第8回ウマ娘短編合同企画 ~晩秋の陣~   作:ミカヅキウサギ

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かなりの難産な上、短くてすみません……推敲し過ぎて自分でもよく分かってませんが、楽しんで頂けると幸いですぅ…


C'est la vie(作:Dark of the)

 

 タイキシャトル、こんな朝早くにどうしたんだ?

 

「オゥ!…トレーナーさん、起こしてしまいまシタカ?」

 

 いや、そんな事は無いよ。ただ何だか無性に寝付けなくて。タイキシャトルは?

 

「ワァオ、サプラーイズ!ワタシも何だか寝付けなかったんデース!寝ていたら体がムズムズってシて、虹の橋を渡っているみたいな感覚がシテ……」

 

「それで目が覚めて、リビングの椅子に座っていたらトレーナーさんが来たんデース!」

 

 とっても不思議な夢だな。

 

「エェ……でもどこか、寂しいような嬉しいような…」

 

 嬉しい?

 

「イエース!背中を心強い誰かにプッシュして貰ったような……そんな気がするんデース!」

 

 

C'est la vie

 

 

 タイキシャトルがあのジャック・ル・マロワ賞を取り、続くマイルCSを難なく連覇し、続く12月にスプリンターズSへと突入した日から数年。

 相も変わらず彼女はその抜群の身体能力を活かして____

 

 牧場でバーベキューパーティ会場を作っていた。

 

「トレーナーさーん!そろそろバーベキューしまセンカー!」

 

 ああ、そうしようか。メイショウドトウ、サイレンススズカ、机の準備をしてくれ。

 

「あ、あのぅ……すみませんが、私のお膝の上に頭を載せている羊ちゃんをどうにかしてくださいぃ〜〜!」

 

 羊どころか、ヤギにも囲まれて更に身動きの出来なくなっているメイショウドトウを尻目に、サイレンススズカが皿を人数分用意してくれた。

 

「ドトウはオーラが優しいから、安心して身を預けられるのかもしれませんね…」

 

 確かにドトウの内包するオーラは仄かに緑がかったような柔らかい光のイメージがある。ウマ娘の中でも抜群の身体能力や天性の才能を持ち、かつて覇王すらも射止めた時代の立役者が放つには些か優しすぎる気もするが、そこが彼女の美点であり、長所なのだろう。第一、彼女の本軸はオーラではなく精神にある。まあ、それは今は置いておく。

 

 さて、逆にタイキシャトルやサイレンススズカのような莫大なスパート力を持ったウマ娘達は別次元的というべきか、何処か浮世離れした印象のオーラを持つ。

 こちらもやはり、オーラが本軸ではないがこの力が原因なのかヤギや羊は彼女らには近付かない。

 

 

「トレーナーさん!バーベキューのお肉焼けマシター!たくさん食べてクダサイネ!」

 

 そうこうしているうちに、タイキシャトルらが完璧に準備を終わらせてくれていたようだ。

 

 見るだけでお腹の減ってくるお肉の数々。バーベキューパーティが始ま__

 

 

 

 っ食べたな……目いっぱいに。

 

「トレーナーさーんー!ソーエキサイティン!今回のバーベキューも楽しかったデスネ!」

 

 ああ。やはり、皆で囲む飯は楽しいな。

 

 最近はタイキシャトルの仲の良いウマ娘達も忙しそうにしていることが多い。今日だって、来てくれた2人のウマ娘の他は、牧場の職員がまばらに参加している程度だ。

 

 その前までは自分との2人きりのスモール・バーベキューで満足して貰っていた。

 このパーティを企画したのも、その彼女の表情が一瞬憂いていたのを見抜いたからだ。

 

 

 

 

 

「ワット!? 2人とも泊まっていかないんデスカ〜?」

 

「ごめんなさいねタイキシャトル…私は明日朝早くに番組の収録が……」

 

「わた、私はフクキタルさんと巫女のお仕事が…」

 

 やはり、彼女らも忙しい身。仕事の空きを縫って参加してくれた優しさがより染み渡る。

 

「オゥ…ウェル………それなら、ノット・ヒキトメ!スズカもドトウも、頑張ってくだサーイ!」

 

 そう言って、抱きつこうとしたタイキシャトルをそっと引き止めながら最後まで手を振ってくれた2人を見送る。

 

 

 牧場の職員さん達と和やかに雑談しながら、片付けをしたあと。ご好意で開けて貰ったロッジの屋外イスでゆったりと寛ぐ。

 

 適度にお腹が満たされ、リラックスした状態で目を伏せる。

 

 

   ⏰

 

 

『タイキシャトル押している!タイキシャトル押せ!今、大器は羽ばたいた!』

 

 目を閉じれば、いつだって思い起こすことが出来る。

 

 

『もう日本に敵は無し!大雨の中の無敵!タイキシャトル!!』

 

 ただ一時。夢を見た。

 

 

『先頭はタイキシャトル!しかしやはり、マイルの王者!』

 

 瞬きをすれば、直ぐに過ぎてしまうようなマホロバ・ドリイム。

 

 

  ⏰

 

 

「……トレーナーさん…」

 

 どうした?タイキシャトル。

 

「…ジャック・ル・マロワを制した時、少しだけよそ見をしてしまった事。覚えていマスカ?」

 

 ………覚えている。

 

「あの時私は、ボーッとしてしまったと言いマシタ。」

 

 確かにそう言っていたな。

 

「ソーリー。実は理由、全然違いマシタ」

 

「私の横を、誰か走っていたんデス。魂が引っ張られるような感覚がシテ、ザッツホワイ。私は()()()()()()()()

 

 

 それは。

 

 その話を、自分は知っていた。

 

 

 魂が、引っ張られる、という表現を正確には聞いていたのだ。

 

『ある時から例外なく活躍しているウマ娘達は、自分の気持ちに関係なく魂が引っ張られるような感覚に陥るという』

 

 自分がまだタイキシャトルとも出会っていなかった頃、先輩から聞いた話だ。

 

 

『虹って単語や空って単語をウマ娘が発した時、特に気に掛ける事だな。絶対にその手を離すんじゃねえぞ?』

 

 

 ウマ娘は本能的に果てを目指す。

 

 なぜ果てを目指すのかは、誰も分からない。理由なんて誰も知らないし、誰も求めていないのかもしれない。

 

 けれども。

 

 

『ワァオ……トレーナーさん、これ、貰ってもいいんデスカー?!』

 

『ああ。なんでも、有名なモンブランらしい。使われているマロンはウマ娘の体に合わせた__』

 

『はむっ………ん〜!ソーデリシャス!!ありがとうございマス、トレーナーさ はむっ!』

 

『……喋りながらじゃなくていいぞ』

 

 

 この笑顔を見る為なら、たしかに。

 

 どんな果てに行くことになろうとも。夢の続きを追う永遠の旅を続けることになろうとも。

 

 手を繋いでどこまでも行ける。

 

 

  

 

 

「そうか……じゃあ、俺もタイキシャトルの背中を押すよ」

 

 トレーナーさん?

 

「タイキシャトルの頼もしい背中に、俺の夢も載せてくれ」

 

 ………アイシー!分かりマシタ!

 

 トレーナーさんの夢も、背負ってあげマース!

 

 

 トゥギャザー!一緒に果て、目指しマショー!

 

 

C'est la vie

    [人生は続く、それが人生。] End

 





(主催者コメント)作者ページリンク、今回はないです。
         わざわざこの企画を選んで書いて下さりありがとうございました!
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