城抜け一般兵   作:K+#ガソ林

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16話

 ぐおー。一般竜です。

 なんかすごい機械的な施設ですね〜ここ。リンドベル研究所の2倍ぐらいは鉄のパイプとかが施設内に張り巡らされてます。

 ん〜なんか、なんか居ますねぇ…。

 あー、思い出した。クロか。

 クロがどっかで鳴いてます。助けにいかないと。

 あいつあんまり1人とか慣れてないんですよね。

 ここの地下…かな?

 

 

───

 

 

 ゼル大聖堂の地下…ガナ公国キメラ研究所にて───。

「赤のガブリエール、ダルム・リングが黒のガブリエールを収容している地区を徘徊しています。どうされますか?」

「あまり刺激するな。この研究所のような密閉空間では、いくらガブリエールのキメラ兵が何体いようとも纏めて焼かれるだけだ。」

「了解しました。監視を続けます。」

「…そろそろ、夜明けか───後2日、ガブリエールには街を襲い続けてもらわねば、な。」

 マルドクは資料に書かれた一文を見つめる───。

 その内容とは、追加でガブリエールを500体、飼育完了、との一文であった…!

「マルドク枢機卿、そろそろ…。」

「うむ、市井を救った英雄として、ガブリエールを解き放った悪魔───【海の教団】を蹴散らさねばな。」

 計画は───第二段階へ至る。

 

 

───

 

 

 アシュラがガブリエールを3体ほど撃ち倒し、残りの数が2体となった所であった。

「ぐぐ…うっ!?」

「アシュラ!どうしたんだ!?」

「…まずい!ガブリエールの鱗粉を吸い込みすぎたのよ!」

 突如としてアシュラが膝をつく。

 ガブリエールがブレスのチャージを始めた…!

「アシュラは常人よりも肺活量が遥かに多い…!もう動けそうに無いわね、彼…!」

「聖剣弾頭… !間に合えええええええ!!」

 ───束の間であった。

 マルツドが聖剣砲弾を射出する、その直前に───。

 2体のガブリエールの首は落とされていた…!

「【天使の教団】、宣教師───パウリ。」

「同じく、宣教師キルビム。」

「お待たせしました。市井の方々───もう大丈夫です!」

「ガブリエールは我ら、【天使の教団】が打ち取りました!」

 高らかに宣言する、犬の亜人…パウリとキルビム。

 だが───場にいた面々は、困惑するのみであった。

 何故なら、彼らの背には…翼が生えていたから。

 

 

───

 

 

 タイガナーン霊峰。

 そこで休養しながらガブリエールの監視をしていたラインハルトに、襲い掛かる凶刃───!

「ッ!?貴様!?何をする!」

「我らが道の邪魔故───【海の教団】は皆、死体になってもらうことになった。」

「【天使の教団】!?」

「我の名は、アーク…。いざ尋常に神に召されよ。」

 アークを含む6人の、ガブリエールのキメラ兵がラインハルトに襲いかかる…!

「ラインハルト殿、貴方はあまり抵抗しない方が良いと思われる。」

「自分の命の危機だぞ!?抵抗しないやつがあるか!」

 6人の剣をギリギリで見切り、時には躱し、時には剣で受け流すラインハルト。

(…こいつら、膂力もスピードも桁違い…!)

「貴方のお仲間の宣教師は既に処分させていただきました。なんだったら、名前を言いましょうか?エリクソン、ラギア、ミラー、リリィ、カツラム、アラド…。」

「…なんと言った!ぐっ!?」

「【海の教団】が抱える6人の宣教師を皆殺しにしました。あとは貴方含め4人…。今頃は、それぞれに刺客が向かっている所でしょう。」

「貴様らァッ!!魔術───限界起動!」

 【海波魔術】が起動する…!

 憤怒を込めた6の剣閃が、アーク達へと叩き込まれる───!

 が…。

「…当たりませんねぇ。」

 アーク達は格納していた翼を出し───ラインハルトの剣をすいすいと避ける。

「翼…!?犬の獣人のお前らが!?」

 魔術の効果が切れる。

 ラインハルトはアークに蹴り飛ばされた!

「ぐはぁっ!?」

(…な、なんだこの衝撃…!?腕と足が一本ずつ逝った!ガブリエールのような…ような…まさか!?)

「…お、お前ら…。ガブリエールとの、キメラを…。」

「ええ、まぁ、はい。」

「……。」

 ラインハルトは語り出す。

「…ガナ公国の歴史はキメラ兵から始まった。過去の大帝国、リンドグラード帝国から脱走したキメラ兵の寄り合いがこのガナ公国の始まり…。人間をルーツとする彼らが、人間らしく生きるためにどれだけの努力を必要としたか、分かるまい。」

「奴隷のような扱いを無くすために、何百人もの亜人が犠牲になった。」

 アークは笑う。

「それで?どういうことですか?私でも知ってる歴史ですが…。」

 ラインハルトは静かに吠えた。

「ガナ公国の教義…覚えてるか?」

「ええ、天使が1000年ごとにこの地に降り立ち、世界を救う。その後に役目を終えた天使は空に登る…と。」

「役目を終えた天使は、ここに眠っている。」

「え?」

 ラインハルトは地に手を付いた。

「大地の精霊、もとい…星灯の天使よ。」

 タイガナーン霊峰の真実とは、一つの魔術印であった。

「今一度───我に力を与えたまえ。…教えてやるよ、【天使の教団】。」

 ラインハルトは立ち上がる。

 その傷はあっという間に治っていた。

「霊峰が先だ。その後に天使が作られた…。この地の有り余るエネルギーを、天使の形にして放出し、消費して大地を安定させる…それがこのタイガナーン霊峰の役割だ。」

 タイガナーン霊峰は、地殻変動のエネルギーを天使として放出する魔術印であったのだ…!

「き…貴様!?その顔は…!?」

 だが、アークが衝撃を受けたのはそこでは無い。

「ああ、これか?いわゆる…【獣化の術】の副作用ってやつだな。」

 ラインハルトの顔が、人間となっていたのだ。

「…さぁ、行くぜ。エセ天使。本物の天使の代わりに、俺が裁いてやる…!」

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