よふかしのあじ   作:フェイクライター

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第十六夜「7不思議の8番目」

「誰もいないな」

 

 デリケート(吸血鬼)な話になるため、周りに人がいないか確認した後襖を閉めてこの場を俺たちだけの完全な個室にした。部屋ひとつにテーブルはひとつだったため、今後人が来るとしても店員ぐらいだろう。

 俺と(セキ)マヒルは席について真っ直ぐ向かい合う。

 手始めに『君とハツカは知り合いなのか? 吸血鬼のことも知っているのか?』と訊ねてみた。それに彼は肯首する。

 

「キクさんも吸血鬼でさ。想いも伝えたけど中々血を吸ってもらえなくて、そんな時にコウに相談したらハツカさんとアニキ。アニキっていうのはあっくんさんってまた別の吸血鬼になんだけどさ。ふたりにも相談のってもらってその時に知り合ったんだ」

「…………」

「会長?」

 

––––いや……ちょっと情報量が多すぎますね!

 

 ええ、と。つまり。

 夕マヒルの想い人である《キクさん》は吸血鬼であり、彼はそれを知った上で吸血されたい。心の準備がってそういう……。

 で、コウって夜守コウのことだよな? アイツも吸血鬼繋がりなのか……。

 あっくんさんっていうアニキがいる。多分敬称なんだろうけど、どんな人なんだ?

『なんというか濃密だな』とりあえず、そうとだけ答えた。

 

「まさかこんな身近に吸血鬼繋がりがいるとはな」

「そういうわりに直ぐに呑み込むんだな」

「ハツカの眷属が『またガキを!』みたいなこと言ってたし、俺と同い年ぐらいの子が吸血鬼に関わってることは想定してたしな」

 

 ホントここまで身近だとは思いもしなかったが。

 

「夕マヒルって夜にはジャージとか着るのか」

「俺は基本パーカーだけど。ジャージならコウじゃないか?」

 

 つまり、先見者は夜守コウだったか。

 アイツはハツカに血を吸われたりしたのだろうか……ないか。

 吸血鬼を知っているなら俺と同じくハツカの眷属候補として動いているはずだ。いや、惚れさせる為に他の人に会ってないと思わせる可能性もあるが、あの3眷属がいる時に家に招待したハツカがそんなこと考えるとは思えない。

 恐らく、ハツカが俺の血を吸うキッカケになった七草という吸血鬼の候補と見るのが妥当だろう。

 それよりも夜守コウが久利原たちと同じく、ハツカに顔を赤らめながら息を荒くしてるのとか想像したくない……。

 

「ふたりはどうして吸血鬼のことを知ったんだ」

「えっとぉ……」

 

 夕マヒルは少しばつが悪そうに目を逸らしてから口を開く。

 

「この事は黙っててくれるよな?」

「いいよ」

「前にさ、夜にコウとアキラと一緒に学校の《7不思議》を確かめに行ったんだよ。花子さん確認したり、増えたり減ったりする階段を登ったり二宮金次郎像が動き出すか見に行ったりさ」

 

 普通に不法侵入してるよこの3人。

 なんで開いてるんだ学校。

 花子さんは隙間風を空耳しただけだろうし、階段に関しては数え方によって変わってくるから人によって違うのは理解できるが。

 

「ウチに二宮ないよな?」

「ああ。なぜこれが7不思議の8番目になっていたのか分からない」

「しかも8なのかよ!? オーバーしてんぞ!!」

「だけど問題はこの先。9つ目の不思議に有ったんだ」

「まだ有ったのか7不思議……」

 

 うちの学校ちょくちょくバグってんな……。

 

「それで《10年前に失踪した教師が夜な夜な教室に現れる》って噂知ってるか?」

「聞いたことはある」

「ウチの学校特有のだったからワクワクしながら確かめに3()2に向かったんだ。その時に––––」

「吸血鬼に出会った。と」

 

 3人が出会った吸血鬼は件の失踪した男だった。

 その吸血鬼に朝井が襲われ、押し倒された。当時吸血鬼の存在を知らなかった夕マヒルは混乱していたが、引き剥がそうと尽力。夜守コウが吸血鬼を椅子でぶん殴ったことでなんとか朝井を助かることが出来たらしい。

 

「それで逃げ帰って次の日は普通に学校へ登校。なんてことはないよな」

「うん。その時に探偵が現れた」

「吸血鬼を殺せる探偵か」

 

 その時はどう殺したかは分からなかったそうだ。ただ、何かをその男性に握らせた(・・・・)としか。

 

「俺はどうなってるのか分からなくて。コウやアキラは知ってるみたいだったけど、俺だけなんも知らなくて……そこで渡された名刺の住所の場所に向かって教えて貰ったんだ」

「名刺貰ったの? 探偵の」

「あ、ああ。ほら」

「ホントだ……」

 

 夕マヒルは財布のポケットから名刺を取り出すと、こちらに名を向けて差し出す。テーブル中央に置かれたその名刺を身を乗り出して覗き込む。

 俺は『私立探偵事務所 (ウグイス)餡子(アンコ)』と記された紙が目の前にあることに驚きを隠せない。

 

「この場所にちゃんと鶯アンコは居たんだよな?」

「居なかったら名刺の意味ないだろ」

「そうだよな。……この事をハツカに言ってるのか」

「もちろん。憧れの人たちの敵だからな」

 

 つまり、吸血鬼(アイツ)らは敵の場所を知っていながら攻め入っていないということになる。吸血鬼の掟もそうだが、ハツカの言動からすると探偵なんて殺す選択しかないはずだが。

 既に別の場所に避難していたか、あるいは温情か。

 どちらにせよ、相手は《吸血鬼の生態に詳しい脅威》なんだ。

 

「それで、探偵になにを教えてもらったんだ」

「……吸血鬼の恐ろしさ」

 

 恐ろしさ、ね。

 探偵は夕マヒルに吸血鬼がどれだけ迷惑で、存在してはならないかを語ったそうだ。

 吸血鬼であることを隠して惚れさせ、知らぬ内に血を吸う。吸われた人間は何も知らず人の輪から放り出される。

 そして人でなくなったことを絶望しながら生きている吸血鬼がいる。

 人の尊厳を奪う悪魔。それが吸血鬼である。

 吸血鬼は人間の害でしかないと決めウチしているようだ。

 

「ふっ」

「なんだよ?」

「お前って中々図太い性格だよな」

 

 夕マヒルは鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をする。続けて何かを言おうとしたが、俺はそれを制止する。

 数秒後、個室の襖が開かれた。

 

「特製ラーメンふたつ!」

「ありがとう」

 

 店員が俺たちの目の前にどんぶりを並べていく。麺、焼豚、メンマにネギとシンプルなラインナップだが、昇り立つラーメンの香りが美味しさを表現する。麺もしっかりしていて噛みごたえがありそうだ。

 店員が離れていくのを確認したあと、再び襖を閉める。

『いただきます』と俺たちの声が不揃いに響く。

 

「おお……焼豚結構ぶ厚いのに柔らか」

「麺も味がしっかりしてて美味しい」

 

『やっぱり王道。シンプルなのが一番いいよな』と俺が言う。

『分かる! たまにもやしが多すぎる店とかあるけど、あれ量がキツかったんだよな』と夕マヒルも俺の意思に賛同する。

 昨日のキチンステーキもそうだが、やっぱり美味しい物に余計なモノはいらないな。

 ラーメンを啜っていく俺たちの胃袋が段々と膨れていく。

 

「それでキクさんが吸血鬼だって知ったのは?」

「さっきの件でコウとの仲が拗れかけたんだ。そんなつもりはなくて、仲直りしたかったけど踏み出せなかった俺を後押しをキクさんがしてくれて、コウと話に行ったんだ。

 その流れでキクさんが吸血鬼だって知って……」

「そっか」

 

 それを聞いて俺は微笑む。

 

「やっぱりキミ、いい根性してるよ」

「なんだよ」

「吸血鬼が危険な存在でもあるって知った上で、《吸血鬼のキクさん》のことが今でも好きなんでしょ? だったら十分図太いよ」

「悪かったな、図々しくて」

「良いじゃないか。それを乗り越えたことは、キミがキクさんを好きであることの証拠だよ」

 

 彼は吸われさえすれば吸血鬼になるだろう。後はキクさんが夕マヒルを吸血鬼にする覚悟を決めたらハッピーエンディングだ。

 そんなことを考えていると、夕マヒルの目線が俺の首に注がれている事に気づく。

 特に絆創膏が貼られた場所へと。

 

「やっぱり会長は昨日、血を吸われたんだよな」

 

 昨日だって?

 

「えっと、そうだな」

「やっぱり首から吸うのが良いのかな。キクさんはどこで吸うんだろう……」

 

 昨日って確定で話しているが、俺はその事について口にしていない。

 

「昨日まさか《CLEAR》にいたのか?」

「居たというか、花屋の手伝いで」

「……どのあたりから」

「ふたりがゲームやり始めたあたり」

 

 思わず顔を両手で抑えて、どう思ったか訊ねてみた。

 

「楽しそうだったよ。付き合ってるのかなって思うぐらいには」

「……ッ! お前らさ、マスターもそうだが男と女が一緒に遊んで楽しそうにしてたら付き合ってるって短絡的な発想をするんじゃない!」

「自覚なかったのか?」

「自覚なんてあるわけないだろ。こっちは単純にアイツとやるゲーム楽しい!でやってたんだから。どう見たら付き合ってるように思えるんだ」

「だって会長。ただただ笑顔だったぞ」

「……いつも通りでは?」

 

 その返しは想定していなかったため、一瞬真顔になってしまう。

 

「会長は学校だと笑ってるって言うよりは、微笑んでるってイメージだったからさ。あんな子供っぽく笑うんだなって驚いた」

 

 確かに《ニヤッ》って笑った自覚はあるけども。知らぬウチに素が出てしまっていたのか?

 ハツカ曰く、ポワポワしてるらしいし。

 てか、俺もうちょい感情豊かな反応してるはずなのだが。

 俺は内心を繕うようにして『それは違うぞ』と言う。

 

「違くないだろ」

「いいや分かってない。純粋に俺とやり合えるやつなんてそう居ないんだぞ? 勝負になってるのマジで楽しいんだからな!」

「会長って自信過剰だよな」

「負けないのは事実だからな」

 

 実際この間は引き分けだったし。

 てか、過剰ぐらいじゃないとボロでそうだし。

 

「吸血鬼にはなってないんだもんな」

「そうそう。俺はハツカにお前の言う恋はしてないの」

「でも会長も吸血鬼になりたいんだろ? このままだとまずいんじゃないか? 確かに相手は一応男性だから精神的に難しいのかも知らないけど」

「……?」

 

 彼の言葉に頭の上に疑問符を浮かべる。

 その反応が返ってくるということは、つまりハツカから俺たちの関係は聞いていないのか?

 

「俺、吸血鬼になるつもりはないぞ?」

 

 俺の言葉に夕マヒルは呆然と口を開いてからと個室に彼の声が児玉する。

 

「なんで!?」

 

 仰天といった様子で頭がこんがらがっているようだった。

 

「別になる必要が絶対ではないから、としか」

「必要とかじゃなく、え、なのに血は吸わせてるの?」

「そういう契約だからな」

「どうしたらそんな契約になるんだ……」

 

 吸血鬼になりたい側である彼からすれば疑問でしかないか。

 

「簡単に言うとゲームだ」

「ゲーム?」

「そう。アイツが俺を堕として吸血鬼にするか、俺がアイツを堕として人のまま吸血鬼の隣にいるか。これはそういうゲームだ」

 

 初めての夜更かしで外に出た時、訳あってハツカとであったこと。ハツカに送っていくと言われて素直に車に乗ってしまったこと。

 その車の中で寝たフリをしていたら血を吸われ、ハツカが吸血鬼であることを知ったこと。

 日を越して、再びハツカと会った時に決心して自分の目的のため、人間であり続けると決めたこと。そして、眷属化可能な一年以内に吸血鬼を納得させられなければ殺されると言うことを話した。

 自殺しようとした件や酒を飲んだこと、そして不信感などについては話が脱線するのは目に見えていたので伝えなかった。

 

 

 伝えたあと、夕マヒルは『なんかめんどくさいな』とだけ口から溢したのだった。

 

 

 

 

「この近くに子供でもビールが買えるところがあるんだよ」

「そんなのあるわけないだろ」

「今から見にいく?」

「いいよ。飲まないし」

 

 ラーメンを食い終えた俺たちは小森団地近くの公園をぶらついていた。夕陽を落ちかけて赤みがかっていた空はもう黒い天蓋に覆われかけようとしていた。

 

「なあ、会長」

「どうした?」

「会長はさ、吸血鬼にならないんだよな」

「俺はなる気ないよ」

 

 そう言い切ると、夕マヒルが俺の前に躍り出る。彼の目には決意が籠っているようで、真っ直ぐ俺を見つめてくる。

 この意思は俺に何を望んでいるのだろうか。

 

「なら誓ってほしい。もし吸血鬼にならなくても、あの人達の敵にならないでくれ」

 

 彼の願いは和平だった。

 人並みの願いを俺に投げかける。

 

「キクさんは探偵さんのことすごく怖がってた……『ただ生きたいってだけのことも許されないの』って。『血だってそれしか栄養にならないから仕方なく最小限吸ってるだけなのに』って。だから、頼む……! 敵にならないでくれ」

 

 ちゃんと考えているんだろうなと思った。けど、俺はそれに対して答えられるものは一つだけだった。

 

「さあな」

「さあなって……!?」

「俺はそのキクさんについて知らなさすぎる。だから約束はできない。もし俺の道とキクさんの道が交わった時、味方かもしれない、邪魔者かもしれない」

 

 夕マヒルは目を閉じて、グッと拳を握る。

 

「誠実であるために約束はできない。だけど、俺にとって吸血鬼は害ではない」

 

 俺にとっての敵対者はあくまで吸血鬼の価値観であり、その代表者として俺の前に立つハツカだけだ。

 吸血鬼がいること自体は悪でも害でもない。

 俺の二の句に閉じた瞼をゆっくり動かした。

 

「それだけは言えるよ」

「そっかあ」

 

 安心したように拳を開いて顔を伏せた。

 

「今日誘ったのはこのためか?」

「まあ……そうだな」

 

 そう問いた時、安心したその顔には陰りがあった。

 何を隠してる。

『他にも何かあるのか?』と訊くと、ため息をついてから大きく頷いた。

 

「学校の奴らってさ。自分のことばっかで俺がちょっと遊んでやらないとネチネチネチネチ煩かったんだよ。それで楽しくないって突き放したらそいつらは寄ってこなくなった」

 

 飯井垣もマヒルとつるんでいたが、最近はあまり遊ばなくなったと人伝で聞いたことがある。

 

「その時に思ったんだ。『ああ、俺ってやっぱり友達いなかったんだな』って」

 

 夕マヒルの想いが捻じ曲がっているとは考えられない。けど周りの奴らは見放されることは嫌う。自分を肯定していた存在がいきなり拒絶するのだから。

 そんな相手は『嫌な奴』と罵る。不愉快な物は攻撃したくなるのは人間らしい。

 この世の中で相手が捻じ曲がってると思っても、真正面から受け止められるような男は存在しないのかもしれない。

 

「夜守コウや朝井がいるだろ」

「アイツらは俺の一生の友達だ。でも、出来るならやっぱりもう一人ぐらい欲しいなって」

「そっか」

 

 それが俺を誘った理由にどう繋がる?

 

「昨日ハツカさんと楽しそうに笑ってる会長を見て、吸血鬼って秘密を共有できる会長なら……って」

「つまり、俺と友達になりたい。と?」

「仲のいい友達としてな」

 

 確かに俺と理世も好きな物を重ねているから話が合って仲が良いと言える。そして秘密は、普通に共有できるものとは比重が違う。

 なるほど。そういう形もあるのか。

 

「一つ、聞かせてくれ」

「……なんだよ」

「それは信頼か?」

 

 考え込む。ほどの時間は彼にはいらなかった。

 

「信頼してるよ。会長は言ったことは曲げないから」

 

 言い切れる彼の中には、間違いなく《人気者》としての生き方の片鱗があった。

 

「昨日の一面を見ただろ? 捻じ曲がってるかもしれないぞ」

「そんなことない。だってほら、顔笑ってるし」

 

 口に手を当てる。

 笑っている。微笑んでいるんじゃなくて《ニヤッ》としている。

 

「お前もだぞ」

「え、マジか」

 

 俺たちの笑い声が公園に響く。

 

「ああ。良いだろう。俺とお前は友達だ」

「宜しく友達」

 

 こうして正面切って友達だって言ったのは初めてかもしれないな。

 やっぱり相談事じゃん、とも思ったがこうして悩みを打ち明けてくれないよりはずっと良かった。

 俺たちは更に歩き、ちょうど良い時間帯になったところでお開きになった。

 

「これからデートか?」

「へへ。そうだ!」

「いいね、楽しんでこいよ。じゃあ、俺はこっちだから」

 

 別れた道をそれぞれ進んでいく。

 

「……」

 

 少し名残惜しくて離れていく背に向けて。

 

「じゃあなマヒル! また遊ぼうな」

 

 俺の声に振り返る彼の顔は凪のように平坦で、瞬間ポツリと雫が垂れ波打ったように表情が変わる。

 

「おう!! またなショウ!!」

 

 大手を振ってマヒルは、目的地(キクさん)へと走り出た。

 名残惜しかったのは、何故なのだろうか?

 

 

 

 

「ん〜〜ッ、いい(てんき)だ!」

 

 満天の星空を見上げて考える。ビルの屋上にまで足を延ばしてきた僕は座り込み、その横には一つの本がある。図書室から借りた夜空を楽しむための本だ。

 にしても、今日はいい1日だった。

 マヒルと話せたのはとても良い刺激となった。

 

「僕を知っているのは、僕とハツカだけ」

 

 そう実感すると、どこか恥ずかしさを覚える。

 秘密というのは形として残る信頼のカケラかもしれない。

 なら尚更秘密にし続けよう。秘密は隠し通すからこそ意味がある。

 ハツカの中にだけある。秘密という点はハツカの心に。

 

「ペガスス、アイツは強敵だったな。人の秘密と掛けて、夜空に輝く星座と解く。その心は……(ここ)の内にある」

 

 この点がいつか、しっかり繋がれば良いな。

 

「……あ」

 

 見上げた空に再び彼は現れた。

 

「やあ、ショウくん。なんか嬉しそうだね」

「そうか。そうだな」

 

 立ち上がり夜空より飛来する綺麗な恋愛生命体に俺は笑いかける。

 

「今日もよろしく。友達」

「……? よろしく」

 

 キョトンとした目でこちらを見つめるハツカに手を伸ばした。

 

「お前、昨日一緒にいた相手ってマヒルなのかよ」

「夕くんに嫉妬した?」

「いいや。でも、会ってくれたのがアイツで良かったと思うよ」

 

 本当にコイツがマヒルと話してくれていて良かったと思う。そうじゃなかったらアイツは俺に声をかけなかったかもしれない。

 

「喜べ、ハツカ。今日の俺の血はとてつもなく美味しくなるぞ」

「へえ〜〜。ならさっそく、夜更かしを始めようか」

 

 さて、今日も夜遊びと行きますか!

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