ぐおー。一般竜です。
なんかすごい機械的な施設ですね〜ここ。リンドベル研究所の2倍ぐらいは鉄のパイプとかが施設内に張り巡らされてます。
ん〜なんか、なんか居ますねぇ…。
あー、思い出した。クロか。
クロがどっかで鳴いてます。助けにいかないと。
あいつあんまり1人とか慣れてないんですよね。
ここの地下…かな?
───
ゼル大聖堂の地下…ガナ公国キメラ研究所にて───。
「赤のガブリエール、ダルム・リングが黒のガブリエールを収容している地区を徘徊しています。どうされますか?」
「あまり刺激するな。この研究所のような密閉空間では、いくらガブリエールのキメラ兵が何体いようとも纏めて焼かれるだけだ。」
「了解しました。監視を続けます。」
「…そろそろ、夜明けか───後2日、ガブリエールには街を襲い続けてもらわねば、な。」
マルドクは資料に書かれた一文を見つめる───。
その内容とは、追加でガブリエールを500体、飼育完了、との一文であった…!
「マルドク枢機卿、そろそろ…。」
「うむ、市井を救った英雄として、ガブリエールを解き放った悪魔───【海の教団】を蹴散らさねばな。」
計画は───第二段階へ至る。
───
アシュラがガブリエールを3体ほど撃ち倒し、残りの数が2体となった所であった。
「ぐぐ…うっ!?」
「アシュラ!どうしたんだ!?」
「…まずい!ガブリエールの鱗粉を吸い込みすぎたのよ!」
突如としてアシュラが膝をつく。
ガブリエールがブレスのチャージを始めた…!
「アシュラは常人よりも肺活量が遥かに多い…!もう動けそうに無いわね、彼…!」
「聖剣弾頭… !間に合えええええええ!!」
───束の間であった。
マルツドが聖剣砲弾を射出する、その直前に───。
2体のガブリエールの首は落とされていた…!
「【天使の教団】、宣教師───パウリ。」
「同じく、宣教師キルビム。」
「お待たせしました。市井の方々───もう大丈夫です!」
「ガブリエールは我ら、【天使の教団】が打ち取りました!」
高らかに宣言する、犬の亜人…パウリとキルビム。
だが───場にいた面々は、困惑するのみであった。
何故なら、彼らの背には…翼が生えていたから。
───
タイガナーン霊峰。
そこで休養しながらガブリエールの監視をしていたラインハルトに、襲い掛かる凶刃───!
「ッ!?貴様!?何をする!」
「我らが道の邪魔故───【海の教団】は皆、死体になってもらうことになった。」
「【天使の教団】!?」
「我の名は、アーク…。いざ尋常に神に召されよ。」
アークを含む6人の、ガブリエールのキメラ兵がラインハルトに襲いかかる…!
「ラインハルト殿、貴方はあまり抵抗しない方が良いと思われる。」
「自分の命の危機だぞ!?抵抗しないやつがあるか!」
6人の剣をギリギリで見切り、時には躱し、時には剣で受け流すラインハルト。
(…こいつら、膂力もスピードも桁違い…!)
「貴方のお仲間の宣教師は既に処分させていただきました。なんだったら、名前を言いましょうか?エリクソン、ラギア、ミラー、リリィ、カツラム、アラド…。」
「…なんと言った!ぐっ!?」
「【海の教団】が抱える6人の宣教師を皆殺しにしました。あとは貴方含め4人…。今頃は、それぞれに刺客が向かっている所でしょう。」
「貴様らァッ!!魔術───限界起動!」
【海波魔術】が起動する…!
憤怒を込めた6の剣閃が、アーク達へと叩き込まれる───!
が…。
「…当たりませんねぇ。」
アーク達は格納していた翼を出し───ラインハルトの剣をすいすいと避ける。
「翼…!?犬の獣人のお前らが!?」
魔術の効果が切れる。
ラインハルトはアークに蹴り飛ばされた!
「ぐはぁっ!?」
(…な、なんだこの衝撃…!?腕と足が一本ずつ逝った!ガブリエールのような…ような…まさか!?)
「…お、お前ら…。ガブリエールとの、キメラを…。」
「ええ、まぁ、はい。」
「……。」
ラインハルトは語り出す。
「…ガナ公国の歴史はキメラ兵から始まった。過去の大帝国、リンドグラード帝国から脱走したキメラ兵の寄り合いがこのガナ公国の始まり…。人間をルーツとする彼らが、人間らしく生きるためにどれだけの努力を必要としたか、分かるまい。」
「奴隷のような扱いを無くすために、何百人もの亜人が犠牲になった。」
アークは笑う。
「それで?どういうことですか?私でも知ってる歴史ですが…。」
ラインハルトは静かに吠えた。
「ガナ公国の教義…覚えてるか?」
「ええ、天使が1000年ごとにこの地に降り立ち、世界を救う。その後に役目を終えた天使は空に登る…と。」
「役目を終えた天使は、ここに眠っている。」
「え?」
ラインハルトは地に手を付いた。
「大地の精霊、もとい…星灯の天使よ。」
タイガナーン霊峰の真実とは、一つの魔術印であった。
「今一度───我に力を与えたまえ。…教えてやるよ、【天使の教団】。」
ラインハルトは立ち上がる。
その傷はあっという間に治っていた。
「霊峰が先だ。その後に天使が作られた…。この地の有り余るエネルギーを、天使の形にして放出し、消費して大地を安定させる…それがこのタイガナーン霊峰の役割だ。」
タイガナーン霊峰は、地殻変動のエネルギーを天使として放出する魔術印であったのだ…!
「き…貴様!?その顔は…!?」
だが、アークが衝撃を受けたのはそこでは無い。
「ああ、これか?いわゆる…【獣化の術】の副作用ってやつだな。」
ラインハルトの顔が、人間となっていたのだ。
「…さぁ、行くぜ。エセ天使。本物の天使の代わりに、俺が裁いてやる…!」