ソードアート·オンライン〜遺されしモノの叫び〜   作:naomi

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「お兄ちゃん!お兄ちゃん!!嘘でしょ、起きてよ」

目まぐるしく慌ただしい現場。ストラクチャーに運ばれる人々。それを見守る親しい人々。

「私が………私が早まらなければ」

「遅れてすまん。昇は無事なのか?」

「お父さん。お兄ちゃんが」

のちに『SAO事件』と呼ばれる一連の騒動はある1つの家族に大きな傷を残した。


第1話 終わりの始まり

とある一軒家。ここには4人家族が仲睦まじく暮らしている。

 

「おはよー」

 

AM8:00起きてきたのはこの家では最年少21歳の学生『上杉舞子(うえすぎまいこ)』

 

「舞子。おはよう」

 

台所で食材を切っているのは舞子の母『上杉舞(うえすぎまい)』2人の子ども達を育て上げた専業主婦である。

 

「あれ、お父さんは?今日早いね」

 

「お父さんはもう仕事に行ってるわよ。貴女も早く準備をしなさい」

 

「はーい」

 

「大丈夫か舞子?講義遅れるぞ」

 

「お兄ちゃんおはよ。今日は2限からだから大丈夫。そんな優雅にコーヒー飲んでるお兄ちゃんこそ大丈夫なの?今日って仕事の大事な日って言ってなかった?」

 

コーヒー片手に情報端末を操る舞子の兄『上杉昇(うえすぎのぼる)』はまだ寝巻き姿だ。

 

「今日はリモートだから問題ないよ。今日仕事はぶっちゃけ寝巻きでも大丈夫だ」

 

「えっそうなの?」

 

「確か、今日発売の他社企業の新作ゲームを調査するんだっけ?」

 

「そうだよ母さん。[SAO(ソードアート·オンライン)]ってVRMMOゲームだ。結構注目されててNEWSにもなってる」

 

「あーNEWSで見たかも。なんか有名なエンジニアが開発したんだっけ?」

 

「茅場晶彦(かやばあきひこ)な。ったく舞子はホント自分の興味の無いことには無頓着だな」

 

「興味の無いことに無頓着なのは皆同じでしょ。だいたいVRにハマるのって結局現実逃避してるだけでしょ?私達が生きるのはこの世界なんだからそんなモノする暇があるならどうしたら今の暮らしがより良くなるか考えて動いた方がいいと思う」

 

「言いたい事はわからなくもないが、VRという環境のお陰で現実では出来ない事が出来たり。VRがキッカケの出会いとかストレス発散している人もいるから。VRには[現実では不可能なことを可能にする]ことが出来る夢があるんだ」

 

「出たお兄ちゃんの夢語り。まぁ実際に夢だったシステムエンジニアになってるからあながち夢じゃないけどさ」

 

「うーん。でも完全に夢を叶えた訳じゃないからな。茅場さんの通った大学に行けてないし、希望の会社も落ちたし、叶ったのは半分かな」

 

「夢なんて叶えられる人の方が珍しいよ」

 

「舞子お待たせ。食べなさい」

 

「ありがとうお母さん」

 

「でさ、なんで他社の商品研究が家で出来るの?」

 

「理由はこれだ」

 

昇は話題のそれを取り出した。

 

「SAO。実は抽選に当たって手に入れたんだ」

 

「プレイするの?」

 

「勿論。それが今日の仕事だからね。会社には許可貰ってるし、有給みたいな日だね今日は」

 

「程々にねお兄ちゃん。そういうの割とのめり込むとなかなか辞められない人なんだから」

 

「あくまで仕事だから時間は守るさ。そういえば舞子は就職先は絞ったのか?」

 

「うーん正直どこも魅力に欠けるんだよね」

 

「おいおい大丈夫なのか?」

 

「別にお兄ちゃんみたいにこれやりたいってのがないからさ」

 

「焦らず、自分が納得出来る就職先を見つけなさい」

 

「ありがとう。お母さん」

 

「フフフ。昇はそろそろ時間じゃないの?」

 

「うん?………あっ本当だじゃあいつもみたく表札元に戻るまでは部屋に入らないように」

 

昇は意気揚々と部屋に戻る。

 

「ごちそうさま。じゃあお母さん行ってきます」

 

「行ってらっしゃい。気をつけてね」

 

 

 

友人と会い話し、それとなく講義を受けて。いつもと代わりない日常を過ごす舞子。

 

それは一本の電話から始まった。

 

(17:30か、まあいつも通りの時間だね。お母さんに連絡入れとこ)

 

「ねぇ、これヤバくない」 

 

「マジかよ、俺の友達これプレイするって言ってたぞ」

 

帰り道の駅。人々がザワついていた。

 

(何があったの?)

 

何気なく端末を開いた舞子。

 

 

 

 

ナーブギア新作ゲーム利用ユーザーの多数死亡報告あり、『ソードアート·オンライン』で事故発生か?

 

 

(えっ、どういうことこれゲームで死亡事故しかも『ソードアート·オンライン』ってお兄ちゃん!!)

 

端末のバイブが起動する。舞からだ。

 

「もしもしお母さん」

 

「どうしよう舞子、私どうしたらいいの」

 

「落ち着いてお母さん私家に帰るところだから」

 

「昇が昇が………あぁ〜」

 

母と動揺ぶりに事態の深刻さを把握する舞子。ひたすら家を目指して駆ける舞子。

 

(事故の原因は不明。………外部からの強制シャットダウンは利用者の脳を焼き切り死亡させるリスク大)

 

「ただいまお母さん!お兄ちゃんは大丈夫?」

 

リビングには人気がない。一目散に昇の部屋に向かう。

 

「お母さん!お兄ちゃんは」

 

目の前で泣き崩れる母。外されショートしたような小規模な煙を出すナーブギア。瞳孔が見開いた兄。

 

上杉家の日常は1本のゲームによって突如終わりを迎えた。

 

 

 

 

 

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