どうも、芋売り屋台の一般兵です。
薪を集めて、電気の槍で火をつけて、なけなしの金で買った鍋で海水を沸かして…ふかし芋を作っています。
船を降りたあとも路銀が必要なので、すこし時期が早いですが屋台開催です。ふかし芋いかがですかー!
元値が0円ですが、価格設定は強気で行きます。2個で350円!
亜人相手に結構売れました!生活するために十分な量の路銀は集まったかな?
ですが、火を使って鍋を沸かしていたので、火災などを警戒してガナ公国の警察が集まって来ました!これはいけません。
このままではしょっぴかれてしまいます…!火を消して、鍋を海に突っ込んで冷ましてからしまって、芋袋を抱えて…あーっ!?肩に手を置かれました!
放火未遂で逮捕です。トホホ…。
犬の亜人の警察の方についていくと、【天使の教団】と言うところに連れられました。
なんかイルカの亜人のおじいさんがこちらに声をかけて来ます。
…声が小さくて聞き取れない…。
犬の亜人の方が気を利かせて通訳をしてくれました。なんと、俺がイブヨ・トロンの関係者かどうか聞いているようです。
ラインハルトとやらがガナ公国にいるのであれば、ここは隠してもしょうがないですし、研究所の護衛をしていただけだと付け加えて言いました。
すると、なんか知りませんがすごく興奮し始めました。なんだろう…。元気ならいいけど…。
あと、火おこしの件はチャラになりました。よかった〜。
───
「ラハーラ枢機卿。件のお方をお連れしました。」
「ご苦労…。」
【天使の教団】の本拠地。ゼル大聖堂の、一般人には隠された間───降誕の間にて、マルドク・ラハーラとダルム・リングは向かい合っていた。
「…。」
(創建そうな若者だ。RCC数値が高いのも頷ける。…。)
「長旅、疲れただろう。ダルム君…。座りたまえ。」
「………。」
ダルムは座らない。
警戒を解く気はないようだと、マルドクは感じた。
「ならば、本題に入ろう…ダルム君。君はイブヨ・トロンの関係者であるね?」
「…。」
静寂。
「トロンの関係者かどうかを枢機卿が聞いている!早く答えろ!」
「…研究所を守っていただけです。…俺はただの一般兵。あまり気にかけないで欲しい…。」
「…それは、まことか…!?」
マルドクはイブヨ・トロンという男のやったことに驚愕する。
(この男が…一般兵!?あらゆる魔物に適合しうる逸材だぞ!?まさか…ホルモンの注入を行えば、全ての人間がこの男ほど強くなるというのか…!?)
「…ク、クク…フハハハハハ!!イブヨ・トロン!!やってくれたな!!」
「………。」
ダルム・リングは押し黙るばかりだ。
あくまでダルムの忠誠はイブヨ・トロンにあるらしいと、マルドクは推測した。
「良いだろう!天使の降誕が済み次第、イブヨ・トロンの奪還、マクワイン魔帝国への侵略、リンドベル王国へのクーデター…なんだってやって見せよう!それができる力を、イブヨ・トロンは残した!!」
「…よろしければ、ひとつ…。神捧祭、俺は薪に火をつけます。許可をいただきたいのですが…。」
「!!」
何も主張しなかった男の唯一の頼みが───火をつける、だと?
「よろしい!宜しいぞ!!薪──この国を存分に使いなさい!いくらでも許そう!!神の業火だっ!カカカカカ!!」
「…では、そろそろ退出しても宜しいでしょうか?」
「───許可する。君の行動、全てを不問としよう。」
天使降臨が───さらに近づいた。
───
「ようこそ───俺たちの教団。【海の教団】へ。歓迎するよ。」
「…この人たち全員、ラインハルトの仲間…!?」
「海の教団はこのガナ公国の歴史を踏襲した多数派の教義なんだ。そりゃ多いさ。」
「マルツド、知ってるのか…。道理でラインハルトさんみたいに強い方が宣教師なんてやってるわけだ。」
「ノンノン!少年少女。宣教師は決してぞんざいな役職ではないぞ!俺たち宣教師はパトロールなんかもやってるんだ!」
「…それは、最早宣教師ではないと思うのですが…。」