西村は、街中に出向いていた。それは、艦娘たちの食事に関してだ。一人で準備出きるほどの腕は持ってないし、大勢の食事管理も大変だからだ。
暫く歩くと、一件のレストランにたどり着いた。ここは、今成大将のお勧めの店だと聞いている。名前は『レストラン・天空』。従業員もそれなりにいると教わった。
「あんたが例の新米提督さんかい。わしは大原正吉」
大原はコック帽を脱ぎ、一礼してきた。
「まずは、わしの料理を食べてくれんか。お代はいらん。旨いか不味いかで判断してくれ。変な感想は必要ないのでな」
ウェイトレスに案内され、席に座る西村。水が運ばれてくる。
「ウェイトレスの野上です。よろしくお願いします。うちの店長は無愛想ですが、腕は確かです。期待してください」
五分後、料理が完成されて運ばれてくる。目の前には、カツカレーが置かれた。
「当店の自慢のカツカレーです。人気ナンバーワンのメニューでございます」
一口食べてみる。スパイスが効いており、後から甘味が追いかけてくる。二口目はカツ。豚肉を使用しており、臭みや余計な油がない。三口目はご飯。言うまでもなく美味しい。ひとめぼれかなと思った。
「どうだい?美味しいか不味いか」
「美味しいです。人は本当に美味しいものに出会うと言葉を失いますね」
大原が、ニッコリと笑う。
全部食べ終わると、早速相談にかかった。暫く鎮守府の専属シェフになってくれないかと。勿論、それ相応の報酬は払うことも約束して。
「わしは、昔にあの鎮守府に行った。わしの料理を食べたのは、赤城と加賀ぐらいしかいなかった。とても悲しい思いをした。そんなに食べたくないのかとな。しかし、今成大将があんたは信頼できる人物だと聞いている。わしも長くはない。もう一度、花を咲かせてみるかの」
野上が続く。
「店長は、末期のガンを患っています…。しかも、後継者もいない。余命は分かりませんが、私達で良ければ是非ともお願いします」
こうして、契約は成立した。後は、艦娘たちの反応を待つだけだ。
こうして、森田療法作戦は始まりを迎えた。
帰り際、鳳翔と出逢った。
「て、提督さん。おはようございます」
「何か、買い物かな?お手伝いしようか」
「い、いえご心配なく…。ただ、お店の準備をしようと思って」
店?そうか、そういえば今成大将は、『居酒屋・鳳翔』があるから心配事などはそこに行けば何でものってくれると言っていた。
「いや、その大きな荷物は身体に大きな負担だ。一人より、二人だ。持とう」
「てーとくさんは、やさしいですね」
「ぜんにんのてーとくさんよりも、ずっといいです」
「これはおもしろくなりそうなのです」
妖精さんたちが、何やらこそこそと話しをしている。
夜に居酒屋・鳳翔に行って相談でもしてもらおうと思った西村だった。