Persona 5 Scramble -Eleventh Member-   作:週末ラテ少年

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早めの更新(当社比)です



#22 Sightseeing

-8月9日(水)-

「わ、すごい! なんか古そうなのに、超オシャレ!」

 

「かつて道庁の本庁舎だった、北海道のシンボル。重要文化財にも指定されてるそうよ」

 

「これは…素晴らしい。新たな着想が、次々に湧いてくるぞ!」

 

 

 翌日、札幌市内。街頭演説が明日にあるというのもあって束の間の観光を楽しんでいるところだ。現在は北海道庁旧本庁舎に到着したところである。

 

 

「お庭もすごく素敵。花壇にもいろんなお花があって…

 

……あれ、あそこ?」

 

 

 と、春さんが何か見つけたらしい。言った先には、妙齢の女性と若い男性。両者ともスーツを着ている。

 

 

「ちょっとあなた! 花壇の花が枯れてるじゃない!」

 

「も、申し訳ありません! ですが、この暑さですから…」

 

「言い訳なんて聞きたくない。市の名所には、一つの欠点も認められないわ。

私はこの札幌中央市の最高責任者。あなたなんて、いつでもクビにできるのよ?」

 

「ひいっ……どうか、どうかお許しを…」

 

「路頭に迷いたくなければ、24時間休むことなくすべての花壇を監視なさい!」

 

「しょ、承知いたしました市長…!」

 

 

 市長と言われた人は職員をこれほどまでかと叱りつけ、職員の方も礼の姿勢をずっとしている。役所ってブラック企業なのか…?

 

 

「こえー…なんだアレ」

 

「いや待て。今…()()って言ってなかったか?」

 

「確かに…」

 

 

 と、こちらに気づいた女性。風貌は、確かに市長と言われればそれらしい。

 

 

「…あら。あなたたち、観光かしら?

せっかく来ていただいたのに、ごめんなさいね。職員の醜態を見せてしまって」

 

「あ、いえ…」

 

 

 すると、突然女性が春さんの方に歩み寄る。とても意外そうな表情だ。

 

 

「でもそんな…あなた…もしかして『春ちゃん』?」

 

 

 唐突に親し気に呼ぶ女性。言われた春さんだが、まるで覚えがなさそうな顔。

 

 

「えっ…?」

 

「ああ、覚えてないかしら…。まだ春ちゃんが小さい頃だったものね…

私よ、氷堂鞠子。奥村社長…あなたのお父様にお世話になった」

 

「氷堂って…この人が市長の!?」

 

「みみみ、みんな、落ち…落ち着け!」

 

「あっ…もしかして…。マリ、さん?」

 

 

 職員の前とは打って変わってにこやかな笑みを浮かべる市長。それを見て春さんも何か思い出したらしい。

 

 

「そう! 嬉しいわ、覚えててくれて」

 

「え…春、この方と知り合いなの?」

 

「そうっ! うん…そうなの! 小さい頃にお世話になった、マリさん!

マリさんは昔、オクムラフーズの取引先の方で、お父様がよくゴルフでご一緒しててね。私が一人で退屈しそうにしてると、よく相手をしてくれたの」

 

「それは…なんとも…」

 

 

 偶然すぎる…。ターゲットが仲間の知り合いなんて、そんなことあるのか?

 

 

「まさかの展開だな…」

 

「春ちゃん…お父様のこと、本当に残念だったわ」

 

「いえ…ご心配をおかけしてしまって…」

 

「何か困っていることはない? 私はいつでもあなたの味方だから」

 

「ありがとうございます。でも、大丈夫です。

会社の経営陣も信頼できる方ばかりですし、大学とも両立させて、私なりに頑張ってます。支えてもらってばかりではなく、自分で前を向いて歩いていかないといけませんから」

 

「春ちゃん…立派になって…」

 

「マ、マリさん…みんなが見てます…!」

 

「あら、ごめんなさい。感極まってしまって、つい」

 

 

 市長と抱擁を交わす春さん。まるで親子のようにも見えてきた。

 

 

「今日はお友達と観光だったのかしら? 皆さん、札幌を満喫してくださると嬉しいわ。

札幌を気高く美しい街にするために職員にも尽力させているから、どうか安心して。

 

…ほら! あなたはさっさと替えの花を用意なさい!」

 

「は、はい!」

 

 

 礼の姿勢をずっとしていた職員は、その言葉に合わせて去っていった。

 

 

「まったく…私がいないと手を抜こうとするから…

 

…ごめんなさい、お見苦しいところを。それに申し訳ないけど、これで失礼するわ。

選挙前でいろいろ忙しくて。困ったことがあったらいつでも言ってね」

 

 

 表情を二転三転させながらも、市長は去っていった。

 

 

「…春には悪いけど、裏表の激しそうな人だったわね」

 

「マリさん…昔は、誰に対しても優しい人だったのに…」

 

「本当にあの人がジェイルの王なのかな…」

 

「というか、さっきの怒り方の時点で、って感じな気もしますね…」

 

「だな。あそこまで言うか? 花くらいでよ…」

 

「…春、大丈夫?」

 

 

 杏さんが問うが、春さんは憂い顔だ。

 

 

「…うん、大丈夫。ちょっと…驚いただけ。

それよりゴメンね。キーワード…聞けば良かったよね…」

 

「無理はするなよ」

 

「ありがとう。でも、本当に大丈夫だから」

 

「キーワードも気にしないで! まだ街頭演説があるもの」

 

「そうだな。後で必ずチャンスは来る。今日のところはひとまず、街でヒョードーの噂集めでもしておこうぜ」

 

「うん…ちゃんと調べなきゃ…」

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

「なんだこれ…『清掃キャンペーン』?」

 

 

 夜、すずしのの歩行者天国。周りを見渡せば人の大群であり、それらしさがある。

 その中の僕とソフィアだが、バラバラになって噂集めをする中で一枚のポスターに遭遇していた。

 

 

「『札幌中央市』と書かれているな。市が行っている活動みたいだ。

…調べてみたが、職員が市内の清掃をするキャンペーンのようだ。あまり気にしなくてもよさそうか?」

 

「んー…多分…?」

 

 

 スマホから顔を出すソフィア。ポスターから離れる。と言っても、このポスターそのものは街の至る所で見つけられるようだが。

 そしてしばらく大通りを歩くと、一軒のドラッグストアがあった。

 何かないかと中に入って見て回ると、風邪薬や栄養ドリンク、あとはエナジードリンクの類が棚から消えている。

 

 

「クソッ…ここもか…」

 

 

 と、右から声が小さく聞こえてきた。振り向くと、やつれた様子のスーツを着た男。

 

 

「な、なあ! この辺でエナドリ売ってるとこ、知らないか?」

 

「ちょっ…。そう言われましても、僕は観光客なもので…」

 

「そうか…」

 

 

 こちらに気付いた男は突然肩に掴みかかり、疲れの見て取れる雰囲気でこちらに話しかけてきた。こちらが答えると、やつれた雰囲気がさらに加速していく。

 

 

「随分と疲れているようですけど、大丈夫ですか? そこまでの状態なら、病院にでも行った方が…」

 

「…無理だ。二か月前からここの役人はこうだ。

あの市長、表向きは良い婆さんだが、俺らを見る目はマジで冷てぇ。まるで、養豚場の豚を見る目だよ」

 

 

 愚痴を吐くように彼は続ける。

 

 

「俺は、生まれ育ったこの札幌に何か恩返しができないかと思ってこの職に就いた。

だが現状(いま)はどうだ? 真っ黒な環境で市長の奴隷になるだけじゃねぇか!」

 

 

 やる気がなく、そして恨みの籠った声が店内に小さく響いた。

 

 

「そういや、去年から音沙汰がなかった怪盗団、ちょっと前に復活したらしいな。

こないだ仙台にも現れたらしいし、次はココ…とかだったらいいな。

……すまないな、少年。こんな奴のちょっとした独り言、聞いてくれて」

 

「…いえ、大丈夫ですよ。悪いやつに人生を狂わされたこと、僕もありますし」

 

「ははっ、そんな若そうなのに、よくそんな経験してるな」

 

 

 それじゃあな。それでは。

 そう言葉を交わして僕は店内から去り――小さく手を握り締めた。

 

 彼はきっと、氷堂市長によって人生を狂わされたなんの罪もない人だ。改心とかそういうわけじゃなく、アリスのプロデューサーのように、歪んだ心によって引き起こされてしまったもの。

 …彼のような人を早く救うためにも、早く氷堂の改心を成功させなければ。

 

 

「…蓮さんたち、こんな思いで怪盗始めたのかな」

 

「何か言ったのか、翼?」

 

「いや、なんでも」

 

 

 改めて、怪盗をやることへの決意を固めた瞬間だった。

 

 

 

 

 ●◆●◆

 

 

 

 

-8月10日(木)-

『先ごろ、札幌市議会で汚職事件がありました。大変に恥ずべきことです。

私は新しい倫理条例を制定し、たったひとつの汚点も見逃さない、断固たる決意でおります。

この札幌を、淀みなく美しい街にしたい! そう、真冬に降り積もる新雪のように!

世界に誇れる、行政を市民が心身共に真っ白なスノウ・シティを目指して!

さあ、皆さん。札幌の大掃除をいたしましょう!』

 

 

 翌日、すずしのに市長の声が響く。

 街頭演説は予定通りに行われ、EMMAのキーワードが出るのも時間の問題だろう。

 勿論だが、僕らは少し遠いところから眺めているところだ。

 

 

「すっげ…マジで全員信者じゃねーか…」

 

「確かに凄い人気だよね…みんな『改心』された人たちなのかな…」

 

「人は人を呼ぶからな…『改心』されてない者も混じってはいるだろう」

 

「春…」

 

 

 やはりというか、春さんは憂い顔だ。親のような人がそうなれば、まあ仕方ないようにも思えるが…

 そうこうしているうちに、市長のがスマホを出したようだ。

 

 

『皆さん、EMMAを利用していますか? ぜひ、私とトモダチになりましょう!

市民の皆さんはもちろん、市外、道外、海外…どなたでも構いません、私と繋がってください!

キーワードは、『スノウ・シティ』です! さあ、遠慮なくどうぞ!』

 

 

 キーワードを聞いた見物人は、選挙でEMMAを使うことを気にも留めずトモダチ登録をしているようだ。

 

 

「みんなトモダチ登録してる…」

 

「なあ、ここで止めた方がよくねえか?」

 

「ここで騒いで捕まったら、改心とかジェイルとかどころじゃないですよ。今は我慢するしかないですね…」

 

「だが、キーワードは手に入った。これでヒョードーが王なら、ジェイルに侵入できるはずだ」

 

「このすずしのなら匂いは薄い。安全にジェイルに入れると思う」

 

「準備は整った、というわけだな」

 

「…行こう、みんな。もしマリさんが王なら、私たちしか止められない。

これ以上、何の罪の無い人たちの心を弄ぶようなこと、させちゃいけない」

 

「…だな」

 

「準備は整った。氷堂を止めに行くぞ」

 

「…よし。準備を整えてジェイルに突入するぜ!」

 

 

 

 

 ◇■◇■

 

 

 

 

「ささささ、寒っ…!」

 

「なんも見えねえ…!」

 

 

 すずしのの一角に集まり、ジェイルに突入――したはいいが、待ち受けていたのは吹雪。極寒が待っているのは知らないって…!

 みんなは凍えた様子で、ソフィーとモナに関しては何も言わなくなってしまっていた。あと頭に雪乗ってる…

 

 そして吹雪がやむと、目の前に広がるは凍てついた街並み。凍ってしまったのか、氷でできているのかはわからないが。

 

 

「ねえ、あれ!」

 

 

 なんて考えていると、ノワールが一方向を指す。

 凍った街並みのその先には、一際目立つ大きな城がそびえ立っていた。

 

To Be Continued…




ブルプロ楽し過ぎだろ!

京都編の鉄拳制裁イベント、オリ主くんは…(双葉とは付き合ってるものとする)

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