ぐお?…おっす。一般竜です。
さっきまで地底湖で寝ていたはずなんですが…此処はどこでしょうか。なんか、んー…?人間?人間だっけ。人間がこっちを覗いています。いっぱいいますね〜。
挨拶でもしようかな〜。手を前に出します。…?手を突き出す途中で何か割りましたね。えー…と、ガラス、でしたっけ?
なんか俺の周りにある水が破れたガラスから外に溢れ出ていきます。面白いなぁ。もうちょっと割ろ。
うはぁ〜どばぁって流れていきますねぇ〜。
おっ、人間もなんかすごく大きな声で叫んでます。楽しそうだなぁ。俺もよく咆哮してましたからねぇ。よし、此処は俺も一丁やるか!
うおおおおおおん!!
俺が叫ぶと喉の奥から炎も出てきます。派手でいいですねぇ。
気がつけば人間はいなくなってました。…ああ、そういえば人間は炎には耐えれませんでしたね。
機械音声が流れています。人のいる方に行きたいな。ちょっと外に出ようと思います。
あれ?羽がないなぁ。生やそ。
よし、生えました。自慢の赤い翼です。
さー、巡回開始です!
───
「…ダルム・リングの適合率…100%。竜とほぼ同化してしまっています…。」
「驚異的だ…。あの巨大な竜を人間の体に格納しているとでも言うのか…。」
「遺伝子調査の結果、出ました!ソーサリーの猛獣の遺伝子が混ざっているようです!入り込んでいるのは、危険度C、ヒトモドキです。」
「ヒトモドキ…人間に擬態する猛獣か…。ソーサリーの獣由来であるならば、あのRCC数値にも納得だ。リンドベルには立地の関係上、ソーサリーの獣は比較的入りやすい。」
不意に、ガラスが破れる。
「…ダルム・リング、目覚めました!強制術印起動!」
ダルム・リングの培養槽だ…!培養液が流れ出る。
彼の首に付けられた首輪から、麻痺の強制術印が起動する…!
「ダメです!動き、止まりません!」
「なんだと!?強制術印をレジストするほどの膨大な魔力を持っているということか…!」
実は、自力で強制術印を解除する方法は存在する。
それは膨大な魔力に任せて、刻まれた術式を【乱す】ことだ。
乱すに十分な魔力があれば、強制術印に刻まれた術式は効果を発揮しない。
「ま、まずい!退避だ!」
その言葉を最後に───人が溶けるほどの炎熱と、爆音の轟きが、研究員達を包んだ。
───
「ダルム・リング。脱走です。如何しますか?」
「案ずるな。通常種のガブリエールを素体としたキメラ兵の数を言ってみろ。」
「87名です。」
「ガブリエールが87体ともあれば、ダルム・リングにも遅れをとることはないだろう。だが…アストラが心配だな。意識を持った状態からのキメラ化な以上、ガブリエールに呑まれるようなことはないと思うが…。」
マルドクは今後のことを案じる。
輝ける竜のキメラ、アストラ・ラハーラ。
その瞳は───未だ開かず。
───
「聖剣弾頭っ!発射ぁぁぁぁ!!」
「ってー!」
マルツドとライネは、カースから言われた弾頭を専用大砲で打ち出す。1000mm口径の超大型大砲だ。そこから放たれる聖剣弾頭は、ガブリエールを逃さない…!
火薬の爆発音が、周囲に轟いた!
「当たった!」
「うおおっ!?当たった所から身体が崩れていやがる!?」
砲弾がモロに当たったガブリエールは悲鳴を発しながら灰となる。
「わーお、少年達。弾頭を使ったのね〜。お手柄、お手柄♪」
「わっ、カース!?アンタいつの間に!?」
「気にしないで。それより…早くあと5匹倒さないと、こっちが狙われちゃうわよ?」
「そ、そうだ!」
仲間の悲鳴に反応したガブリエールが、ゆっくりとこちらを向き始める。
「うおおおおおってえええ!」
「狙い撃ちまーす!」
「打ちまくるわよ!!」
ガブリエールへと応戦する三人組を見て、カースは呟く。
「…聖剣弾頭。その本質は…相手に強制術印を刻むことにあるわ。相手に刻む術式は───消滅術式。」
だが───突如として、ガブリエールの一体が吹っ飛ばされた。
「あっ!?あれは───アシュラ!みんな!打ち方やめ!アシュラに当たっちゃう!」
「おお!アシュラ!」
───
アシュラは、自身が眠っていた民家を出る。
「誰だか知らんが、治療してくれたようだな…。そして奴はガブリエール!災厄の魔獣!色々なことは抜きにして───まずは奴を駆除する!」
空中にて、人々へ向けてブレスを吐くガブリエール。
一撃で家が溶け、人が死ぬ威力だ。市街地の死体は皆、誰が誰かわからないほどに黒く焦げていた。
「…一宿一飯の恩!此処にて返すぞおおおおお!!」
アシュラの術式は、身体強化…魔力を回すことで、身体能力を限界以上に強化する。
アシュラは屈伸して、飛び───右の3腕にて、全力の攻撃をガブリエールへ繰り出す…!
「ガブリエールのブレスは、10秒ほどのチャージが必要!そして…。」
上の腕はガブリエールの頭を、中、下の腕はガブリエールの心臓を───思いっきり、打ち付ける!
ガブリエールは悲鳴を上げ───なんと、絶命!打ちどころが悪かったのもあるが、ガブリエールの鱗の内側───内蔵に、アシュラの凄まじい衝撃が加わったのが大きい。
「ガブリエールは"ショック死"する唯一の魔物…!俺の敵じゃないわぁぁぁぁ!!」
ガブリエール相手に、無双の活躍を見せるアシュラであった。