マジであの時間にアニメやってるんだなって思いましたまる
なので対戦よろしくお願いします。
成り行きでショウと食卓を囲むことになって、
ふんだんに使われたチーズの裂けた焼き目から口まで糸を伸ばす。食欲をそそる香ばしさも鼻まで届く。
「上手い」
「良かった」
「ソースってレトルト?」
「いいや。作り置き」
「趣味なの」
「今は多分そう。やるしかなかっただけだけど」
自分の家と同じ間取りで、同じくキッチンのそばに置かれたテーブル。その対面に座るショウは日光に水玉を照らされた瑞々しいサラダに箸を伸ばしてムシャりと食いついている。傍には湯気をあげるミルクがはいったカップがある。
陽を浴びてるのか影を被っているのか分からない顔つきをしていて不思議だった。やっぱりいつもと違う。
親しくはなったけど殆ど知らないしな。
ハツカさんから影響を受けたこともおおいにあるだろう。
首を振って部屋を見渡す。
「邪魔じゃないの?」
「なにが」
「親とかさ」
「僕、親いないから気にしなくていいよ」
え。家にいないって意味だよね?
心の中で押した念を否定するように、
「家族がいないって意味だよ」
「……え。重」
「重くない重くない。結構いるよ。親がいない子供なんて」
こともなげに言うものだから驚くが、本当に気にしていないらしくドリアを……焼き肉とかを巻く葉っぱで包んで頬張る。
「ならこの家は……?」
「親の借り家」
「いるじゃん!」
「存在はしてるよ。でもあの人たち、別の家に住んでるし会ったのだってもうすぐ2年前になるし。僕が子孫として振る舞われても困るけど、死んでも悪目立ちするから生かさず殺さずするための……犬小屋みたいなもんかな」
「ええ……」
なんで短い間に辛い過去を何度も聞かないといけないんだ。
「聴いたことなかった」
「そりゃ言ってないもの。口にしたら不幸自慢ナンバーワンになっちゃうし」
「僕には言っていいの」
「バラすの?」
「別に話していい事ないし。気分悪くなるだけでしょ」
「……」
「なに」
「うん。なんとなく分かった」
なにがだ。
疑問には思ったけれどやってきた沈黙が今以上の追求に歯止めをかけた。険悪な空気があったわけでもない。
「それでその……ハツカさんにもこういうことやってるの……?」
「料理を振る舞うのは一回きりかな。仲直りしたら毎日作ってあげたいな。三ヶ月後には中身も外見も僕が作ったハツカになるし」
お互いに話題を変えるか、というテレパシー的なものが伝わって自然な形で目が向かう先が変わる。
「ほら、恋人を作るなら胃袋を掴めっていうじゃん。信頼が構築されるのもおおよそ三ヶ月。肉体が食事などで作り変わるのも三ヶ月。きっと……」
あれ、結構危ない事言ってない?
「……そう。いつも
僕は話題を切り替えて彼の服装を見つめる。
クラシックなメイドさんの姿になって僕の前に美しい所作で食事をするショウは、元から知り合いでなければ美少女としか思えないだろう。ハツカさんに似てきたのか。彼と違って。服装がメイドなのもあってか女の子にしか見えないけど。
「ああ、こっち? よく着るよ」
「女装好きなの?」
「いいや。喜ぶハツカが好きだからやってる。あ。コウも着てみる? コウは猫耳とかも似合うと思うな」
「やめておくれよ……」
ふと気になって僕は問いかける。
「……ショウはハツカさんのこと……好き、なの?」
「好きだよ」
淀みのないまっすぐな返答で僕は舌を巻く。
「この想いが愛情なのか支配なのか、恋なのか。飲まれてみないと分からないけど、大切な存在なのは間違いない」
「これが恋なんだって、分かったりしないの?」
「本に書いてあるわけじゃないんだから分かるわけないでしょ」
ハッキリとしたものではないのは確かだ。僕だってナズナちゃんに血を吸ってもらわないと分からない想いだらけだ。
だとしても好きでもない相手のために女装なんてするだろうか。自認が歪んでいるわけでもないだろうに。
「この衣装は好きだよ。着てるとハツカの所有物って感じがするし」
「歪まされてる……!」
「いやいや。歪ませあってると言って欲しい。恋心が行き着く果ての一つが欲情なのは人類の歴史から見ても明らかだ。双方が求め合ってると言ってほしい」
「ふしだらだ……」
「なにを。
「僕らは日本人だよ!」
「ままならないね、でも、メイド服着てると反骨心も湧き上がってくるし。主従逆転もいいからねぇ。この間なんて」
ショウは言いかけて、あからさまに慌てて口を噤んだ。その口元は妖しげに三日月を描いていて、溢れ笑いを抑えるのに必死そうだった。妖艶な表情がどこかハツカさんやカブラさんにも似て––––
主従逆転って。
「なに、なに!? あからさまに何かあった雰囲気出さないでくれる!?」
「何もないよ。うん」
「なかったで押し倒すには無理があるだろ!」
「それよりも」
こちらの追求は一刀両断。
かえす刀のように、ショウは立ち上がると僕の口元にまで手を伸ばして触れた。指の温もりではなかった。きめ細かい優しく肌触りが僕の唇に触れると離れていく。
椅子に座る直前に持っていたのはハンカチで、唇についていたらしいトロッとしたチーズやソースが拭い取られていた。
それを、ぺろり。見覚えのある微笑み方をしていて。
「ッ––––」
思わず喉が鳴った。
目の前で大胆に行われた犯行に僕は思わず目を逸らした。
「御坊ちゃまって美味しいんだね」
優しい声が響く。
顔が熱くて、大事な物を奪われたような屈辱感が胸を塗りつぶす。せめてもの反抗に睨みを利かす。
僕にとっての強風は彼にとって微風で、ふふふ……とほくそ笑むだけ。
「もし飯を食べ終えるまで照れなかったら教えてあげてもいいよ」
「いや、ぃぃ……! 聞かない!」
「本当に?」
「ちょっとききた。そんなことはない!」
迷っていた僕を見ていた目が不意に軽く上に登って『コウ、目を手で覆いな』と言った。
「え、なんで?」
「いいから」
次に何されるか分からないから、僕は黙って両手で目を塞いだ。馬鹿正直に従ったわけではない。彼が仕掛けてきたらやりかえしてやる。バレないように指と指の間に小さく隙間を作る。
「……じゃあ僕は自室に引っ込むから」
「え」
言うとショウはベッドのある部屋に帰って行った。
それから数分間––––いつショウが七変化して現れるかと、姿を隠すドアを睨み続けた。けれど一向に姿を見せなくて、一瞬瞼を下した。
その瞬間のことだった。
背後でコツンと着地するような足音がして、ザァッ!とカーテンが閉められる。突然の物音に驚愕して目を開けようとしたが、耳元で囁かれた声に言葉を失う。
「コウくん、ダメだよ。目は閉じてなきゃ」
な、ナズナちゃん……?
心臓がもう一つ増えたみたいに鼓動が早くなる。嫌な早鐘は呼吸を苦しくする。考えをまとめるための空気が脳に循環しない感覚。まるで窒息する間際みたいだ。
この間、リラさんとの淫行疑惑をふっかけられた時には慌てるだけだったのに。
「さっき、吼月に興奮してたでしょ」
「は!? い、いや。いやいや! そんなわけないじゃん!」
「耳まで真っ赤なくせに」
背後から見下ろされてる視線をビリビリと感じて言い訳ができない。
「吼月はあとでハツカに言いつけるとして……」
だから自分の部屋に逃げたのか。一緒に怒られろよ! 諸悪の根源のくせに!!
「なんでナズナちゃんがここにいるの……?」
「ほら、
顔を見せないナズナちゃんは悪態をつきながら心配そうに尋ねてくる。
「コウくんって本当は男の子が好きなの?」
「いや、なんで!?」
「だってほら……
「マヒルくんとも違うよ! そもそも男が好みじゃないって出会ったばかりの時に言ったでしょ!?」
雲行きの怪しい声色を払拭すべく声を荒げて否定する。
「でもハツカが、僕の身体を見て興奮してた、って言ってた」
「あれはちがっ。興奮じゃなくて動揺だよ! 女だと思ってたら立派なものがついてたからフリーズしただけで!!」
「……ふーん。仮にハツカが女の子だったら興奮したの? ジロジロとまな板を見たの?」
「まな板って……」
「まぁ、コウくんはおっきい乳房のほうが好きなのは知ってるけど。朝井ちゃんとかリラちゃんとか」
「大きいから目で追っちゃうだけで……ナズナちゃんくらいの……」
「の……? 聞こえないよ」
言えるわけないじゃん。
本人を目の前にして喋らされるとか新手の拷問か。
「アタシくらいのなに?」
それでも詰め寄ってくるナズナちゃんの声に口がゆっくりと開く。
「…………手から溢れるか溢れないかほどよい大きさの方が……」
「ほうが?」
「すき、です」
「なんで?」
「……」
「なんで?」
「……エッチ、だから」
全身が熱すぎて蒸発してしまいそうだ。きっと下半身はもうほとんど気化してしまっている。だってなにも感じないんだから。いや、感覚しないようにしている。もし変なところを見られたらなにを言われるか分からない。
「そっか。アタシで興奮、するんだ」
「するよ……じゃなかったらキスで勘違いしないって」
「え。あれって初キスだったから興奮したんじゃないの」
「それもあるけどさ。嫌々だったら気持ちも興らないよ……」
だって好きな顔が触れ合ってるんだし、意識しない方が無理がある。
「コウくんってフェチズム特殊だよね。ハツカとかカブラほどじゃないけどさ」
「なっ。あのふたりと一緒にされるのは困る……ッ」
「馬鹿にしてる?」
え、なんで怒ったの。
「とりあえずいいや。で、なんで吼月に興奮したの? 納得いかないんだけど。メイド服まで着せて」
「あれはショウが勝手に着ただけだよ! いやまあ……確かに意識したのは確かだけどさ」
「コウくんの浮気者」
「だって」
迷った挙句、僕は豆粒を食べるような小さな口で言う。
「ナズナちゃんみたいな笑い方しながら僕のチーズを食べたからで」
「アタシみたいな?」
ナズナちゃんにされたらな、ってつい意識してしまった。
おかしいのは分かっている。目の前にいるのは友人で、なにより男子で、ナズナちゃんでは決してない。にも関わらずまるで見慣れた姿の幻影がショウをあの一瞬だけは覆い尽くしていた。
「つまりアタシにされたかったってこと?」
「心を読まないでよ」
血も飲んでないのに。
「それでアタシと吼月を見て大きくなっちゃたの?」
「…………………」
「沈黙は肯定と理解するよ」
「してません」
「よろしい」
ナズナちゃんにはともかく、ショウに欲情したとは認めたくない! たとえ言い逃れができないものでも!
「ねえ、したいことがあったらアタシに言って。どこに行くにしても、なにをやるにしても。ふたりで楽しもうよ」
「ナズナちゃん……」
間を置いて意を決しながらも残った迷いがノイズになったみたいな声が耳元でした。
「それに言ってくれたら、胸も、触っていい……から」
間違いない彼女の声が、あの露出度の高い––––下着同然の姿をありありと想起させてくる。我慢ならなくなって思わず、
「ナズナちゃん!」
顔をあげた先にいたのはナズナちゃんではなく、
「…………あっ」
「ナズナさんのこと大好きなんだね。照れた顔、可愛かったよ」
☆
「で、コウくんを気絶させたと」
「もしかしたら見られたかもなあ」
「自信満々だったくせに」
「すません……」
しょげた自分の声が返ってくるから暗い気分なわけではないのに気持ちが落ち込んでくる。
「というかなに、その声」
「ナズナさんの声ですけど」
「それは……なんとなくわかるけどッ。なんでアタシの声が出てるのかって聴いてんの」
「俺の特技なんですよ。聞き覚えあるでしょ、七草さん?」
「うわっ、ハツカの声」
「うわって言うのはどうかと思うよナズナちゃん」
「今度はミドリの声かよ……あとどのくらいできるの」
「興味持ったのかよナズナ。なにか悪さするつもりじゃないだろうな」
続いてニコ、セリと続いて会ったことがある
「ナズナさんの知り合いは……会ったことがないカブラさんって吸血鬼を除けば全員できると思うよ。俺個人としては学校の生徒教師、ゔぁんぷの従業員とかも」
「まさかキクの声まで出てくるとは思わなかったな。でも、声だけでよくバレなかったな? アタシ結構ショックなんだけど」
「なにを。声が真似れるということは手足の使い方、肺の動かし方その他諸々同じことができるってことなんだから、見られたり触られたりしなければバレようがないよ」
「そこまで行くとただの変態だぞ?」
「へんたッ……じ、自重します……」
アタシたち二回しか会ってないのに喋り方も笑い方も覚えられてるとか普通に恐怖だ。そこらの吸血鬼より厄介じゃないか。ゔぁんぷでサボりたくなったら吼月を呼んで変装してもらうか。
「にしてもいきなり電話かけてくるなんてな。もう寝ようと思ってたところだったのに」
「寝られなかったから俺に乗せられた」
「んっ」
「でも、乗せられた甲斐があったでしょ?」
尋ねられて、声が漏れても聞こえないようスピーカーから顔を離した。スマホ越しに聞こえてきた恥を噛み殺しながら、アタシの胸が好き、と言われて少し興奮した。目の前に恥じらったコウくんがいたらたまらず血を吸っていたに違いない。
けど、冷静に振り返れば吸血鬼のアタシが人間のコウくんに––––
「いや! アタシは聞きづらーいことをやんわりと確認して欲しかっただけで……あそこまで直球に言えとは」
「止めなかったどころかまな板辺りからノリノリでしたよね? イヤフォンからハツカの胸について言われた時はビビりましたからね」
「吼月だってコウくんを弄るの楽しそうにしてたじゃん!」
「当たり前だが」
「開き直りやがった……!」
「ナズナさんだって楽しそうだったじゃん」
「あのコウくんがあんなに照れてるなんてレアじゃん」
間を置くように息を吐く音が聞こえてくる。
「ナズナさんってさ、ヤキモチ妬いてる?」
「は」
スンッと体の熱がまるで胸の一箇所に集まったかのように指先が冷え出して、数秒後、凝縮された熱が暴発する。
「はあぁ〜〜〜〜あ!? アタシがコウくんにヤキモチを妬いてる!? なんで!?」
「コウが付き合ったから、じゃないかな」
「リラちゃんとのこと!? ないない! アレだって疑似恋愛みたいなものでッ!!」
「だからこそですよ。胸が大きいだけならニコ先生も大きいし、吸血鬼って点を加味したら
「ぅっ……」
否定しようにも言葉が続かなくて、本心なんだと炙り出されたような感覚。
「まぁ……そうかもな。なんで分かった?」
「てっきり最初はキョウコさんの話でも切り出すかなって思ってたんですよ。会ってきたばかりだって聞いたから。けれど、ナズナさんはコウからの想いを優先した。重要なんだろうなって考えて、ならコウのそばで起きた変化をあげたら疑似恋愛がポイントだって思った。学校に通ってるならコウは恐らく優等生モードでしょうし、越後リラだけでなく他の生徒にも囲まれてるのは想像がつく……ただそれだけです」
凄いな。吸血鬼のアタシがコウくんに人気で負けたところまで見透かしてやがる。腹立つ心を落ち着かせながらアタシは確認する。
「吼月は先輩の話は聞いてるのか?」
「紆余曲折を経て」
考えてみれば、アタシにコウくんには早く話せと迫ったのがハツカだ。ハツカはマイペースなやつだ。自分から敵の過去を調べようとは思わないはず。だとしたら、根本のきっかけはこの少年なのだろう。
なにが紆余曲折だ。
最悪の場合、本人から聞いたまであるだろ。
しれっと先輩のこと名前呼びまでしてやがるし。
「昔の友達をことじゃなくて、自分のことを優先して薄情なやつって思ったか?」
「キョウコさんの悲劇にナズナさんは関係ないだろ。未来のことを大切にすることが間違いなわけない」
綺麗さっぱり言い切ってくる声を聞いて安心する。
誰かに言われるだけで心が軽くなるって話は、添い寝屋をやっている自分は痛いほど知っている。聞いてもらうだけでどれだけ味が変わるか。
「なんでキョウコさんの話をしなかったんですか?」
「先輩のことはアタシが解決しなくちゃいけないことだから」
過去の決着。
狂ってしまった先輩の人生に歯止めをかけるのはアタシの役目だ。
心に決めたその誓いにノイズ混じりの声が手をかける。
「実体験ですけど、関係ないと割り切ってしまうのはすれ違いを生む。だからナズナさんたちはどう思ってるか、どうしたいかを相手に残しておくのは大切だと思いますよ。
相手がどう出てくるか分からない。
だからこそ気持ちや情報を共有しあって万全の対策で望むのが一番いい」
「……心に留めておく」
後悔の念が滲む言葉に自然と頷いてしまった。
「それはコウも似たところがありますけどね」
「え?」
「コウってリアリストな割にロマンチストなところがあるんですよ」
「コウくんがロマンチスト……?」
確かに東京に恋人研究に行った時も『ドラマなんかなくても人は恋愛できる』『恋愛は特別なことじゃない』みたいに悟ったようなことを言っていたのを思い出す。
ロマンチストと言われたらその通りで、ポエミーなところもある。
そう思うとやっぱり変なやつだな、コウくん。
「元々あまり喋らなくても場が保つ相手の方がコウはやりやすかったんですよ。だから最初の時はナズナさんを親に選んだのが意外でしたが……それはコウの悪癖でもあります。
目に見えた齟齬がない限り、特に好意とかはあまり口にしない。態度や目的を見てれば分かるんですけどね」
「あー……」
振り返れば面と向かって『可愛い』と言われたことがあまりない気がする。吼月の言う通り、アタシが頑張って恋愛ネタ口にして顔を真っ赤にした時もフォローしてくれたし、弱点ことも率先して探そうとしてくれたからアタシを大事に思ってるのは見ていて分かる。
アタシがムカついてた時には『口にしないと分からないでしょ』と言っていたのに、自分からは口にしない。吸血鬼だから血を吸えば分かるのは違いない。
けど、コウくんから褒められた記憶がないのは少し寂しかった。
「だからこそ、言わせる機会は大事だと思います。もちろん言う機会も。今回はかなり外法でしたけど、重くなりすぎない程度に認識できる時間は作ってください。今回みたいに協力しますから」
「……分かった」
「まあ、しくじり先生としてのアドバイスです。頭の片隅にでも置いておいてください」
言わせる機会。
言う機会。
コウくんはアタシの眷属になる。
だから好きだと思ってもらうのは悪くない。
だとしたら、アタシの気持ちは……?
「因みに確認なんですけど」
恐る恐るといった様子で吼月が尋ねてくる。
「言えばコウに胸を揉ませるってマジで言ってます?」
「あっ、いや……あれだな! ぅぅ……マジ、です」
「進んでるんですね……お兄さんショックです」
「キミはどの視点から言ってるんだね。……吼月はハツカに興奮とかしないの」
聞いておいて、男同士だしないかも、と思ってしまうが意外なことにすぐに返ってきた。
「男でも女でも肉体で興奮することってないんですよね。無理やり触られてのどうしようもない生理反応を含めるならありますけど………どちらかというとシチュエーションでの方が興奮します」
まるで無理やりされたことがあるような言い草。
そんなことないだろうに。でもハツカならするかも。
けれど、興奮する状況か。
「ほう、たとえば」
「俺の血を吸って思わず興奮してしまったハツカを見た時とか」
「吸血鬼相手じゃないとできないプレイで楽しんでるな……もしかして吼月って上級者?」
「フッ」
どんな笑みだよ。
もしかしてハツカ、結構手玉に取られてる?
かなり特殊な状況を聞かされて顔が熱くなる。ハツカたちのやりかたはやはり参考にはならなさそうだ。
「そうだ。最後に練習代わりにコウになにか言ってみませんか?」
「なにかってなんだよ」
「嫉妬心を爆発させればいいんですよ」
嫉妬心を爆発。
コウくんは聞いてない。
なら言うだけで言ってみるのも、
「すぅ……」
小さく息を吸って。
人間なんて見てないでアタシを見ろォ!!
☆
ナズナさんの叫びをベッドの縁に二人で座りながら耳朶に叩きつける。
「だとさ」
「……ナズナちゃん」
もはや愛の告白である。
相手は自分を認知していない。それでも自分に向けて真っ直ぐに向けられた好意を受けて、コウは両腕で顔を庇いながら身体を
声は神秘的だ。
真っ直ぐ、大きくぶつかるだけで相手の思いがここまで揺らぐのだから。
スマホでナズナさんと別れを告げて通話を切る。
「ガチで照れてるの珍しい。ウルトラレアってやつだな」
「ショウは何がしたいの」
「応援。ときにイジリ」
「なんか子供っぽくなってない?」
「……僕は子供だよ。キミらが思っている以上にね」
同時にキミらより子供でいられた時間はずっと少ない。
もちろん口にはしない。
これは形にしてはいけないことだから。
不幸自慢なんて相手の幸せも辛さもかき消す最低の行為だ。
「言葉は心の声。知ってるとかアピールじゃない。自分の中に収まらないものを相手に受け止めてもらうためのものだ」
「その哲学者面腹立つぅ……」
「なのに文句は言わないんだ」
「嬉しがってるのに否定できるわけないだろ……!」
文句ぐらい言ってくれてもいいのに。
僕だって自覚したのは最近だ。
形そのものは知っていた。言葉は心の声。桃井タロウという存在のセリフだが、その真髄を理解できていなかった。たぶん今も分かりきってはいない。でも糸口は掴めたと思う。
臆せず、柵を設けず、渡す意味。
「ちゃんと受け止めて、投げ返してやれよ」
「……うん」
「劇的に行こうぜ」
僕も果たしてみせる。
スマホを見下ろして、神崎の名を見つめた。
二期も変わらずハツカ様の眷属たちの表記がショート! ロング!
せっかくおじさんには久利原と名をつけたんですからふたりにも名をあげてくださいよ!
いや二人が服屋とバーをやってる時点でうちの作品設定崩壊してるんですけどね!! 副業ってことにするか!!
スタスターって駆け足で大浴場に行くハツカ様テンション高いね。仕草の節々にテンションの高さが垣間見えて好きだ。
ついにアニメにも出てきた星見キク。相変わらず面とかはいいんだよなぁ……。アニメだと怪異みたいに背景が霞んでほぼホラゲーのキャラみたいだったけど。
にしても探偵さんのシーンといい、星見キクの脚組み換えといい脚への熱量すごくない?
今回書いててコウナズの書きてぇなってなってます。18なやつですけど。