死の天使、魔竜ガブリエール。
やつの殺戮能力は半端ありません。どーも。一般兵です。
…!馬!家々を飛び移ってたら、そこらへんを四足歩行している馬を見つけました!飛び乗ります!走れ!
おや、何か喋っています。亜人だったようですね。どうでもいいや。走れ!早くしろ!今は緊急事態です!
おっ、頑張り始めましたね。成功です。自分は宣教師だーとかなんだと言っていますが、ガブリエールが居るのに立場もクソもありません。
そろそろ、魔竜ガブリエールについて解説しましょうか。ガブリエールは竜のくせに、鳥のような羽を持つ魔物です。
脅威的な特性は以下の6つ!
1.羽から出る鱗粉を一定量吸い込むと死ぬ。
2.巨大な身体。
3.炎を吐く。
4.身体を覆う硬い鱗
5.動く物を執拗に追う習性。
6.繁殖力の高さ。
この6つの特性により、人の生命を最も脅かす魔物だとガブリエールは言われています。
鱗粉は今もガナ公国の街に流れ続けています。早く殺すか、飛行をやめさせて鱗粉が撒き散らされるのを止めなければいけません。
…ん?あ!ラインハルト!空を鳥の亜人達が飛んでいます!ガブリエールを目指しているようですね!これは心強い…!
あ、ガブリエールのうちの一匹がブレスを吐きます!亜人達に向けてです!…あれ、おい!避けろ!ガブリエールのブレスは一瞬で3km先にも届くんだぞ!
…くそっ!間に合えぇええええええ!!!教官直伝!【軌跡魔術】!起動!!
───
ラインハルトと、その仲間の宣教師達はタイガナーン霊峰へ向けて飛行していた。
「ラインハルト殿!」
「ベクカ。どうした?」
「あちらにダルム・リングと…【天使の教団】の宣教師、馬の亜人のマグナガ・マフィンです。どうしますか?」
「…ダルム・リング…。【天使の教団】が俺たちの邪魔をしに来たのかな…?」
飛行の途中、ラインハルトの仲間が地を駆けるダルム達に気づく。
「ダルム・リングは何かこちらに呼びかけているようですね…。」
「この距離では聞こえないな…。」
「あっ!ダルム・リングがこちらに…槍を向けてます!?」
「なっ!?本当に【天使の教団】が我々と交戦すると言うのか!?」
あっけに取られたラインハルト一行。
槍が投げられる。
(え───はやい。)
そして───彼らの視界と、大地の景色が、変わった。
何かに突き飛ばされるような感覚。
「ぐあっ。」
わずかな悲鳴。視界が乱れる。
ふと、瞬きをすれば───とてつもなく巨大な爆発を、目の前で見ていた。
(───。)
思考が止まる。
なんだ?これは?転移魔術?何故目の前が爆発を?ダルム・リングか?───みんなは?
「ハッ!?おい!?ベクカ!ランドマ!ミネルバ!返事をしろ!」
「───あっ!?ベクカ!居ます!」
「ランドマ!居ます!」
「ミネルバ!生きてます!」
「よし!…何か、見えていた者はいるか?」
「突き飛ばされたことだけ覚えてます!」
「右に同じ!」
「ミネルバ!同調します!」
「…。わかった。俺たちを突き飛ばした者の正体の詮索はやめるとしよう。優先順位が違う。…あれか。爆炎の主は…。」
ラインハルトは一旦、自分達を襲った不思議な体験の追求を中止し、爆炎が来たであろう方向を見る。
そこには───天使の羽が生えた白竜、ガブリエールが羽をはためかせていた。
「なるほど、木々に隠れていた為に発見できなかったんですね!」
「ああ…。ミネルバ!お前は本部に報告を!ベクカ、ランドマは俺の援護をしろ!ここでガブリエールを足止めする!」
「「「ハッ!」」」
ガブリエールは咆哮を上げ、ラインハルトに襲い掛かる。
ラインハルトは大剣を構えた。
竜狩り───開始!
───
「ぬおおおおお!拙僧!美少女に踏まれたかっただけなのにぃィィィィィ!!」
「黙れ!黙って走れ!死にたいのか!ガブリエールが3匹だぞ!!」
「それもこれもアンタのせいだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「…クソッ!さっきの【軌跡魔術】で魔力を使い切っちまったし…。」
【軌跡魔術】。
物体に、事前に決めた軌道を高速で辿らせることができる魔術だ。
今回は槍に使用し、ラインハルト一行をガブリエールのブレスから避難させたのであった。
「槍もブレスで溶けちまった。獲物がねぇんじゃ戦いようがねぇや…。」
「テメー!俺は全裸で魔物の前を走ってんだぞ!もうちったぁ希望のあること言えや!」
「!…オラッ!右だ右!早くしろ!」
「ぐえっ!えぶっ!?ぐぅぅぅん!!」
ダルムは馬…の亜人、マグナガ・マフィンの腹を思いっきり蹴り飛ばす。
10m程度吹っ飛ぶマグナガである。
「ひぎゃぁぁぁぁ!?さ、さっきまでいた場所が黒焦げになったァァァ!?」
「筋がいいな。軍の馬ならさっきので避けきれずに消し炭だぜ。」
「ひ、ヒヒィィィン!」
(…しかし、どうすっかね…。)
裏にはこちらを追う三竜。逃げ切れるものとは思えない。
だが槍はなく、いざという時の【軌跡魔術】も使えない。
(…だれか、助けてくれねぇかなぁ。)
「アッ!?」
「ん?ぬわぁっ!?くそっ…この場面で転ぶ奴がいるか!」
マグナガは石に躓いて転んでしまう。
ダルムの身体は空中に投げ出された。
マグナガはパニックだ。おそらく…火球を避けることは難しいだろう。
「早く逃げろ!…付き合わせて悪かったな!」
「ヒヒィィィン!!」
二足歩行で逃げ出すマグナガである。
三竜はマグナガの方を見つめる。
「こっち見ろっ!アホンダラ!」
マグナガが躓いた石をガブリエールへ投げるダルム。
石はガブリエールに命中した。
「ちょいと付き合ってもらうぜ…!」
(…ラインハルトは多分生きてる!奴が来るまでここで生き残る!)
3体のガブリエールの首が、ダルムへと向く。
絶望的な状況───それでも、ダルムは笑っていた。
「来な!お前らの扱い方は、リンドベルで予習済みだ…!」