ガールズ&パンツァー~幻の虎と異世界の戦車兵たち~ 作:疾風海軍陸戦隊
軽い自己紹介が終わった後、大洗の女子たちは自分たちの見つけた戦車を洗車することになった(※駄洒落じゃないよ?)
。ちなみに来ている服は体操着、これは水に濡れて汚れてもさほど気にしない服装だ。
「がっちりしてますねぇ」
「いいアタック出来そうです」
八九式甲型を見てそう言うバレー部チーム。八九式は日本初の国産戦車であり、正式採用された当時は他国の戦車より性能がよく、装甲、速度も当時の戦車より優れていた。それは九七式中戦車も同じだ。
第三次大戦ではさすがにスペック上、装甲車にも向いておらず再生産はされなかったが・・・・・一方、歴女の人たちは三突を見ていた
「固定砲塔・・・・・砲塔が回らないな」
「象みたいぜよ」
「ぱおーん」
「たわけ!Ⅲ突は冬戦争でロシアの猛攻を打ち返した凄い戦車なのだ!!フィンランド人に謝りなさい」
「「「すいません」」」
そう言い北欧がどこの方角かわからないのに頭を下げる歴女さんたち。それを見ていた芽衣達は
「ねえ、確か三突がロシアの猛攻を押し返したのは継続戦争じゃなかったけ?教えてあげた方がいいかな?」
「やめた・・・・ほうがいい」
と芽衣の言葉に加奈は首を横に振ってそう言う。エルヴィン?だった気?その子のメンツのために黙っておいた方がいいと考えたからだ。
「大砲が二つ付いてる」
「大きくて強そう…」
M3リーを見て驚いている一年生チーム。まあ、M3は固定75ミリ砲等が特徴であのM4シャーマンのつなぎとして活躍した戦車だ。現にアフリカ戦線でもM4と同じく何度も助けられた戦車だ
そして俺たちの乗る五式も、アルデンヌの戦闘のせいか、塗装が剥げたり砲弾が擦れたような黒い跡がたくさんついていたが幸いにもエンジンは死んではいなった。
いや、それ以前に爆散したはずの戦車がこんな状態に残っているのに突っ込みたかったが、それを言うなら死んだはずの俺たちがこうしているんだから、
「これは、また仕事が大変だな・・・・・」
「ええ・・・・何年たってもこの掃除は度胸がいるわね」
俺とかおりが意味深いことを言い、そして俺はちらっとⅣ号戦車にいる西住さんの方を見た
「うわっ…ぬめぬめしてる!?」
武部さんがⅣ号の装甲を指先でなぞって油汚れの感触を味わい気味悪がっている。まあ聞けば、最後に動かしたのは20年前くらいだし、それ以降なんもしなければそりゃ油まみれになるだろうな・・・・・
すると西住さんは手慣れたかのようにⅣ号に登り、キューポラの蓋を開けて中の様子を見ている。するとすぐに鼻をつまむ。どうやらすごい異臭らしいな。
「うっ…、やっぱり、中の水抜きをして、サビ取りもしないと、後古い塗装も剥がして…」
と、清掃する場所を的確に指示する。手慣れているな・・・・・俺は素直に感心した。そして戦車の洗車が始まった。みんな一斉にホースで戦車に水をかけ始める
「きゃあっ!もう沙織さん!もう~つ~め~た~い~」
「だ、誰ですか!?」
武部さんが勢い良く水をかけたのはいいがその水は五十鈴さんにあたり五十鈴さんはまるで四谷怪談に出てきそうな女幽霊みたいに恨めしそうな声で振り向く髪が水に濡れているため前髪で顔が見えず少し怖い雰囲気だ。それを見た秋山も冷や汗をかいて驚いている。隣の三突では・・・・
「高松城を水攻めじゃ!!」
「ルビコンを渡れ!!」
「ペリーの黒船来襲ぜよ」
「戦車と水と言えば、ノルマンディーのDD戦車でしょ」
「「「それだ」」」
一方で、歴女さんたちは戦車を洗いながらそう言う。
「もうびしょ濡れ」
「恵みの雨だー!!」
「ブラ透けちゃうよ~」
と、一年生たちはまるで小学生のごとくはしゃぎながら戦車の汚れを洗い流していた。最後の言葉は…‥聞かなかったことにしよう。現にかおりから白い目で見られているし、そして奥にある38tは
「今日は戦車を洗車すると言っただろ」
「うまいね〜座布団一枚」
「決してそう言う意味で言ったのではありません」
「それよりちょっとは手伝ってくださいよ」
河島さんの言葉に角谷さんは干し芋を食べながらそう言う。・・・・というよりちゃんと掃除しているのは小山さんだけかよ。しかもなぜかビキニ姿で・・・・・なんかエロイ。そう思っていると
ザスッ!
急に俺の頭にナイフが飛んできて、突き刺さった
「何、水着姿の少女に鼻を伸ばしているのかしら大佐?」
「いだっ!!!か、かおり!?いきなり頭にナイフを突き刺すなよ!?俺じゃなかったら死んでるぞ!?」
「わかっててナイフを頭にヒットさせたんですよ」
かおりは目が割れっていない怖い笑みでそう言う。もう彼女にナイフの差し入れは慣れたけど、やっぱりいきなりは堪えるし、かなり痛い。
まあ、かおりはあれで手加減してくれているのはわかる。彼女が本気出したら、ナイフが頭を貫通しているからな・・・・・
「はい大佐。絆創膏」
「ああ・・・・すまない少尉」
俺は結子から絆創膏をもらい刺さったところに張る
「でも、大佐も水着姿の人に見とれるのが悪いんですよ?」
「え?いや、みんな体操着なのになんであの人だけ水着なのかな~って思ってさ」
「ああ、それは私も思いました」
と、そんな会話をしながら俺、結子、かおりは車体についた汚れを落す
「どう軍曹?中の方は?」
俺がそう言うと芽衣が顔を出し
「いや~やっぱり中は殺人現場みたいになってるよ。もう血がべっとり!!正直、見慣れたとはあまり見たくない光景だよ~~」
「・・・・やっぱりか」
「まあ、今回は血だけ付着しているだけだからそんなには苦労しないけどね。臓物とか肉片があったらマジで地獄だよ」
「たしかに・・・・・」
戦場後の洗車の掃除は大変だ。中なんか、たまに死んだ仲間の血や臓物とか飛び散って正直、戻してしまいそうな感覚になってしまう
中だけじゃない履帯とかも轢き殺した人の肉片と片づけなければならないからこれも大変だ。
元の世界なんか上官に死んだ戦友の戦車の車内を掃除しろなんて言われて俺たち5人で掃除したときはまさに中は殺人現場並みに酷かった。その時、着任したばかりの芽衣と加奈はあまりのグロさに卒倒したしな
「ところで大佐は杖付きだけど大丈夫?」
「ああ、問題ないよ。ブラシで車体を擦って汚れ落とすことぐらいしかできなくてごめんな」
「いいて、いいって。怪我しているのにそこまでやってくれるだけでもありがたいですよ」
「うぃ・・・・」
「本当は静かに休んで少しでも早くケガ直してほしいんですがね。じっとしているのが嫌いなんでしょ彼方は?」
「はは・・・まあな」
そう言い俺たちは戦車の掃除や戦場をするのだった。そして気が付けば空は茜色に染まっていた
「みんなご苦労だった。あとの整備は自動車部の部員に今晩中にやらせる、今日は早く家に帰ってゆっくり休むがいい」
と河嶋さんの号令でみんなは解散した。ちなみに生徒会の戦車は結局小山さん一人で清掃してブラシを杖にしてフラフラの状態で立っていた。
「やっと終わったみたいだな・・・・」
「そうね」
俺とかおりがそう言う
「さて・・・・・寮に戻るか」
「ええ、そうね。皆離れ離れになるけど」
軽くため息をつくかおり、角谷さんに渡された寮の番号はそれぞれ違く、俺たち5人は別々の部屋で過ごすことになった
「いつもは戦車の中かテントで一緒に過ごしていたからな・・・・なんか新鮮な気持ちだ」
「そうね・・・・・」
「ん?どうしたんだよ。かおり?」
「いえ・・・別に」
何やら寂しそうな顔をするかおりに俺は
「大丈夫だってまた明日会えるんだし、別に今生の別れになるわけじゃないからさ」
「それもそうね・・・・・じゃあ、大佐・・・・いえ和人。また明日」
「ああ、また明日」
そう言いかおりは俺の元から去っていった。なんだろう?なんでかおりはあんなにも寂しい表情をしていたのかな?
俺は不思議に思い。鍵に書かれた番号と角谷さんに渡された寮の場所へと行こうとした。そして帰りの途中、俺は町の周りを見た
「異世界とはいえ、日本の本土に戻ってくるのは何年ぶりだろうな・・・・」
と杖を突きながらポツリと呟く。確か最期に離れたのは、アジアでの戦いに決着がついて、一時戻った時だったけ・・・それがいつかは覚えていない。日本に戻って家に帰って母さんと飯を食ったことしか覚えてないな・・・・姉ちゃんは・・・・・ああ、そうだった。姉ちゃんはあの時帰国してなかったっけ・・・・姉ちゃんも軍属だったし、確か最後に連絡来たときは北欧でフィンランド義勇軍として戦っているていう連絡だったな・・・
まあ、姉ちゃんはある意味、化け物級の強さだし、すぐには死なないと思うから大丈夫だろう。
そんなことを思い出しながら街を歩いていると・・・・
「・・・・ん?」
ある店が俺の目に留まった。それは戦車倶楽部と書かれた店であった
「戦車倶楽部か・・・・どんな店なんだ?」
俺は好奇心に駆られその店に入るのであった