そうこうしている内に俺も一歳になり売られる時期が近づいて来た。体はまだもふもふの毛が目立ち馬体の完成はクラシックには間に合うにだろうが2歳戦で重賞が走れるか、と聞かれると少し怪しい。
まあね?俺さあ、エリートなんだよね。そんな不安要素ぶっ飛ばしてやりますよ(笑)
あまり人に慣れてない馬はオドオドしているし、恐怖や困惑が伝わってきてかなり気の毒な気分になった。中身が人間というだけでこうも落ち着きに差があるものなのかと自分でも驚いた。
俺の落札価格は4.8億…
…ファーwww
流石にディープ産駒でも見ないような価格になっていた。
いや、この世界におけるディープに位置する馬の子供だから実質俺もディープ産駒だ。そう思うとかなり自分が誇らしく思えて来る。
しかし4.8億…期待がかなり込められた金額なだけに少し身が引き締まる思いだ。
秋になると俺は育成牧場に運ばれる。落ち着いた面を生産牧場の人たちにはアピールしておいたし、走りもかなり頑張った。
もしかしたら俺…新馬戦くらいなら勝てるかもしれない…*1
俺を買った人間は毎年重賞を勝ち、クラシックもほとんど皆勤するかなりの馬主ではあるが最近はG1に恵まれず一発逆転の意味を込めて俺を購入したらしい。
いやしかし…それに4.8億てお前…買い方おかしいだろ…
さて時は流れ俺は2歳になった。
ここ最近は俺にどんな名前がつけられるのかとソワソワして昼と夜しか寝れていない。… … … 休む時にしっかり休むのも競走馬としての一つの才能なんだぞ!
馬主らしき人と調教師がちょうど俺について話をしていたので聞き耳を立てる。
…ふむふむ
父親の名前が『ノーブルスクラッチ』
母親の名前が『エンドオブドリーム』…いや馬にしてはちょっと縁起の悪い感じのする名前だな!
まあ捉えようによるか…?そんなことを考えながらボーッとしているとどうやら俺の名前が決まったらしい。馬主はまるで親にオモチャを自慢する子供のようにキラキラした目で俺を名前を呼んだ。
『グロウリースカーズ』
色んなレースを勝ちまくって爪痕を残して欲しいと、そんな思い出つけたそうだ。…うん凄くかっこいい!前世の名前も好きだったけどこういうシンプルながらに強い思いを込められた横文字というものはいつだって男の心を刺激するのだ。今世だって牡馬だし。
改めて気合いを入れた俺はそれからのトレーニングも欠かさず続けた。体の負担も考えて少し手を抜いたりはしたけどね。こういう細かい調整ができるというのは中身が人間であったメリットだろう。
…馬ながらにそういうエピソードを持つ奴ってめちゃくちゃ賢くね?
謎の敗北感を覚えつつもキチンとトレーニングを積む日々。
並走のチャンスがあると自分の実力の確認、走法の切り替えが上手くできているかの確認などをするために逃さないようにした。
ここの馬?知らないけどたぶん全員抜いたぜ。
古馬は無理です。チキンを発揮してしまったのもあるが単純に身に纏う空気が違いすぎる。奴らは歴戦の戦士ですから。ボス馬と呼ばれるのも勿論いるのでね調子に乗りすぎないように気をつけましたよ。
いつかおんどれをその場から引き摺り下ろしてやるぞゴラァ!
この気持ちを大切に頑張るのだ。メンタルはいくら強くても良いですからね。
ならボス馬にビビるなって? …ハハハ
そうこうしている内に明日はいよいよ新馬戦だ。親父は大種牡馬ということもあり世界のありとあらゆる名牝に種付けをしている以上、新馬戦にも当然その手の馬は出て来るだろう。
初めてのレースの雰囲気に飲まれないように頑張ろう。
ガバを晒しそうなところはどんどん進みます
レースの描写は…難しいけどしっかり書き込みたいです。