どうも、芋売り一般兵です。
火おこしに関しては全て不問にしてくれるらしいので、今日も芋をふかしてます。
売れ筋ですね〜。
!後ろで芋の袋を盗もうとしているお馬鹿さんがいますね。立てかけてある槍の電気ショックでとっちめましょう。
気絶しない程度にビリビリしたら事情聴取です。お前許されないぞ?おぉん?
…優しい人だから許してくれると思った?舐め腐ってますねぇ。
そういえば、この彼女の服装…さっきの火おこし事件で【天使の教団】に連れられた時に見た気がします。白を基調にして、体の側面部全部が黒く塗られてる服装です。枢機卿が着てました。
【天使の教団】の信者なのでしょうか?その疑念も含めて問い詰めます。…泣き出した!?おいおいおい!
え、【天使の教団】には言わないでって?これ…家出少女ってやつじゃ無いでしょうか。
なんでも彼女は家出の途中、港で船に乗り、リンドベルに行こうとしていたのですが、食料もないし、そもそも潮の流れのせいで欠航中とのことあって、途方に暮れている中、生きるために盗みを働いたそうです。
…泣かせますねぇ。まぁ、事情が事情なんで、うちの屋台で働くならご飯も分けてあげてもいいんですけど…。
親御さんが心配してるんじゃない?っていうと、凄い勢いで怨嗟をぶちまけられました。
なんでも人体実験してるとか、リンドベルの人たちを攫ってるとか、神捧祭で【海の教団】を皆殺しにしようとしてるとか…。
…?????お、お嬢ちゃん、名前は…。
アストラ・ラハーラ…。枢機卿の、お子さん…。
───
「…助けて!私は【天使の教団】だけど!それでもこの国の人たちが全員死んでしまうなんて許せない…!」
「父上も母上もどうかしてるの!あなたしかいないわ!あなたが最終兵器───【天使】の開発を止めるしか…!」
必死にダルムへ懇願するアストラ。
彼女はマルドクの後継として、マルドクのやることを全て見せられて来た。
だが、彼女の正義感は悪を為すことを許さなかった。
彼女は【天使の教団】の施設を抜けてから、リンドベルに渡航し、助けを求める気でいた。だが…。
『外出許可を出す。今までよく耐えたな。アストラ…。友達と遊んできなさい。』
『ありがとうございます。お父様。』
彼女の父、マルドクはその反逆の思想を読み切っていた。
なので、船が欠航する日までアストラを、後継者教育を施す目的で拘束し、外に出るのを禁じたのだった。
「…全員、死ぬのか?その天使とやらのせいで。」
「ええ…。リンドベルの研究所のデータのせいでキメラとしての完成度が上がってるの。5年前に北国、ラーブバーンに隕石が落ちたのは覚えてる?あれと同じくらいの被害は確実に出てしまうの…!」
5年前のラーブバーンでは、50万人の人々が一夜にて消滅した。
ガナ公国の人口は68万人、ほぼほぼ壊滅するということだった。
「…わかりました。芋屋の屋台は任せます。金を盗まないでくださいね。」
「芋屋…えっ?」
「あなたの言うとおりなら、とんでもないことだ…。恩師はこの国を楽園のような国と言っていた…。滅ぼさせるわけにはいかない。」
ダルム・リングは槍を手にする。
「天使計画、俺が止めて来ます。」
───
「ふっ!ほっ!はっ!」
「筋がいいじゃないか!マーロー!」
「ぐっ、ぬっ、うっ!ぐわっ!?」
マーローが倒れ込む。勝負ありだ。
「いてて…。」
「修行って、今やることなの?」
「君たちには、【海の教団】の秘宝───獣化の術を覚えてもらわないといけないからね。」
「…え?獣化の術…?どう言うことですか?ラインハルトさん。亜人はキメラを先祖とする種族なんですよね?」
「ま、そこはおいおいね…。キメラとは違って、大地の精霊から力を分けてもらう術さ。副産物として、術を使っている間は獣の特徴が出るんだ。大地の精霊に力を分けてもらうには、一定以上の強さが必要なんだよ。」
「ふむ…そういえば、【戦いで心研ぎ澄ませし戦士 大地の力を駆り すさまじき力を発揮する】だったか?ガナ公国の歴史書に書いてあった。」
「その通りだね。マルツド…。じゃ、覚悟してくれよ?…すごくみっちり鍛えるから!」