吸血鬼––––––
文字通り【血を吸う怪物】
世界各地に神話や民話、言い伝えとして今もなお語り継がれている伝説上の存在。西欧圏ではヴァンパイア。中国ではキョンシー。マレーシアではペナンガルといった数多くの吸血鬼伝説が広まっている。
その実態だが、人のイメージによって大半が形成されてしまっている不定型とも言える怪物だ。
しかし、その中でも人々の思い浮かべる吸血鬼ならば、彼であろう。
更に遡れば吸血鬼ヴァーニーという本が皆のイメージの先駆けとなったものだ。
そんな吸血鬼の特徴を大まかに挙げるとするならば–––
・人の血を吸うことで生きる怪物であり、それは繁殖行動の一つでもある
・タキシードを着ている
・吸血の為に犬歯が大きく鋭くなっている
・嗅覚や聴覚など感覚の鋭敏化及び身体能力が向上する
・獰猛な性格になる
・鏡には映らない
・寝るのは棺の中
・日光にとてつもなく弱く、流水や
––––ざっとこれだけ挙げられる。
【嗅覚や聴覚が鋭敏になる】【性格の獰猛化】【水や日光に対する嫌悪】といったことから狂犬病もモチーフなのではないかと言われているそうだ。
しかし、現状僕が考えるべきは最初の【人の血を吸うことで生きる怪物であり、それは繁殖行動の一つでもある】だ。
そして僕の首からは––––
「血……か………」
赤く滑る毒々しい鮮血が微かに流れ、触れた手には酸化して黒ずんだ血が付着している。
「僕の、血––––だよな?」
「ッ……」
自分の血が付いた手を眺めている間、車内は重たい沈黙が支配していた。自動車は路肩に停車し、目の前の女性と運転手は面白いぐらい困惑した顔をしている。
とりあえず、確認するべきはことは。
「……貴女は、その––––吸血鬼、ということなんですか?」
「……」
彼女は押し黙っている。
沈黙は肯定か、否定か。もし後者ならば……。
「えっ!? てことは
「違うッ!!」
流石に後者なら
「なら」
「……はぁ」
言いづらそうにする彼女も流石に観念したのか、僕に覆い被さったままだった身体を起こしてこちらに目を合わせる。
「そっ、僕は吸血鬼。どう? 満足したかい?」
「満足したかどうかはこっちが聞くことな気が……いいけど……」
ようやく腑に落ちた。吸血鬼なら僕を抱えたままビルの屋上に飛び上がることなど造作もない。いや、実際どこまでできるかは知らないが。
だが、もし伝承通りなら––––
「じゃ、じゃあ……僕は、吸血鬼になった、という……ことなんですか?」
「ああ、問題ないよ。なってないなってない」
「ええぇ……?」
彼女はその伝承を首を振って否定する。
「おもんな……」
「なりたかったの?」
「いや、どっちでもと言うか……面倒半と面白半ってぐらいですね」
拍子抜けした感覚もある。
けれども、いきなり吸血鬼に襲われて『人じゃなくなったぞ』と言われても生活習慣にどこまで影響及ぼすか分かんないからめんど臭い。
だけど、成れるならなってみたいというのが本音である。一般的な男なら人外に憧れることは一度や二度ぐらいあるであろう。
「じゃあなんで、僕は吸血鬼にならなかったんですか? そうじゃないか……––––しなかったんですか?」
そこが疑問だ。
無条件で吸血鬼にするなんて無差別的で幼稚な繁殖を行うようにはなっていないはず。なら特定の行動で吸血鬼化の有無を決めれるのだろう。
やはり黒魔術とかそっち系の儀式のようなことを行うのだろうか?
彼女は指で頬を撫でながら『……仕方ない』と呟き、続ける。
「吸血鬼のことを知った以上は成ってもらう必要があるしね」
彼女の言葉に首を傾げる。
「人間を吸血鬼にする方法……正確に云うならば人間が吸血鬼になる方法。それは––––」
僕は息を呑んで言葉を待つ。
一体どんな条件が––––
「–––––人間が、吸血鬼に【恋】をする事だ」
「…………………はぁ?」
えっと、今、コイって言ったのか?
コイって、恋愛の恋だよな?
「–––––はぁ……ほぅ……へぇ……恋、こぃ……恋かぁ………」
予想だにしていなかった答えに、今度はこっちが頭を抱える。
魚の小骨が喉に痞えたような感覚で、飲み込めきれなかった。
「そ、吸血鬼に恋焦がれた者が吸血されることによって初めて吸血鬼になれる。そういった点でいえば人間の求愛行動や生殖行動と同じだね」
「確かに……そうかもしれないですけど……」
確かに子作りはまずは愛し合う相手を作るところから始まるが、それは
価値観がズレている気がする。
「……本気?」
「本気もなにも、実際にそうやって眷属を増やしてるんだもの」
「いや! だって!? なぜそこで恋!?」
なんでわざわざ他人の感情によって左右される繁殖方法なんて選んで進化したんだ!?
訳が分からない! ちっとも合理的じゃないし、面倒この上ないだろ!!
いや、吸血鬼に恋慕を抱かせることで精神的に吸血鬼化を行い中身を作った後、そこから吸血行為を行うことで
「そういう
「普通は僕達の方なんだよ。それにそんなの僕達が知る訳ないだろ?」
「ええ……意味わかんない」
現実は小説よりも奇なりと思うことは常々ある僕の人生だが、今回はかなり突飛のようだ。
「でも、
「……というと?」
「僕達の吸血鬼は総じて容姿が良い、僕のようにね」
綺麗な黒髪を手で靡かせながら、無い胸を張るようにして彼女は堂々とその自慢の容姿を見せつける。
確かにこの時代の人間に好まれやすい姿をしている。
顔は当然のものとして、細くスレンダーな体躯でサラッとした絹のような白い手脚。夜の鮮やかな黒を具として彩られたような艶のある髪。
それこそ、美の身を追求した彫像が動き出したような存在だ。
普通なら思わず目を背けたくなってしまうほどに。
「吸血鬼はその子孫繁栄の仕方に由来し、人間を惚れさせ効率よく眷属を増やせるように人に好まれる振る舞いをすることに長けてる。男女問わずに僕達はモテるんだ。
だから、非効率なんてことは決してない」
つまり吸血鬼は【恋愛特化型生命体】という訳か。
凄い能力の振り方だな。
恋愛特化といっても人間以上の身体能力も有している。
恋愛を人間関係などの集団環境の適応能力と捉え、脅威的な身体能力を生存能力と捉えれば、なるほど、否が応でも人間の上位互換と言うしかない。
「便利ですね。人間を使って吸血鬼を作れる……それに、吸血鬼同士でも」
「できると思うよ。吸血鬼は人間から生まれ変わるから男女の区別はあるし。やろうと思えば人間とでも……まぁ、人との実例は聞いたこと無いけど」
「なら、下手なことがない限り子孫繁栄ができなくことはないんですね」
「けど、眷属を作るのが主な方法だから、わざわざ腹を痛めてまで産む吸血鬼は稀だけど」
「へえ〜……」
後継者を作る方法が三通りもあるなんて、種としては優れている。
「となると、そこの運転手も……貴女の眷属」
「ロングの子は
ぺっ……なんだ?
「ハツカ様の眷属の美幸です。今後とも宜しく」
「は、はい……よろしくお願いします。 ……今後とも?」
女同士なの、か。男女にモテるって言ってたもんな。
アレでもさっき僕って。
……いや、今は触れない方がいいか。
「にしても、恋かぁ……恋ね……」
ある意味、今自分が一番関わりたくない分野である。恋心という観点そのものは理解できるが、それが自分のことになった時どう反応すればいいのか分からない。
実際昨日、人の告白に理由をつけて返答できず、拒絶のような形になってしまった。
あまり思い出したくはないことだ。
「もしかして、恋愛のれの字にも関心ないのかな?」
「ま、まぁ……そこまで恋愛に興味もないですし……」
今まで恋愛に対する意識など向けてこなかったこともあって余計に関心がない。
「けれども、君はもう吸血鬼になるしかないんだよ」
「は?」
成るしかない、とはどういうことだ。
そういえばさっきも『吸血鬼のことを知った以上は成ってもらう必要があるしね』と口にしていた。
「密やかに眷属を増やし、子孫繁栄させることが目的の吸血鬼にとって〈吸血鬼の存在を知っている人間〉は排除する対象でしかない。
吸血鬼のことが多くの人間にバレてしまえば、不死同然に生命力の高い僕達でも弱点を突かれて殺されてしかねないからだ」
続ける彼女が言うには、最近【吸血鬼を殺す探偵】なる者も現れているそうで、そちらの対応にも苦労しているそうだ。
「つまり、君がそんな探偵みたいに成られるのが困る。不確定ではあるけれど脅威でしかない。
そこで、だ––––君にはふたつの道がある。ひとつは僕に恋をして眷属になり夜の住人になること」
「もう一つは……」
「ここで僕に飲み干されること」
飲み干す……まあ、簡単に言って殺すぞということか。
ふたつにひとつ。
前者を取れば吸血鬼として生きられるが、未知のことが多すぎるため良否は現状つけられない。後者なら血液パックとして美味しく飲みきられて終わることになる。
二度も口にした僕の血はよほど美味しかったのか、彼女は思い出したように舌で唇を潤す。
その余裕は上位種としてのものだろう。
しかし、なんともまぁ–––––
「横暴な生き方だな」
たまらず笑ってしまった。
「なに笑ってるの」
それが癇に障ったのか、彼女の声のトーンが一気に下がる。それに連れて車内の気温がドッと低くなる。
ただ周囲を確認するだけ。
「確かに、吸血鬼にするか殺すか……俺の命はお前の掌にある。それは認めよう」
こんな狭い車内で、相手との距離はほぼゼロだ。
彼女がやろうと思えば今にでも殺せてしまうだろう。
「けど理解できないし、何の意味があるんだ? 友好関係を築けるであろう知的生命体同士の癖に、過程を取っ払って殺すという発想に至るその短絡さは」
「その方が
吸血鬼と人間の価値観はやはり違う。
「君は、ガソリンの近くに火が着いたライターをそのまま放置しておくのかい?」
「蹴り飛ばさなければいいだけだろ」
「しかし、それが人なら自ら火元になりにいく可能性もある」
確かに、相手が人間から血を吸う生き物だ。
存在が露呈すれば勝手に怖がり、安全策と言い繕って魔女狩りの如く皆殺しにしようとするのは想像できる。
確か何年か前にマウライで吸血鬼と疑われた2人が、集団に殺された事件があったな。
「それを言うならお前も爪を研げ。相手の確認すら満足に出来ていないなら、お前らの危機管理にも問題がある」
実際、完全に寝ているか確認してないから俺と彼女はこうなってる訳だ。
「……お前?」
「反応するのそっちなのぉ……?」
先ほどから彼女への
大事な話を逸らすのは如何ぞ。
「んっんッ––––第一に吸血鬼を殺す探偵のように俺がなり得るからこの命を絶つと言ったな。
だが、人が何かを殺すに当たって実際に行動できる奴はそういない。無知で暇潰しに口だけ言う奴らは、まず力の差がある時点で表に出てこない」
口にすることが目的の奴らは、真の行動を起こすほどの胆力も覚悟もない。まぁ赤信号みんなで渡れば怖くないと言うように、纏まった時になにをしでかすか分からんのがあの狂った連中なのだが。
「頭がとち狂った理解不能原理を有する奴らも、まぁ……確かに居るが、人間が個人で行動を起こすとなるとそれなりの起源が必要になる。
アンタら……その探偵の大切な奴を目の前で消したんじゃないだろうな」
彼女の吸血行動や聞いた吸血鬼の行動原理からすると、憚らずに血を吸うということは少数だろう。
しかし、少数。存在している可能性も十分ある。
「そんな悪趣味な奴は僕の仲間には居ないよ」
彼女の目許が陰り、露骨な嫌悪感を顔に出してくる。
見た目と違って熱があるタイプか。良いね、そういう情に熱いタイプは大好きだ。
恐らくこの人本当に、仲間がやっていないと確信している。
そういう瞳をしている。
––––本当か確かめろ
「……っ? ……なるほど、アンタの預かり知らぬところで起こったことか」
彼女からすると責任を取ることではない。
でも、もう少し。
「それとも、お仲間の中に黙っているクズがいるかだな」
「––––」
「案外信頼されてな––––––グッッ!!?」
ガンッ!と背中が強烈に叩きつけられる。
衝撃で思わず咳き込み、咽せてしまう。
「…………ッ」
数秒して胸ぐらを掴まれたドアに叩きつけられたのだと理解した。あまりに速かったため認識するのが遅れた。
背中がめちゃくちゃ痛い。ビリビリして熱くなり背中が疼く。
これが吸血鬼の膂力––––確かに人外パワーだ。良い……なんか次のニチアサがより楽しめそうだ。
にしても彼女と距離が近くてよかった。加速をつけて攻撃されていたら確実に肉片になっていた。
彼女の顔が俺の目の前に来る。彼女の目許は陰りながらも、確かに灯る眼光で俺を捉える。
「次、僕の仲間のことを愚弄してみろ……本気で殺すよ」
痛みで熱くなった背が、ゾッとする寒気で急速に冷えていく。
恐怖と表せる感情が心の内に渦巻く。しかし、その恐れを抱かせる瞳は、裏を返せば彼女の信頼の証拠である。
確信してしまうと、思わずニヤっとした笑みが顔から溢れてくる。
「……君、立場分かってるの? このまま君を吸い殺すことだってできるんだよ」
開かれた口から人のモノではない鋭く伸びた犬歯を覗かせる。
しかし、この敵意は心地良い。
信頼が見える意志は側から見ていても良いモノだ。
「ああ……うん、悪かった。アンタの仲間を貶したことは間違っていそうだ」
頭を下げる。
これで納得してくれるなら安いモノだが、殺されるのも一興だろう。
「……––––」
彼女は冷たい目のまま手を離す。
「あっ、離してくれるのか」
簡単に離してくれるとは思っていなかったので驚く。
「……慈悲だよ、僕たちだって人を殺したい訳じゃない。それとも、飲み干されたかった?」
「別にそういうわけではねぇよ。
けど今、俺は殺されかけたんだぜ。もし逃したら、あんたの言う通り敵になるかもしれないぞ」
「逃げられると思っているの?」
「さぁな。それより、もうちょい離れてくれ……せっかくの学ランに皺がつく」
「ふんっ」
俺に覆いかぶさるような体勢だった彼女は身体を起こして距離を置く。
俺は埃を払うようにして学ランに皺がないかを見ながら辺りを確認する。
車のモニターの時計はもう5時を回っている。
「さて、腹は括れたかな?」
この流れだと、吸血鬼に成るしかないよな。
肉体的なスペック差もそうだが、送ってもらうために住んでいる場所を告げてしまったのがいけなかった。
少し前の自分に呆れながら彼女を見る。
「だけど、良いのか? 俺なんかを吸血鬼にして」
「……?」
「いや、そっちの立場を守るためというのは大前提としても一応は
気乗りしないのに、やるのは流石に」
「ああなるほど……別に良いよ」
「……俺の血が美味しいから、か?」
「まぁそれもあるけど……君の顔、好みだし」
「…………恋って感情の話だよな?」
頭を抱える。
見た目か……そうか……。
いや、まあ、そうだな。恋しなきゃいけないんだよな。
顔から入るというのも一つの手かもしれない。
俺も彼女の顔を見つめる。
「澄んでて綺麗だ。うん、俺もアンタはとても好みだ」
なにより、この男女どちらともつくような不鮮明な存在の容姿に好奇が生まれる。
「ブフッ––––!? ん、んんっ……!」
なんか噴き出したぞ……
「そ、そうだね。僕は吸血鬼の中で一番可愛いからね……」
「案外直で言われるのは慣れてないのか?」
「な、慣れてるともっ僕だからね」
この
「なら、僕の眷属になる。そういうことでいいよね」
そうなるんだろう。
「––––」
けれども、心の内側が『それで良いのか』と問いかけてくる。
「……」
それが
「ふっ」
また笑みが溢れる。
ああ、そうだ。
俺の生き方は––––
音が聞こえる。
駆け抜けるような重低音の振動。
「断る」
「は?」
虚をつかれたとばかりに、彼女が目を見開く。
「君が俺に選択を迫って、それで決めるというのは気に食わない。
吸血鬼に成るにしても、俺は示されたことのみで決断するのは耐えられないタチでね。だから、俺は俺の決めた理屈で行動する!」
目の端に光が差し込む。
月明かりではない。
地平線に沿って車内を照らすライトが近づく。
待っていたよ–––––
俺の後ろで『カチッ』という音が軽く鳴る。
それが意味するもの。
「っ!!? 美幸早く鍵締めて!!」
「え––––ッ」
流石は吸血鬼。
反応と判断が早い。
しかし、眷属の方はそうではなかったようだ。
「またね、恋愛上手のコウモリさん♪」
俺はもたれ掛かっていたドアをそのまま背で押すようにして開き、車外に転がり出る。そのまま後転の要領で地面に手をつくと、身体を吹き飛ばす勢いで跳ねる。
「ッ!!」
俺の身体が宙を舞う。
視線が身体に注がれるのがわかる。あの吸血鬼たちからも、走ってきた
数秒間の滞空の後、ガンッと重い着地音と共に俺は対向車の屋根に飛び移ることに成功したのだ。
「CIAO〜」
俺は別れを告げるように吸血鬼達に手を振った。
☆
「どうしますかハツカ様! 今すぐ追いかけますか?!」
焦った美幸はそういって
恐らく僕にお仕置きされると思っているのだろう。
それを僕は制止する。
「もう無駄だよ」
対向車線からまた車がやってくる。
さっきまでかなり間があったけど、今はそれなりの数が通り過ぎてくる。朝が近づいてきたこともあってか、出勤するための通行量が増えてきたようだ。
人間の朝は早いね。
「今から追えばかえって目立ちかねない」
あの子もそれが分かってたからあんな撤退の仕方をしたのだろう。
しかも、車のルーフに乗った相手を追うとなると余計に人目につきやすくなる。
「……分かりました。すみません、ハツカ様」
「いいよ、今回ばかりは僕も呆気に取られて動けなかったからね」
まさか人間の、それも子供があんな動きをするなんて思ってもみなかった。僕の血を吸われて吸血鬼になったのかと考えたが、彼からは吸血鬼特有の臭いはしなかった。
となれば、あれが自前の身体能力となる。
それにあの口調。
突然の人が変わったように、変化したあの子の性格と表情。
ビルの屋上やコンビニで会話した時のようなほんわかした気の抜けた顔と同じ持ち主とは思えない、堂々とした顔で僕のことを睨みつけてきた。
その瞬間的な変容にも気を取られてしまった。
「彼の居場所は分かってるんだ。明日捕まえに行っても遅くないよ」
幸い相手は子供だ。
吸血鬼に襲われたなんて親に掛け合っても変な夢を見たとでも思われるだけだろう。
シートに深く腰をかけ直して、背を託す。
「じゃあ、約束通り遊んであげる。行こうか」
「……いいんですか」
「うん。僕の気持ちが変わらない内なら、ね」
「はい♡」
美幸の深刻な顔が一転して幸福で蕩ける。
––––必ず君も、この子達と同じような僕に蕩けた顔にしてあげるよ。
漫画購入後「ハツカ様の眷属名前出てないな……」
アニメ最終回で確認
『ロング
ヒゲ
ショート』
「くっそ! 雑っ!!」
ファンブック購入後「載ってねえ!!!?」
と言うことで自分でつけました。仕方ないね!
主人公くん、あらすじみたいな俺様気取りのキャラ感出せたかな……?