城抜け一般兵   作:K+#ガソ林

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第5話

 どうも、一般兵です。

 あの後ですが、覆面の奴らが煙幕魔術を使いました。

 俺は全く魔術耐性がないので、普通に見失いました。悲しいね。

 まぁそれでもサボっちゃいけないので、適当に歩き回って侵入者を探します。

 …煙幕を抜けました。随分と遠くに来たかな。

 この研究所は結構広いので、移動が大変ですね。

 …なんか音が聞こえました。何かが戦ってるような…壁の向こう側から聞こえます。

 槍で貫いて壁の向こう側を覗きます。

 …なんか腕が6本ある巨人が暴れ回ってますね…。

 ここの壁は俺の槍でも貫けるぐらいの薄さです。あの暴れ具合ですから数分も立たず研究所は倒壊するでしょう。

 逃げようかな…。

 

 

───

 

 

「アンタ、アシュラね?私達に協力してくれない?そしたら、この錠を外すわ!」

「俺たちはドルさんの紹介で来たんだ。今はここの警備員に追われてる…。あなたなら俺たちを助けれるって聞いたんだ!どうか助けてくれないか!」

 マディ達は目の前の巨人のキメラ…アシュラに頼み込む。

「…ドルが、か。…運が向いてきたな。」

「…?」

「いいだろう!協力してやる。どうせ俺も、ここにいたらいずれ、洗脳手術を受けることになっていたんだ。大歓迎さ。」

 錠を外した後の、アシュラの暴れ具合はそれは凄まじかった。

「ウォラァァァァァ!!!」

 至る所の壁を破壊し、駆けつけた警備員を踏み潰し…。

「…す、すごい…。すさまじい破壊力です。アシュラさん…。」

「これなら、無事に人体実験の証拠を持ち帰れそうだ!」

 だが、その進撃は唐突に終わる。

「ぐっ。が、ああああああ!?」

「アシュラさん!?」

「…騒々しいねぇ。アシュラ。そして、侵入者達…。」

 そこにいたのは、イブヨ・トロンと警備員達であった。

「ち、父上!」

 マーローとイブヨ・トロンが向かい合う。

「キメラの人体実験なんかやめてくれ!父上!今まで出会ったキメラは皆、人間に戻して欲しいって言ってた!キメラになりきれなくて死んだ人もいるって聞いた!」

「こんなのは父上のやることじゃない!」

 イブヨは冷たく返す。

「違法か?」

「…っ。」

「法に反してるか?私の行動は。」

「……。」

 マーローは剣を抜く。

「…アシュラを助けるためだ。父上…!」

「アシュラは助からん。私を殺してもな。」

「魔術なんだろう?父上を倒せば止まるはずだ!」

「…アシュラの首輪…それに刻まれているのは強制術印と呼ばれるものでな。一度起動すれば、着用者の魔力を吸って延々と術を発動し続ける。刻まれた術式は麻痺。一生アシュラは動かんよ。」

 イブヨの言葉に、皆が絶句する。

「そ、そんな…。」

「アシュラより、君たちは自分の心配をした方が良いのではないかね?君たちは今、研究所に侵入した犯罪者…。殺されても文句は言えないぞ?」

 じりじりと、警備員達がマディ達に接近する。

「…ぐ…!」

「終わり、か…。」

「…だめです。ここを突破できる魔術もありません…。」

「畜生…!畜生…。」

 

「待たせたな!少年少女!」

 研究所の天井を割って、一人の亜人が戦場に介入する。

「ガナ公国、【海の教団】所属。宣教師ラインハルト・オードリ。ここに参上した。」

「なっ!?ガナ公国から介入だと!?」

 イブヨは慌てふためく。

 現れたのは大剣を背負う、鳥の亜人だ。

「教義に反し、異形を作り出した異教徒達を粛清する!」

 警備員達を子供のように蹴散らすラインハルト。

「くっ…ガナ公国の亜人…やはり、強すぎる!アシュラでもないのに、20名を超える警備員達が手も足も出ないなんて…!」

「あの人…目的は何?私達を助けてどうするつもり?」

「…今は流れに乗るしかないと思います。ラインハルトさん…私達より数段は強い…!」

 その剣はすぐさま、イブヨの喉元に届くところまで来た。だが…。

「…ム、中々強いな、君。」

「………。」

 ラインハルトの前に、黒い鎧を纏った槍兵が立ち塞がる。

 ぽつりと、イブヨが呟く。

「…ダルム・リング。そういえば君がいたな。」

 

「…その名は捨てました。今…俺はただの一般兵です。」

「…なに?」

「次からは、一般兵と、そう呼んでください。イブヨ所長。」

 

「…君、すごいユニークだね、一般兵くん。───叩き潰してやる。あと、そこにいる覆面ヘルムくん達!手伝ってくれたまえ!イブヨは、ここで確保する!」

「へっ!?俺達!?」

「やるしかないぞ!マルツド!」

 マディ達を巻き込んだ乱戦が発生する…!

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