ガールズ&パンツァー~幻の虎と異世界の戦車兵たち~ 作:疾風海軍陸戦隊
「うぅ~」
「大丈夫。結子さん?」
「うぃ・・・」
「大丈夫ですよ軍曹・・・・」
かおりに遅刻したことを怒られた後、結子は芽衣と加奈に慰めてもらっていた
「かおり…お前も叱りすぎだぞ?」
「すみません・・・・ただ時間厳守できない人が許せない質なので…反省してます」
俺の言葉にかおりは申し訳なさそうに言う。まあ軍隊では時間厳守は大事だし、俺自身もそれを一番理解してるつもりだ。
「…で、結子。なんで遅れたんだ?」
「は・・はい。遅刻しそうな生徒を運んでたら遅くなりました・・・」
「人助けってわけか・・・それなら厳しく攻めることはないな・・・・なあ、かおり?」
「そうね・・・本当は終わった後で遅れた分の時間数で腕立て伏せをやらせるつもりだったけど、そういう理由なら仕方ないね」
かおりの言葉に結子はほっとした表情になる。かおりはああは言っているが初めから腕立て伏せをさせる気がないことを俺は知っている。あいつは厳しく仕事熱心なところはあるが、根はとても優しいことを俺は知っている。
そして隣にいる西住さんたちを見ると
「遅いから心配しました」
「寝過ごしちゃって」
と、何やら話していた。そう言えば西住さんも結子と同じく遅れてきたな・・・・
「教官遅〜い焦らすなんって大人のテクニックだよね」
武部さんが不満げに言うと、上空からジェット音が聞こえ上を見上げると大型の輸送機が低空で飛んでくるのが見えた
「空自のC2ですね・・・」
「ああ…だが少し大きいな・・・言うならC2改と言ったところか」
かおりと俺がそう言った瞬間、c2の後部のハッチが開き、そこから陸上自衛隊の最新鋭10式戦車がパラシュート降下してきた。そして10式は無事に着地成功。しかし駐車場でスライディング着陸したため、赤い車に激突した。もちろん40トン以上の巨体に耐えられるはずもなく赤い車はひっくり返る
「学園長の車がっ!」
「あ~やっちゃたね~」
そんな小山さんの悲鳴が聞こえてきた。あれって学園長の車か・・・しかも学園長の車はこのままでは済まなかった。10式がバック走行で踏みつけぺしゃんこにした。
「あっ、あ~」
「ポテチ・・・・」
河嶋さんの言う通り、学園長の車はポテチのごとく真っ二つにぺしゃんこになった。
「あの車、保険に入ってるかな?」
「うぃ・・・・」
「いやいや。戦車に潰されたって言って保険が下りるかどうか・・・・」
芽衣、加奈、結子は唖然としてスクラップになった車を見てかおりは
「はぁ~なんてことを・・・・・・」
顔を少し青ざめため息をつきあきれ果てていた。すると戦車は車を踏み潰したことを気にもせずにこちらに向かい停車した
そして女性が上半身をキュウーポラが出して挨拶して来た。
「こんにちは!」
そして、みんなはそれぞれのチームで整列をし、その前に戦車道の教官が立つ。
「・・・・・騙された」
「でも素敵そうな方ですね」
武部さんが何を騙されたのかわからないががっかりした表情でそう言い、それを五十鈴さんがフォローしている
「特別講師の戦車教導隊、蝶野 亜美一尉だ」
「よろしくね!、戦車道は初めての人が多いと聞いていますが一緒に頑張りましょう!」
と、元気よくあいさつをする蝶野一尉。そして蝶野が周りを見て回ると西住さんの方に目が止まった。
「あれ!?西住師範のお嬢様じゃありません?師範にはお世話になってるんです。お姉様もお元気?」
「あぁ・・・・はい」
「西住師範って?」
「有名なの?」
と周りが騒めくと蝶野が西住流について説明する。
「西住流って言うのはね、戦車道の流派の中でも最も由緒ある流派なの」
「教官!教官はやっぱりモテるんですか!?」
そんな中、西住さんの顔は暗くなって行く察した武部は手を挙げて蝶野に質問をする。武部の質問に蝶野は首を傾げる。
「うん・・・・モテると言うより狙った的を外した事はないはないわ!!撃破率は120%よ」
「「「「おおお!!」」」」
「「「(いやいや、それ答えになっていないでしょ?)」」」
心の中で俺たちはそう突っ込んだ。撃破率ってなんだよ。狙ったまとって何?この人は何の的を狙って射抜こうとしているの?
そう思っていると、蝶野さんは今度は俺たちの方を見て近づいてきた
「あら、65式作業服?とても懐かしいわね。あなた達ね異世界から来たって人は。角谷さんから聞いているわ。初めまして私は、日本国陸上自衛隊戦車教導隊蝶野亜美階級は一等陸尉よ」
「どうも一尉。自分は日本国陸軍、遣欧第34師団戦車隊所属、独立戦車隊「猛虎」隊長および連隊長を務めていたの宮部和人大佐です」
「なっ!し、失礼しました大佐殿!!」
俺の階級を知った蝶野さんは慌てて俺に敬礼した。世界は違えど俺の方が蝶野さんより階級は3つ上。しかも将校の最上で佐官のトップである大佐なのだ。まさか年下の人物が自分よりも上の階級だった事に驚いた様だ。
「かしこまらなくっていいですよ。私はそう言う堅苦しいのは苦手ですので一尉。それにあなたはこの学校の戦車道の教官として私はそれを習う生徒としていますので立場上はあなたが上です」
「そう言っていただけると助かります大佐」
安心したように言う蝶野さん
「そして、こっちに居るのが俺の仲間の・・・・」
「西崎芽衣。海軍軍曹です」
「立石加奈・・・・海軍曹長」
「井崎結子。陸軍少尉です」
「笹本かおり…彼の副官をしています。階級は陸軍中尉です・・・・ところで蝶野一尉。少し聞いてもよろしいですか?」
「え・・ええ・・なに?」
と、皆、蝶野さんに挨拶をする。するとかおりは蝶野さんの前に出る。自分より身長の高いかおりを見て蝶野さんが驚き返事をすると、かおりはスクラップになった学園長の車を指さし
「あのスクラップになった車・・・・・どうするつもりで?」
「え?車?」
「そうあなた方が踏みつぶした車ですよ。それをどうするつもりで?」
「え・・・と・・・その・・・」
「国防を担う自衛官が故意じゃないとはいえ、一般市民の所有物を壊した・・・・・・これはどういうことかしら?しかもひっくり返した挙句ぺしゃんこに踏みつぶすなんて?」
かおりは怖い笑みをし蝶野さんに訊くと蝶野さんは顔を青ざめる
「自衛隊・・・ましては幹部自衛官とはいえ常識がなさすぎます。これは器物損壊罪に当たりますよ。無論あなた方がちゃんと弁償するのですね一尉?」
「え・・・と。笹本中尉?あなたは一体?」
まるで上司に叱られているように感じた蝶野は思わずかおりに質問するとかおりはにっこりと笑い
「これは失礼しました。自分は国防軍に入る前はあなたと同じ陸上自衛隊の自衛官だったので。これがその身分証です」
と、かおりはポケットから別の身分証を取り出した。それは自衛官の身分証だった。蝶野さんは身分証を受け取り内容を見ると顔を真っ青にした
「二‥‥二等陸佐!?その若さで!!でもさっき中尉って・・・・」
「あら?私が二佐から中尉に代わっていることに何か問題でも?」
「い、いいえございません!!」
かおりの怖い笑みで思わず顔を青ざめる蝶野さん。それはそうだ世界は違えど同じ自衛官。しかも相手は幹部自衛官の佐官。つまり上司にあたるのだから当然である
「そうですか…では一尉。次から戦車で空挺降下するときは事前連絡と周りに気を付けるように・・・・・それとの車もきちんと新品同様に弁償するように・・・・・いいですね?」
「えっと・・・その」
「‥‥‥返事は一尉?」
「イ、イエッサッー!!」
かおりの言葉に蝶野さんは慌てて敬礼しそう答える。まあ、かおりがしかる時の笑顔ってめちゃくちゃ怖いからな・・・・・しかも蝶野さんが話した相手が自分より階級が上、ましては佐官だったらなおさらだな
「中尉。その辺で・・・・」
「はい・・・・蝶野一尉。貴重な時間を取って申し訳ございませんでした。まだまだ言いたいことはありますが、とりあえず戦車道の講師の続きをお願いします」
「え・・・ええ」
と、かおりは深く頭を下げて列に戻ると、その場の雰囲気を戻そうと秋山さんが
「教官!本日はどの様な練習を行うのでしょうか?」
「そうね。本格戦闘の練習試合。早速やってみましょう」
「え!?あの、いきなりですか?」
いになりの実戦に焦る小山。
「大丈夫よ。何事も実戦!実戦!戦車なんてバーっと動かしてダーっと操作してドンっと撃てばいいんだから・・・・大佐たちはそれで大丈夫ですか?」
「ここは私たちのいた世界とは違う世界です。あなたのやり方に任せます。無論怪我をしない程度にお願いしますよ」
「わかりました」
俺の言葉に蝶野さんは頷き、俺はかおりを見ると何も言わずましてや不満そうな顔もしていなかった。つまり問題ないということだ
だが、いきなり実戦練習とは驚いたが、俺が訓練生時代でもいきなり模擬戦をやらされたことがあったため、さほど気にはしなかった。
「それじゃあ、それぞれのスタート地点に向かってね」
蝶野さんに指示で皆戦車に向かう。
「どうやって乗るのこれ~?」
「知ってそうな友達に訊いてみようか?」
「ネットで聞いたほうが早くない?」
戦車なんて触ったことも見いたこともない1年生たちがどう動かせばいいか悩んでいて一人がネットで調べていた。
「ここで頑張れば、バレー部は復活する!あの廃部を告知された屈辱を忘れるなっ!」
「「「はい。キャプテン!」」」
「ファイトー!!」
「「「「おぉー!!」」」」
八九式のチームは一致団結して士気が高かった。一方三突では
「初陣だぁー!」
「車篝の陣で・・・」
「いや、ここはパンツァーカイルで」
「一両しかないじゃん」
とまあ、こんな感じで練習試合が始まる。
「和人。大丈夫?昇れる?」
「ああ、大丈夫だよかおり。それと加奈。杖を預かってくれ」
「うぃ・・・・」
俺はかおりと加奈に肩を支えてもらって五式重戦車へと入る
「よし、みんな入ったな。今回は模擬戦だが、絶対に慢心はするな。やることはただ一つ、相手の殲滅だ。やるからには徹底的にやるぞ!!」
「「「了解!!」」」
「よし!少尉!エンジン始動!!」
「了解!!」
俺の指示で結子はまずサイレンを鳴らしエンジンをかける。その音はまるで猛獣の吠える音みたいだ
「ご機嫌に吠えてるね~!」
「うぃ!」
芽衣と加奈はウキウキした表情でそういう
『それでは、全戦車パンツァーフォー!』
と、蝶野さんの号令が始まる。
「そんじゃま、集合地点に行きますか。じゃあ、井崎。戦車前進!!」
「了解!」
そう言い結子は操縦桿をそっと前に出すと五式重戦車はゆっくりと進みだすのだった。
こうして再び数多の猛獣を狩った、日本の幻の重戦車が再び動き出すのであった