その後、タクシーで休憩時間もはさみ、3時間半で黒井鎮守府に着いた。
それでは、西村様。ご健闘をお祈りいたします」
正門に着いた西村は、驚愕する。
「こんなにも大きな場所なのか。想像以上に大きいな。」
門の目の前に、大淀が待っていた。しかし、その表情は暗く、なぜか無口だった。
「提督…お待ちしておりました。どうぞお入り下さい。」
門が開く。中は、広い海、大きなクレーンなどが見えた。しかし、誰一人もいなかった。
「まず、執務室を教えます。ついて来てください」
とぼとぼと歩く大淀の後について行く。その途中で、西村は尋ねた。
「君は、何か勘違いしているかもしれない。私は、前任の提督みたいな仕方はしない。いわゆる、ブラック鎮守府の様な事はしない。『みんながこの仕事は楽しい』と思える、意識改革をしたいだけなんだ」
「…皆さん、最初はそう言います。それが出来ないから、前任の提督は、ブラック労働を強いていたんです。しかも、その憂さ晴らしも、私達の身体までも奪って」
これは、大変な鎮守府に来てしまったな。と思う西村。しかし、これに反論する。
「『今までの』だろ。それって、君の決めつけだよな。僕は、僕。これ以上でも、これ以下でもない。」
「…」
大淀は、黙りこんでしまった。そして、鎮守府の中に入り、廊下を暫く歩くと部屋のドアが見えてきた。
「ここが、執務室です。三時間後に呼びに来ます。それまで、スケジュールの確認や前任の提督が残していった『資料』でも見ておいてください」
部屋を出ていく大淀に西村はこう告げる。
「みんな集めるまで、君は、自由にしていいよ。寝るのもありだ」
「気づかいありがとうございます。それでは」
部屋を出ていく大淀。大きくため息をつく西村。
「これは、前途多難だぞ…」
最初に資材のチェックをした。その数にビックリした西村。なんと、上限を越える数量に驚いてしまった。『ありすぎても不幸になる』それは、師匠の半沢正太郎が、言った言葉だ。
次に、スケジュール。ぎちぎちに詰め込められた作業の山。確かにお金を得る為には必要な行動だが、見る限り『休み』という言葉がなかった。
最後に『資料』。それは、見るに耐えなかった。前任の提督の性行為などが、写真と共に載っていた。
これはひどい。その言葉に限る。
「これでは、あの娘達が壊れてしまうのも納得だ。しかし、どうしたら良いものか。」
頭を回転させる西村。そして、ある人物の考えが浮かんできた。
「あれならきっと、きっと納得してもらえるはずだ!」