やあ、アリアルさんだよ。私の職業は考古学者、世界中を飛び回ってラヴァーナルの遺産や遺跡の研究が専門だね。少し前までは第一文明圏…ミリシアルの魔帝対策省に出向していたんだが、追い出さ…ゲフンゲフン、ここには収まらない才覚だと言われて遥々星の裏側、最近国交を結んだばかりという『サン=ユーオソキ双王国』に来たわけだよ。
軍の大型輸送機が着陸したのは土を均しただけの、簡素な滑走路。これは凄い国に来てしまったな、これがこの国唯一の空港だというから、全くこれからが楽しみだね。
輸送機のタラップを降りた先で『歓迎!M大学ラヴァーナル研究室 アリアル様 ミリアル様』のウェルカムボードを掲げるのは…少尉じゃないか。
本名は知らないが、前にフィールドワークの護衛についてもらったことがある。彼もここに左遷…ゴホン、異動していたとは、何かの縁だね。
「お久しぶりだねぇ…アリアル先生。前みたいなことは二度と御免だからよろしく頼むよ?…ん、ミリアルさんは?」
銃剣一本で
「ミリアルはカルミアークで途中下車さ、なーにボク一人で大丈夫だよ。」
カルミアーク王国の遺跡で新しい遺物が発見されたとかで急遽、妹のミリアルを残しボクだけが先に来たのさ。
「…ポンコツを送り出して優秀な方を残したのか…。」
おい、聞こえてるぞ。
さて、荷物を下ろして、少尉の運転する高機動車で滑走路の端のプレハブ小屋の群れへ向かう。今どき手動運転とは、相変わらずキミはローテクなものを好むね。…ハンドルを握って音楽を聴くのが好き?そうかい、でもこの車はオープントップだぞ?私たちみたいに擬似ニューロン内で流せないと思うが。気分の問題?そういうものか、ホモ・サピエンスの考えることはよく分からないな。
ごく簡単な入国手続きを終えると、ロビーで私達を待つVOICEROIDがいた。
あれ?知っているぞ!…ゆかり、ゆかりだ!訓練校以来じゃないか、なぜユーオソキに?
私達CoeFontシリーズと彼女達VOICEROIDシリーズは生まれこそ違うが、ゆかりとは訓練校の同期だった。
こんなところで会うとは、世間も案外狭いものかもな。
「久しぶりアリィ、ようこそユーオソキへ。…
知り合いかい?と聞く少尉にゆかりはそう答えた。
野暮用があるという少尉を残して、ゆかりと二人で野戦飛行場じみた空港のゲートを出た。
なあ、さっきチラッと見えたんだが、警備が空軍じゃなくて民間なんだな。いや、大抵の租借地は軍の要塞じみた警備体制だからさ。
「確かに、フェン王国の悲劇があるから、邦人が逃げ込んで脱出できる程度の備えがあることが多いね。」
駐留しているのは空軍の整備部隊程度で、警備は
「軍の駐留を侵略云々と騒ぐ勢力もあるから、ここでは民間の警備会社に外注ってポーズをとっているのよ。」
自走高射機関砲や軽戦車を装備した警備員ね…。本音と建前はお家芸ってとこか、大して変わらんだろうに難儀だねぇ。
さて、ボクを呼んだ理由をあらためて詳しく説明してもらおうか?キミたちじゃ手に負えない案件だそうだってね。
もう読んだだろうけど、と前置きしてゆかりがARレンズに飛ばしてきた資料には、ユーオソキ『河都』成立の伝説が記されていた。
——昔々、400年以上前、火竜列島統一前のユーオソキ『教都』にある日、魔王を名乗る鬼が現れ、都を明け渡すよう要求、拒否したところ教王を殺害して『三月以内に余の即位の準備をせよ。』と言い残し都を破壊して西に立ち去ったそうだ。
混乱に陥るなか破れかぶれの魔王討伐軍の西異対将軍を押しつけるように任されたのが後の河都…当時は蛮西と呼ばれた地の領主、初代河都王だった。当時の教都貴族は『倒せれば僥倖、負けたらアイツが勝手にやりました。』のつもりだったらしい。
初代王は蛮西で魔素の特に濃い地域、フターラの地で降伏の意を伝えたいと呼び出したそうだ。そして戴冠式の服を採寸したいと、教都の仕立て職人を呼んで鎧を脱いだところを当時星央から伝来した最新鋭の兵器、朝霧と天然の魔素に隠した大量の魔導砲で一斉射、見事討ち取ったそうだ。足元に釘入りの火薬樽まで埋めた念の入れようだったそうだ。魔王は爆死、それでも原形をとどめたミイラは今でもフターラの地で祀られている。
魔王を討伐した彼、初代トク=サンは勢いに乗ってユーオソキを統一、ついには幼い新教王から政権を預けられトク=サン朝河都王府を開いたと。
…魔王。同じ存在かは分からないが、ボクたちは知っている。古代ラヴァーナルの人類管理用生物兵器。国防軍、旧自衛隊はコイツの討伐実績を持っている。世界に残るラヴァーナルの残滓、ワクワクするじゃないか。未知を解き明かすのは大好きだ。今回は『当たり』の予感がするよ、楽しみだね。フフッ。
公式より先にボクっ娘属性をつけてたんやぁ〜信じてくれぇ〜。