Persona 5 Scramble -Eleventh Member-   作:週末ラテ少年

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・翼のアルカナ「技師」について
 トート版タロットのみに存在する大アルカナ「技」が元ネタ。
 番号は14で、P5・P5Rで用いられるマルセイユ版タロットにおける、「節制」と同等。

正位置:諸力の結合、実現、多芸多彩など
逆位置:八方美人的な曖昧さ



#9 Lock Keeper

 地下鉄に乗り、秀尽学園の前に到着。

 見たところ、夏休みらしく静かだ。

 

 

「…来たはいいけどよ、本当にここでいいのか?」

 

 

「…間違いない。

鳥かごに触れた時と同じ感覚がする。」

 

 

「まさか、こんな形で母校に戻ってくるなんてね…」

 

 

「ああ、懐かしいな。」

 

 

「ホントだね。まだ半年くらいしか経ってないのに。

…でも、アリスが秀尽の出身だなんて全然知らなかった。」

 

 

「私もよ。

生徒会長として、秀尽出身の有名人は把握していたつもりだけど…」

 

 

「…消したい過去、だったのだろう。」

 

 

「と言うと?」

 

 

「鳥かごで聞いた声…

悪意に満ちた言葉の刃と、悲痛な叫び。

イジメを()()側だったのか、()()()側だったのか、それはわからないが…

ここでの体験は奴の心に深く大きな傷を残した。

その存在さえ許さないほどに。」

 

 

「…秀尽がその舞台だった、というわけね。」

 

 

「………」

 

 

「とにかく、鳥かごを開ける鍵を探しますか。

ソフィア、ここからどうすればいい?」

 

 

「隔離されてても、ここは渋谷ジェイルだ。

EMMAにキーワードを入れれば、同じように入れるはずだ。」

 

 

「…よし、行ってみるか。オマエら、準備はいいか?」

 

 

「うん、行こう!

キーワードは『ワンダーランド』!」

 

 

『キーワードが入力されました。ナビゲーションを開始します。』

 

 

 

 

 ◇■◇■

 

 

 

 

 ジェイルに到着した。

 …のだが、様子が違う。

 教室になっていて、窓の外には檻がある。

 

 

「ここ…教室か…?」

 

 

「これが学校というやつか?

ネットで見たのとずいぶん違う。」

 

 

「いや、現実とは全然違ってるからね?」

 

 

「かなり認知の歪みが強い。一体どうなって…」

 

 

「…!

ちょっと、あれ…!」

 

 

 パンサーが示した先には机の山。

 そこから、秀尽の制服を着た人が現れた。

 

 

「ヒ…!

ゆ、幽霊…!?」

 

 

『いつまで泣いてる訳?

まーた同情買おうとして。彼のことをそうやって騙したんでしょ?』

 

 

『ち、違う……。私はそんなこと…』

 

 

「な、何…これ…?」

 

 

 空間中に広がる声。僕らの疑問をよそに、話は続く。

 

 

『うっざ。ほんとキモい。

なんであんたみたいなのがのうのうと生きてんの?」

 

あんたなんかさ、死んじゃえばいいのに。

 

 

 机から降りる「何か」。

 近づいたかと思えば、突然体を震わせーーー

 

 

「なんだこいつ…!?」

 

 

 現れるは、二対の腕を持つ怪物だった。

 

 

「気をつけろ、来るぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

『あんたがいると空気悪くなるんだけど。

みんなのメーワクなの、分かんない?』

 

 

「クソッ、どうやってんだよコイツ!?

いきなり姿が変わりやがった!」

 

 

「というか、ここどこ…?

なんか、牢屋の中っぽいけど。」

 

 

「話は後! 来るわよ!」

 

 

「みんな、気合い入れてけ!」

 

 

 

 二対の腕をもつ回転は、それぞれの手に斧を持って襲い掛かる。

 それと同時に、ジェイルにいたシャドウも現れた。

 とにかく、アリスへ色々吐くコイツを仕留めなければ。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

『あんた、告白とかしたんだって?

ほんとキモい、キモいキモいキモい!

色気づいて調子乗ったの? あんたが彼と釣り合うわけないでしょ?

だから私が奪ってあげる。

アハハハ、アハハハハハッ!』

 

 

「奪う…?

恋愛のもつれが、いじめの発端となったということか。」

 

 

「こんなの一方的すぎ…!

ただのアリスへのひがみじゃん!」

 

 

「ホント、聞いてるだけで吐き気がしそう。」

 

 

「敵、弱ってきてるぞ! いじめっ子をこらしめてやれ!」

 

 

「了解!

…イルジメ!」

 

 

 その名を呼び、背後に立つイルジメ。

 放つ光で怪物はふらつき、その間にイルジメと共に早業で切り刻む。

 

 

「さぁ、締めだ!」

 

 

 イルジメは仰々しく刀を抜き、怪物を一刀両断。

 奴は倒れていった。

 

 

「決まったぁ!」

 

 

「やっと倒せたぜ…」

 

 

「待て。何か様子が…」

 

 

 霧散していく奴から金色の豪華な錠前が現れ、床に落ちる。

 すると突然ヒビが入り、砕け散った。

 それと同時に、地面が暫く揺れていった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

「今の地震みたいなの、一体…?」

 

 

「…今ので鳥かごの施錠が解けた。これで中に入れるぞ。」

 

 

「マジかよ!?」

 

 

「さっきのヤツが『鍵』を持ってたみたいだ。」

 

 

「さしずめアレは、鍵を守る番人ということか。」

 

 

「番人…アリスの記憶…鳥かごを開ける鍵…

アリス自身じゃなく、番人が鍵を…?」

 

 

「モナ…?」

 

 

「なーにブツブツ言ってんだよ。」

 

 

「あ、ああ、いや…

パレスとは色々違うと思ってな。」

 

 

「確かに、パレスにはこんな部屋も、鍵を守る番人も居なかったよね…」

 

 

「…先に進むほど謎が増えてる感じね。」

 

 

「てか、ソフィーがいなかったらここに辿りつけてないですよね。」

 

 

「私は役に立ってるか?」

 

 

「勿論!」

 

 

「褒められた。〜♪」

 

 

「ま、アレコレ考えんのは後にしようぜ!

これであの中にも入れるようになったんだ。」

 

 

「そうだな。ワガハイたちがやるべき事は一つ。

予告状を出して、ネガイを取り返すぜ!」

 

 

 

 

 ■◇■◇

 

 

 

 

 夜、ルブランの屋根裏で作戦会議開始。

 

 

「…さてと、後は予告状出すだけだな。内容どうするよ?」

 

 

「盗むのは、アリスに『改心』された人たちのネガイでしょう?

シンプルに、『お前が奪ったネガイを頂戴する』とか?」

 

 

「ああ。オタカラと同じ理屈が通じるなら、それで実体化するはずだ。」

 

 

「実体化すれば盗み出せる。

盗み出して、被害者に届けてあげれば…」

 

 

「みんな、元に戻るんだよね。」

 

 

「ねえ…そしたらアリスはどうなるのかな?」

 

 

「そりゃ当然、改心して罪を告白すんだろ?」

 

 

「いや、そうとも限らない。

今回盗むのは、王が人から奪った()()()だ。

パレスでやったように、本人の欲望…()()()()を盗むわけじゃない。

アリスが改心するかは、正直わからん。」

 

 

「被害者を助けたところで、アリス本人の改心がないとまた改心が発生していくってことか…」

 

 

「だが予告が成功すれば、ネガイが現れるのはあの『鳥かご』の中だ。

そこでアリスのシャドウと出くわす確率は高い。」

 

 

「派手に鍵を壊したしな。」

 

 

「説得するなり、拳で語るなり。

シャドウを通じて改心させる機会はあるんじゃないか?」

 

 

「よし、なら正面から行きましょう!

…あ、ごめんなさい。新入りが何言ってんだって感じですよね…

みんなを危険な目に合わせちゃいますし、もし良ければ、ですけど。」

 

 

「別にわたしたちは大丈夫だぞ!

…でも、突然どうしたんだ?」

 

 

「アリスを改心させて、この連鎖の元を断ちたいってのもある。

それと、アリスを救ってやりたいんです。

テレビで言ってた『誰かの光になりたい』って言葉も、イジメを受けてた過去があるから言える本音だって思って。

それに、です。

あの部屋の光景、もしかしたらアリスのトラウマなんじゃないんですか?」

 

 

「トラウマ…?」

 

 

「過去の辛い経験や出来事で生まれた心の傷…かな。」

 

 

「こころの…きず…」

 

 

「そのトラウマで心が歪んじゃって、ジェイルが出来たんじゃないのかって。

モルガナから教えてもらった理屈でパレスとやらが出来てるなら、そんな気がするんです。」

 

 

「トラウマで心が歪み、ジェイルが…

ありえない話じゃないな。」

 

 

「だが、それが、今のアリスの行動とどう結びつく?」

 

 

「私の考えだけど…多分、自分を蔑んでたタイプの女の人に、復讐してるつもりなんだと思う。」

 

 

「目の前で男奪って見せるのが復讐かよ…

エグいな…」

 

 

「翼の場合はちょっと違ってるけどな。

だが、それにしちゃ規模デカくないか?

被害者の数、半端なかったぞ。」

 

 

「多分、邪魔する人間がいなくてエスカレートしていったんじゃないんですか?

王になったことで、歪みがさらに増した…ってのもあるかも。」

 

 

「私も、翼くんと同じでアリスを何とかしたい。

心が歪んだのなら、思い出させてあげたいの。誰かの光になりたいって気持ち…

結果がどうなるかわかんない。わかんないけど…」

 

 

「ええ。誰かが目を覚まさせてあげないと!」

 

 

「アン殿、ツバサ…」

 

 

「…やろう。」

 

 

「わかったわ。」

 

 

「だが、もし戦いになったとしても、命を奪うことだけは避けなくては。」

 

 

「うん、それだけは絶対にダメ。」

 

 

「説得できりゃ一番なんだけどな。」

 

 

「それでですけど、今回は僕に予告状を書かせてくれませんか?

間接的なアリスの被害者として、バシッと言ってやりたいんです。」

 

 

「それなら、私にも。」

 

 

「2人とも、頼んだ。」

 

 

「予告状か…

私に手伝えることはあるか?」

 

 

「じゃあ決め台詞はソフィアにお願いするね!」

 

 

「うし、んじゃ後は、どう渡すかだな。」

 

 

「ふっふっふー、そこはわたしに考えがある。」

 

 

「へぇ。どんな?」

 

 

「そこは後でだぞ、翼!

せっかくの怪盗団復活祭りだ。ド派手にいかなきゃな!」

 

 

 とりあえず、予告状の内容を杏さんと考える。

 決行は、明日の夜だ。

 

 

To Be Continued…




 次回、決着ゥゥーーーッ!!
 …すいません。

 ロックキーパー戦の止めは翼のショウタイムだと思って頂ければ。
 あと、渋谷編が終わり次第あるアンケートを設置しようかと。
 原作改変ではないのでご安心ください!
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