機動戦士ガンダム - chaos ground story -   作:睦月透火

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前回の続き……

クリュセを襲ったブルワーズは、昭弘の弟である昌弘と数員の村人を人質に撤退……彼らは人身売買によって流されてしまうだろうと見られ、アムロ等は奪還を余儀なくされる。
海賊の撃退に協力してくれたデュオとカトルも同行し、海賊たちを追う一行。

果たして、彼らは人質を奪還できるのだろうか?


第3話 悪魔、そして戦士の覚醒

 撃退から程なくして、人質奪還作戦を開始したアムロ達……

 

 ブルワーズの根城に心当たりがあった旅の商人からの情報を得て、デュオの捜索によりアジトを発見……夜明けを待たず潜入と奪還を開始する事に。

 

《オレ達が正面から奇襲を仕掛ける。その間にオルガと三日月、デュオ、シュウジさんで内部に潜入……人質を奪還し、退避を確認したら、デュオとシュウジさんも戦線に合流して、奴等を全員抑える》

 

 アムロ等が陽動している隙に、予め中を潜入調査してきたデュオの案内で捜索……人質を見つけ次第奪還して退避し、安全が確保され次第シュウジとデュオも戦線に合流してブルワーズを叩く算段だ。

 

(入口に見張りは無し……MSの代わりにトラップがあるけどな。ま、ちょっと待ってろよ)

 

 小声で話した後、デュオは単独でアジトの入口付近にあるトラップを解除していく……デュオは秘密諜報組織「スイーパーグループ」の構成員。幼少から訓練によって叩き込まれた数々のスキルは、こういう場面でも充分に役立っていた。

 

 既に敵の大半はアムロ達の陽動によってアジトから出ており、遠目から戦闘音が断続的に聞こえていた。

 

「……ふむ、ゴーレム使い等の能力者は出払っておる様だが……皆、油断するなよ?」

 

「分かってる。ミカ、前は任せたぞ」

 

「うん」

 

 殿として最後尾に付くシュウジは、デュオの案内をはじめとする辿って先を行くオルガと三日月へ忠告する。

 オルガも場数を踏んだ経験から、それを痛いほどに知っていた為反発なく返事を返し、デュオの先導の下アジトへと潜入した。

 

――――――――――

 

 その頃、ブルワーズの主戦力を陽動しているアムロ達は……

 

《なかなかやるじゃないの? アタシ達を相手にここまで粘るなんてね……》

 

《伊達に世界相手の喧嘩を始めちゃいないからな!(ハロ! 回避は任せる!)》

 

『リョウカイ! リョウカイ!』

 

 デュナメスの射撃(ビーム)はグシオンの装甲で霧散してしまうものの、連続して同じ箇所を狙い撃つと防御性能が低下する事に気付いたニール。

 

 ナノラミネートアーマーはあくまでも装甲に施された特殊塗料が、エイハブウェーブによって励起され効果を生み出すものであり、同じ箇所に攻撃を浴び続ければ性能は自然と劣化していく……ニールはそのカラクリに気付き始めたのだ。

 

『コイツ等の装甲も永遠に無敵じゃねえみたいだ、連続攻撃には意外と脆いかもしれねぇ』

 

『そういう事か……なら、打つ手はある!』

 

 ニールの指摘を受け、アムロは機体の背部……その左側に連なる同型6枚の板の連結を解除。

 

《……あぁん?》

 

『フィン・ファンネル!!』

 

 直後、コの字型に折れ曲がった6枚の板はまるで意志を持つかの様にバラけて飛翔……その内側からピンク色のビームを代わる代わる放っていく。

 

《な、なんだコイツ……こんなのありかyうわぁぁぁ?!》

 

 アムロが相手取っていた敵のマン・ロディの1体……その胴体の継ぎ目へと、多方向から正確に連続でビームが撃ち込まれる。

 類稀なる技量と高いニュータイプ能力を持つ、アムロならではの、高難度(鬼畜天パ)攻撃に、敵パイロットは抵抗らしい抵抗すらできず行動不能にされてしまった。

 

『アムロさん!』

 

『スレッタ、敵の装甲も無敵じゃない。同じ箇所に対して連続で、攻撃し続ければ破れる。とにかくダメージを与え続けるんだ!』

 

『……了解! みんな、お願いっ!!』

 

 スレッタもアムロの指示を受け、ガンビット「エスカッシャン」を起動。11基からなるオールレンジ攻撃を一点に集中して頭部や脚部を狙い、1体ずつ確実に行動不能にしていく……

 

『なら、僕も負けてはいられませんね!』

 

 カトルのサンドロックは狙う箇所にまずバルカン砲を浴びせながら接近、シールドで相手の反撃をいなしつつシールドフラッシュを発動。怯んだ隙にクロスクラッシャーを組み上げ、相手機の関節部に高負荷を掛けつつ両断する。

 

《……さぁ、次は誰がお相手ですか?》

 

《いい気になってんじゃないわよォ?!》

 

《……?! うわっ!?》

 

 グシオンがサンドロックの横合いから大型ハンマーで殴り掛かる。カトルは咄嗟に機体をしゃがませて回避に成功するが、グシオンは巧みにスラスターを制御して方向転換し、再びサンドロックを狙う。

 

《潰れちゃいなさいよォォォ!!》

 

《ぐ……っ、重い……!》

 

 辛うじてヒートショーテル2本をクロスさせての防御に成功したサンドロックだが、グシオン自体の重量とブーストが加わる為に身動きが取れなくなってしまった……

 

――――――――――

 

 その少し前、潜入したデュオとオルガ達は人質となっていた昌弘や大人達を発見し、格子の鍵を開けようとしている所で三日月が何かの気配に気付く……

 

(……? 何だ……? 呼んでる……?)

 

 そこにあったのは、ボロボロの箱……装飾から辛うじて年代物であり、古びてなければソコソコに価値のある品だったであろう物だが、既に全体から錆び付いており、かつての価値は見る影もない。しかし、その中から異様な気配だけが漂っている。

 

(この中……? なに、コレ……?)

 

 中にあったのは、これまた古びた装飾のある赤い宝石のブローチ……

 

「ミカ、何やってんだ? ずらかるぞ」

 

「……あ、うん」

 

 突然聞こえたオルガの声に、いつもの癖でブローチをポケットに入れてしまった三日月……そのブローチの赤い宝石は、小さく、そして怪しく光り輝いていた。

 

(……! コレ……そっか、だから俺はココに来たんだ)

 

「何だ?! テメェ等……!!」

 

 そこへ運悪く、ブルワーズの構成員が来てしまう。

 

「チッ、しくじったか?! 行くぞミカ!!」

 

「待ちやがれぇ!!」

 

 デュオと合流するために走るオルガと三日月……三日月は意を決して止まり、その行動にオルガは驚く。

 

「何やってんだミカ! 殺されるぞ!!」

 

「大丈夫だよ。……今度こそ俺が、オルガを守る」

 

 そう言って三日月は、ポケットに入れていたブローチを取り出し、握りしめた。

 

「おま……それ……は?」

 

 紅く、怪しく光るブローチの光は徐々に強くなり、三日月の背中には魔術模様が浮き出てくる……右目からは少し出血しており、それが何かの反動を受けている事を物語っていた。

 

 オルガ自身も、最初の頃は三日月の謎の自信に驚きを隠せなかったのだが、付き合いの長い今となっては妙に信頼できる要因の1つへと変わっている。

 

「……はぁ……わぁったよ、なら……終わったら必ず帰ってこい!」

 

「うん」

 

 敵前だというのに全くの無防備……そして全く臆しない三日月に、ブルワーズの構成員はたじろぐ。

 

「な、なんだコイツ……この光……」

 

「やっちまえ、ミカァッ!!」

 

 ……その時、閃光と共に凄まじい爆発が起きた。

 

――――――――――

 

 月の夜空に紅い閃光が走り……地上で爆発が起きる。

 

 ブルワーズのアジトであった場所の一部が爆発で吹き飛び、大きな影がゆっくりと現れた。

 

『アジトが……何が起こってるっていうのよぉお?!』

 

 グシオンに乗るクダルは、自分達のアジトが吹き飛んだ事に動揺して取り乱し、その隙にカトルはサンドロックを下がらせる事に成功する。

 

『……? 何が起きたんでしょうか……』

 

『分からねぇ……モビルスーツの反応がある……だがブルワーズの連中じゃねぇ。彼処にいきなり現れやがった』

 

 狙撃に徹し、遠目からアムロ達を援護していたニールがカトルに合流……状況を把握しようとガンカメラを起動した。

 

 映されているのは、余波で盛大に起きた土煙……

 

 するとブルワーズの手下の1人が状況に流されて勝手に動き出し、土煙の中……新しく戦場に現れたゴーレムの様な影を狙う。

 

『テメェの仕業かぁぁァ!!』

 

 ……だが、その攻撃を掻い潜り、土煙を纏う影はカウンターの如く手に持った大きな獲物……大型メイスを振るう。

 

 ガゴォンッ……グシャアッ!

 

 横薙ぎに振るわれたメイスが、その重量と勢いでブルワーズのマン・ロディの腕を吹き飛ばし、ついでに胴体ごと弾き飛ばす。

 

 地面へと叩きつけられたマン・ロディは明らかに再起不能……フレームから見事に圧し折られ、直撃を受けた腕は最早動かす事もできない程あらぬ方向に曲がっていた。

 

 土煙が晴れていく……その音はこの場の全ての人の注意を引き付け、全員がその威容に息を飲んだ。

 

 曰く、その姿は悪魔を象ったもの……

 曰く、それは古の魔術と人間の業が生み出したもの……

 曰く、その力は「厄災の天使(モビルアーマー)」を狩るためのもの……

 

 今ここに、再び顕現した一柱の悪魔(MS)……その悪魔の名を冠した機体を、太古の人々は伝説に準えこう呼んでいる。

 

「まさか……あれは、ガンダム・フレーム……?!」

 

 カトルには、その機体が持つフレームの構造に見覚えがあった。

 それは以前の外交で訪れた際に、聖ギャラルホルン皇国の首都ヴィーンゴールヴに祀られている「ガンダム・フレーム」の1体……「序列第一の悪魔(ガンダム・バエル)」を見る事ができていたから。

 

《カトル、何なんだアレは……?》

 

「ニールさん……気をつけて下さい。あの機体は“悪魔の名を持つモビルスーツ”です……!」

 

『……オルガ、無事?』

 

「……あぁ、何とか……ちっとばかし驚いたけどな」

 

 機体のシステムが拾ったその会話に、カトルはキョトンとしてしまう……その声は間違いなく、先程現れたあの機体から発せられている。だがこの声は、今までそんな機体(モビルスーツ)とは全く無縁だった筈の人物の声だ。

 

『もしかして……三日月くん……ですか?』

 

『その声は、えっと……あ、お金持ちの人……?』

 

『カトルです。えっと……その機体は……何故キミが乗ってるんですか?』

 

『あぁ、バルバトスのこと? ……よくわかんないけど、ブローチ拾ったら使えるようになった』

 

 ……どういう事???




聖ギャラルホルン皇国に伝わる伝説。

かつて世界は厄災の天使によって滅ぼされる運命にあった……
厄災の天使は自身の姿を模したゴーレムを用いて人々を殺戮して回った。
その流れを良しとしない人々は、魔術の粋とかつての技術を組み合わせ、人造の巨人兵士を生み出す。
その姿は人に似せて人に非ず……天使を狩る為、悪魔の名を冠す物。
世界を憂う人々の、その命を糧に生み出されし72体の悪魔……
人外の力を以て厄災を退け、国を興した。

ようやく登場させる事ができましたバルバトス君。
私はウイングゼロ(EW)、エアリアル、クアンタ、ストフリ、そしてこのバルバトス君が大好きです。


続きはまた今度……
感想ヨロシク〜!!

作中の活躍・登場に期待している系統は?

  • 一年戦争 ~ シャアの反乱
  • バビロニア ~ ザンスカール
  • 未来世紀
  • アフターコロニー
  • アフターウォー
  • コズミック・イラ
  • 正歴(ターンエー)
  • 西暦(ダブルオー)
  • アドバンスド・ジェネレーション
  • リギルド・センチュリー
  • ポスト・ディザスター
  • その他(ビルド・Gジェネ系)
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