どうも、一般兵です。
あのガブリエール事変から三ヶ月の時が経ちました。
俺たち練兵組はあの後ガナ公国に残り、復興を手伝っていたんです。
潮の流れのせいで、そもそも船は出せませんからね。
ガナ公国の復興を手伝う中で、一つ良いことがありました。
キメラを分離できる魔術が見つかったんです。
これはキメラ第一世代…つまり、俺とマーローみたいなキメラにされたての元人間にだけ適用できる魔術で、亜人達には効かないようです。
それによって俺とアカ、マーローとクロはそれぞれ分離され、それぞれの人生を歩めるようになりました。
ただ、アカとクロは人間並の知能がないとまずいので、そこはカースさんが色々と頑張って人間の脳みそを保持したまま分離できるようにしたそうです。
瓦礫をどけたり、家を作ったり、墓を作ったり…と。
三ヶ月はあっという間でした。
アストラの墓参りも終わり、今から俺たち練兵組はリンドベルへと戻ることになります。
…え?なんで俺までついていくのかって?
確かに俺はあの時ヴァラ砦から抜け出しました。
一人で逃げた俺は、マーロー達には許されないだろう…そう思って南へ向かっていました。
でも、マーロー達はそんな俺のことも仲間だと言ってくれました。
だったら、戻らないわけにはいかないでしょう。…それに、電気ショックをしてしまったライオンのキメラ…俺の父さんにも謝らなければいけませんから…。
───
某日某時。
ダルム・リング達一行を乗せた船が、リンドベルへと向かっていく。
「俺たちのこと、忘れるなよ!少年少女!」
ラインハルトはダルム達を乗せた船へと別れを告げる。
「ああ!ラインハルト!教団の皆!俺は絶対忘れない!」
「またくるよー!ラインハルト!」
「ラインハルトさーん!お元気でー!」
「カースさーん!次きたらデートしてくれますかー!…へぶっ!?」
「マルツド、自粛…。今度はバカンスしに来るぞー!待ってろよー!」
船が遠ざかる…。
「アシュラ、いいのか?君は確か…。」
「ああ。俺はリンドベルの人間…。だが、あの国にいたくねぇ。あとは若いもんに任せるさ。」
アシュラはキメラ化を解くこともせず、亜人としてこの国にいることを選んだ。
「皆、お疲れ様♪」
「カース。」
カースがビールの入ったジョッキを運んできた。
「今日は無礼講よ。ガナ公国を救った英雄の船出、祝わなくてどうするの?」
カースの顔が赤くなっている。
「…おまえさん、絡み上戸だったのか…。」
「やれやれ、名医もこれでは形無しだな。」
その日は、ガナ公国中が晴れやかな雰囲気で満たされていた。
───
数日後…。
「ここがダルムの実家か!カカカ!」
「…兄さん。家の木材剥がしちゃダメだよ。ドアはこっち。」
「いやなんでお前らついてきてんだよ!?」
「しばらくこっちで知見を深めるつもりなんだ。」
「この吾輩もじゃ!」
「…人殺しとか、するなよな…?」
「もちろんだよ。ダルム。」
「分かっとる分かっとる、手加減は慎重に、じゃな!」
リンドベル練兵所へと向かう途中で、ダルムの実家へと寄った一行。
彼らの中に潜んでいたのは、クロとアカの二人組であった。
「木ィ?燃えるもんで巣を作るとは、不思議なもんじゃのう。」
「人間は兄さんみたいに炎を吐かないんだよ。」
「炎、綺麗じゃのに…。」
「下手なことはしないでくれよ…?俺と父さんと、母さんの家なんだから。」
イブヨ・トロンの手により、キメラとなったリンドベルの村の住民は、そのキメラ化を解除された。
ダルムに歩み寄る二人組。
「ってい!」
「ぐはぁ!?」
「やめなさい!お父さん!みっともない!」
ダルムの父と母だった。
「小突いてやんないと、気が済まんくてな。ダルム。これでチャラだ。」
「…もう。無事で一家三人揃えただけでもよかったのに…。」
「…父さん、母さん。…ありがとう…。」
その日一日は、ダルムの村で一夜を明かした一行であった。
「うまっ、うまいなこの芋っ!」
「ちょっとマルツド!芋煮取りすぎ!」
「まだまだあるわよ〜?」
「だってさ、マディ。」
「私おかわりー!」
「あらあら、元気ですねぇ。マディさん、マルツドさん…。」
「うん。…うまいな、この芋煮。」
「マーロー、ライネ、食ってるか?うちの母さんの料理は絶品なんだぜ!」
マディ、マーロー、マルツド、ライネ、ダルム。
5人の道行は、元に戻る。
元の進路に戻っていく。
それぞれが抱える、かけがえのない日常へと。
───城抜け一般兵、完。
読了、お疲れ様でした。
今回は見切り発車ということで、色々な漫画とかストーリーとかを参考に書かせていただきました。
どうでしたでしょうか?
よろしければ、感想などをいただきたく思います。
私の拙い文章を読んでいただいた読者様方、誠にありがとうございました。