家庭教師が入ってくると親父は気絶しそうな勢いで喜んでいた。勿論鼻血が出ていたのは間違いはない。
「ハズレか」
俺の親父にそう言ったのか、小さな声で彼女はそう言った。
何がハズレなのかは、分からないが親父がハズレなのは正解だ。
「私はそこそこ強いと自覚しています」
少し面倒臭そうな顔をして彼女はそう言った。
「分かっていますよ。カッコよかったですよ。実技テストの男を軽々と蹴り飛ばしていましたね」
おい、蹴り飛ばしていた。バカな、いつなんだその時代は。いまは格闘の時代は終わったんだぞ。
「まぁ相手が弱過ぎただけですよ」
心底ガッカリした様な表情を見せた。相当弱かった事は、分かる。え落ち込み過ぎでしょう。本当に悲しんでいるじゃん。
「では、そろそろ宜しくお願いしますね」
「はい、サレーテと言う名にかけて負けない」
何と勝負してるのやら怖いな。知らないけど。
「では稽古に行きましょうか」
「えっとどうするんですよ」
何も説明がないのだから分からない。彼女は頭をかしげて悩んでいる。
理解出来ない、無知の俺が、俺がどうしたらいいだよ。でもそれでも、勇者になりたい。
「勇者になりたいです」
そう言った途端笑ってくれている。
「へぇそれが一言目ね。いいんじゃない。その思いを捨てない事」
まるで全て俺の気持ちを理解した様な感じである。
「では行きましょうかサメルー」
強引に手を繋いがれ気がついたら場所が変わっていた。手の感触は忘れてしまう勢いだった。
「ここで勝負よ。私は素手で戦うから本気できなさい」
剣を投げて勝負が始まる。
俺はまず左から攻める。
行くぞ、俺は強いのだから負けても立ち上がる。
左側の腹に目がけて剣を向けて攻撃する。
「剣技が下手くそ、最弱すぎるけど育てがいがある」
そして当てるけど剣と共に蹴り飛ばされてしまう。
「パワーもダメだけどスピードは中々速い」
あのね点数つけるのやめてほしい。お願いですから。そう思いながら剣を握って攻撃する。
今度はスピード勝負になる。
華麗に攻撃を回避し続ける。全然当てられるイメージが出来ない。余裕でかわされる。
「スピード勝負になると剣技がそもそも出来てないけど慎重になる。殺されるかもしれない」
俺あれでも本気出していたよ全く当たらないよ。そもそも稽古で殺そうとしてくる人はいない。
「常に実戦をイメージしないと魔王なんて倒せるどころか、ザコにも勝てないよ」
そう言った。もうそこまでレベルが高い修行してると思う。だけど、まだ一日目で何を求めているんだかな。
まさか今が一日目だからと言い訳するなと言うことか。
「どうやら理解した様ね。腹減ったから飯にいきましょう」
全く理解ができなかった。