蒼海のアルティリア   作:山本ゴリラ

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カクヨム様にて2年くらい前から連載してる作品を試しにハーメルンに投稿。
追いつくまで毎日投稿予定。

<注意事項>
・シリアスとかはあんまり無くて、基本ゆるい感じです。多少はあります。
・気を付けていますが長期連載ゆえ作者が昔書いた事忘れて矛盾が発生したりとか、多少のガバが発生する事があります。気付いたら教えて貰えると助かります。
・TS物にありがちな雌堕ちとか恋愛要素とかは無いです。
・結構人を選ぶ、好き嫌いが分かれる内容だと思います。無理だと思ったら低評価付けてそっ閉じしてください。


第1話 目を覚ますと爆乳エルフになっていた件

 目が覚めたら、オンラインゲームで使っていたキャラクターの体で異世界に居た。

 お前は一体何を言ってるんだ、と言いたくなる気持ちは分かるが、まずは落ち着いて俺の話を聞いてほしい。

 

 俺は、MMORPG『ロストアルカディア・オンライン』、略してLAOにド嵌りし、そのゲームを廃人と呼ばれるレベルまでやり込んだという点以外は特筆すべき事も無い、ごく普通の日本人男性であった筈だ。

 俺は昨日も、そのLAOを深夜までプレイしていた。

 

 昨日はいつものように、メインの狩場である海底神殿の第6層でモンスター狩りをしていたはずだ。

 海底神殿は全域が水中エリアであり、LAOでは『水泳』スキルが低いと、水中の活動に大幅な制限を受ける。具体的には移動や攻撃の速度が大幅に低下したり、一定時間ごとに呼吸ゲージが低下していき、最後には溺れて死亡したりする。

 そんな訳で水中エリアはあまり人気が無く、他のプレイヤーの姿を見る事はあまり無い場所だが、そこをメイン狩場とする俺の愛用するメインキャラクターは、水中戦闘に特化しまくった、だいぶ変わった構成(ビルド)のキャラである。

 昨日も水中を時速200kmオーバーの快速で縦横無尽に泳ぎ回りながら範囲魔法を連発し、数時間にわたってモンスターを狩りまくっていたのだが、流石に飽きてきた俺はそのまま、第7層へと足を向けた。

 ちなみに海底神殿の最下層である第7層の敵は、流石の俺でもソロだと苦戦するレベルの強敵揃いの為、普段は安定して狩れる第6層の敵をメインターゲットにしている。

 

 そんな訳で第7層に進んだ俺は、襲いかかる強敵を何とか撃破したり、逃げ回ったりしながら深海を泳ぎ回っていたのだが、その時だった。

 

「おっ……?何だこの扉。こんなの前に来た時にあったか……?」

 

 第7層の奥に、巨大な扉を発見したのだ。

 滅多に来ない場所なので、たまたま見過ごしていただけか?それともアップデートで告知無しにコッソリと追加されていたのか?

 矢鱈と隠し要素の多いこのゲームの事だ、後者の可能性も十分ありえる。

 

「とりあえず調べてみますか……っと」

 

 俺が自分のキャラクターを扉の前まで移動させ、マウスカーソルを扉に合わせて右クリックでアクセスすると、

 

 『扉を開く』

 『キャンセル』

 

 という選択肢が出現した。

 

「……行くか!」

 

 この先に超強いボスが待ち構えている、という可能性も高いが、同時に未知の隠しエリアへの興味や、レアアイテムを獲得できるかもしれないという期待から、俺は扉を開く事を選択した。

 すると閉じていた扉がゆっくりと開いていき、その向こう側から光が溢れ出した。やがて画面が真っ白に染まっていき、そして……その先の記憶が無い。

 

 次に目を覚ました時、俺は見知らぬ場所に一人、倒れていた。

 俺が倒れていた場所は、小さな無人島のようだった。四方は青い海に囲まれており、空を見上げれば雲一つ無い快晴の青空。

 

 そして平凡な日本人男性であった筈の俺の体は、大きく変貌を遂げていた。

 冒頭で述べた通り、俺の体は……LAOで使用していたメインキャラクター『アルティリア』の物になっていたのだ。

 

 アルティリアは、エルフの女性である。

 職業(クラス)はメインが精霊使い(エレメンタラー)系の最上級職の一つで、水属性に特化した水精霊王(アクアロード)。また、サブクラスとして海賊(パイレーツ)系上級職の船長(キャプテン)等を所有しており、前述した通り、水中戦に特化している。

 見た目も海をイメージして、淡い水色の長い髪に、深海のような濃い青色の瞳をしている。

 身長は176cmと長身で細身。ここまで聞けばエルフらしいと言えるのだが、華奢な体つきに対して胸や尻はドーン!と突き出ており、それはもうむっちむちのバインバインである。

 ちなみに、言うまでもなく俺の趣味だ。

 

 服装はと言えば、設定できる最大サイズの胸や下半身を申し訳程度に覆った白いビキニの水着の上に、水で出来た魔法の羽衣『水精霊王の羽衣』を纏っている。これは水で出来ているので透明であり、この二つの装備の組み合わせによってアルティリアは常に濡れ濡れスケスケの白ビキニという状態である。

 一応、俺の僅かな名誉の為に言い訳をさせてもらうと、このエロ装備は俺の趣味というだけではなく、実用性も兼ねたものである。

 ビキニのほうは水着系装備に共通している泳ぎ速度上昇に加えて、水属性の魔法威力上昇、魚類モンスター撃破時の経験値とアイテムドロップ率上昇、釣りや水中での採集時に採集時間短縮&レアドロップ率上昇、船の移動速度上昇&耐久度の減少速度軽減といった、有用な特殊効果が多数付いた逸品であり、防御力も水着にしてはかなり高い。

 水精霊王の羽衣に至っては、作成に多数のレアアイテム素材とゲーム内通貨を必要とするエンドコンテンツ『神器作成』によって作られた、水精霊王専用の最上級装備だ。

 その驚きの性能は、水属性魔法の消費MP半減&詠唱時間短縮&威力上昇、泳ぎ速度大幅上昇&水中呼吸可能、水精霊の召喚継続時間延長、魚類や水棲生物の捕獲確率上昇、火属性ダメージ半減、水属性ダメージ吸収等だ。

 俺の趣味が全く入っていないとは言えないが、決して濡れスケ白ビキニのむちむちエルフ娘が見たいからという理由だけで選んだ装備ではない、という事は理解していただきたい。

 

 まあ、そんな見た目な上に水中戦に特化しまくり、最大強化状態では時速300kmオーバーの速度で水中を泳ぎ回り、超火力の水属性魔法をバラ撒く俺のキャラクター、アルティリアを、LAOのプレイヤー達はこう呼んだ。

 

 曰く、『水中戦最強』。

 曰く、『LAO水泳部部長』。

 曰く、『大型船を泳いで追い抜く謎の生き物』。

 曰く、『海洋四天王で一番の小物』。

 曰く、『ガチ装備の露出狂』。

 曰く、『変態』。

 曰く、『見た目エルフっぽいだけの新種の海洋生物』。

 

 即ち、『海産ドスケベエルフ』……と。


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