言に怒りリアスさんに怒鳴るが、リアスさんはそっぽを向いて答えようとしない。
「上級だろうが下級だろうが知ったことじゃねぇよ! 俺は部長の<兵士>! それだけだ!」
そう言うとイッセーは<赤龍帝の籠手>を出す。おい、まさか――
「ゲームなんざ関係ねぇ! 俺の<赤龍帝の籠手>で此処で全員倒してやる!」
『
イッセーはそのままライザーさんたちに突っ込む。ライザーさんはため息を出しつつ、眷属の一人を呼ぶ。
「ミラ」
「はい」
呼ばれて出てきたのは棍を持った少女。イッセーはその娘を見て一瞬怯む。どうせ小さい娘だから戦いづらいと思ってるんだろう。
しかし、その考えとは裏腹に少女は素早い動きでイッセーに近づき、棍による突きを放つ。イッセーは避けようとしない。いや、見えてすらいないから動けないんだろう。
そしてそのまま棍はイッセーの腹に突き刺さる。
ドガァン!!
――ことはなく、棍は何もない空を穿つ。
イッセーは棍に当たらなかった。しかし、大きな破砕音が辺りに響いた。
それはなぜか? 答えは簡単。少女が動き出す瞬間に俺は籠手を出し、少女よりも早くイッセーに近づいて頭を掴み、そのまま床に叩きつけたからだ。
「……なんのつもり?」
少女は俺の行動を怪訝に思い質問してきた。
「た、竜真…! 何しやがる…!」
「……その二つの質問には一緒に答えよう。お前がバカな行動をしたからだよ、イッセー」
そうイッセーに対して言う。その言葉にイッセーは憤慨する。
「なんだよ竜真!? あのまま黙ってろって言うのか!?」
「そうだ」
俺は思案することもなく即答する。
「少なくとも、格上の相手に神器の正体を言うなんざ愚の骨頂だ。ただでさえリアスさんはレーティングゲームの経験がライザーさんより圧倒的に少ない。更に人数もこちらの倍以上。これだけでも充分すぎるくらい不利なのに、こちらの手の内を明かすだ? ふざけんじゃねぇよ。そのせいでリアスさんが余計不利になっただろうが」
「……っ!」
イッセーは何も言い返せず、顔を伏せている。
「それにイッセー。さっき、この娘の動きが見えたのか?」
そう言って前にいる少女を見る。イッセーは俺の質問に答えない。
「どうなんだ?」
イッセーに少し顔を近づけ再び問う。
「………見えなかった…!」
小さな声で、しかし心の底から悔しそうに言う。
「だろ? 例えその神器が神を滅ぼせる力を持っていたとしても、それを使う者の能力が低ければなんの意味もない。イッセー、今のお前じゃ神どころか目の前にいるこんな少女を倒すこともできないんだよ。そういうことをちゃんと考えてから行動しろ」
俺はイッセーを持ち上げ、そのままの勢いで後ろに投げ捨てる。
「……いきなり投げないでください。危ないです」
そう言いつつもイッセーをキャッチしてくれる小猫。ナイスだ。
「イッセーさん! 今傷を――」
「アーシアさん、治療はあとでしてください。別に治療するなというわけではありません。今は治療しないでください」
今は<聖母の微笑み>で治療するところを見られるのはマズい。これ以上あちらにこっちの手の内を明かすわけにはいかない。
「赤龍帝の小僧はともかく、そっちの<兵士>は中々できるようだな」
ライザーさんは俺を好奇の目で見る。
「お褒めにあずかり光栄です。ところでリアスさん。先程の宣戦布告の仕方ですが、あれじゃあダメですよ?」
形だけのお辞儀をして流し、リアスさんにそう言う。リアスさんは俺の言ってることがわからずに疑問府を浮かべていた。
「もっとちゃんとした宣戦布告をしませんと」
「……そのワインとグラスは何処から出したの?」
「企業秘密です」
俺はワインとグラスを持ち、ライザーさんの前まで行く。
「ライザーさん。安物ですが、どうぞ」
ワインのふたを開け、グラスに注ぐ。
「ほう。気が利くな」
「いえいえ、それでは……」
俺はグラスをライザーさんに渡す。
「――リアス・グレモリーからの宣戦布告じゃあ!!」
――と見せかけて中身を顔面にぶち撒ける。
((((((((ええええぇぇぇぇぇぇぇ!?))))))))
ほぼ全員の心の声が一致した気がする。ふっ、まだだ! まだ終わらんよ!
俺はまだ中身が大量に残ってるワインをライザーさんの頭の上で逆さまにしてぶっかける。
「オラオラ! 我が主の酒が飲めねぇってのか、あぁーん!?」
顔どころかスーツまで完全にワインで濡れるライザーさん。
「――うおっと!」
次の瞬間、ライザーさんの体から炎が出る。
「危ないですよライザーさん。お酒に火なんてつけちゃ」
「貴様……!!」
おお、凄いプレッシャー。相当頭にきてるんだろうな。
だが、そうなればこちらのものだ。
「おやおや、どうしたんですかライザー殿? 上級悪魔ともあろうお方がこんな下の者の言うことに一々怒っていては、あなたの器が知れますよ? ククク…」
「っ! おのれ――」
「おや、よろしいのでありまするか? イッセーはともかく、俺はあなたに攻撃をした覚えはござりません。それなのに攻撃するのは、どうかと思いますよ? それに、挑発という捉え方でいうのなら、あなたの方が俺たち対して多く挑発ととれる行為をしてる。なのに自分は怒りの炎を上げて手をあげるとは、なんとも大人気ない――いや、悪魔気ないでござんす」
「っ!!」
「ありゃ? 本当にこれだけで手を出せないとは、とんだチキン野郎でやがりますな。いや、フライドチキン野郎ですかね? なんとも美味しそうですな」
「――おい、リアス・グレモリーの<兵士>。それ以上のライザー様への侮辱は、我々も黙って見ていることはできんぞ」
騎士甲冑を着た女性がそう言ってる内に、ライザーさんの眷属が俺の周りを囲む。全員もれなく殺気のサービスつきで。
「……我慢ならないからなんです? まさか此処で戦うなんて言いませんよね?」
「戦い? 勘違いをしているようね坊や。――戦いではなく、虐殺よ」
杖を持つグラマラスな女性がそう言う。……………虐殺?
「ク、クク……! ハハハハハ!!」
「どうしたの? 恐怖でおかしくなったのかしら?」
「違いますよ。虐殺? ええ、いいですよ。やってみせてください。――本当にできるならな」
「「「「「「「「!?」」」」」」」」
俺はその言葉と共に本気の殺気を出す。すると、全員が少し怯む。
「虐殺ってのは一方的にどんなを手段を使ってでも相手を殺すことを言うんだ。つまりあんたらはこう言ってる。俺に反撃されることなく殺せる、と。――はっ! なめんじゃねぇぞ。全員は無理でも、少なくとも五人は一緒に逝くことになるぜ?」
俺のその言葉に笑う者はいない。そりゃそうだ。本気で言ってるからな。
実際この場で戦うことになれば、俺は全力で抵抗して一人でも多く道連れにしてやる。
「お止めください皆様。レーティングゲームで決着をつけると決めた以上は、それ以外での戦闘はお控えください」
流石に黙って見てられなかったようで、グレイフィアさんが仲裁に入る。
まあ、この人に逆らえばただじゃすまないことは目に見えてるので、此処はおとなしく引き下がろう。ライザーさんたちも同じ考えのようで、俺を囲うのを止めて元の立ち位置に戻る。
「そういえばライザーさん。もちろんこちらに何かハンデはくれるんですよね?」
「竜真!? 何を言って――」
「リアスさん。申し訳ないですが、今回ばかりはプライドを捨ててください。今のままじゃあ、俺たちは絶対に勝てません。それとも、あなたはプライドのためだけに自分の将来を好き勝手に決められてもいいんですか?」
リアスさんにこれは屈辱的なことだとはわかっている。だが、今だけは耐えてほしい。あなたの自由のためにも。
「それでライザーさん。ハンデはくれるんですか? くれないんですか? それとも、俺たちが強くなったら勝てないと思っているんですか?」
「ふん、いいだろう。十日だ。下僕を鍛えるにはそれだけあれば充分だろうリアス?」
「……ええ、わかったわ。私たちに十日の猶予を与えたこと、後悔させてあげるわ!」
「楽しみにしてるよ。次はゲームで会おう」
そして、ライザーさんは眷属のところに行き、魔方陣を展開する。
「赤龍帝の小僧。ちゃんと強くなれよ? お前の一撃がリアスの一撃になるんだからな」
しかし転移する前にイッセーにそう言う。へえ…。意外とリアスのことを想ってくれてるんだな。
それで終わったと思ったのだが、今度は俺を睨みつけてきた。
「それからお前。ゲームで必ず痛い目に遭わせてやる」
そんな言葉を残して、今度こそ転移した。
ふん、上等だ。
「俺の火力に敵うと思うなよ?」
籠手から凄まじい熱を放つ炎が出る。それは俺の闘争心に、文字通り火が点いたことを表していた。
「竜真? とりあえず、あなたが壊した扉と床の修理費は払ってもらうわよ?」
はい、一気に熱が冷めました。
ちなみにこの修理費で俺の貴重な食費は消え去った。……明日からどうしようか。
竜真は人を煽るのが得意です。でもって相手の揚げ足をとるのも得意です。だからこんな一方的にやれるのです。
それで相手が怒って襲いかかってきても大体は迎撃できるので性質が悪いですね(笑)
あと、もう堕天使たちを殺した時点でわかったとは思いますが、竜真はその気になれば殺すことに躊躇いはありません。ちなみに今までぶちのめしてきた不良たちはちゃんと生かしてるのでご安心を。
早く能力をフルに使って暴れてもらいたいですねぇ…。
それではこの辺で。ココー。ココー……。アーイー、トキートキー、ココーココーココーココーコーコ!!←キチガイ