ソードアート·オンライン〜遺されしモノの叫び〜   作:naomi

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第2話 崩れゆく絆

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!!嘘でしょ、起きてよ」

 

目まぐるしく慌ただしい現場。ストラクチャーに運ばれる人々。それを見守る親しい人々。

 

「私が………私が早まらなければ」

 

「遅れてすまん。昇は無事なのか?」

 

「お父さん。お兄ちゃんが」

 

「すみません。今来られた方部外者の立ち入りはご遠慮………」

 

「部外者だと?馬鹿を言うな私は上杉昇の父親だ」

 

「申し訳ありません。あちらで来院手続だけお願いします」

 

医師達の混乱が垣間見えたこのやり取りがいかに影響が大きいかを物語っていた。

 

「それで昇はどうなんだ?」

 

「わからない」

 

「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」

 

舞の取り乱し方に違和感を覚える上杉昇陽(うえすぎしょうよう)

 

「何故母さんが謝る」

 

「私が」

 

「お母さん!」

 

「あの機械を外してしまったの」

 

舞の叫びに院内が異様な雰囲気に包まれる。恐らく同じことをしてしまった家族が他にもいたのであろう、叫びと嗚咽がみるみる伝染していった。

 

「ナーブギアを………外したのか」

 

妻のしてまったことに腰を抜かす昇陽。

 

「待ってお父さん。仕方なかったの、お母さんはあの情報が出る前に外したの!だから………」

 

「精密機械を強制シャットダウンしたら機械そのものに支障をきたすのは常識だろう!ましてやナーブギアなんて人体に繋いでいるものを強制的に外したら、他のゲームや機能を使っていたとしても使用者の身体に害を及ぼすくらい容易に想像出来るだろう!」

 

「記事にはログアウトが出来ないってあったわ、強制的に外さなければゲームすら終われなかったのよ」

 

「ならそのまま繋いだままにしておけば良かったんじゃないのか!?」

 

「それは………」

 

「あのー。お取り込み中すみません。上杉昇さんのご家族でお間違えありませんか?」

 

舞子にとってありがたいタイミングで医師が話しかけてくれた。

 

「如何にもそうだ」

 

「どうぞこちらへ」

 

「息子はどうなっているんですか」

 

「それは………大変申し上げ難いのですが」

 

案内させた場所には顔に白い布を被せられ横たわる昇の姿があった。

 

「脳が焼き切られたことにより、上杉昇さんは2022年11月6日20時10分死亡が確認されました」

 

泣き崩れる舞、舞子は必死に母を支える。昂揚はただたちつくすしか無かった。

 

「先生。息子は今の今までは生きていたのでしょうか?」

 

「いえ、脳が焼き切られたのは3時間前と推察されるので死亡推定時刻は17時10分です」

 

それはあまりにも重い宣告。ナーブギアを外した時点で既に手を遅れであることを証明していた。

 

「あっ…………あ〜ぁー」

 

舞の動悸が激しくなる。

 

「お母さん!しっかり」

 

「私が……私が昇を………」

 

「違う!お母さん。そんな風に考えちゃダメ」

 

「帰るぞ」

 

「待ってお父さん。今お母さんがそんな状態じゃ」

 

「ここにいては、今尽力を尽くしてくれているお医者様のや方々に迷惑をかけ、安否の分からないご家族に不安を与えてしまう。もうここに用はない」

 

「そんな!そんな言い方」

 

「昇はもういないんだよ!」

 

昇陽の怒号が響き鎮まる院内。上杉家はその場を立ち去るしかなかった。

 

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