城抜け一般兵   作:K+#ガソ林

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第6話

 どうも、一般兵です。

 なんか目の前で所長が襲われてたので、割って入った次第ですが…。

 え?え?何この状況?

 覆面ヘルム達は声を聞いて初めてわかったのですが、マーロー達です。なんでここに?

 生きててよかったんですが、イブヨ所長を殺しにかかってます。

 ラインハルトさんとやらは全く知らない人です。

 ガナ公国の人らしいので、仲良くしたいのですが…思いっきり大剣振ってきます!あんなすごい重量の武器を軽々と…!受け太刀するにも油断できません!

 数合重ねると、槍の芯がミシッと行きました。え?やばくない?これ。

 …もうここまできたら、取れる手段は一つ。謝罪して退散です。ですが今回、覆面ヘルム…マーロー達もそれなりに妨害してくるので、割ととっちめてしまいました。たとえ謝っても許してくれないでしょう。

 …囮作戦!そうだ!イブヨ所長を引き渡してその隙に逃げればいいんだ!

 そうと決まれば電気ショックです。イブヨ所長に打って気絶させて引き渡します。ごめんな。でも、マーロー達なら悪いようにはしないだろ、多分。

 皆あっけにとられた顔をしてますね。うんうん、成功です。皆の意識がイブヨに集中してるうちに逃げ切ります。

 …よし、逃げ切れました。あとはこのまま…このまま?そういえば、お金貰ってないような…。ガナ公国行きの船に乗るには、まとまったお金が必要です。

 でもお金くれる所長は引き渡しちゃった…。ど、どうしよ…。

 

 

───

 

 

「…中々、どころじゃないな!かなり強いな!君!」

「………。」

 ラインハルトと互角の戦いを繰り広げるダルム。

 ダルムは凄まじい膂力を持つラインハルト相手に一歩も引かず、隙あらば足を払い、小手を突くなどして着実にアドバンテージを稼ぐ。

「ラインハルトさん!身体強化の魔術を行います!…ぬがっ!?」

「くそ…!ラインハルト!俺も援護するぞ…ぐわぁっ!?」

「ライネ!?マルツド!?」

「…蹴り飛ばして魔術を発動させない戦法…ダルムさんらしいですね…。ぐふ…。」

「…あ、あいつ、練兵所にいた時と全く変わってねぇ…!恐ろしく強い…!」

「覆面ヘルムくん達?もっと頑張ってくれたまえよ。もっと!」

「やってるっつーの!…がっ!?」

 ライネ達も割って入るが、全く相手にならない。適当に蹴りを入れられてあしらわれる始末であった。

「不利だが───俺は宣教師だ!そろそろ決めさせてもらうぞ!この世は───。」

「ッ!?」

 ラインハルトの魔術が起動する。

 【海波模倣】、その魔術は海の波を模倣し、一撃の剣閃を4重に増やすことができる。

 巨大な波濤の再現である。

「この世は、正義が勝つッ!!」

「ぬがぁあああああッ!?」

 ダルムの身体が破壊される。

 壁に突っ込む勢いで吹き飛ばされる。

 場に、静寂が帰ってきた。

「…ダルム、あれじゃあ…。」

「案ずるな。彼の技量に合わせ、ギリギリ死なないところを責めたつもりだ。少なくとも急所は切ってない。」

「ラインハルトさん。あなたの目的は何でしょうか?私達に協力したところで、メリットなんてものは…。」

「初めに言っただろう。異教徒の殲滅だ。まぁ、我々の教義のタブーを犯した者達のみだが。…人体改造は重大なる禁忌、世界に広がればそのまま人を焼き滅ぼす業火となる。」

「…人体改造が禁忌だと!?視力のない者に視力を与え、味覚のない者に味覚を与える!それを為すのがキメラ化だ!禁忌なはずがないじゃないか!」

「父上!」

 ラインハルトの言葉に反応し、イブヨは喚き散らかす。

「私の研究は人の進化だ!人の幸福を最も願っているのは、この私だぁぁぁぁ!!」

「…イブヨ・トロン。それは、お前のエゴだ。キメラ化は遺伝する。俺達亜人の歴史は、そのままキメラ人の歴史だ。」

「…なっ!?それでは私の他にもキメラの研究者がいたと言うこと───ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「父上!?…ダルム!」

 ダルム・リング。

 彼はひとりでに復活し、イブヨを電気ショックで気絶させた。

「…これ以上(俺と戦うの)は、止めろ。」

「お互いに良くないはずだ…そうだな?」

 

「これ以上(亜人のルーツについて話すの)は…だと!?ダルム!お前一体、何を───。」

「わかり切っているだろう。イブヨ・トロンは引き渡す。そして…俺はここを離れる。追って来たら───わかっているな?」

「…ダルム!ダルムなんでしょ!何でこんなことするの!何で全部話してくれないの!?」

「…。忠告はした。俺はガナ公国へ行く…。2度と会うことはあるまい。」

「ガナ公国へ…!?」

 言葉の後、身を翻してマディ達の前から逃げるダルム。

「ダルム!おい!」

「ダルムさん!」

「おい、待てよ!ダルムゥゥ!!」

 場には、イブヨ・トロンとアシュラ、そして慟哭するマルツド達が残されていた…。

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