Persona 5 Scramble -Eleventh Member-   作:週末ラテ少年

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予告状の考案量、翼くんとアン殿だと6:4くらい



#10 Rabbit in Wonderland

色欲に溺れし大罪人、柊アリス殿。

 

偽りの光で人心を弄び、愉悦の為に傷つける。

 

そんなヤツを、我々は許さない。

 

キサマが奪った人々のネガイ、今宵我々が頂戴する。

 

心の怪盗団より

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

-7月29日(土)-

 フタバ砲・リターンズとやらで渋谷をジャックし、予告をした直後。

 警戒度の異常なまでの高さをひしひしと感じながらも、鳥かごの前に到着した。

 

 

「おお…コイツは…」

 

 

「デカっ! 何だあのサイズ!」

 

 

 鳥かごの内側、真上にはそれは巨大な宝石が。

 予告の効果を感じると同時に、アリスがそれだけ多くのネガイを奪ったのだとわかる。

 

 

「よしスカル、さっそく運び出せー!」

 

 

「いやいや、さすがにデカ過ぎんだろ…」

 

 

「これ、どうします…? あのサイズ、盗むどころじゃないですよ…」

 

 

「どうしたものかしら…」

 

 

 と、鳥かごの奥から機械音が。

 

 

「何だ…?」

 

 

 下から現れるは玉座。

 鎮座するのは勿論ーーー

 

 

「あいつは…!」

 

 

「柊、アリス…!」

 

 

「やはり…こうなるか…」

 

 

「…ダメだよキミたち、勝手に入ってきちゃ。

私の集めたネガイ、どうしようって言うのかな?

キミ、確かジョーカーくんだよね。それにそこの銀髪クンも。

私のものになりに来てくれたのかな?」

 

 

「ネガイを頂戴しに来たぞ。」

 

 

「ああ。それに、お前の所有物になるとでも思ってんの?」

 

 

「へえ、やっぱりこれ盗もうって言うんだ。」

 

 

「ヒイラギアリス。オマエがやってきた悪事、すべてお見通しだ!」

 

 

「強制的に人の『ネガイ』を奪い取り、傀儡のように従わせてきた。」

 

 

「無茶な告白を強要し、何の罪もない男女を弄んだ。」

 

 

「自分の店まで開いて、詐欺みたいなことして貢がせてただろ!」

 

 

「偽りの『改心』を操り、人々の心を無残に踏みにじったこと……

これ以上看過できません!」

 

 

「あんたの歪んだ心、怪盗団が叩き直してあげる!」

 

 

「高巻さん…とってもキレイな人。

あなたには、きっとわからない。私がどんな気持ちで生きてきたか。」

 

 

「秀尽でされた事を言ってるのか?」

 

 

「……!

オマエ…そこまで知ってて…!」

 

 

「全部、知ってる。あんたがイジメられてたことも。惨めな思いをしたことも。

でも私たちは…!」

 

 

「ああ、そうなんだ…知ってるんだ……

変われたと思っても、何処までも過去が私を追ってくる…!

惨めだよ…! 本当に惨め…!

でも、もういいんだ。この力があれば、何もかも手に入る!

欲しかったもの……ぜーんぶ!」

 

 

 

 

みんな、私のモノになっちゃえ!!!

 

 

 

 強欲に溢れたその宣言。

 アリスはその身体を豹変させていく。

 

 身体は長身に。

 

 腰には白い球体が張り付き。

 

 長い耳と、付随する王冠。

 

 作りモノのような顔。

 

 本気を出す彼女の姿は、まさに狂気の兎(マッドラビット)そのものだった。

 

 

 

「なんだコイツ…ウサギみたいな姿に化けやがった!?」

 

 

「これも、『不思議の国のアリス』というわけね…!」

 

 

『さぁ、急がなきゃ。時間に遅れちゃうよ!

私がみんなを、ステキな場所に案内してあげる!』

 

 

「ステキな場所?」

 

 

「考えなくていいぞ、ソフィー。」

 

 

「うん。どーせ『あの世』とかだろうし。

アリス…お前の目、絶対覚まさせてやるからな!」

 

 

 高らかにアリスの笑い声が鳥かごの中に響く。

 いつの間にかライブ会場のようになっていた鳥かごの中で、戦いの火蓋は切られた。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 アリスにダメージを与え続け、やっとかと思った頃。

 

 

『…ねぇ、どうして邪魔するの。せっかく私が幸せになり始めたのに。

あなたたちも私を否定するの?あの女みたいに…』

 

 

「そうは言ってない。

僕たちはただ、アリスに大切な事を思い出してもらいたいだけで『ウルサい!』

……! 説得はやっぱり無理か…」

 

 

『うるさい…うるさいうるさイウルサイ!!

惨めなのは、嫌ァァァァァ!!!』

 

 

 ステッキをへし折ったアリス。

 奴はそのまま四つん這いになり、再び襲いかかる。

 

 

「なんか雰囲気が変わった…? みんな気をつけて!」

 

 

『みんなお仕置きしてあげる!

まずは、口答えしてきたオマエだ!』

 

 

「って、狙ってんの僕かよ!」

 

 

 みんなを巻き込まないように離れ、駆ける。そして追うアリス。

 ダッシュの速さ比べなら負けてしまうだろう。だが、亀でも兎に勝つ要素なぞ幾らでもある。

 

 

「イルジメ!」

 

 

『グッ、眩しっ…』

 

 

 要素1。

 怯むアリスだが、やったのは単純。背後に向けてペルソナの力を行使しただけだ。

 

 亀だった今の僕には、兎に抗える()がある。

 

 

「シノビ、ナイスだぞ!」

 

 

「威を示せ、ゾロ!」

「踊れ、カルメン!」

 

 

 要素2。

 目眩でふらつくアリスへ、パンサーの火炎とモナの疾風が降りかかる。

 そこへ、他の仲間も追撃を仕掛けていく。

 

 今の僕には、共に戦う()()がいる。

 

 目眩が解けたのかこちらを向くアリス。様子からして、まだピンピンしてるよう。

 

 

『高巻さんにはわからない!

蔑まれて、馬鹿にされて、否定されるのがどんな気持ちか…

自分がカースト上位だと思い込んでいる人ほど残酷なんだよ。イジめられて苦しんでる人がいても、知らん顔して笑ってる…

だから教えてあげるんだ。『あなたたちなんてゴミ同然だ』って。男にすり寄ったって逃げられないよ。裏切らせて絶望を与えてやるの。男の子はみーんな、私のことが好きになるんだから!』

 

 

 喋り切った後でも手は止まらない。

 その手を爪へと変え、何度も何度も振り回してこちらへと向かう。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 攻撃を与え、与えられをまた繰り返した頃。

 兎は、目に見えて疲労を見せ出した。

 

 

『ぐっ…私は間違ってないはず…なのにどうして…』

 

 

「アリス弱ってるぞ! あと一歩だ、みんな踏ん張れ!」

 

 

『私を蔑んでた女たちに思い知らせる……男をみんな、私のものにして…!』

 

 

「…アリス、お前はそれがやりたかったのか?馬鹿言え!」

 

 

「私は覚えてる、あんたが言ってたこと。思い出して、アリス! あんた、本当はどうしたかったの!」

 

 

『私……私は…!』

 

 

 混乱しだしたらしく、攻撃の手が雑になってきている。

 それを見逃さないわけがない。

 

 再びアリスを包む、カルメンの炎。

 それによってダウンするアリス。

 

 

「今だ! トドメを刺せ!」

 

 

 斬撃、銃撃、打撃。

 持てる限りの力を発揮した総攻撃。

 奴から奪い取るはーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バイバーイ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 紛れもない、勝利。

 

 

『そ…そんな……』

 

 

 アリスは崩れ落ち、そして人の姿に戻っていった。

 

 


 

 

「ウソ…どうして私の力が…

変われたと思ったのに……もうイジメられる側じゃないって思ったのに…!」

 

 

「…もうやめなよ、アリス。これ以上やっても、自分が惨めになるだけ。」

 

 

「あんたに何がっ…!」

 

 

「アリスの気持ちを、パンサーはわかってるぞ。」

 

 

「………

…やっぱり勝てないね。高巻さんみたいな人には。

昔からそう。カースト上位の人には頭が上がらない…」

 

 

「……」

 

 

「私だって、変わろうとした…

イジメられて、蔑まれて、惨めな自分をなんとか変えようって…

デザインを勉強して、頑張ってここまで来た…

それなのに…あの女がまた現れて、私の過去をみんなに言いふらし始めた。『イジメられてた惨めな豚だ』って…!」

 

 

「……」

 

 

「だから奪ってやった! 男も、友達も、何もかも!

それでもまだ許せない…!

あの女も、陰で笑ってた奴らも、見て見ぬフリした連中も!

みんなみんな、許せない…!」

 

 

「アリス…」

 

 

「これが…こころの傷…」

 

 

「この力があれば、みんなに復讐できる。だから…」

 

 

「…だからイジメる側に回ったって訳?

バカ! それじゃ同じじゃない。あんたをイジメてた奴らと何も変わらない!

それでいいの? そんな奴らと一緒でいいの?

あんたはなりたかったんじゃないの!?

誰かの…ううん、自分自身の光に!」

 

 

「……」

 

 

「平気で人を傷つける連中の言葉になんて負けないで…!」

 

 

「高巻…さん…

そうだ…私、助けたかったんだ…

私自身を…どこかにいる、私と同じ想いをしてる子を…

なのに…私……」

 

 

「…それでいいんだよ、アリス。

僕は、お前がどんな過去を持っていようと赦す気はない。

実際、母さんや他の人をネガイを奪った。巻き込まれた僕みたいな人のこと、考えてたのか?」

 

 

「………」

 

 

「謝りたいなら、謝りなよ。

そして自分がしてきたことを償っていって、また一からやり直していくんだ。

嫌な過去が迫ってきたなら、追い返しちゃえばいい。

そうやってこそ、()()()()()の…()()の光に、なれるんじゃないのか?」

 

 

「…!

そうだね。私、みんなに謝って、一からやり直すよ。」

 

 

「うん…!

きっとあんたなら立ち直れる。私もたくさん悩んだから。

でもね…ここにいる怪盗団のみんなや、親友のおかげで、歩き出せた。

あんたはひとりじゃない。自分を取り戻せたら…私と友達になろ?」

 

 

「高巻さんと…? いいの…?」

 

 

「もち!

だって私…同じ夢を持ってる柊アリスが大好きなんだから!」

 

 

「う…ありがとう…

銀髪くんも、ごめんね……

それと。名前…教えてよ。」

 

 

「…服部、翼。」

 

 

「服部くん…

キミも…ありがとう。

私、還るよ。自分の居場所に…

そして、今度こそ……」

 

 

 そう言うと、アリスは消えていった。

 

 

「…本名言っちゃったけど、大丈夫ですよね?」

 

 

「大丈夫。こっちで起こったことは、現実のアリスは覚えてないから。」

 

 

 と、地面が大きく揺れた。

 鳥かごは崩れ、ネガイの塊は砕け散る。

 

 

 

 

 瓦礫のみが残る705の上から、雨のように降っていくネガイ。

 それは持ち主のもとに戻っていき、ジェイルから消えていった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 スクランブル交差点に戻る。

 モナたちが言うには、パレスとやらと違って、ジェイル自体が消えてないのが気がかりらしい。

 

 

「…すごいな。」

 

 

「どうしたのソフィア?」

 

 

「怪盗団の言ってた通り、柊アリスは変わった。ただ倒していたら気づけなかった。

こうなるって、わかってたのか?」

 

 

「そんなことないわ。

でも、変われるのが人だから。」

 

 

「変われるのが…人…」

 

 

「…人の心って難しいね。

何かを乗り越えて強くなれたかと思えば、ちょっとしたきっかけで揺らいだり。」

 

 

「…確かに難しい。

人のこころ…謎だらけだ…」

 

 

「まぁ〜謎の量に関しちゃ、ソフィーも負けてないけどな。」

 

 

「いや、私は…」

 

 

「人の良き友人、でしょ? 覚えてるよ。」

 

 

「わかってるな、シノビ。」

 

 

「そりゃあね!」

 

 

「フフッ、それじゃあ戻りましょうか。

現実のアリスがどうなったかも確かめたいし。」

 

 

「うん。早く帰ろう!」

 

 

 

 

 

 ■◇■◇

 

 

 

 

 

 現実に戻って帰宅したら、ソフィアが口を開いた。

 

 

「…なあ、翼。

杏と翼はあの時、アリスのシャドウに怒っていたな。だが最後は晴れやかな顔をしていた。

何故だ? アイツに怒っていたんじゃないのか?」

 

 

「…何でだろうね?本音をぶつけたから…とか?」

 

 

「そうなのか…

『怒り』というのは、人を傷つけるだけじゃない。人を救うこともできるんだな。」

 

 

「いや、それは場合によるかも。

救えないことだって、きっとあると思う。」

 

 

「だが、アリスは救われた。

誰かが間違っていたら怒って、正しい道を教えてやることができる。人のこころは不思議だな…

お陰で貴重な経験を積むことができた。ありがとう、翼。

これからもよろしく。」

 

 

「ん。今後ともよろしく!」

 

 

 と、スマホが鳴った。

 父さんからの電話らしいが…

 

 

「もしもし、父さん?」

 

 

『翼、突然ごめんな。実は母さんがーーー』

 

 

To Be Continued…




渋谷編も大詰め!
渋谷編終了→キャラ設定→仙台編ってする予定です
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