機動戦士ガンダム - chaos ground story - 作:睦月透火
森へ逃げ込んだ少年達を野党が追い回すが、彼らは2体の巨人によって助けられる。
巨人を操る2人の少年もまた、この森の奥にある「クリュセ村」を目指していた……
死神と戦士……そんな形容がピッタリの2体の巨人。
ゴーレムなのかとアスランは不審がるが、自身の親友であるキラが「……ゴーレムじゃないね。この巨人……」とこぼす。
「何だ、モビルスーツを知らないのか?」
そう言って巨人から降りてくる黒装束の少年……長い髪を三つ編みに纏めており、後ろ姿では女性にも思えるが、声と仕草は男そのものだ。
「危ない所でしたね……状況からやんごとなき方とは思いましたが、まさか貴女だったとは……」
もう1人の少年……こちらはブロンドのショートヘアで、如何にも高価そうな服装をしていた。
「……まさか、お前……ウィナー家の……?!」
「はい、カトル・ラバーバ・ウィナーです。お久しぶりですね、カガリ・ユラ・アスハ嬢」
カガリの
「中東同盟の立役者の子息が、魔甲騎士であったなど誰も知らないだろ?!」
過去の動乱の時代……長く大国に牛耳られる運命にあった中東諸国を纏め上げ、技術超大国ユニオンと聖王国ギャラルホルンに自治独立を認めさせた“中東の英雄”。その肩書きを持つウィナー家の一人息子は、
「……ってー事は、アンタ等もクリュセ村に?」
「ああ……“噂の真相”を確かめに。だが、野盗に待ち伏せを受けて……」
「……待ってください。待ち伏せですか?」
状況を説明するべく話をしていた少年達だったが、アスランが“待ち伏せ”と言った所で、カトルは腑に落ちないと聞き返す。
「……私の渡航は伏せられていたし、知るのは
「でもギャラルホルンに入国して、そう時間が経ってないのに尾行と刺客にアスランが気付いて……」
「急遽予定を変更して、近道になる陸路を選んだのが裏目に出てしまった。奴等は人造ゴーレムを持ち出し、ギャラルホルン側の護衛の目が此方を向いていないタイミングを狙って仕掛けてきたんだ」
本来の予定では空路で一度、聖王国首都ヴィンゴールヴへと渡り、そこからギャラルホルン側の視察団と合流してクリュセへのルートを予定していた。
だが、極秘裏だったはずのギャラルホルン訪問を嗅ぎ付けた何処かの組織の刺客がカガリ達を追跡し始め、ギャラルホルン側が対応に追われて晒した僅かな隙を狙って手を出してきたのである。
「……奴等の落とし物を軽く調べたんだが、ありゃ“ブルワーズ”で間違いないな。連中のMSに共通してる“不思議塗膜”の破片を見つけたぜ?」
実は既にこの世界……人造ゴーレムなどと揶揄される様に、量産タイプのモビルスーツはそこそこ数を増やし始めていた。
技術超大国ユニオンの“リアルド”や“フラッグ”、ギャラルホルンの“グレイズ”、ジオン公国の“ザク”に、AEUにも“ヘリオン”があるが最近になって新型“イナクト”をお披露目するなど、モビルスーツに関する技術革新は凄まじく速い速度で進歩している。
もちろん最初期のものは全て「魔導技術」と「機械技術」側が中途半端に混合された異物なため性能は比較的低級であった……
だが数年前、“とある6人の科学者集団”の協力を得てロームフェラ財団が生み出した正真正銘の化け物機体“トールギス”と、それを元にデチューンした傑作機“リーオー”の開発により、機械技術は驚異的な進歩を遂げ、財団がリーオーに用いた技術の一部を先進国等へ提供した事により劇的に数を増やし、人造ゴーレム改め“モビルスーツ”として再認知されつつあるのだ。
「デュオ、それはもしかして……」
「あぁ、ギャラルホルンの最新技術“ナノラミネート”の塗膜だ。まだギャラルホルンもMSを十分に配備出来てないのに……見た事も無い型だったし、少数とはいえ5機も揃えるってのはなぁ?」
黒の少年デュオは襲撃者が残していった外装パーツの破片を調べ、相手を“ブルワーズ”と断定した。奴等の操るゴーレムは必ず“魔術や魔法を無効化する不可思議な装甲”を持っており、他国のMSとは一線を画する性能を持っていた。
勿論本来はギャラルホルンが秘匿していた技術であり、技術漏洩をキッカケにギャラルホルンの内部腐敗が公になったのだが、それはさておき……
この技術により、他国のMSがメインとする“
「……ギャラルホルンの内部腐敗は、思っていたよりも深刻なのかもしれませんね」
その時、森の向こう側から複数の爆発音が響く……
「ッ?! あの方向は……!」
「連中、道中の……まさかクリュセを襲ってるのか?!」
カトルとデュオの声に、カガリは口を噛み締め、キラとアスランも、それぞれ親からのプレゼントである首飾りを手に握り締めながら主であるカガリを宥める……首飾りの紋章は、キラとアスランの手の中で見えないが、僅かながらも淡い光を放っていた。
『コイツ等、ビームが効かない?!』
『落ち着け! 数は少ない、慌てずに一機ずつ対処するんだ。MSを村の人達に近づけるなよ、奴等の関節を狙え』
『あわわわ……! どうしよう……みんなの攻撃が届いてない!』
『スレッタ! 君はニールと組んで村の人達を守れ! 此処は俺とシュウジさんで抑える!』
『は……はいっ!』
深夜に突然の襲撃……クリュセ村は阿鼻叫喚に包まれるが、常駐の騎士達に混ざり、アムロ達も防衛戦に参加している。
だが、相手のゴーレムにはビームライフルが効かず、攻撃を物ともせず接近戦を挑んで来る相手に、ニールとスレッタは浮足立ってしまう。
しかし、アムロは冷静に対処法と割り振りを伝える……同じくシュウジも、2機を相手に危なげなく凌いでいた。
「ハァッ!! む?……コヤツ等、木偶坊ではないな? 儂の一撃を耐えるとは……」
ナノラミネートアーマーなら、打撃に対しても過剰に近い防御力を発揮する。シュウジの打撃であっても、一撃では戦闘不能にならないという堅牢さを発揮していた。
「……だが、これならば耐えられまい? 十二王方牌、大車併ッ!!」
シュウジが烈帛の気合を迸らせ、掌で円を描くとそこに発するは12個のエネルギーの塊……その其々が小さなマスターガンダムの姿を象ると、四方八方から同時に相手へと飛び掛かる。取り付いたエネルギー体は正確に関節や装甲の隙間を狙い打ち、込められたエネルギーを相手機体の内部に届けた後、『
《ばぁぁぁくはつッ!!》
シュウジの声に呼応して、敵機の内部に浸透したエネルギーが連鎖的に爆発を始め、堅牢な装甲を持つ相手の内部回路をズタズタに引き裂き、その機能を完全に止めさせのであった。
「オルガ、敵の数が多い……村の人達も逃げ遅れてる。どうすれば良い?」
「西側の森なら、ゴーレムでも簡単には追えねぇ筈だ。チャド、ダンテ、お前らは年少組を連れて森の中を見張れ! ミカと明弘は逃げ遅れが居ないか探せ! 残りはドンパチに巻き込まれない様に避難者を西の森に誘導だ!」
「了解!」(チャド)
「よっしゃ!」(ダンテ)
「分かった」(三日月)
「任せろ!」(明弘)
クリュセへ移り住んだ孤児と、村の子供達からなる鉄華団は、村の大人達が混乱している中でも比較的冷静であった……戦場に近い地域で生まれ育ち、クリュセへ移り住んだ孤児達の中で最年長になるオルガは、場に即した的確な指示で、団員となった村育ちの子供や、同年代の孤児上がり達をまとめ上げている。
『あぁん? コイツ等……向こうの森に逃げ込む気か。チッ、あの森はゴーレムでも身動きが取りにくい……お前ら、森に行かせるんじゃないよ!?』
(あの大型のゴーレム、リーダー格か……緑色のヒキガエルみたいな奴だな)
オルガは冷静に盗賊の頭がどれなのかを見抜く……普段からアレコレと孤児院でシゴかれている為か、まだまた感情的になりやすい所はあるが、驚かされ慣れてしまった事もあり冷静さは欠かさない。だが、それは相手も同じ事が言えた……
『オイお前ら! コイツがどうなっても良いってのかい?』
「……?! ま、昌弘ォッ!!」
「……に、兄ちゃ……」
突然スピーカーで叫ぶクダル・カデル。彼の操るグシオンの右手には、一人の少年が掴まれていた。見覚えある顔に、明弘が驚愕する。
掴まれた昌弘は頭から血を流しており、意識が朦朧としている……恐らく捕らえられた時に怪我をしたのだろう。あのままでは出血多量で死ぬ可能性もあるかもしれない。
『この……クソ野郎……っ!』
『ひ、卑怯です……っ』
『おぉっと? 俺を撃つんならコイツも道連れだ! そこんトコ、分かってるよなぁ?!』
『この外道め……未来ある若者を盾にするか!』
子供を人質に取られ、ニールとスレッタは悪態を吐き、機体を止める……遠巻きだったアムロとシュウジも事態に気付くが、迂闊に動けない事に悔しさを滲ませた……
……だがその直後。
ブッピガァァァンッ!!
アムロ達を包囲するマン・ロディのうち1機の構えていたライフルが突然爆発……いや、巨大な緑の刃に腕を狙われ、ナノラミネートアーマーで何とか耐え抜いたのだ。しかし、その部位もタダでは済まず装甲表面が溶け始めており、攻撃の威力を物語る。
同様する海賊たち……それを好機と見たシュウジも手近な敵機を吹き飛ばして気絶させ、アムロ達も海賊たちの手持ち武器を破壊し始める。
『……チッ、コレ以上は不利か……!』
不利を悟ったクダルの声に、反応した手下の1人が大地に向けて閃光弾を発射する。
『目眩ましかっ?!』
『な、何も見えないですぅぅぅ!?』
『猪口才な……!』
『クソッタレ共が!』
不意のタイミングではさすがの歴戦であるアムロ達も下手に動けず、村を襲った海賊たちはまんまと逃げ果せてしまった……
「……何人かが誘導に従わずに連れて行かれた……? クソッタレめ!」
「昌弘……クソォォォッ!!」
「なんで西の森へ逃げなかったんだよ……オレ達が誘導していただろうが!?」
「………………」
連れて行かれた村人は5人……うち子供が2人で、昌弘もその中に入っていた。海賊に追われパニックになっていた大人達を、昌弘たちが連れ戻そうとしていた所をまとめて拐われた……と、逃げ切れた子供達から聞かされた大人達は、憤るユージン達の言葉に返す事も出来ない。
「……こりゃ俺達、疫病神連れて来ちまったみたいだな……」(デュオ)
「いや……元はと言えば私達を狙っていた奴等の仕業だ。私達がこの村を目指していた時点で、この事態は避けられなかった……私の軽率が招いたのだ……私が……」(カガリ)
「しかし、海賊が君を狙うには何かしら理由がある筈。或いは陰謀……誰かに依頼されたか?」(アムロ)
「恐らくは、依頼の線が濃いでしょうね……ギャラルホルンは技術漏洩もありますし。オーブの姫君を狙うなら、内情を探られたくないあちらの内部の可能性が一番高いです」(カトル)
村人達から離れた場所で、アムロ達は助力してくれたデュオとカトル……そして同じく村を目指していたカガリ達と合流し、事の次第を整理していた。
オーブの姫の極秘渡航に始まり、ギャラルホルンの技術漏洩。そしてクリュセ村の海賊急襲……首謀者はギャラルホルン内部の人間という可能性が高いが、誰の策謀かまで辿るには情報が足りなさ過ぎた。
「……海賊が人を拐ったり人質を取って逃げるのは、人身売買のためよ。特にこのマーシャン大陸は、奴隷制度がまだ合法だから……」
この一言がアムロ達に驚愕を与えるが、一方でオルガ達にチャンスを知らせる事に……
「……なら、取り返す。人身売買なら、最悪命までは取られねぇ。すぐに奴等を追えばまだ間に合う……!」
「だが、戦力的には不利だぞ? 彼奴等も……」
「大丈夫だよ」
シュウジの静止を三日月は大丈夫だと言い切る……その三日月の右目は何故か赤く染まっており、瞳孔は獣の目の如く細くなっていた。
「大丈夫って、何かアテでもあるのかよ?!」
「何となくだけど……大丈夫。それに、オルガがやれって言うなら……俺はやるから」
根拠も何も無い三日月の返答に、聞いたニールはため息を吐く……しかし、オルガは三日月の雰囲気に何かを感じ取り、団員達に檄を飛ばし始めた。
デュオとカトルも、さすがに海賊を取り逃がした責任を感じており、アムロ達も乗り掛かった船という事で、それぞれ奪還作戦に協力する事になった。
鉄血系MSの象徴とも言えるナノラミネートアーマーですが、他国ではまだ解析が不十分であるため“不可思議塗膜”という認識。
まぁ、既に技術は漏洩してるから認識改めるのは時間の問題……
さてさて、連れ去られた人達を救出すべく……奪還作戦が始まります。
戦力はアムロ、ニール、スレッタ、シュウジの4人に、新戦力のデュオとカトル……
そして三日月の右目が異様に変化……これは一体なんの前触れでしょうかね?(すっとぼけ)
作中の活躍・登場に期待している系統は?
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