とほほ…金がない一般兵です。
もう、ガナ公国に行く宛なんてありません…どうすれば…。
ガナ公国へ行く定期便は明後日が最後で、それ以降は三ヶ月ほど潮の流れのせいで欠航します。密航…も考えましたが、ガナ公国の戦士達はそれはそれは強いそうで、密航しても海岸線で船が沈められるらしいです。
!
天啓を得ました!用心棒です!
誰かの用心棒になって航海に乗せてもらうのです。
この方法なら渡航後も色々と大丈夫でしょう。
さっそく職業凱旋所にいきます。
…お!見つけた!でも、用心棒ではありません。
船内医師の募集だそうです。俺は練兵所で一通りの知識を得ているので大丈夫でしょう。
さっそく行ってみます!
───
「…ガナ公国か。ダルム…待ってろよ!」
「こら!マルツド!まだ行けると決まったわけじゃないでしょ!」
「そうだ。俺たちは父上の為したことを書類にまとめなくちゃならない。ラインハルトさんと協力して捕縛したこともな。」
「これを怠ると裁判で罰されてしまいます。ダルムさんを追えないのは残念ですが…。」
4人組はため息をつく。
ダルムに何があったのか、どうやって生きていたのか、なぜガナ公国に行くのか…聞きたいことは、山ほどあった。
そんな中、ラインハルトが耳寄りな提案をする。
「少年少女、君たち、中々筋があるよ。俺と一緒にガナへついてこないかい?うちの教団が君たちの代わりにリンドベルへ報告するよ。」
「そ、そんな…。いいですよ。ラインハルトさん。」
マーローは遠慮した。
他国の人間に、自国で起きた事件の報告をさせるなんて、言語道断であったからだ。
「信用できないのは当然だ。俺と君らは違う国の人間…でも、君らの話によれば…君たちまだ、練兵中なんでしょ?君たちが書いた報告書なんてすぐ握り潰されちゃうよ?」
「くっ…。たしかに…。」
マーロー達は納得する。ダルムを追う意思を固めたようだった。
「じゃ、明後日の便に乗ろう。早朝に集合だ。いいね?」
───
船長が乗せる船員のチェックをしていた。
職業凱旋所の者達が乗船するための条件は三つある。
1.基本無給
2.食料は持参
3.十分な技能、だ。
ひどい条件のように思えるが、船を動かすには風の魔術式が描かれている帆を航海ごとに取り替えなくてはならない。
出費が毎度のこと嵩むため、給料さえ切り詰めなくてはならないのが現状であった。
「船医としての実力はあるようだな。」
「はいっ!是非、この船に乗せてください!」
「よかろう。食料も自前のものを用意しているようだからな。しかし…貴様、"イッパンヘイ"と言うのか?変わった名前だな…。」
「もう俺はただの一般兵なので…。名前は、特に気にしないでください。」