じゃあこの更新でもっとお気に入り減っちゃう。悲しい……悲しい……。
で も 好 き 勝 手 書 き ま す。
感想、マシュマロ、ありがとうございます。頑張ります!
さらなる感想とマシュマロお待ちしてます!
場所はすぐわかった。大きく張られた帷を突破する。
「なんだこれ」
覚悟してはいたけれど、人の代わりにぬいぐるみが行き交う様子を見て絶句する。
【悲報】原作大崩壊のお知らせ。
とにかくぬいぬいメーカーを探さないと。
大きな呪力を感じて、戦闘が起きてるのかもとそちらに向かう。
「棘くん!!」
悲痛な声を聞いて、急ぐと刀を持った男の子とパンダと女の子がいた。
ぬいぐるみと戦っているようだった。
原作組か!!
「くそっ どうすりゃ良いんだ!」
「ぬいぐるみを押さえつけていてくれるかな」
急いで声をかける。
「貴方は、夏油傑!? 先生を返してください!」
「捕獲対象その2!」
「私の血を飲ませれば元に戻ると思う。悟は無事だし、すぐに返すよ」
「お前の術式は呪霊操術じゃねーのかよ」
「友達を助けたいなら、指示に従ってくれ」
棘くんのぬいぐるみを3人掛で押さえてもらう。
その間に、指の腹をナイフで傷つけて口元に当てた。
他のぬいぐるみはとりあえず呪霊に口に含ませておく。
棘くんのぬいぐるみが大きくなっていく。無意識に指を噛み、血を吸い、戻るスピードが上がっていく。
「それ、呪霊にも効きますか?」
「私の血の対象は生き物限定だと思う。多分ね。だから里香ちゃんはぬいぐるみになったら戻せないと思うよ。君達は撤退して。あとは私がなんとかするから」
「治せる数に限度があるってそういう事かよ……!」
「俺は着いていく。なんせ俺は元からプリチーなぬいぐるみだからな!!」
「いや、私の血は生物以外には効かない。万一ダメだった時に治せないから、君も撤退してくれ」
「事前に血を飲んでおくのはどうですか?」
「耐性は得るけど、睡眠を必要とする。それに」
言うな。そんな場合でもない。
「私は悲術師が嫌いだ。処方するとしたら乙骨くん。君だけだ」
ああ、やはり私は猿は駄目だ。嫌悪感が抑えきれない。
「トラウマがあって、非術師に触れるのはもちろん、会話も無理なんだよ」
そこで、私は言い訳のように付け足した。
「わかりました。真希さんは棘くんを連れて撤退して。寝ないように頑張ります」
「そういうことじゃないんだけどなぁ」
そこで、ぬいぐるみを口に含んでいた呪霊が内側から突き破られる。
真希が棘くんを、パンダが私を庇うように前に出た。
押し問答する時間も惜しいか。私は指を拭ってまたナイフで傷つけ、乙骨くんに差し出した。
「急いでくれ」
ちゅうちゅうと吸われる。
その間、もちろん迎撃に呪霊も出している。
「体が熱くなってきました」
「もう良さそうだね。すぐに眠くなるけど大丈夫?」
「頑張ります」
ぬいぐるみを傷つけないように闘うのが難しい。
元は人だし戻せるしね。どうしようか。思いついた事があって、私は呪霊に乗って空へと浮かぶ。
念のため、ペットボトルの水をとぽぽ、と下半身に垂らしていく。
「足が魚に!?」
「人魚……!?」
「生臭っ」
ペットボトルの蓋を失礼なパンダに投げつけて、私は咳払い。
頼んだよ、前世の記憶!!
よっしゃまかせろー! 転生者の私が鬨の声をあげる。
私は、呪力を使うのとはまた違う力を練り上げ、歌った。
自分が自分でない気分。
まるで、体を明け渡して自分は中から見ているかのような。
体の内側から押し上げられるような高揚感と、体の奥に落ちていくような浮遊感。
息を吸った。
「♪♪〜」
ぬいぐるみが、ふらふらと歩み寄ってくる。空を飛んでるから届かないけどね。
どうやら成功はしたらしい。周囲のぬいぐるみが近くへと寄ってきた。
頑張れば歌に乗せて水も操れそうだ。
なんだ、役に立つじゃないか、人魚。
私よ、もっと声を張り上げて歌うんだ! ラジャラジャ!
なんだこれ。なんだこれ。これが歌うってことなのかな? 凄く気持ちいい!
高揚感に飲み込まれていく。声が透き通って男から女の物へと変わっていく。
「う、く……真希さん、待って」
「なんだこれ」
乙骨君は予想通り抵抗成功。パンダには効かないらしい。これも重畳。
ぬいぐるみは山を作り、それを登っていく。まるで地獄で蜘蛛の糸に群がる亡者の群れのように、ヨタヨタと。
うーん可愛いけどホラー。
高揚感のままに、思いっきり掌にナイフを突き刺した。
痛みは私が抑え込む。血を操り、ぬいぐるみの山に無駄なく浸していく。
血をかけられたぬいぐるみの山から、ぬいぐるみ化と呪歌への耐性を得た人間がもがいて離脱していく。
あ、声に寄ってきてた真希にも血を飲まれちゃった。うぐぐ、まあいいか。なにせとても気分が良い。
全部吹っ飛びそうで逆に怖いな。
これでぬいぬいモンスターも釣られてくれればいいんだけど、寄ってくる人間は見当たらない。
血の流しすぎで頭がくらくらしてきた時、乗っていた呪霊がぬいぐるみになって落ちた。
「きゃあ!?」
歌に集中していた私はそれに対応できず、落下して乙骨に受け止められた。
「そこだぁ! 間違ってたらすまん!」
パンダがぬいぐるみを攻撃する。
「パンダきゅんなんで邪魔するの!? パンダきゅんだってぬいぐるみの国ができたらうれしいでしょ!?」
「嬉しくないね! 可愛いのは俺だけで良いんだよ!!」
「可愛いは正義なんだよ!」
ぬいぐるみ達が攻撃を加えてくる。
あれは多分、普通のぬいぐるみだと思うけど……!
見抜けないのは面倒だな!
そこで、羽音がした。
「うおおおおお夏油様、助けに来たぞおおおおおおおおお! 中身おにゃのこだけを戦わせられるか! ってかわっえっ! 人魚ってか異能人魚姫!?」
「君は!?」
「俺の異能はエンジェル! 歌ったり羽を刺すことで異能の効果を消せるぞ!」
現れたのは鳥人!! 嘴のような仮面を被った彼は羽をぬいぐるみに飛ばして刺していく。
戻っていく人々。戻らないのはぬいぐるみ!!
「ああもう! 格好いいよ、バードマン!」
そして、真希がスラリと刀を抜く。
「むぅぅー!」
「デュエットだ、小魚ちゃん!」
「うん!」
「「歌うは名曲」」
「「トット・ムジ○」」
歌が、力がうねる。
歌の邪神は出なかったけれど、歌が相乗効果で重なって、爆発したように感じた。
すごく気持ちいい!
初めて会ったのに気持ちが通じ合ったような気がして、手を握り合う。
ぬいぐるみになる異能が解けていくと同時に、ぬいぐるみに対する操作が解除されていく。
しかし、さすがにぬいぬいメーカーと側近らしきぬいぐるみには通じない。あ、フワ五混じってる。確保しとこ。
ぬいぬいメーカーの体はどんどん大きくなっていく。
「はたき落とす!」
私はそっと下ろされた。
「あのさ……僕、怒ってるんだ。友達にひどいことしたお前のことを」
怒りのこもった乙骨の声に、真希とパンダが引く。
乙骨は、拳を握った。
次の瞬間。
ワンパンで乙骨が見上げんばかりの大質量のぬいぬいメーカーを吹っ飛ばしていた。
人に戻ったぬいぬいメーカーを、真希が真っ二つにした。グロっと転生者の私が叫ぶ。
「ひえっ」
「あ、じゃあ俺、そろそろ南へ渡らないと。小魚ちゃんはもらって行きます!」
バードマンが私を抱き上げ飛び去ろうとする。
「夏油様を連れ去ろうとすれば殺す」
「吊るすよ?」
「ひっ」
「美々子ちゃん、奈々子ちゃん」
「誰だ、お前」
美々子と奈々子、利久と悟がきていた。
悟に首筋を抑えられ、おとなしくバードマンは降りる。
利久は顔を赤くして上着を押し付けてくる。
美々子と奈々子が、きつい猜疑の目で私を睨んでくる。ああ、泣きそうだ。
「えーと? 小魚ちゃん? 傑いる? 出してくれないかな」
この日が来ると知っていた。知っていたけど。
私はキュウウと胸を締め付けられる思いにくれながら、カミングアウトした。
「夏油傑は……殺した。異能に付随した人格が、塗りつぶしてしまったんだよ。だから、ごめん。美々子。奈々子。悟。だから、私はバードマンと行くよ」
「ふぅん? 傑はそう思ってるのね」
「そう思ってるって、事実じゃないか」
「良かったです、夏油様。何でもいいから、帰りましょう」
「夏油様、心配した」
「その姿、目に毒だったので戻ってくれて良かったです」
バードマンの腕から降りて、呪霊を出そうとすると悟に牽制される。
「傑。要救助者がいっぱいいる中で呪霊が出れば間違いなく犠牲が出る。小魚ちゃんはそれでいいのかな?」
「夏油様、どこにも行かないでください!」
「夏油様、一緒に帰りましょう!」
「夏油様!」
「先生! 心配しました」
「憂太。棘は大丈夫かな? よく頑張ったね。ごめんね、ちょっとドジった。それと解呪のめどがついたよ、憂太」
「これからどうすんだよ」
「応援を呼んで要救助者を保護するよ、全員ね」
「ふぅ。まあ、悟に任せるよ。私は一旦帰ることにする」
「そうそう、俺も冬が来る前に南に渡らないと」
「子供達も傑も小魚ちゃんも小鳥ちゃんも全員保護ね。あと傑、小鳥ちゃん傑が毛嫌いする猿だけどいいの?」
ゾワゾワゾワっとしてバードマンを突き飛ばす。
「それでこそ夏油様だけどひでぇっ」
転生者の私がバードマンさんッと叫ぶ。
嫌悪感と慕う心。真っ二つに分かれそうなほど混乱している間に気絶させられてしまった。