さて、とりあえず犬の力は証明した。
犯人は取り逃してものの、夏油傑の肉体も奪還した。
しかし、じゃあ山田さんてなんなの? という疑問があるわけで。
今日も上層部の前で、俺は取り調べを受けていた。
「んー。六眼は単なる犬だと言ってんだよね。なんかテレパシー送ってみて」
「そ、そんな山田さんっ」
「ちゃんと訳せ」
「山田さんは、全て自分が悪いから雫の事は許してやって欲しいと……」
「んー。例えば、アイウエオカードとか渡したら、会話出来るわけ?」
「できます、だそうです」
「お前が追ってるの、何」
山田さんはカードを動かす。
「メロンパン?」
「あの、脳みそがメロンパンに見えるから、メロンパンだそうです」
「ふむ。何故追ってる」
「トウキョウ? 破壊?」
「夏油様の死体は人質の意味もあって……それで当主様の動揺を誘い、獄門疆に封印し、数多の呪霊を放って東京を破壊する計画があったのではと」
「雪野さん知ってたの?」
「そやつら気軽に会話させん方がいいぞ。恐らく波長が合う人間呪霊犬猫鳥猿もしや虫にも情報駄々漏れてるから。遺書の場所から協力を取り付けた呪霊の資料の位置からエロ本の隠し場所までわし知ってるから」
そう言いつつ、資料を回す。
「なんで言わなかったの? 東京破壊を黙ってみてるつもりだったわけ?」
「盗み聞きはよくないと思ってな……待て冗談だ。既に動いてるし、流石に失敗したら介入しようとは思っておったわ。ちゃんと庇ったろう?」
「黙ってていい事じゃなかったよね」
「逃したのは痛かったなぁ……責めているわけではないぞ、むしろ肉体を取り戻せただけでも僥倖だった。よくやった」
そんな会話をして、しばし。資料が回覧される。
「この縛りを結ばせたのか」
「山田さんが説得しまして、縛りの呪力は俺が提供しました」
「すごいな犬」
「だろう? 山田殿はまあまあ見るに値する男よ」
「雪野の手柄ではないがな」
「まず、一つ決まってる事があるかな」
「そうだな。どこぞのブリーダーから犬種はいいから良さげな大きさで発情期の犬を買って来い」
「使えそうな術式、いや、超能力だったかな? だし、もらってやってもいいぞ」
「お待ちください!」
「あいやまたれい!」
「キューン!!!」
「山田さんは、山田さんの人権が……!」
「山田殿は生涯独身が心情らしくてな」
「六眼。山田は、もしや元人間だったり……?」
「うーん? 六眼はただの犬だと言ってるね!」
「わああああん山田さん!」
「山田殿、気を強く持たれよ……!」
パシャパシャパシャ
「ご当主様! どうぞお許しください! お許しください!」
「この外道! 恥知らず! 変態!!」
「まあ冗談はこの辺にして」
「や、山田さん……」
「山田殿……」
「はいはい、尋問はまだ終わってないよー。山田さんの写真アップされたくなければ知ってる事について喋ってね。雪野さんも同罪だから」
「わしゃ聞いて聞かぬふりしてただけなのに……。まあ待て、今、山田殿と雫の会話を思い出すから。えーと、六眼の好きなお茶の銘柄が」
「雫ー? 人の個人情報垂れ流してたわけ?」
「そうだが?」
「申し訳ありません! 当主様!!!」
「雪野面白い性格だったのだな」
「雪野のイメージが変わった」
「こんな面白いこと、わしにも話してくれたらいいようにしてやったのに」
「このリストの呪霊を捕獲したい。よこせ」
「ということがあって発覚したんだが、虎杖悠仁。お前は母親に狙われている」
「ごめん、山田さん可哀想って所しかわかんねぇ」