山田さんは凄い人だ。
山田さんがリーダーとなって、俺達は作戦を練った。
とりあえず、毒餌作戦は成功。
五条悟と夏油傑のマーキングは成功した。
後は、戦力を整えて、孤立化させて襲撃するのみである。
出来れば、当主様の知らない所で全てを片付けたい。
ひとまず、最悪の場合でも山田さんを死守出来れば良し。
ということで、俺は頑張った。
呪霊達とも連絡を取ったり、山田さんと東京中を探索したり、探し物の訓練をしたり、資金提供を受けたり、資金援助を受けたり、夏油傑の死体の流れを調べたり。
頑張りすぎた。
ということで、今、ご当主様から尋問を受けている所である。
よほど問題視されているらしく、上層部も一緒だ。
「雫。ちゃんと話さないと秘匿死刑だから」
俺は、上手い言い訳も思い浮かばず、諦める。
「わかりました。山田さんの事だけ、お願いできますか」
「うん、しっかり後を追わせてあげるよ」
「犬は許してやってもいいのではないか」
突如として、出された助け舟。
「お願いします! 何も飼えとは言いません! 保健所送りでもいいです! 山田さんにチャンスを……」
「それぐらいなら良かろう。最後の望みだし叶えてやってもいいのではないか」
「……雪野。どうした突然」
「いや、犬が可哀想なのは……正直好かん」
「そこまで犬好きだったか?」
「そもそも山田とは犬なのか。どういうネーミングセンスだ」
「五条を庇うのか」
「いや、五条はどうでもいいが。犬は……犬は……。六眼で見て何もないのだろ? ならいいのではないか」
「は? 逆になんかあるわけ?」「ないが。餌をあげた事もないが」
「餌あげてたわけ? 雫と面識あるの?」
「知らんぞ」
「じゃあなんで山田が犬って知ってるわけ」
「私の耳はよく聞こえるのでな」
「へぇ、じゃあ雫のことも知ってたんじゃない? 指示したの雪野さんとか?」
「いや、俺は雪野さんのことなんか全然」
「雫は黙ってて」
「わしはそいつとは接点はないぞ。ただ、犬が哀れだっただけだ」
「ふーん? 犬さえ無事なら雫はいいわけ?」
「無論だ。それともたかが犬風情が怖いのか?」
「犬に調査結果隠したとか? 硝子、山田のこと解剖して」
「だめです!」
「ならん!! 山田殿だけは駄目だ!!」
「殿って何」
「ふう、わかった。山田殿の助命の為ならば多少の願いは聞いてやろう。動物愛護の精神だ」
「動物愛護でそこまでするわけないだろ、ふざけてんのか」
そして、当主様は俺に目を向ける。
「や、山田さんだけはお許しください!」
「そうだぞ、あやつそこで這いつくばる役立たずよりよっぽど使える男なのだぞ!!」
「どの辺が」
「それはだな! ……可愛い、とか?」
「硝子連れてきてこの場で解剖させて」
「「わあああああああ!!」」
「そんな事を言って、言っても信じぬだろうが!」
「何を」
「そ、それは……」
「山田さんは、その、術式もどきを持ってます!」
「六眼では見えないから術式ではないがな。エスパー犬というやつか。波長が合うのか、山田殿とそこの雫との会話が勝手に聞こえてくるのだ」
「テレパシーって事?」
「集中して聞かないと聞こえないし、タイムラグがあるからちょっと違うが」
俺の方にも指示が来た。山田さんからだ。
「他に、直接みた相手や物の後を二つ、追う事ができます。なんでも追っている生物がいるらしくて……。その人、脳に寄生するタイプの生き物らしくて、当主様のお心を不確かな情報で騒がせるのもと思って、黙ってました」
「なんで僕の心が騒ぐんだよ」
「それが、その。その。夏油傑に寄生したか、寄生してるかなんじゃないかって、山田さんが推理して。すみません!」
ガバっと頭を下げる。
「呪霊と連絡取り合ってたのもほんとです! 山田さんの知り合いの呪霊に、当主様と夏油傑の現在地流す代わりに情報と討伐の協力取り付けしてました! でも、その討伐が終わるまで人殺しはしないって縛りも結んでもらってます!」
「厄介ごと抱えてんなぁとは思ってたが、関係ないから黙ってたのだ。山田殿の話だと、呪専に内通者がいるとのことだし、下手に動くと邪魔になると思うてな。だが仮に全て真実だった場合、山田殿が死ぬと少々困った事になるから庇わせてもらった。ああ、夏油の現在地は現在元気に動いてるそうだから、寄生は確実のようだな。こうしてばれてしまった以上、夏油傑の体から逃げる前におったほうがいいのではないか? あと、雫は一応、当主を悲しませたくないから知らせず内々に裏で処理をしたいと言っておった」
「は?」
極寒のは? に俺達は震えた。
「……とりあえず、試してみれば良かろう」
「そうだね。犬を連れてくるから、傑のいる場所を教えろよ」
そうして山田さんの指示のもと、向かった先には、頭のない夏油傑の死体が転がっていた。
俺は失敗してしまったのだ。
無論、俺はご当主様に激しい叱責を受けてしまった。
秘匿死刑は、なんとか免れたが、結局当主様を悲しませてしまうし、とてもひどい叱責を受けるし、散々だった。
ご当主様は、進言通り、死体を潰した後、灰にしてその灰は海へと撒いてくれた。
ごめんなさい。本当にごめんなさい。
そして、最悪の呪詛師は変わらず野放しのままになってしまった。
計画は変更されるだろう。最悪だ。
疑われて山田さんだけは許して! ネタがどうしてもやりたかった。
でもコメディにならなかった上にメロンパンが野放しになった。
でもここから順平が、順平がなんとかしてくれるはず……!